喫茶ステラ ―異邦人と蝶の残滓―   作:コクーン√

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夜の帰り道。隣には美少女。向かうは宿泊施設。何もおこらない(ry


まぁ、普通に帰ろうとします。動くのはその後ですね。


第16話:裏路地で目に映ったもの

 

「それじゃあ、帰ろうか」

 

「そうね。でも私澤田君の家分からないから、先導してくれる?」

 

四季ナツメにそう言われ、そういえば近くに部屋を借りているとは言ったが、場所の話とかまではしていなかったと気づく。分からなければ送れないもんな。

 

「了解、ではホテルに向かいますか。」

 

「は?ホテル…?」

 

歩き出そうとすると、急に声のトーンが下がった返事が返ってくる。

 

「…どうしてホテルに?」

 

「え?そりゃ今から向かう場所だから?」

 

「どうして私が澤田君とホテルに向かわなきゃいけないのか理解出来ないんだけど…。」

 

理解できない顔のご様子。何かすれ違いが起きてしまっている気がする。

 

(これはもしや、俺が今から如何わしい場所に連れ込もうとしていると勘違いしてるパターンか。)

 

誤解を解こうと考えたが、この状況を楽しむのも一興と思い、そのまま続ける。

 

「別におかしいとは思わないのだが…?そうだ、四季さん少し休憩していかない?飲み物ぐらいは出すよ?」

 

「するかっ!私は澤田君を送るために同行しているのだけど?そんな事なら帰っていい?」

 

「だから部屋まで送ってくれるんだろ?送ってもらっているから礼ぐらいしたかったのだが…迷惑だったか?」

 

「だからそこでホテルに連れ込もうとする考えが理解できないって言っているのだけど?」

 

声のトーンが下がるに合わせてこっちを軽蔑するような目で見てくる。癖になりそう。

 

「連れ込もうとか人聞き悪いなぁ…。寧ろ送ると言ったのはそっちなのに。」

 

「そんなこと一言も……、あれ?……澤田君ってどこに部屋を借りているの?」

 

どうやら、自分が間違っていることに気づき始めてしまった。もう少し続けたかったがネタバレにしよう。

 

「言って無かったか?少し歩いた場所のホテルで長期宿泊してるんだよ。ミカドさんが部屋を借りるまでのその場しのぎで。」

 

「え、そうなの?ああ、だから……そういうこと。納得。」

 

俺の言葉でホテルに宿泊しているのだと理解できたのだろう。ここからがお楽しみタイムとなる。

 

「さっきから会話がおかしかったが、一体何と勘違いしていたんだ?」

 

知らんふりをしながら問いかける。

 

「……別に勘違いとかしてない。」

 

恥ずかしいのか、声が小さくなり顔を逸らす。だが、追撃を止めるつもりは毛頭無い。

 

「いやいや、勘違いしているようにしか見えなかったなぁ。ホテルに連れ込むとかなんとか?」

 

「…っ!、ってか今の言い方、分かっててそのまま続けたでしょ?」

 

自分の勘違いを指摘された彼女は、こちらがわざとしている事に気づいたのか反撃をしてくる。

 

「なんのことだかさっぱりですな。俺はただ目的地を告げ、送って貰ったお礼にお茶位出そうかと思ってただけなんだけどなぁ…。勝手に勘違いをしてしまったご様子で。」

 

「うわぁ。うざ。きもっ。性格わっる。」

 

こっちがにやにやしながら見ていると、拗ねた顔で罵倒のオンパレードで返してくる。ご褒美かな。

 

(いい反応で最高です。やった甲斐があったよ全く。定期的にしてくれませんかね。お気に入りボイスとかにしておきたい。)

 

末期症状である。

 

「そっちが勝手に勘違いをしただけなのではないのかと思うのだけどな…。」

 

「うるさい。ほら、さっさと行く。怪我人なんだから早く安静にしておかないと。」

 

都合が悪くなり話を逸らされた。まぁ満足したしいいか。話も弾んだしな。

 

四季ナツメに催促されながら、宿に向かった。

 

 

 

 

 

「ん?あれは。」

 

少し歩き始め、駅が見えて来た辺りで少し離れた場所で青い光が飛んでいる様に見えた。

 

「澤田君?どうかしたの。」

 

「今、蝶が飛んでたように見えたんだが…。」

 

気になりその場所に近づく。蝶はゆらゆらと大通りから裏路地に入っていく。

 

「四季さん、すまないが追ってもいいか?」

 

これ以上は帰路から外れるため念のため確認を取る。

 

「私は別に大丈夫だけど、明月さん呼びに戻る?」

 

「いや、取りあえず追いついてから考える。ちょっと気になることもあるしな。」

 

さっきのは駅の近くで飛んでいた蝶だ、夕方のに引き寄せられたのなら近くに居るのかもしれないと考え蝶に追いつく。

 

「飛んでいるのは、一頭だけか。」

 

目の前でひらりと飛んでいる蝶に触れようとする。予測通りならこの蝶から何かしら情報が得られるはず。

 

「当たっていると良いんだけどな。」

 

そう思いながら、蝶に触れる。すると蝶が吸い込まれるように消え、感情が流れてくる。

 

「…っ、なるほどな、そんな感じなのか。」

 

唐突にくる情報に驚くが、予想の範疇だった。

 

(原作での高嶺昂晴が他人から蝶の影響を受けたのと似ているのか?それにしては思ったより影響少ないな。)

 

原作の出来事と若干違う事に違和感を覚えていたが、全く一緒というわけではないと結論付け、考えるのをやめた。

 

「今澤田君が触れたら、蝶が消えたように見えたのだけど…何をしたの?」

 

考えるのをやめて、顔を上げると隣から疑問を投げかけられた。どうやら俺が終わるのを待っていたらしい。

 

「蝶を捕獲?的な事をしただけ。明月さんが蝶を回収出来るように近い事が出来るらしい。俺も詳しくは分かってはいないけど。だから今の蝶で試してみたって感じ。」

 

「だから、蝶を追おうとしたんだ。納得した。」

 

「すまんな、じゃあ戻るか。」

 

目的が済み、駅方面に戻ろうとする。この先は今は行かない方が良いだろう。

 

(行くとしたら、一人になってからだな。相手は凶器持ちだし、こっちも何か準備していかないと…。部屋から良い感じの持ち出すか。)

 

この後の事を考えている内に泊まっている場所に着く。

 

「っと、一応ここが今借りている場所、店からも近いし結構便利なんだよな。」

 

「ここね、了解。じゃあ私はここまでにして帰る事にする。」

 

「わざわざ送ってくれてすまんな。四季さんの家はこっち方向だったりする?」

 

今さっき来た道方面を指さす。

 

「ううん、私は逆、こっち側。」

 

来た道とは反対を指さした。一先ずは安心できる。

 

「それは良かった。わざわざ来た道を引き返すことになったら申し訳なかったからな。」

 

「別に気にしなくて結構。澤田君はこの後は部屋で大人しくしているつもり?」

 

「流石に今日は大人しくしているつもり。心配されたくないからな。」

 

「…そう。分かった。それじゃ、また明日」

 

「また明日な、夜道は気を付けて帰ってくれ。」

 

こちらに背を向けた彼女にひらひらと手を振る。歩いて行った先の曲がり角を曲がった事を確認し部屋に入り、今日買った物を片付ける。

 

「さってと、準備していきますか。」

 

ポケットに小銭を幾つかと、備え付けのハンドタオルを念のため2つ入れ、再び部屋を出た。

 

 

 

 

 

「見つかると良いんだけどな…。」

 

さっきの蝶が居た場所からそう遠くない範囲に犯人、もしくは蝶が飛んでいる可能性があるはず。それを辿れば辿り着くと思う。

 

「それにしても夜は少し肌寒いな…。」

 

少し冷たい風が肌に当たる。傷口に沁みるような気がする。

 

駅を過ぎ、回収した蝶が入って行った裏路地前まで辿り着き、奥へと進む。

 

回収地点まで来た時に後ろから人の気配が近づく。

 

(駅辺りから何となく視線を感じていたが…。こうも堂々と後を付けてくるとは。はぁ…。)

 

こちらが立ち止まっていると数メートル後ろで人が立ち止まり、声を掛けてくる。

 

「澤田君。…どこに行こうとしているの?」

 

振り向くまでも無く分かる、声の正体はさっきまで一緒に歩いていた人物だったのだから。

 

 

 

 

 

「予想通りなら…。きっと部屋から出てくるはず。」

 

駅方面で澤田君が泊まっている店への道が見える位置で彼が来るのを隠れて待っていた。

 

(帰り道、途中から彼の様子が変だった気がする。ずっと何かを考えている様に見えた。)

 

送り途中で見かけた蝶を追って裏路地まで行き、彼はそこで蝶を回収すると何かを納得したかのような顔をし、少し考え込んでいた。

 

(時期的に考えると、あの蝶は今日駅で事件を起こした犯人の蝶だと思う。)

 

(推測だけど、そこで何かを得たんだと思う。私と解散した後にまたその場所に向かうはず。わざわざ私の家の方角を聞いたのはその為なんだろう。)

 

怪我を負わされたのにわざわざ関わりに行こうとするのは理解が出来ないが、危ない目にあうのなら止めなければならない。

 

暫くすると彼の姿が見えた。

 

(やっぱり。またさっきの場所に向かおうとしている。)

 

自分の推測が当たっていた。彼は特に迷うわけでもなく真っすぐに来た道を戻っていた。その後ろを気づかれないように距離を置き、後を追う。

 

前を歩いている彼が道を曲がって行った。先ほど入った裏路地だ、これはもう確定だった。

 

曲がり角を曲がると路地の先で彼が立っていた。見るからに蝶を回収した場所だと思う。

 

後に追いつき、声を掛ける。

 

「澤田君。…どこに行こうとしているの?」

 

声を掛けると、ゆっくりとこちらに振り返る。後を付けられていたのに驚いている様には見えなかった。

 

「あれ?四季さん。どうしてこんな場所に?もしかしてさっきの蝶が気になったとかか?」

 

「途中から澤田君の様子がおかしい様な気がして後を追って来たんだけど…。そっちこそ、なにしてたの?」

 

「いやー、コンビニか薬局で包帯とか買っておこうかと思って探していたんだけど、蝶の事が気になって。ちょっと様子を見に来ただけ。特に何も無かったから戻ろうとしていた所だ。」

 

「コンビニとかなら来るまでの道にあったと思うけど?薬局も駅内に。」

 

「まじか。見逃していたのか。恥ずかしいなそれ。」

 

白々しい返答をしてくる。歩いている最中何かを探している様には見えなかった。

 

「本当に?探している様には見えなかったけど。本当は蝶の事が目的だったんじゃないの?」

 

そう聞くと彼が静かにこちらを見る。いつもとなんか違う雰囲気がする。人気の無い夜の裏路地だからか、違和感を感じる。

 

「一体…、何をしようとしているの…?」

 

躊躇いながらも問いかける。

 

「四季さん。」

 

「何?」

 

「今日は危ないから、大人しく回れ右をして帰ってくれると助かる。」

 

「そっちは帰らないの?危険というわりには何かを探しに来た様子だけど…。」

 

「直ぐに帰るさ。四季さんを見送った後にな。」

 

「全然そうには見えないのだから聞いてるの。」

 

二人の間に沈黙が訪れる。

 

「……はあぁ。これはこっちが言うまで帰ってくれそうにないかぁ…。」

 

こっちが理由を聞くまで引き下がらないのを察したのか、彼から盛大なため息が出た。観念したような困った顔をして私を見る。

 

「確かに、四季さんが思っている通り、今日の犯人の手掛かりを探しにここに来た。さっきの蝶からこの先に向かった事が分かったからな。四季さんが居ると危険だと思って引き返したのに。なんで付いてきたのかなぁ。」

 

ガクッと頭を下げ、更にため息を吐く。

 

「私はただ、また変なのに巻き込まれないか心配してるだけ。そこまでため息吐かれるのは…なんか心外。」

 

「いや、言いたい事はわかるよ?怪我を負わされた側なのに、また自分から危険な目に会いに行こうしている人が居たらそりゃ心配して止めようとするよな。」

 

どうやら、こちらの心配を分かっているのに行動をしているらしい。

 

「分かっているのなら戻った方が良いんじゃないの?」

 

「いやー、残念ながらその提案は飲めないな。これをそのまま放置は出来ない。」

 

「警察に任せた方が良いと思うのだけど?」

 

「最初はそれも考えたんだけどな。またいつ犯行に及ぶか分からない上に場所の特定が出来てない。もしかすると被害が出るかもしれない。」

 

「けど、今なら蝶を辿れば犯人に辿り着く可能性が高い。早い内に解決できるならそっちの方が良いだろ?」

 

「仮に特定出来たとしても、相手は凶器を持っているって聞いたけど?危険すぎるでしょ。」

 

相手は唐突にナイフで切り付けてくるような人だ。襲い掛かって来るかもしれない。

 

「それについては、まぁ何とかする。対処位なら出来ると思う。」

 

相手が凶器を所持し、危険と言っているのにそれが大した障害では無いかの様に話している。それが私には不気味に映る。

 

「だから四季さん。改めて言うのだけど、付いてくると危ないからさ……。」

 

「ーーー大人しく、帰ってくれないか。」

 

 

 

冷たく、そう私に言い放った。

 

 




初の四季ナツメ視点なのですが、ヒロインの目線で書こうとすると口調が合っているのかどうか、途中から訳が分からなくなって来ました。


次回は、今回の会話の続きをして、何とか犯人に迫ろうか思います。
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