休憩中の四季さんの元へ主人公が向かいます。さながら死地へと赴く兵士の様に…。
書きたい事がそこそこあり、話がサクサクと進んでいない気がしています…。でも書きたいので詰め込もうかと思います。長くグダグダとしてしまうかもしれませんが、今後もお付き合いをよろしくお願いします。。
気まずい空気から現実逃避をしていると、コーヒーを飲み終えた大家さんが店を出て行った。話し掛ける雰囲気でも無かった為、考えごとしている振りなどをしていたのだが、その間、なぜか分からんが明月さんがめっちゃこっちを見ていた。俺……なにかしたっけ?と途中から考えてみたが全く身に覚えが無い。
多分……大家さんが来ることを黙っていたからだろうか?来るのが分かっていたなら先に連絡しろや。てめぇ、おい。とか?まぁ若干眉間にしわが寄っていたからマイナス方向な事なのだろうとは思うが。
睨まれた原因を考えていると店の中に蝶が飛んでいた。状況的に大家さんから出たと思われる。
「栞那。」
「はい。」
明月さんから振るわれた鎌で蝶は溶けていくように消えていった。相変わらず振る速度が頭おかしいと思うのは俺だけだろうか。あのサイズを目にも止まらぬ速さで振り抜き、しかも綺麗に蝶の中心を捉えて切っている。
「それで……今の人は誰だったんだ?聞ける空気じゃなかったけど。」
事情をまだ聞いていない高嶺から当然の疑問が出てくる。
「今の人はこのお店の大家さん。ここをオープンさせる為にはまずあの人の許可が必要になるの。」
「それで接客をしていたのか。」
「そう言う事。大家さんが納得してもらえたらその許可が下りる約束なんだけど……。」
「さっき見た感じだとかなり難しそうな雰囲気だったな。」
「もう何度も足を運んでもらってるんだけどね……。未だに満足してもらえない。」
「因みにさっき言っていた月末って言うのは……。」
「一時的に借りていられる期間のこと。本来だったら夏までの約束だったんだけど、10月末まで延ばしてもらっている。」
「けどまだ許可は下りていない、ということか。」
「残念ながら、そういうこと。」
「ごめん、私、奥で休憩してきてもいい?」
「あ、はい。分かりました。」
「了解、おつかれ。後は適当に進めておくからゆっくりしておいてくれ。」
「ありがとう。それじゃあ、よろしく。」
一言断りを入れてから四季さんは奥へと消えていった。若干落ち込んでいるな…あの様子は。仕方ないけど。
「ナツメさん、大丈夫でしょうか。落ち込んでいるご様子でしたが……。」
「まぁ、大丈夫だ。少ししたら元通りになるはず。」
「そうだと良いのですが……。今回も満足していただけなかったので。」
「それは味の問題では無いのだろうな。前回の俺の時の紅茶は美味しいと驚いてくれていたしな。」
「別に何も意地悪で許可を出さないわけでは無いのだよな?」
「寧ろ逆で四季さんを心配であるがゆえに出していないと思う。大家さんも過去にそういった経験があるからこそ、学生の四季さんには厳しいと考えている感じだな。」
「味以外か……。メニューとか?」
「それも含めて色々だろうなぁ…。以前は何を食べてもらったんだっけ?」
分かり切った答えだが、流れ的にここは明月さんに聞くべきだと思い話を振る。
「そうですね…以前は私が作ったオムライスを食べてもらいましたよ?」
「あと四季ナツメが淹れた紅茶もな。」
「一応、どっちも味の確認をしておきたいのだけど……、因みに、お前は何をする予定なんだ?」
名前の出ていないミカドさんが何が出来るのか気になるらしい。
「ドリンクの対応だな。コーヒーと紅茶の淹れ方くらいは覚えたぞ?」
「そ、そうか……。」
猫の姿でどうやって作業をするのか不思議で仕方ないのだろう。分かるぞ、それ。
「高嶺さん。ミカドさんはこの姿でお店に居るだけで十分なんだよ。」
「ん?どういうこと?」
「今のこのお店の雰囲気というかイメージは純喫茶。内装とかもそれに寄せていると思う。そこにミカドさんみたいな、ザ・執事っ!って人が居たら雰囲気作りとしては最高だと思う。しかもモノクルまでしているしさ。マダム達に絶賛されること間違いなしだ。」
「マスコットか何かなのか……。」
実際に猫だし、そりゃマスコットよ。
「それで、どうします?」
明月さんが紅茶かオムライスかできいてくる。さて、ここは確か選択肢が出て来た場面だな。
「四季さんは今休憩中だし、取りあえずは明月さんのオムライスで良いのでは?紅茶は食後で……とかでどうだろうか。」
どの道、どっちも味わう事になるのだが、先に選んだ方のイベントが発生したはず。
「確かにそうかも。じゃあ取りあえずオムライスの味の確認をさせて欲しい。」
「分かりました。任せてください。」
若干嬉しそうな声で返事をする。
「ミカドさん。ちょっと試作品を作ってきますね?」
「ああ。分かった。」
「さっそくキッチンの方へ移動しましょうか。あ、澤田さんはどうされますか?」
「俺はいいかな。待望のオムライスを二人で楽しんでくれ。」
この後まで一緒に居ると色々考えてしまうからな。口から砂糖を吐きそうになると同時に、目から塩分が出てくる羽目になりそうだ。
「っ。……ありがとうございます。それでは高嶺さん、キッチンへ行きましょうか。」
手を振りながら厨房へ消えていく二人を見送る。すると横に居たミカドさんから声を掛けられる。
「それで?貴様は今から何をするつもりだ?」
「そうだなぁ……こっちはもう大丈夫そうだし、四季さんの様子でも見てこようかな。いらん心配かもしれないけど。」
「多少は落ち込んでいるだろう。励ましてくるといい。」
「いや~、正直、行くと例の件で捕まりそうだから怖いんだよな……、さっきは運よく大家さんが来て難を逃れたけどさ。今行くと逃げられないじゃん?個室だし。」
「貴様の場合は自業自得だ。大人しく制裁を受けてこい。」
「だよな……、はぁ。俺も落ち込んできたわ。」
「安心しろ。骨は拾ってやる。」
「いや、死んでるだろそれ。意味ないじゃん。」
ここで時間を潰すのもありだが……、面倒ごとは早めに片を付けるに限る。全部俺が悪いのだけれど。最悪、最終兵器を使って有耶無耶にしてしまおう。
「そんじゃ、行ってくる。何かあったら呼んでくれ。」
厨房から聞こえる包丁の音を背に、奥の部屋へと歩を進めて行った。
ー完ー
という風に場転して1日が終われば気が楽なのだが現実は無情だった。
「入るけど大丈夫か?」
部屋の前に立ち、念のために扉をノックする。問題ないと分かっているが万が一があるかもしれないしな。
「澤田君?うん。大丈夫だけど。」
中に居る四季さんから許可が出たのでドアを開き中に入る。
「どうしたの?」
「いや、四季さんの様子が気になったから見に来ただけ。落ち込んでないかと思ってさ。」
見た感じだとやはりそこまで落ち込んでない様子だ。多少ダメージは受けているのは分かるが。
「ご心配どうも。でも平気。それより向こうは大丈夫なの?」
「向こうは明月さんに任せて来たから大丈夫。今はオムライスの試食するって事で二人仲良く厨房に居る。」
「そ。問題無いならいいけど。」
「紅茶も試したいとか言ってたから後で食後の紅茶を淹れてやってくれ。」
「私の?それはいいけど……。」
「いいけど?」
何か引っかかる事でもあるのか?
「いや、澤田君は淹れないのかなって。」
「ん?ああ、俺?残念ながら……、それは無いな。」
「え、どうして?」
「男が淹れるより女の子が淹れる紅茶の方が高嶺も美味しく感じるだろ?」
「いや、さも、当たり前みたいな顔されても困るんだけど……。」
常識的な事を話したつもりだが、どうやら理解は得れない様子。
「女の子にオムライスを作ってもらう。しかもそれにはケチャップでLOVEの文字。おまけにハート付きだ。更にはそれを直接食べさせてくれる。俗に言う“あーん”という奴だ。男なら誰しもが一度は憧れる展開。そんな幸せ一杯の時に食後の紅茶を男が淹れたとなると……、これまでの気持ちが冷めるに違いない……。」
「は?そんなメイド喫茶みたいなことするわけないでしょう?幸せなのは頭の中だけにしてくれる?」
少し怒りながらも呆れの方が勝っている声で否定をしてくる。
「明月さんならすると思うのだが?」
「………。確かになんか想像出来る……かも?」
「ま、この店はそんな店を目指して無いから意味ないんだけどな。」
「そもそも、今のは澤田君の妄想でしょ?恋人でもないのにしないと思うけど。」
「どうかな。答え合わせは戻って確認すると良い。」
「なんでそんなに自信ありげなの……。」
正解する自信しかないからな。
「何はともあれ、平気なら良かった。」
「ありがと。もう少ししたら私も戻るから。」
退出の催促をされた気がしたが……残念ながらまだやる事があるからな。
「……?どうしたの。」
部屋から出ない俺に不思議に思ったのか、声を掛けてくる。
「いや、さっきは有耶無耶になってしまったが、話がまだ終わって無かったからな…。」
「へー。何も言わずに出ていくかと思ったのだけど、話を付ける気はあるのね。」
「逃げ切れるとは思って無い。また問い詰められたら終わりだしな。」
「それじゃあ、さっきの続きだけど。どうして澤田君は昨日の事を知っているの?やっぱり高嶺君が話した?」
「いや、それはない。ちゃんと高嶺は昨日の事を話して無いと言い切れる。」
「なら、どうして?」
「あー、それは……。」
「……あまり蒸し返したくはないけど、昨日この部屋に居たのは高嶺君だけだし、その時、明月さんと澤田君はフロアに居た筈だけど?」
「まぁ、確かにそうだな。その辺りに明月さんが高嶺に被せていたマントを探し始めたと思う。」
「………まさか、盗撮?」
「いやまて、それは無い。んなことしていない。」
「でもそのくらいしかありえないと思うのだけど?盗撮魔さん?」
質問に答えない俺に新たな称号が付いてしまったようだ。でもなぁ……。真剣に話すのが馬鹿らしいというか、前に軽く話した時はスルーだったし……。信じてくれるとは思えないな。
「反論が無いって事はそう言う事なの?」
「反論っていうか……。はぁ……分かった、正直に話す。」
これ以上、誤魔化して今後変に疑われたくは無い。四季さんからの信頼はなるべく保っておきたい。既に無いかもしれんが。
椅子に座っている四季さんの斜め前に座る。
「正直に話す。一応これから話すことは全部真実。本当の事になるのだが……。」
「だが?」
「無茶苦茶な事を言うって自覚があるから信じてもえない気がしてさ……。」
「まずは話を聞かないと始まらないでしょ。私が信じるかどうかはそれから。」
そりゃそうだがな。
「おっけい。じゃあ話していくぞ?」
正直騙す様で気が引けるが……。嘘では無いからな。
「まずは…、昨日この部屋で何が起きていたか知っている。奇跡を起こした高嶺の魂を明月さんが削った後、高嶺はここで意識を失っていて、運悪くそこで着替えていた四季さんの着替えの最中に起きてしまった……。という流れであることが。」
話してく内に四季さんの表情がどんどん険しくなっている。が、一応最後まで聞こうと口は出さないでくれるらしい。いつ爆発するか分からないので恐怖しかない。
「これだけは言っておきたいが、俺もその場に居たとか覗いて居たとかではない。勿論、盗撮とかの犯罪行為も。」
「じゃあどうやって知ったんだ?って部分に対しても回答なんだが……。」
前を向き、四季さんの目を真っ直ぐに見る。俺は真剣だぞ!と意志を込めて見つめる。
「実は、だな。俺は特定の人物の未来を見ることが出来るんだ……。」
「………は?」
真剣な顔で答えると、こいつ何言ってんだ?と顔にありありと出ていた。うん。やっぱりそうだよね。
「はぁ。真面目に聞いた私が馬鹿だった。ふざけないで正直に答えてくれる?」
「ま、まてっ、本気だ。嘘では無い。誤魔化そうとか、ふざけて冗談を言ってるわけじゃない。」
「何を言い出すかと思ったら……いい訳ならもっとましな事を言って貰える?それとも……現実味が無さ過ぎて逆に信じてもらう作戦?」
「違う違うっ。そんなつもり無い。」
「じゃあ澤田君が未来を見れるとかふざけた事がほんとの証拠は?」
やっぱり証拠を求めるよな…。予想通りだけど。
「四季さんが納得できる証拠を示せば良いのか?」
「そうね。出来ればの話だけど。」
それなら簡単ではあるが……、今直ぐなら……、フロアに居る二人の経過でも話せば多少は証拠としてなるのか?
「分かった。それじゃあさっそくだけど……、今から言うぞ?」
「ええ、どうぞ。」
「今、フロアでは明月さんが作ったオムライスを高嶺が食べている。正確には明月さんに食べさせてもらっているけど。」
「それは澤田君の頭の中での話なんじゃないの?」
「残念ながら違う。さっき言ったのは実は先に起こる事を言っていただけだ。」
「なに、それじゃあ、今頃向こうでは澤田君が言ってたみたいに明月さんがオムライスにLOVEって書いてそれを高嶺君に食べさせているって言いたいの?」
「そうだな。詳細を言うなら……、最初は自分で食べていたが、“LOVE”とか“あーん”が流行っているのかとか明月さんが言い始めて試しにしてみようって流れだな。高嶺がケチャップの文字を伸ばして食べる派じゃないのなら残ってると思うが。」
「それじゃ、今言った事がほんとかどうか……さっそく確かめにいきましょうか。」
真実かどうか確かめる為に四季さんが席を立つ。
「了解。」
時間的に大丈夫だとは思うが……、タイミング悪かったら嫌だな。
四季さんの後に続き、席を立ち部屋を出る。
フロアに出ると良い匂いがする。席を見ると、丁度明月さんが高嶺に食べさせているところだった。ナイスタイミング。完璧だよ全く。
「………」
四季さんはその様子を呆れ顔で見ていた。
「………食べているところをガン見されると恥ずかしいんだが。」
「明月さんに食べさせてもらっている、の間違いじゃなくて?」
「ナ、ナツメさんっ!?いつからそこに……!?」
新婚プレイを見られている事に気づき、驚愕の表情でこっちを見る。
「二人が新婚ごっこで“あーん”をしていたあたりから?」
「そんなプレイを楽しんでいた訳では……ないんですけど。私はただ、オムライスの味を高嶺さんに確認してもらっていただけで……。」
「味見に“あーん”は必要ないと思うけど。」
「うぐっ、それは……、そうかも、しれませんけど。」
正論を返され、明月さんは言葉に詰まる。その様子を見てから四季さんはオムライスに視線を落とす。
「これも明月さんが書いたの?」
四季さんが視線を向ける先にはケチャップで“LOVE”と書かれていた。きちんとハートのおまけつきである。よく見ると“O”の部分もハートマークだ。
「うっ……は、はい。その通り……です。私が、書きました。」
自白するように、言葉を絞り出し答えている。
「………仕込み済み?事前に話し合っていたとか。」
「今の明月さんのリアクションが物語っているだろ?仕込みじゃない。」
「……?何の話ですか?」
明月さんは話が分からす、不思議そうにこちらを見ている。
「ねぇ、明月さん。今から言う事が当たっているか、確認して欲しいのだけどいい?。」
「ええっと、何をでしょうか……?」
「明月さんはオムライスを作り、それにケチャップで“LOVE”と書いた。更にメイド喫茶で流行っているとかの確認で試しに高嶺君に“あーん”をした。」
「ど、どどしてそれを……っ!?」
話を聞いていく内に、再度驚愕している。何かに気づいたのか、ハッとなり俺を見てくる。
「さ、澤田さん。まさか……!?」
「すまん。詳しくは後で説明する。四季さんに納得して貰うための試しに使った。」
「わ、分かりました。後で詳細を聞かせてください……。」
自分がしていた事を改めて人に指摘をされたからか、恥ずかしそうに目を逸らす。
「これで多少は納得出来そうか?」
「うーん、明月さんの表情を見る感じでは確かに仕込みとかでは無さそうに見えるけど……。」
少しは信憑性が出てきたが、まだまだ納得は出来ない様だ。
「まぁ、一度だけで信じろって言うのは無理があるからな。今後も何度か試してみてくれ。信じるかの判断はそのときにでも。」
「………、そうね。これから何度か試させてもらうことにしようかな。自称占い師さん。」
「また変な称号が出て来たな。」
「でも占いが趣味なんでしょ?お似合いだとおもうのだけど?」
そういえばそんな設定で話していたな。それでか。
「否定はしない。犯罪者よりかはましだしな。」
何とか執行猶予付きで生き延びる事が出来そうだ。極刑を避けれた事を後で祝おう。
「それじゃあ四季さん、紅茶を淹れてもらっても良いか?オムライスの食後に飲んでもらう事にしよう。」
「………分かった。準備する。」
お前は淹れねぇのかよ?と一瞬こっちを見たが、黙って準備に取り掛かってくれた。いやね?他の人にも四季さんのを味見してもらう事で味がどうなのか確認にもなるし、自信にも繋がるぞ?
高嶺が言う答えは分かっているが、実際に言われるのは大事な事だと思うし、実際に美味しいから。
無事、記憶か首ごとかの選択にならずに済みました。
原作をしたときは、最初の選択肢がこれかよっ!?って楽しませていただいた記憶があります。(※首ごと差し出すを選択した)
次回は明月栞那視点で行こうかと思います。文字が多くなければミカドさん視点と、主人公視点も追加するかもしれません。
それと、誤字報告をして下さる方、毎度ありがとうございます。
一応見直して投稿をしているのですが、節穴だったみたいです。出来れば今後もご助力願います。