喫茶ステラ ―異邦人と蝶の残滓―   作:コクーン√

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書きたい事が多くありますが、原作に行きつくまでに長くなりそうで削ろうか悩んでいますね……。取りあえず、話を次に進めて行こうかと思います。




第9話:二人目との邂逅

 

 

トイレから戻ると、話し合いは無事終わっている二人がこちらを見る雰囲気が変わっていた。

 

おや?今の話し合いで変な方向に行ってしまったのか……?多分、ミカドさんが大幅に勘違いしたかもしれないな。しかも重たい方面に……。

 

想定より暗い過去を持っている事になってしまった様だが、それはそれで良しとしておくことにした。突っ込まない。ここはスルー。

 

「さて、我輩は少し出かけてくるとする。貴様の手続きやらで行かねばならんのでな」

 

「そうだ。ミカドさんはこれから役所に行くのか?」

 

「先にコンビニからになるはずだ」

 

「じゃあ、自分の情報渡しておくから参考にして欲しい」

 

明月栞那から紙とペンを借りて情報を書いていく。これで丸裸だな……。仕方ないけど。

 

「あと、これは時間があるときに探して欲しいのだけど……」

 

そう言って可能な限り知り合いの名前、住んでいた場所を書き、最後の両親の名前を書く。

 

「これは……?貴様の知り合いや家族か?」

 

「そう。知っている中で書いてみた。存在してるのか生きているのか分からないから気の向いた時で大丈夫だから。あ、明月さんも見ていてくれ、何か情報があったら教えて欲しい」

 

「……わかった。これは我輩の方で調べておこう。知り合いの者にも頼む可能性があるが見せても良いか?」

 

「全然大丈夫。自由に使って欲しい。分かったら御の字位で居るから」

 

「そうだな、あまり期待せずに待っていると良い。では行ってくる。夜までには戻る予定だ」

 

閣下が店から出るのを二人で見送る。閣下……必ず見つけて見せる的な顔で出ていかなくても……。可能性ゼロに近いのに。

 

少し呆れた様子で入口を見ていると隣から声を掛けられる。

 

「澤田さんの両親は、どの様なお仕事をされていたのですか?」

 

「親?ああ、確か母親は病院に勤めていたはず。聞いた話だと医学部行って医師免許取ったとか言ってたし。父親の方は専業主夫だったと思う」

 

「お母さんの方がバリバリに働いておられたのですね」

 

「そうだったみたいだな。けど父親の方もちょくちょく家を空けてどこかに出かけていたらしい。その間知り合いの叔父さんのお店に預けられていた感じかな」

 

「その方は、先ほど話されていた喫茶店を経営されている……?」

 

「そうそう、その人は母親の方と幼馴染?的な関係で昔からの交流だったみたい。お店での寝泊まりとかは小さい頃はわくわくしたもんだな。外泊するみたいな気分で」

 

あの頃はお店に行くのは楽しみだったな……。小さな冒険みたいで。気付けばトラウマで行きたくない場所へと変わってしまったが……。

 

「あ、というか今日からの寝る場所どうしようか……。ミカドさんから何か聞いていたりとか?」

 

「ああ。そのことですね。安心してください、ちゃんとミカドさんからお金を頂いていますから。住むところが決まるまで宿とかを取るようにと」

 

「それはマジでありがとうございます、最悪店で住み着かせて頂く覚悟だった」

 

それは本当に良かった。これからの季節で寝るのは少し堪えるからな。

 

「場所は澤田さんの自由に決めていただいて大丈夫です。とはいってもあまりお高い場所は難しいですが……」

 

苦笑いを浮かべてこちらを見る。いやいや、高級ホテルに泊まる気など無いから。店から近くて長期滞在プランが望ましい、一から二週間程度の。

 

「そんな場所は流石に……。駅から近くで長く泊まれる場所を探したいのだけど……。検索するためのスマホが……」

 

そう、現代における文明機器を持っていないのだ。勿論隣にいる機械音痴の死神さんも。

 

「お店を探して巡る訳にもいきませんもんね。そうだ、ミカドさんが使われているパソコンでどうにか出来そうですか?」

 

そうだった、確か閣下が帳簿の集計で使っていたのがあったな。ナイス。

 

二人で休憩室に向かいパソコンの電源を入れる。

 

「今更なのだが、勝手に使って大丈夫なのか?」

 

「はい。大丈夫かと……。ミカドさんには後で私からお話しておきますので」

 

それなら安心と、画面の操作を続けネットで駅近の宿泊プランを探していく。

 

「澤田さんはパソコン……?の操作も出来るのですね……」

 

そんなに驚かれても……。現代じゃ割と必須になってきているやつだぞ。死神には必要ないかもしれないが。

 

「慣れれば誰でも簡単に操作出来るようになるから、そんなに難しい事ではないぞ?それこそ機械音痴の明月さんでもな」

 

「あ、あはは……そう言ったものは疎くて……。全てミカドさんに任せっきりなんですよね」

 

「まぁ、急いでする事でも無いしな。その内スマホやパソコンに触れる機会があった時にでも誰かから教われば良いし」

 

今自分が教える事でも無い。これは高嶺昂晴や他のヒロインとの親睦を深める為に取っておいた方が良いやつだ。

 

そう判断し、丁度いい宿泊施設を探すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今の時点で出来る手続きはこれくらいか……」

 

コンビニや役所を巡り、必要な手続きを進めた。

 

後は申請次第、後日まで時間が出来ることだ奴の頼みの方を進めるとしよう。

 

そう思い渡された紙を見る。血族の名前と知り合いの情報が書かれている。知り合いと言っていたが住所、電話番号、名前、年齢、血液型、職場など細かく書かれていた。

 

知り合い程度の人間をここまで分かるものだろうか……。奴の奇跡の力かもしれないが。

 

知っている人物は居るか一つ一つ見たが思い当たる節は無い。最後まで読み進めているとおかしい事に気づく。

 

「これは、澤田の苗字……。奴の両親に当たるのだろう。だがしかし……」

 

そう、両親となれば知り合いなどより知っていることが多い。のはずだが、紙に書かれていた情報は名前と年齢のみだった。逆に不自然だ。

 

「両親には奇跡が適用外だったのか?いや、それでもこれだけなのはあまりにも少なすぎる……」

 

様々な予測が出てきたが、ここで考えても仕方ないと決め、記載されている情報から調べていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが今日から泊まる場所か」

 

あれから泊まる場所を探して良い塩梅の場所を見つけた。店と駅から丁度いい距離にあった。その分値段は少し高めだが……、明月さんからは了承も出たから問題ないだろう。

 

「写真でも見たが、内装は悪くないな、ベッド、冷蔵庫、クローゼットあり。風呂とトイレが一緒なのは仕方ないな。台所は無いから飯はコンビニか外食か……」

 

一応さっき当分のお金は渡された、宿代・食費・生活用品などに使ってくれと。

 

「うーん、足りなくなったら言ってくれとは言ってはいたが、出来る限りの節約は心がけよう。飯は多少削っても少しの間だから問題は無いし、日用品もアメニティで事足りるからな……。服とかは必要か。洗濯の為にコインランドリー行かないといけないしな」

 

流石にこの一着を着続ける訳にはいかないし何パターンかは揃えておこう。生活感を保つために必要経費としておかないと。それは後日買い出しに行くことに決めた。

 

「さてと、今日だけで色々あったが、悪い方向には進んでないとは思う……。向こうの信頼もある程度は獲得できたと思うし……ちょっと過剰に心配された様な気はするが……」

 

そう……宿が決まった後、明月栞那は念のためと入口の前まで同行し店の名前を確認して戻っていった。何かあった時の為にちゃんと泊まる場所の確認をしたかったのもあったかもしれないが……。

 

「ミカドさんが斜め上に行ったんだろうなぁ……追々訂正出来たらしていこう。今はいいや」

 

デジタル時計を見ると到着してから30分近く経っていた。そういえば一息ついたらまた店に来て欲しいとか言ってたな。

 

「何かまだ話すことがあったのか?少し疲れているからゆっくりして行きたい所だが……」

 

もう暫くしたら出ようと決め少し休む。

 

また明日からの行動を考えつつ、結局出たのは更に30分後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋から出て、店に着く。少し日が傾き始め時刻は夕方になっていた。

 

さて、明月栞那は居るとして閣下は戻ってきているのか?調査の方は片手間程度で良いのだけれども……あの様子では力入れて探しそうだよな……。

 

どうしたものかと考えつつドアを開ける。中からは話し声が聞こえてきた。片方は明月栞那。そしてもう片方に目線を送る。

 

その瞬間から衝撃が全身を駆け巡った。黒髪ロングに紫色の髪飾り、恐らくバラか何かがモチーフだろう。隣には赤のコートと思われるのが椅子に掛けられている。間違いない……彼女だ。

 

「澤田さん、戻られたのですね」

 

明月栞那から声を掛けられ、声を掛けられた俺を確認する為にこちらを向く。目が合った。黄色の瞳、右目の目元にはほくろ。そしてピアス。記憶の中、画面の向こう側と変わらずの人がそこに座っていた。明月栞那で分かっていたつもりだったがそれでも驚きを隠しきれなかった。

 

「あ、こんばんは。彼が明月さんが話していた人?」

 

「はい。詳しくはこれから話すことになりますが」

 

呆然としてしまう。そこに居たのは原作二人目のヒロイン。

 

―――四季ナツメだったのだから。

 

 

 





彼にとって想定外でしたが、ようやく四季ナツメさんのご登場です。温めてしまいましたがこれからどんどん交えて少しずつ物語を進めて行けたらと思います。

原作には出ない設定や人物が出てくることもありますが、頭空っぽで見て頂けると助かります……笑

次回はナツメさんに自己紹介とお店への協力とかになる予定です。

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