初投稿の一話目。
時間軸的には原作より前の9月初頭になります。原作は9/28
スタートになります。
主人公視点です。
「―――」
何か、声が聞こえる。
「―――ッ!」
誰かが呼んでいる……。
どこか聞きなれた声のような気もするが、久しぶりに聞くような懐かしい声にも思える。
……起きよう。
その声の正体が気になり意識を目覚めようと目を開こうとした。
「……ん、んんっう」
少し肌に感じるに寒さで眠りから覚める。
……寝る前にエアコンの温度調節をミスしたなぁ。
部屋の中なのに辺りからは虫の鳴き声がよく聞こえる。住んでいる場所は確かに田舎だがおかしいと思いつつ、と眠たい目を擦る。
それに、なんか背中はちくちくと違和感するし……。
とても快適とは思えない気持ちを抱きつつ目を開ける。
「……ん?……へっ!?」
開いた目に入ったのは、草木と視界の端を飛び回る一頭の蝶だった。
「え?ちょい、は?」
周囲を見渡すが景色は変わらず、あるのはやはり草木と蝶だけだった。
……待て。落ち着こう。まずは昨日の寝る前までの記憶を思い出せ!……確か昨日は仕事から帰ってきてから風呂と飯を済ませて、いつもの男面子で通話しつつゲームをしていた……。
日付が変わった頃に通話を切って明日の書類をまとめていたが、途中に集中力が切れてきたから明日に回そうと寝床に入ったはず……!
起きたばかりの碌に回っていない頭を使い記憶を掘り起こしていたが、最後の記憶は部屋で寝たところで終わっている。
……いや、そもそも起きたらなぜこんな場所にいるんだ……?誘拐でもされたのか……っ!?いやそれだとこんな場所に適当に捨てないだろうし、生きているわけ……。
最後の記憶と現状を繋げようと考えるが、全く思い当たるわけもなく思考だけがぐるぐると回っていた。
まずここどこだよ!?周囲とか草木しかないし、夜だから暗くて位置がわかるわけが―――ん?
再度周囲を見渡すがやはりあるのは草木ばかり。
しかし、その中で青く光り飛び回る蝶がいることに気が付いた。
蝶が青く光っている……?そんな科の虫なんて存在していたのか?というかさっきよりも数が増えていないか?
飛んでいる蝶に意識を向けると、さっきまで一頭しか居なかったはずの蝶が数頭に増えていた。
……近くに群れでも居るのか?それにしてもなんとも幻想的な蝶だな。昔やったゲームで似たのを見た気がする……。
確かあれは、主人公たちが乗った飛行機が消失して異世界行くやつ。確か剣の街の……なんだったか。あとはPCでやったゲームに出ていたのと似ている感じがする。実在するこの蝶を参考にしていたりするのだろうか?
などと考えていると、一頭の蝶が近づいてきた。手を少し前に出すと指先に蝶が止まる。その様子をまじまじと見る。
「近くで見れば見るほどおかしいな。発光しているようにしか見えん」
不思議に思っていると、青い光がうっすらと自分の体を照らし、あることに気付く。
「え?、全裸……?」
照らされた自分の体を確認すると、着ていたはずの寝巻はなく、生まれたままの状態だった。
「うぇ!?なんで服着てないんだ……!確かに少し肌寒いし座っている部分はちくちくしていたが!?ここ捨てられる際に衣服だけ剥ぎ取って全裸で放置……?頭おかしすぎるだろ……」
その場で立ち上がり、全裸であることに騒いでいると、周囲の蝶が居なくなっていることに気づく。
「……騒いだからどこかへいったのか?」
珍しい蝶を逃した事に少し残念な気持ちになりつつも、まだいないかと周囲に意識を向ける。すると、茂みの奥からこちらに向かって何かが高速で近づいてくる音と気配がした。
―――っ!?野生動物か……?
聞こえてくる足音的には、小型の動物ではなく最低でも犬などの中型以上はあるだろうと予想し、すぐ真後ろの木に体を隠して逃げる準備をする。
……この速度なら走って逃げれそうだが……逃げるにしても何が迫って来ているのか確認だけしておきたい。どうか熊とか羆じゃありませんように……!
森の中で出会いたくない生き物1位を考え、羆ってそもそも北海道にしか生息していないんだっけ?などと、どうでもいい事を考えている内に足音はすぐそこまで来ていた。
姿勢を少し下げ、いつでも後ろに走りだせる体勢になると、遂に茂みから足音の原因が出てきた。
……来たっ!
その正体を確認しようとしたが、明かりも碌にない森のせいではっきりとは見えないが、周囲の木と比べると高さは2メートルはなく人の様に見える。
人影と思われるそれは、その場に立ち止まり、辺りを見渡している。
「―――――」
「―――」
はっきりとは聞こえないが誰かと話し合っているようだ。人影は一つかと思っていたが……二人いたのか。
隠れるように木に背を向け、このまま様子を見るか……逃走すべきかを考える。
この場所にピンポイントで来ているとすれば……俺を探しに来た?となると誘拐犯になるわけだが……それなら俺が居ないことにもっと騒いでもおかしくないが……もう暫く様子を見てみようか、それとも……。
人影を観察していると、先ほど俺が眠っていた場所に向かっている。そこには、さっきまで居なかった青く光る蝶が飛んでいた。
どうしたんだ?もしかして蝶を見ているのか……?
青く光る蝶のおかげでうっすらと人影が映し出される。
あれは……マントを羽織っているのか?それと、腰まで伸びる髪……に見える。立っているのは女性か?
もし、今の姿で見つかれば事案待ったなしなのでは……?などと緊張感の無いことを頭で考えていると、女性が手に何か棒状のを持ち、それを高速で振るった。
「―――なっ!!?」
振るったそれを見ると、棒の先端に三日月状の鋭利な刃物が付いており、その先端の刃物に切り裂かれた蝶は光が消えるように霧散していった。
あれはもしかして鎌なのか!?なんてサイズだよ……!身長と同じ位あるだろ!?
想定外の出来事に遭遇し、驚愕のあまり口から声が漏れ出てしまった。
「っ!?そこに誰かいるのか!」
やらかした……と後悔した時には既に遅かった。
「人の気配だが……これは―――」
「そこにどなたかいるのですか?こんな場所に……?」
……どうする?逃げるか?だが、少なくとも俺をこんな場所に誘拐した奴ではなさそうだが……いや、もっとやばいパターンかもしれない。
「人であるのは確かだ。敵意はないが……こちらに警戒しているようだ」
「すみません。どうしてここに居られたのかお聞きしたいのですが……怪しいものではありませんから」
あんなデカい鎌振り回す奴が怪しくないわけないだろっ!と心の中で突っ込みを入れるが現状は変わらない。
向こうがこっちを害する様には感じないが、お話って……俺は今全裸だぞ!?おまわりさん行きだわっ!……だが、このまま隠れていても意味はないし……。
「居るのはわかっている。姿を見せてくれないか?」
仕方ないが……腹を括ろう。暗闇だし見えないだろう。見られたら土下座でもなんでもして謝ろう。
覚悟を決め、返事をする。
「わかった。姿を見せるから何もしないでくれ」
そう伝え、近くの葉っぱを1枚ちぎる。
気休めだが、これを装備しておけば下は見られることはないと……信じたい。
茂みから姿を出し、相手の近くで止まる。
「男性の方でしたか……。一体どうしてこんな場所に……?」
女性の方はそう言い、自分の顔の前に何も点いていないランタンの様な物をかざした。すると、それは青く光り出し、中には先ほどまで飛んでいた蝶が見えた。
「―――っ!?」
青い光が女性の顔を映し出しその顔を確認すると、さっきの事態よりも更に衝撃が走った。
「あきづき……かん……な?」
そこに映ったのは、PCで何度も繰り返したゲームのメインヒロインと、同じ顔の人が立っていた―――。
全裸で鉢合わせ!
おまわりさん案件ですね。