オープニングが終わり、物語再会です。
今回は主人公視点から明月栞那視点に変わります。
(……はっ!?)
明月さんの台詞の後に、オープニングを脳内再生していたら時間が過ぎてしまっていた。
(危ない危ない。)
危うくこのまま出番なしで過ぎてしまうところだった。再度会話に耳を傾けると、ミカドさんが高嶺に奇跡を起こしてしまった事での弊害について説明していた。
(確か、今日は取り敢えず保留にして返事は明日に回すんだよな…。)
「どうでしょうか。私たちに協力してもらえませんか?」
そう問いかけた明月さんに対して高嶺は時間が欲しいと返事を返していた。が、明月さんは少し食い下がり気味にお願いをしてみている。
「栞那。そう急かすことは無い。取り敢えず保留としているのだ。こやつにもじっくり考える時間が必要であろう。」
「……分かりました。すみません変に急かしてしまって。」
「………ところで、貴様はいつになったらこちらに出てくるのだ?澤田達也。」
俺が一向に出てこない事が限界だったのか、強制的に呼び出しを受けた。此方としては完全にタイミングを逃していたから助け舟で助かる。
「いや、なんか話が一段落するの待ってたらどんどん機会を逃してしまって…。」
席を立ち、皆の輪の中に参加する。
「など言っている割にはさっきは何やら笑いを必死に堪えている様に聞こえたが…?楽しんでいただけでは無いのか。」
「それは否定しない。あれを笑うなって無理があるだろ。語尾ウェイするとか実際見た事無かったからな。」
ミカドさんと軽いやり取りをして、女性陣二人を見てから隣に居る高嶺を見て苦笑する。
「前回の食堂以来……で良いのか?こんばんわ。高嶺昂晴さん。」
挨拶をすると俺の事を思い出したのか驚いた顔でこっちを見る。
「あ…、確か食堂で宏人と三人で食事した時の……澤田さんでしたよね。」
「そうそう、その時の人ですよ?あの時はどうもです。まさかこんな所で再会するとは思わなかったけど…。」
驚いた感じの雰囲気を出しながら話すと『何を白々しい…』と言わんばかりの表情でミカドさんがこっちを見ている……が、無視を決める。
「もしかして、澤田さんも四季さんみたいに死神関係で…?」
「澤田さんの場合はナツメさんとはまた別です。彼のは高嶺さんと同じように特殊なケースになります。」
「と言っても、そっちみたいに世界をやり直すみたいなイカレている力は持っていないからな?分類的には……俺は一応人間で良いのか…?」
ミカドさんを見ると更に呆れた顔をしていた。『お前が言うか…』とでも言いたそうだ。
「……未だにはっきりとはしてはいないが、人間よりになるだろう。恐らくな。」
「とまぁ、色々事情があるって事で。ここでは助けて貰った恩を返す為と、四季さんの手伝い的な感じで協力している。こんな感じの自己紹介で良いかな。」
「大丈夫なんじゃない?知らないけど。」
四季さんから適当な返事が返ってくる。
「お互いの自己紹介も終わった事だ、今日はもう帰ると良い。明日大学が終わり次第また店にくると良い。返事はその時で構わん。」
「分かった。一晩考えてみるよ。」
「他の2人も今日は解散としよう。今日は色々あったからな。」
「おっけ、今日は大人しく解散しておくか。」
「了解。それじゃあ私は帰ろうかな。」
「すまんが四季ナツメは残ってくれ、少し話しておきたい事があるのでな。時間は大丈夫か?」
「私に?別に大丈夫だけど…。」
何やら四季さんと話すことがあるらしい。恐らく魂の件だと思うが…。
「じゃあ三人とも、また明日。」
明月さん達に別れを告げ、高嶺と一緒に店を出る。
「さてと…。高嶺さんは家どっち?送っていくよ。」
「え?いえ、大丈夫ですよ。わざわざ悪いですし。」
「遠慮しなくて大丈夫。、また今日みたいな変な事が起きないか念の為に同行するってのと、ちょっと今日聞いた話の感想を聞いておきたいなと思ってさ。」
「そういうことですか……分かりました。家はこっち方面です。」
残念なことに指された方面は家とは逆側だった。別に気にしないけど。
少し歩いた後、今日の事を聞いてみる。
「今日の明月さんの話聞いてどう思った?」
どう切り出そうか少し考えたが、遠回りするのも面倒なので率直に聞いてみる。
「……正直未だに信じ切れてないです。デジャブや夢では無いことは分かったんですが、内容が内容なだけ荒唐無稽過ぎて、頭の整理が追い付いていないというか…。」
まだ整理が出来ておらず、困ったような声ででゆっくりと話す。
「確かに死神やケット・シーとか急に言われても困るしなぁ…」
「澤田さんの場合はどうだったのですか?自分と似たようなケースなんですよね?」
「ええっと、色々説明するのが大変なので詳しくは明月さんに聞いて欲しいのだけど…、自分の場合は、一度死んで、生まれ変わったって感じですかね。生まれ変わる際に本当なら赤ん坊としてまた最初からになるのが普通なんだけど、どうしてか今のこの身体の状態で生まれ変わってしまったらしい。今までに無いケースだから、要監視中って所。」
「え、、生まれ変わった?転生…とか、そんな感じなんですか?」
「そんな感じ、最近流行っている転生物を実体験したって訳になる。この身体も人間ではなくて、蝶……さっきみた青い蝶で作られているらしい。」
「え…?さっきのあの蝶ですか?澤田さんの体を…。」
「すまない。更に混乱させてしまう情報を与えてしまって…、そこは気にしないで一先ずは自分に起きた現状を受け入れるのが先だな。何か気になった事とか知りたい事があれば遠慮なく聞いてきて欲しい。連絡先は前に交換したのがあるはずだから。」
「分かりました。すみませんがその時はお願いします。」
「気にしないで大丈夫。戸惑っている気持ちは嫌な程理解できるし、こちらとしても出来れば俺以外の男仲間が欲しいと思っていたから。」
似た境遇の同性が居るだけでも気持ち的に楽になるだろうしな。
「あ、俺の家此方なので……もう大丈夫です。」
暫く話している内にどうやら到着してしまった様だ。
「ではここまでという事に。」
「今日はありがとうございました。明日までじっくり考えておこうかと思います。」
「了解。また明日お店で待ってる。」
こちらに一礼し高嶺は建物に向かって行く。此方も背を向けようとして足を止める。振り返り中に入って行こうとする背中に声を掛ける。
「最後に一つだけ、言っておきたい事が……。」
声を掛けられたことに気づき、此方を見る。
「あのお店は確かに普通の条件のバイトとは違う。まだ開けてすらいないし本当を言えば躓いている状態にある。オープニングスタッフと言えば聞こえは良いが恐らく働けば相応の労働が発生する。」
「そんなお店で働く事が自分には出来るのか?荷が重いのではないのか?そんな理由で躊躇してしまうのなら尻込みしないでくれ。」
「確かに不安な所はあるかもしれないが、そこはお店のみんなでお互いに乗り切れるから自分自身の事は第一に考えてほしい。今はあくまで執行猶予中であり許された訳ではない。いつ何が起きるかミカドさんでも予想は付かない、そうならない為にも明月さんとミカドさんはその手助けをしたいと本気で思っている。勿論俺も。だから迷惑を掛けてしまうとかそんな事気にしないでくれ。寧ろ頼ってほしい位だ。」
高嶺の目を見て堂々と告げる。誠意を見せるためにもここで目を逸らしては男が廃る。
「……ありがとうございます。どうしようかまだ迷っていますが、前向きに考えてみようかと思います。」
「明日の返事を楽しみにしておくよ。じゃあ今度こそまた明日。」
手を振る俺に軽く頭を下げ、今度こそ建物の中に消えていった。
高嶺の家を知るという目的も達成できた。他に用も無い、大人しく来た道を戻る事にした。
「どうしようか。念のために一旦お店に戻ろうか…?もしかしたら何か聞きたい事があるのかもしれない。」
道中ついでに顔でも覗かせようかと思いながら、帰路に付くことにした。
カラン。と音を立て扉が閉まる。今しがたナツメさんがお店を出て行った音だった。お店の中にミカドさんと二人のみになる。
「ナツメさん、大丈夫でしょうか……。気を落としてなければ良いのですが。」
「死んだことと世界がやり直された事に関しては驚いていたが…、魂の一部が零れ落ちた事に関してはそこまで動揺は見られなかった様に見えたな。」
ミカドさんの言う通り。前者に関しては驚いたり何度か質問はありましたが……、後者に関しては話を聞いていく内に納得している様に見えました。
「蝶々が零れ落ちた理由を何となく察している…という事でしょうか?」
「恐らくな。生きることに前向きではないのは自分がよく理解出来ているのだろう。」
そう言ってミカドさんは腰に掛けているランタンを見る。見るからに元気は無く弱々しい動きです。蝶の元気が無いって事は……つまりそういうことなのでしょう。
「ナツメさん…。」
不安になり、つい名前が口から零れる。
「心配するな。そうならない為に吾輩達が居るのであろう。それに…こちらには強力な助っ人が居るからな。」
心配させない様に不敵な笑みでこちらを見る。
「ふふ、そうですね。あまり頼り過ぎない様に私も頑張る事にします。」
「だが……澤田達也。奴には大きな重荷を背負わせてしまう事になってしまったな。」
「はい、高嶺さんの件もそうなのですが、ナツメさんの件…此方の方が澤田さんは重く受け止めている様に見えます。」
「奴は、知ってて見捨てた、そう言っていたな。自分の罪と言わんばかりの顔であったが。」
あの時の澤田さんは何か覚悟を決めた様な目をしていました。あの目は一体何に対する覚悟だったのでしょうか?一度目の世界で死んでしまったナツメさんに対する罪……は言い過ぎですが責任を負う覚悟?それともこれから先の未来でナツメさんに起こりえる何かに対しての……?
「あやつに問い詰めたのはやりすぎだったかもしれないな……知っていてそれを見逃したのは、それなりの理由があった事は少し考えれば分かる事だった。事態の大きさに冷静では無かった、反省せねば。」
「せめて、一言相談が欲しかったです。理由を話せば私達だって納得は……出来たか保証はしかねますが、一人で背負い込むなんて。」
「考え抜いて出した奴なりの答えだったのだろう。可能性を少しでも無くすために…な。」
「澤田さんは、平気なのでしょうか。ご自分の事だけでも大変なのに、私達の事まで……。」
彼の言った事が正しければ、私たちとは異なる世界。同じ日本でもそれは見た目だけで家族はおろか知人などもおらず、この世界でたった一人の存在って事になります。蝶で出来た体に転生し、言葉通り身体一つで生きていく事になってしまい不安で一杯だったはず。此方の事情で行動を共にし、結果的に澤田さんはまともな生活を手に入れる事は出来ましたが……。果たしてそれは彼にとって正しい事だったのでしょうか。前の世界で散々嫌な目に合った原因の力を使わせてしまってしますし……、澤田さんは大丈夫だとは言っておりましたが、あれは私達に気を遣った言葉だとしたら…。
「私たちは……澤田さんを巻き込んで良かったのでしょうか……?」
死神などと関係を持たず、奇跡などとは無縁な生活を本当は望まれているのではないか?その様な考えが頭に思い浮かぶ。
「今更言ってもしょうがない。もう巻き込んでしまったのだからな。それに、協力は奴が望んだ事だ。少なくともあやつは後悔はしておるまい。」
「だと良いのですが…。」
「寧ろ自ら積極的に関わろうとしている様に吾輩は見えるがな。」
「確かにそうですが…それは必要だからとか?先読み出来るのですから今の内に手を打つ必要が出て来たとかありそうですが。正直、澤田さん若干一歩引いている様な感じがしますし……何となくですけど。」
「吾輩はそうは思えなかったが……まだ親しく無いからではないのか?」
「一ヶ月も知り合って距離置かれていたらなんだか悲しくなってくるのですがそれは……。」
「それもそうだな。つまりはわざとそうしているという事になるのか。」
「私の気のせいかもしれませんが…落差がある時が多くて掴めきれないと言いますか……。」
このことについては前々から感じていた。壁を作っている…とまでは行かないが距離を空けていると感じる時もあれば、お構いなしにぐいぐい来るときや謎のノリやボケをなどの悪ふざけをしてくる。単に人との接し方のコントロールが上手くないのかと考えたがそれも違うように思える。
「もしかすると、吾輩達に悟られない様にする為にわざと振る舞っているのかもしれないな。いや、その様に接するのも必要な事なのか…?」
「ミカドさん?」
「いや、何でもない。今考えても仕方ない事だな。結局吾輩達に出来ることは特に変わるまい。今後も奴を注意深く見ておく事だ。これからは高嶺昂晴も追加されるがな。」
「……分かりました。高嶺さんについては返事は一旦保留をなっていますが。」
「そう心配するな。この瞬間決まる事では無い。少なくとも明日の返事までは平気であろう。何かあるのなら澤田達也が放っておくまい。」
「そうですね。その本人は高嶺さんと帰られましたが、何か要件があったのでしょうか。」
「高嶺昂晴が働くために動いているとみて良いだろう。吾輩の予想が正しければ……また店に戻ってくるはずだ。」
「帰り道の道中ですし可能性はありそうですね。」
高嶺さんの家とお店の道のりを考えてそろそろ来てもおかしくは無いと思うのですが…。
「……と噂をしてたら来たようだな。」
ミカドさんの言葉と同時にお店の扉が開き、カランと音を立てる。このタイミングで来る人は1人しか居ません。澤田さんは店の中を見渡してからこちらを見る。
「想像通り、2人だけかー。その様子だと俺の話でもしていた?」
「貴様が高嶺昂晴を送っていった事を少しな。」
「ちゃんと無事送り届けたから大丈夫。まだ現状を把握しきれていないから困惑気味ではあったけど。」
「それなら返事を明日まで待って正解だったようだな。」
「俺と違って向こうは知識ゼロから聞かされたから頭が追いつかないだろうし正解だと思う。明日には答えを出すって返事は貰えているし。」
「一緒に働いていただけるのでしょうか…?」
今日聞いた感じですとあまり前向きではありませんでした。明日には良い返事がもらえる様には思えませんが…。
「そこは明月さんの色仕掛けに期待するしかないかな?」
「期待が重すぎますよ…。澤田さんの方でも何かしていただけるのでしょう?」
「俺の方はあくまで最終手段という事で。あまり使いたくないと個人的に思っているからさ。」
澤田さんは少し嫌な顔をし目を逸らす。一体どのような事をしようと考えておられるのでしょうか。
「一体貴様は何をしようとしているのだ?」
私が気になった事をミカドさんの口から出る。
「すまないが、話したくない。」
「それほどの事なのか。」
「ああ…。話すと色々とまずいから……主に俺の……とか………いかないし。」
最後の方はあまり聞き取れませんでしたが、よほどの事なのだと表情から察せれる。これ以上は追及しない方が良いのでしょうか。
「……分かった。無理に聞くことは止めておこう。」
何やら納得したようにミカドさんは返事をする。私には聞こえませんでしたがミカドさんは聞こえたのでしょう。
「助かる…。それと理由については謝ることしか出来ない。」
「何、気にするな。結局吾輩らでどうにか出来ればそれを使わずに済むのであろう?」
「そうなる。その為にさっき見送ったり、事前に大学に行ったりしたからな。」
あの日、澤田さんが大学に行っていたのは高嶺さんと事前に知り合う為でしたか。ナツメさん関連かと考えてしましたが…。
「なら無理に話さなくても良い。それに頼ることなく終えれば良いのだからな。」
ミカドさんはそう言ってこの話を打ち切る。確かに私だけで解決出来ればそれが最善ですが、念を入れていた方が良いと思うのですが…。
その後、明日の予定や、今日の事を少し話してから澤田さんは帰って行きました。
「ミカドさん、先ほどの澤田さんが話せないと仰っていた手段、あれ聞かなくても良かったのですか?」
気になったままでしたのでミカドさんに問いかけてみる。
「ああ、話したくは無さそうだったしな。それに…独り言のつもりであったかもしれないが、聞き捨てられん台詞があったのでな。」
「聞き捨てられない台詞……ですか?」
恐らく私が聞き取れなかった部分の事を言っているのでしょう。
「色々話すとまずいから。そう言った後、小さく『主に俺の命とか危機になるし、明月さんや四季さんに知られるわけにいかないし』と言っていた。」
「え……それって。」
「前にも似た事を言っていたからな。どうしても教えられない部分なのかもしれん。」
確かに以前、私たちや死神の事を知っている理由を聞いた際にも同じことを言っていた気がします……澤田さんの命の危機に接してしますかもしれないレベルの事をする必要が出てくる…という事になるのでしょうか。私やナツメさんに知られると心配されて止められるかもしれない為話すのを躊躇っている。
「一体どんな事をするつもりで…。」
「それに関しては予想は付かないが、奴は以前高嶺昂晴を勧誘する手段として吾輩に催眠術……洗脳紛いの方法で取り込めないかと相談してきた事があった位だ、あやつにとって催眠程度で済ましたいと思える手段なのかもしれん。」
「洗脳…ですか……?」
「勿論吾輩にその様な力は無いから断ったがな。」
人の精神を支配してしまう力を、その程度として扱うとなれば……澤田さんの手段はそれより少なくとも上を行く方法となる訳で……、人として扱って良い力の範囲を大きく超えてしまう事になります。いえ、そもそも人間である以上、奇跡などを使えるのはおかしいのですが。
「その様な力を使わす訳にも行かないからな。吾輩達で解決可能ならそれに越したことは無い。」
「そうですね…。なるべく澤田さんに負担を背負わせたくないですし、私の方で何とか出来るように頑張ってみます。」
とは言ったが、最悪高嶺さんに色仕掛け的な事をする必要が出てくるわけで……その様な経験はありませんし上手くいく気がしません……。
「………うーむ。」
高嶺さんが喜びそうなことですか…。男性ですし……。や、や、やっぱりっ、むっ、むねとか押し当てたりでしょうか!?大胆に腕を組んで上目遣いとかして……?それから…それから、耳元で甘く囁いたりしてお願いを…?で、出来るのでしょうか?私に…。いえ、やる必要が出てくるかもしれませんし…。覚悟はしておきませんと…。
「………っ!我ながら…なんて破廉恥な事を……。」
「ん?どうしたのだ?」
もしそれでも彼が頷いてくれない場合は……昨日ナツメさんが仰っていたような…お、お筆をっ!おろして、差し上げることも必要に!?なるかもしれないのでしょうか……。しかしっ!高嶺さんは急にその様な事を言われても怖気づいてしまうと…。それはつまり急じゃなければ大丈夫だという事であり……。望まれるかもしれない可能性がなきにしもあらず…的なーー
「……筆おろし…ですか。」
「おい。」
「死神として必要なら、致し方ないとして割り切って……私がっ!」
「おい栞那。」
「やっぱり無理ですっ!!そんなのエロティックすぎますよぉ!」
「貴様は大声で何をいっているのだっ!静かにせんか。」
「す、すみません……少し明日の事を考えていると……うぅ…。」
駄目です、私には荷が重すぎます。明日澤田さんに他に方法が無いか相談しなければ……!
顔が熱くなってしまい、手で熱を逃がすように頬に当てる。
「急に叫び出したかと思えば……、大方くだらない事でも考えていたのだろう。」
「くだらなくありませんよ…こっちは真剣に考えています……はぁぁ。」
呆れた様な表情でこちらを見て来るが、本人は至って真面目なのだ。
「今日は明日に備えてもう寝るぞ。いつまでもお前の妄想に付き合ってられんからな。」
「……分かりましたぁ。と言っても寝れる気がしませんが……。」
明日の事を考えるととても眠れる気はしないが、横になるだけでもましだろうと思い部屋に向かう。考えない様にしようとするほど考えてしまい、眠れるのはいつになるか分からず、ため息を吐きつつ階段を上って行くのであった。
男ならそんな勧誘をされれば即座にOKを出すと思います。※異論は認めない。
明月栞那にされたらたとえ怪しいお店でも付いていく自信しかありません。
次回は高嶺が再度お店にきます。勧誘の返事ですね。GW中に上げれれば良いのですが…(休みがあれば)