喫茶ステラ ―異邦人と蝶の残滓―   作:コクーン√

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ドキッ!女の子(推定最低年齢100歳)と二人きりでお泊り!?

…的な回になっております。※なっておりません。


第20話:仕返し

暫く閣下と話していると、裏口の扉から明月栞那が戻り、入れ違いで閣下が出ていった。

 

「おかえり。四季さんは無事家まで辿り着いた?」

 

「はい。部屋に入る時までしっかりと。」

 

「それは良かった。それと帰り道での様子はどうだった?」

 

「まぁ、とても落ち込んでいました。」

 

「だよねー…。悪くないって言っても素直に聞いて貰え無さそうだしな。」

 

「そうだと思います。私だって駅でのはまだそう思っていますから…。」

 

「まてまて、それを蒸し返さないで欲しい。問題が増えるから。あれはさっき話したので終わりになっているから。流石に二人にそんな反応されたら困るぞ。」

 

「分かっています、ただ私の中では割り切れてないだけですので…。」

 

「変に恩義を感じないでくれ。多少の感謝位で十分。何かあった時に手を貸してくれる程度の気持ちで良いから。な?」

 

「はい。何か困った事があれば言ってください。勿論お返しとは関係なくても手伝いますので。」

 

「四季さんの事は明日話し合って何とかするとして、今問題なのはこの足でどう帰ろうか…という事なのだが。」

 

「歩くのは駄目ですもんね…。となると此処で泊ることになるのですが…。」

 

「タクシー呼ぶじゃ駄目なのか。それなら一人でも帰れると思うのだが。」

 

「それも考えたのですが、怪我されている状態で一人にするのは危険だと思うので…。帰った日は良いのですがその後が大変なので。」

 

「確かに。飯とかあるし此処に来るたびに毎度タクシー使うのも金使ってしまうな。」

 

「はい。なので多少回復するまではここに居られた方がお世話などもしやすいかと…。」

 

「世話って言っても包帯の付け替え程度だけどな。」

 

「他にも細かい事はしますよ。任せてください。」

 

若干やる気に満ちている様に見えるのは気のせいでは無いのだろう。

 

「歩くのが難しい分甘えることにするよ、よろしく頼む。」

 

その方がそっちも罪悪感を感じずに居られる事だしな。

 

「じゃあ、取り敢えずは二人が間借りしている部屋まで行っても良いか?階段は出来れば補助してくれると助かる。」

 

「分かりました。それじゃ案内しますね。」

 

明月栞那に連れられ店の奥に行く。歩く分には問題はあまりなさそうだが痛みは流石にある。階段は一歩一歩上がる事で何とかなった。

 

「此処が私とミカドさんが間借りしているお部屋です。と言っても特に何も無いのですけれど。」

 

「へぇーこんな感じなんだな。秘密基地みたいでテンション上がる」

 

屋根裏部屋みたいで少し圧迫感が出ている。そこがまた良い。

 

「子供とかそういう場所好きですよね。隠れ家みたいな感じが。」

 

「そうそう自分達だけの遊び場とかそんな感じ。」

 

改めて見渡す。多少狭いが人一人程度なら十分すぎるだろう。ベットは一つしかないのは仕方ない。床にでも寝かさせてもらおう。

 

「あの…、そんなに観察されると何だか恥ずかしいのですが…。」

 

「ああ、ごめん。見過ぎてた。ミカドさんもここで寝ているのだよな?」

 

「そうですよ。ミカドさんもここで寝泊りしています。まぁ、私に合わせてですけど。」

 

ああ、確かに一人だったらもっと快適な場所があるとかなんとか言ってたな。猫にとってのだけど。

 

「なので、残念ですが澤田さんと二人きりではありませんよ?」

 

隣を見ると揶揄うような顔でこちらを見ている。これはこっちの反応を楽しもうとしているのだろう。

 

「どうかしましたか~?こちらを見て。もしかして…、何か期待していましたか?」

 

(うーむ。このまま揶揄われるのはなんか癪だし、逆に俺からも仕掛けるか。)

 

 にやにやしながら俺の返事を待っている明月栞那を見て、こちらも挑発的な笑みを作る。

 

「そうだな…、けど今はミカドさんは居ないから実質二人きりって事になるのだけど?」

 

「おや、そういわれると確かにそうですね。もはやそれを狙って此処にきたのですか?計画的ですね。澤田さんは。」

 

「さぁ…。計画的だったかどうかは今から証明される事だしな。」

 

「証明だなんて、一体どんないやらしい事を計画されていたのか。」

 

楽しむ様に会話をしているが、残念ながらここまでだぞ。

 

「いやらしいかどうかは実際に味わってから判断すると良い。」

 

怪しい笑みを作り一歩距離を詰める。

 

「実際にって、え…澤田さん?」

 

こちらが距離を詰めたことに驚き一歩下がる。更に一歩距離をゆっくり詰める。

 

「あ、あの、無言で距離を詰められると怖いのですが…、って聞いていますか?。」

 

どんどん後ずさるが距離を空けないように詰めていく。地味に足が痛い。

 

「澤田さん?聞こえていますか?…え、冗談ですよね?冗談で言い合っていただけですよねっ?」

 

余裕が無くなり、少し焦りが見える。

 

「だからっ、無言で距離を詰めてこないでくださ、きゃあっ!」

 

背後のベットにぶつかり、尻もちを付く形で倒れ込む。

 

「べべべ、ベットッ。もう後が…!」

 

後ろを見たがもう下がれる場所が無く、あわあわしている。なんかうける。

 

「あああ、あのっ!確かにお世話をするとは言いましたが、そういった下の世話までするとかの意味では無くてですね…!」

 

もはや早口で何をいっているのか聞き取りづらくなっているが、それでもゆっくりと距離を詰めていく。

 

「単純に身のまわりのお世話をするって意味で言っただけですので!!」

 

目を閉じて顔を逸らしながら、両手をぶんぶんを振っている。

 

(これ以上は流石にアウトだし、この位にしておこう。全く。押しに弱いのに喧嘩吹っ掛けてくるから…。)

 

「さて、明月さんもベットに到着した事だし、寝るとしますか。早めに休んだ方が怪我も治りそうだしな。」

 

スッと体を離して背を向ける。

 

「え…、澤田さん…?」

 

「ん?どうかしたのか?もう寝るのだろ?」

 

とぼけるように問いかける。

 

「冗談だったのですか…?てっきり本気の顔に見えたので…。」

 

「いやー明月さんの冗談に付き合っただけだけど…、お気に召さなかったか?」

 

ぽかんとした顔でこちらを見てくる。うむ、満足。

 

「はあぁぁぁぁーー……、冗談だったのですか。安心しましたよ…。」

 

心の底から安堵のため息をしている。本気なわけがないだろうが。

 

「急にいやらしい笑みで詰め寄って来るから焦りましたよ…。逃げようにもベットで逃げ場無くなりましたし…。」

 

「お世話になっている恩人にそんなことする訳ないだろう。ちょっとしたジョークだ。」

 

「タチが悪すぎますよ…全く。抵抗しようにも怪我人ですし…。はあぁぁ。」

 

更にこちらに罪悪感を感じている手前、強く出ることも出来なかったことだろう。

 

「そんな事する人に見えたのか?」

 

「そりゃ、澤田さんだって男ですし?、女性と二人きりになったらそんな欲が出てもおかしくありません。怪我を盾に迫って来たらこちらは文句言えませんし…。」

 

「俺がくそ野郎判定されたのは良く分かった。」

 

「ああっ、いえ、あくまで仮定ですから。そんな人では無いと分かってしますから…。」

 

「大丈夫。手を出すことはないから安心してくれ。」

 

「そういわれると何だか女として負けた気がします…。」

 

俺にどうしろと。それに手を出したらもはやNTRになってしまうだろうが。正確にはまだだが…。高嶺昂晴と結ばれる可能性があるヒロインに手を出すとか完全にギルティになる。

 

「明月さんに魅力が無いと言っている意味ではないから。寧ろ魅力があり過ぎてやばいから。魅力お化けだから。」

 

「分かっています。安心できるように言ってくださってる事は。でも、その適当な返事は如何な物かと…。」

 

「違う違う、本当の事。ありすぎて簡潔に言っただけ。語ったら朝までコースになってしまうからそれを避けているだけ。」

 

「ほんとですかぁ?その場しのぎに聞こえるのですが。」

 

「何なら語ってあげようか?その代わり、明月さんが悶えながら止めてくださいと言っても止まらなくなるけど。」

 

「……、やっぱり止めておきます。澤田さんには色々と知られている様な気がして勝て無さそうなので。」

 

(そりゃ当然勝てる訳なかろう。こちとら未来の出来事も把握済みだからな。原作知識最強。)

 

「いやいや、俺が分かっている事なんて微々たる物だから。流石に個人情報とかプライバシーの細かい所までの把握は厳しいし。」

 

「どうだか。先ほども私達が間借りしている場所が階段を上がらないと行けない場所だって知っていましたし?話した憶えは無いと思うのですが…?」

 

こちらをジト目で見てくる。そういえば話していなかった様な気もする。

 

「…それは、この建物の構造から予想を立てたのですよ?一階は喫茶店だから住むとなるなら二階になるだろうと…。」

 

「私達がここに部屋を間借りしている事を知っている事については、どの様な弁解を?」

 

「ああ、うん。そこは簡単。俺や四季さんが帰るのに二人とも毎回店に残っていたからな。今日だって店の奥から出てきてたし、この建物のどこかに寝泊りしているんだろうなって予想は付く。」

 

「もしかしたら戸締りをしていただけかもしれませんよ?」

 

「それなら皆でして店を出るだろ?四季さんが戸締りせず放置していくわけ無いし。それにミカドさんや明月さんを呼びに行くとき、向かう先に迷いが無かったからな。」

 

弁解する必要は果たしてあるのか微妙な所だが、何となく誤魔化しておきたい気分だった。

 

「なんだか予め用意していた模範解答みたいな言い訳ですね、想定済みでしたか?」

 

「聞かれたくないことについては用意しているぐらいかな。そんなに引き出しがある訳ではないぞ?」

 

「そういう事にしておきます…。それと、今日みたいな怪我を負ってしまうやり方はあまりしないでいただけると…。」

 

「そうだな。そこは自分でも反省している。さっきのでも四季さんを確実に家に帰しておけば良かったと今更ながらな。変に付いて来られるより横に置いた方が安全だと考えてしまった。そのせいで怖い目に会わせてしまったからな。」

 

話していると、今家で一人だが大丈夫だろうかと心配になってくる。思い出して眠れなくなったとかなければ良いのだが…。

 

「いえ、私が言いたいのはそこでは無くて…。澤田さんご自身の事を言いたいのです。」

 

「ん?ああ。結果的に怪我を負ってしまったからな。」

 

「怪我についてもですが、……私が言いたい事分かりますか?」

 

試すような目でこちらを見てくる。この流れで言いたい事は大抵決まっているかと思うのだが…。

 

「まぁ…、今の会話の流れからして俺が危険な目に会う事で心配する人が居るって話だろうとは思っているが…?」

 

「確かにそれもあります。澤田さんからすれば大丈夫だと分かっているとは思いますが、知らない身からすると不安に思います。」

 

「他にもあるのか。」

 

「はい。危険な事に自ら進んで行こうとするその考え方を聞いていると…とても心配です。」

 

「自ら進んでいるつもりは無かったが…。」

 

「澤田さんは…未来がわかってしまう分、先回りをしようとする考えが染みついているかと思われます。何か危険があるのなら自分で片付けてしまえば他に影響が出ないだろうと…。」

 

聞いていると何やらよく分からない事を語り始めた。

 

「奇跡の事を広めたくないから内密に事を進めておきたいお気持ちは理解出来ます。けれど…、今回の様な事があれば一言相談して欲しかったです。」

 

申し訳なさそうに目を伏せて言ってくる。いや、そんな神妙な面持ちで言われても…。

 

(そんなつもりは無かったのだが…。そもそも今回のは未来視で見て事前に対処しようとかでは無かったし…。)

 

どうやら明月栞那から見るとそういう風に見えたらしい。

 

「私は勿論。ミカドさんだって何か澤田さんの助けになれないかと思っています。なので可能な限り協力させて欲しいです。でも無理強いはしませんから、澤田さんが良ければでいいので…。」

 

どうやら、今回の一人で犯人を捕まえるのを相談もせずに向かった事が…。ということらしい。

 

(確かに偶然見つけた所はあるが、二人に相談するのもありだったのか?けど、9月28日を迎えていない段階で何かに巻き込まれるのは避けないといけない。)

 

「分かった。今回は偶然って所も強いが、もし今回の様な事があれば2人に連絡をすることにしておく。心配を掛けさせたくないからな。」

 

考えた結果これが出来る譲歩だろう。連絡はするが一緒に行動するわけでは無い。

 

「ありがとうございます。無理はしないで下さいね?澤田さんの身に何かあった時、私達は勿論。澤田さんのご家族にも心配させてしまいますから…。」

 

このお店の人達に心配をさせてしまうならなるべく気を付けた方が良さそうだ。しかし、家族と来たか。

 

「家族ねぇ…。存在していれば良いのだけどな。」

 

思わず小声で呟いてしまう。この世界に居ない事は分かり切っている。それに知人なども誰一人いないと…。数日過ごしただけで分かってしまう。

 

「え…、それはどういう意味でしょうか?」

 

 小声で言ったが、しっかり聞こえていたらしい。目の前なので当然でもあるが。

 

「いや、何でもない。それより、そろそろ寝ないか?時間もそこそこ遅いし。」

 

「……そうですね。今日はもう寝ましょうか。ちょっと待ってってください。今寝床を敷きますから。」

 

無理には聞こうとはせずに会話を終える判断をしてくれた様だ。その辺りの気遣いは流石だと思う。

 

「俺も手伝おう。何か必要だったりする?」

 

「あ、すみません、それではそちら側の両角を持って引っ張って下さい。広げますので。」

 

「了解。」

 

寝る場所を用意し、布団に入る。

 

「私は着替えてきますので先に寝て貰っても大丈夫ですよ。」

 

「睡魔が来たら身を委ねる事にするよ。」

 

「分かりました。それでは行ってきます。」

 

そう言って彼女は寝巻を持ち降りて行った。

 

布団から起き上がり、今日の事を考えながらぼーっとしていると明月栞那が寝巻に着替えて戻って来た。

 

「お待たせしました。それじゃ電気消しますね。」

 

「おっけい。消しても大丈夫。」

 

電気が消えるが、カーテンから多少は光が入ってきている。

 

「それでは澤田さん。おやすみなさい。」

 

「おやすみ。しっかりと寝てくれ。」

 

「横になってませんが、澤田さんは眠らないのですか?」

 

横にならず座っている俺が寝ないのか気になったのだろうか、聞いてくる。

 

「眠たくなったら寝るから先に寝てて構わないぞ。」

 

「寝ている私に何かするつもりですか?」

 

「しないしない。寝込みを襲うつもりなど無いからな。」

 

「ほんとですかー?無防備な姿についムラっと来てしまったりは…?」

 

「分かった分かった。俺も寝るから。」

 

こちらが寝るまで話しかけてきそうな気がしたので先に折れる事にし、横になり目を閉じる。

 

「それでは、今度こそおやすみなさい。」

 

「ああ、また朝に。」

 

就寝の言葉を告げ、寝ることにする。

 

 

眠れないと思っていたが、暫く目を閉じている内に睡魔がやって来たので、それに身を委ねることにした。




屋根裏部屋とか憧れますよね、あの狭さがまた良いんですよ。
部屋の角にクモが巣を張っていましたが…。


次回はミカドさんから裏路地の報告をした後に、四季ナツメと少ししんみりとした会話の回にでも出来たら良いなと考えております。
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