喫茶ステラ ―異邦人と蝶の残滓―   作:コクーン√

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主人公と挨拶を交わす場面からスタートです。



第39話:眩しさ

 

「初めまして、澤田達也です。」

 

「は、初めまして、火打谷愛衣って言います。」

 

その後、高嶺に連れられてフロアまで出てきた。席には火打谷さんが既に座っており、俺の事を見るや驚いた表情をしていた。どうやら昨日で完璧に顔を記憶されてしまったらしい。もしかしたら夜で顔までは分からなかった事を期待したが崩れ去った。

 

が、こっちは覚えていないという体で行くことにした。

 

「話は四季さんから大体聞いている。オープン出来るように頑張るつもり、これから宜しく。」

 

「あ、はいっ。こちらこそよろしくお願いします。」

 

「彼はさっきまで居た明月さんって人が連れて来た人なの。」

 

俺の自己紹介に四季さんが補足を入れてくれる。

 

「そうだな、明月さんに色々と世話になっているからその恩を返したいって事で協力している。純粋に四季さんの手助けをしたいって気持ちも勿論あるけど。一応過去に喫茶店とかでのバイト経験はあるから多少は力になれると思う。」

 

「明月さん……さっき私と入れ違いで出ていかれた人ですね?」

 

「そうそう、金髪の美人さんだな。今日は戻って来るのは遅くなる可能性が高いから明日改めて紹介しておこう。」

 

「了解です。ええっと、達也先輩で大丈夫ですか?」

 

「好きに呼んで大丈夫、火打谷さん……で良いのか?」

 

「はい、何なら愛衣でも大丈夫ですよ?言い辛いと思うので。」

 

「愛衣か、確かに二文字で楽だけど……。」

 

下の名前で呼ぶのは抵抗感あるんだよなぁ……。微妙に呼ぶ時に気を遣ってしまう。

 

「折角だけど、火打谷さんって呼ぶことにする。」

 

「わかりました。」

 

俺が来るまでで何処まで話を進めているのかを確認するために隣の二人を見ると、驚いた様な…意外そうな顔をしていた。

 

「ん?どうしたんだ、2人揃ってその顔は。」

 

「いや、澤田君は名前呼んでもどもらなかったっと思って……。」

 

「言い慣れているのか?そういう知り合いが居たりするのか……?」

 

特に驚いている高嶺の顔を見て察した……というか思い出したが正しい。そえば名前で呼んだ時、高嶺はどもっていたな。

 

「まぁ、多少は意識する、というか気を遣ってしまうが……そこまで抵抗は無いな。」

 

何なら呼び慣れているしな……勿論、画面越しで。

 

「それは火打谷さんだからか?四季さんでも一緒なのか?」

 

「え、私?」

 

後輩だから抵抗低いってのもあるが……てか四季さんも年下だし変わらんか。原作目線だからか、なぜか同じ歳と認識してしまう自分が居る。

 

「一緒だと思うが……なんなら明月さんもいける。流石にミカドさんは無理だけど。」

 

「参考までに、一回……呼んでみてくれないか?」

 

「え?名前をか?」

 

高嶺からのまさかのお願いに思わず聞き返す。

 

「ああ。」

 

何が彼を駆り立てるのか……。何か今後のコミュニケーションで役に立つ可能性があるのなら、喜んでやるが。

 

「そのくらいなら……。」

 

横に居る四季さんを見る。少し呆れた感じの表情をしている、急に付き合わされたのだから当然かもしれない。

 

「ナ……」

 

普通に呼ぼうとした瞬間、一つの名前が脳裏をよぎり、考えるより先にその名前を口に出す。

 

「……チュメ」

 

あ、しまった。急いで口にしたせいで間違ってしまった。

 

「はい?」

 

「すまん、間違ってしまった。正しくは……ナヒュメだ。」

 

「いや、何が正しいのか理解できないんだけど。」

 

「ナヒュメ。」

 

「わざと……?それとも噛んだのを慌てて隠した……様には見えないからわざとか。」

 

どんどん声のトーンが下がり、ふざけて言っていると分かった時には俺に向ける視線のランクも下がっていた。いや、我々の業界ではご褒美だからランクは上がっているな。

 

「申し訳ない。どうやら俺も緊張して噛んでしまった様だ。高嶺の事を言えないな、ははは。」

 

「どう見てもわざとでしょうがっ!」

 

いや、自動翻訳されてしまうのだ。文句なら大事な場面で噛んだ高嶺に言ってくれ。

 

「あはは、さっきも言いましたが楽しそうな職場ですね。」

 

「っ……ぅ、またいらぬ恥をかいてしまった。……覚えてろ。」

 

俺たちのやり取りを面白そうに見ていた火打谷さんに恥ずかしそうに顔を逸らす四季さん……と思ったが、ボソッと不吉な事を俺に向けて言ってくる。………聞かなかった事にしよう。

 

「そ、それよりっ、火打谷さんとはどこまで話したんだ?面接は終わったみたいだが?」

 

「えっと、面接が終わってから、お店の雰囲気を聞いてみた……だっけ?」

 

俺の質問に思い出すように四季さんが答える。……ってなると火打谷さんも交えて、店の雰囲気を変えるために必要な話し合いか。

 

「そうですね、ちょっと来るのに遠慮してしまいますって答えましたけど……何か参考にされるのですか?」

 

「この店見ての通りまだオープン出来ていないんだよ。準備段階だから色々と変えないといけない部分もある。その参考に聞いた感じだな。」

 

一応募集の紙にもオープニングスタッフとは書いている。

 

「だから、火打谷さんの意見は凄く参考になった。やはり店の雰囲気を変えないとかぁ……。」

 

「やっぱりかぁ、そうなると火打谷さんの明るさは必ず必要になると思う。……まだオープン出来るって確定はしていないんだけどね。」

 

俺の言葉に四季さんが賛同する。

 

「えっと、それってつまり……雇ってもらえるって事ですか?」

 

「うん、そのつもり。オープンさせられない可能性も……無い訳では無いのだけど……、それでも良ければ是非協力して欲しい。」

 

「ほんとですかっ、やったー!ありがとうございます!」

 

採用されたことに大げさと思えるほど喜んでいる。店の雰囲気と違うから受かるか不安だったかもしれない。

 

「火打谷さんを活かすとしたらフロアになると思う。ま、それ以外は厨房しかないから選択肢は無いけど。」

 

「いえっ、全然ヘーキです。あ、もし何か手伝える事とかあれば遠慮なくどしどし言ってくださいね。」

 

「ありがとう。」

 

「あっ、じゃあ早速。」

 

一段落着いた所で高嶺から話が出る。確か四季さんが笑顔を上手く出来ないシーンだったな。

 

「親しみやすい、または明るい店にするためにはどうしたらいいと思う?参考までにだから気軽に答えて構わないから。」

 

「うーん……そう、ですね……正直、ナツメ先輩って美人で素敵で大人っぽくてすごく憧れます。」

 

わかる。

 

「え、そ、そう……?ありがと……?」

 

「でも、なんていうか、美人過ぎて緊張してしまうと言いますか、レベルが高いので専門店かと思っちゃってしまいました。私的にはそこに圧を感じましたかねー?」

 

「……原因は私なんだ……。」

 

「あっ、いえ、そんなつもりで言ったわけではないんですよっ。」

 

何を言う!そこが良いんだろうがっ。あの美人の笑顔が良いんだよ。いや、明るい笑顔もそれはそれで見たいが……。

 

「四季さん。」

 

「ん?何?」

 

「落ち込む必要は無い、だが、それがいい……ってやつだから。」

 

「また意味の分からない事を……。それに、変わらないといけないのは確かでしょ。」

 

それはそうだ。

 

「試しに『いらっしゃいませ』って言ってみてくれないか?」

 

四季さんの笑顔がどんなのか確認したい高嶺から提案が出る。良いぞ、もっとやれ。

 

「………、いらっしゃいませ。」

 

こちらに100点満点。いや120点の笑顔を向けてくる。

 

「………なるほど、確かに美人だな。」

 

どうやら、理解者が一人増えた様だ。

 

「からかってる?」

 

「いや、本当に。けど、笑顔はもっと明るい方が良いんじゃないか?」

 

「もしかして、笑えてない?」

 

「笑顔なのは確かなんだけど……、大人の、美人の笑顔って言うのかな?」

 

「そう、それですっ、それ。」

 

「100点のはなまるを差し上げます。」

 

「ふざけてないで真面目に言って。」

 

四季さんから叱咤が来る。此方は超が付くほど真面目なんだが。

 

「そうだな……試しに火打谷さんがやってみてくれないか?」

 

「私ですか?分かりました。………いらっしゃいませー!」

 

そこには眩しすぎる笑顔があった。

 

「みたいな?改めて言うと思ったより恥ずかしいですね、これ。……えっと、ちゃんと出来てます?」

 

「文句ない完璧な笑顔だった。」

 

眩しい。眩しすぎる。これは直視できない笑顔だ。何故か後ろめたい気持ちになる。

 

「なるほど……納得した。」

 

「だから四季さんはもっとスマイルを意識した方が良いのかも……って、どうかしたのか?」

 

「達也先輩?どうしたんですか?手で目を覆って。」

 

「いや……火打谷さんの笑顔が眩しすぎて……目がやられた。俺には刺激が強すぎたかもしれない。」

 

「はいはい、わかったわかった。」

 

「という事で、四季さんも火打谷さんみたいな笑顔を意識してみたら良いと思う。」

 

「スマイル……。」

 

「………」

 

目を閉じて無言になる。多分火打谷さんのを思い出しているんだろうな。

 

「……い、いらっしゃいませ。」

 

「………」

 

「………」

 

「………これはこれで。」

 

そこには無理やり作ろうと頑張ったが、どうみても引きつっている様にしか見えない表情があった。

 

「えっと、どうだった?」

 

「めちゃくちゃ引きつってる。」

 

「そんなつもりじゃないんだけど……。」

 

これに関しては高嶺に同意だな。

 

「もっと柔らかく、口角を上げて、にっこりと。」

 

「いらっしゃいませ……。」

 

うん、さほど変化は無さそう。

 

「あー、えっと、笑顔だとは思うのですが……。」

 

「言わなくていい。自分でも出来ていないの分かるから……。笑わなきゃって意識すると逆に難しくて。」

 

「これは俺のキッチンと同じく、要練習だな。」

 

「………。」

 

恥ずかしそうに顔を逸らす。

 

「火打谷さん、もう一回さっきのやってみてくれないか?」

 

高嶺と四季さんが話している横で火打谷さんにお願いをしてみる。

 

「もう一回ですか?まぁ良いですけど。」

 

「……いらっしゃいませー!」

 

「ぐはっ!」

 

至近距離でまともに受けたため反射的に顔を逸らしてしまう。

 

「そんな反応されるとちょっぴり傷付くといいますか……けどなんかまたしてみたい気持ちもあると言いますか……。」

 

「その笑顔には後光が射してるよ……。」

 

あと効果音も追加で。

 

「えっと、褒められているんですかね、これって。」

 

「大丈夫、100点の笑顔って褒めてるつもりだから。」

 

「そこまで言われるとなんだか照れますね……、ありがとうございます。」

 

礼を言うのはこっちの方です。

 

「何をしてるの……?」

 

今の一連のやり取りを見ていた四季さんが困惑したような声で問いかける。正しくは俺に向けて言っているのだろうけどさ。

 

 

 

面接を終え、今後の話を進めていく内に日が暮れており、今日は解散することになった。

 

「それでは、お先に失礼しますっ。」

 

また明日来て欲しいと伝え、火打谷さんを見送る。

 

「さてと、それじゃ戸締りして私達も帰ろうかな。」

 

帰る為に三人で戸締りをしていく。

 

「あー、四季さん、今日ちょっと店に残って良いか?もう少しやりたい事がある。」

 

店の戸締りを進める四季さんに声を掛ける。

 

「え、大丈夫だけど…何をするの?」

 

「これからここで働く人が増えるからそれの準備を少々。」

 

「何か手伝った方が良いか?」

 

「んー…いや、大したことじゃないから大丈夫。」

 

「了解。」

 

「それなら私も残ろうかな。」

 

俺が残る事に対して四季さんも残ると言い出す。

 

「いや、気を遣わなくて良いからな?一人で進めれるやつだし。」

 

「ううん、澤田君に聞きたい事があるから残るだけ。」

 

俺に聞きたい事?心当たりしかないんだけど……。

 

「それなら俺も残った方が……」

 

「それは駄目だ。高嶺は今日は帰った方が良い。」

 

高嶺の申し出にはっきりと断りを入れる。

 

「いや、2人が残るのに俺だけ帰るのは……」

 

「そういった気を遣わなくて大丈夫。だから今日は帰る事をお勧めする。また明日からその分頑張って欲しい。」

 

「……そこまで言うなら分かった。今日は帰る事にするよ。」

 

「ああ、今日はお疲れさん。また明日。」

 

「おつかれさま、また明日ね高嶺君。」

 

火打谷さんに続き、高嶺を見送る。

 

「で、聞きたい事って?」

 

扉が閉まり、店が静寂になったことを確認してから隣の人物に問いかける。

 

「幾つかあるんだけど……そのまえに、さっきのあれ、あそこまで拒絶するような言い方しなくてよかったんじゃない?」

 

「別にそういう意図は無かったが……店に残られると困るからな。」

 

「どういう意味?」

 

「高嶺はこれから別件があるからな。」

 

「高嶺君、何か用事があったの?もしかして気を遣わせた?」

 

「あー、それは大丈夫。用事が出来るのは……これからだから。」

 

「これから……?」

 

俺の言葉を不思議に思っている四季さんを横目に店の外を見ていると、高嶺と明月さんが丁度出くわしていた。お互いに少し話し合うと、明月さんがこちらを見てくる。それに対して頷き返すと頭を下げてから高嶺と一緒に裏に回って行った。

 

「そう言う事。」

 

「いや、どういうことなの。明月さんが戻って来て高嶺君と何か話してたみたいだけど……。」

 

「今から明月さんは、二階の間借りしている部屋で蝶を神の元へ還す作業をする……それを一緒にどうですか?と高嶺を誘った感じだな。いわばデートのお誘いだな。」

 

「澤田君、今の会話聞こえていたの?」

 

「いいや、全く。」

 

「また適当な事を……」

 

「会話は聞こえない。でも、分かる。どんな事を話したのか、この後何をするのかを。」

 

「………もしかして、また占い?」

 

四季さんが懐疑的な視線をこちらに向けてくる。

 

「かもしれないな。それよりも、四季さんが聞きたい事って?」

 

「え?あー、今の澤田君の占いと関係するんだけど……。」

 

「するんだけど?」

 

「今日、奥の部屋で火打谷さんを採用するかの話をしたでしょ?一応今の所は澤田君が言っていた事が当たっているなぁって思って……。」

 

何か言いにくそうに話し始める。

 

「今の所は当たっていると思ってくれるのか。」

 

「まぁ、一応……?完全に信じている訳じゃないけど、ほら。高嶺君みたいな例があるんだからもしかしたら澤田君も……位だけど。」

 

少しずつだけど、確実に信頼は得れていると思って良いのかもしれない。慢心はせずにしていくが。

 

「それで?聞きたい事がありそうだが……。」

 

「うん、その……もし澤田君が言っている事がほんとで、未来が見れるなら……なんだけど、高嶺君以外には他に誰が見れるのかなと……。」

 

「四季さんの……このお店がどうなるか知りたい……で当たっているか?」

 

「……分かりやすかった?」

 

申し訳なさそうな顔を見れば、何を聞きたいのか大体予想が付く。今ようやく動き出して新しい人も増え、何をすべきかが見えて来たところだ。その反面、本当に今している事が店をオープンすることに繋がっているかのか?実はすべきことは他にあるんじゃないか?……と不安が残りながらも進めて行かなくてはいけない。知れる可能性があるのなら聞きたいのだろう、少しでも心の中にあるしこりを無くすために。

 

「もし俺がここで『問題ない。確実に開けるから安心して良い』って言ったら憂いなくやっていけるか?」

 

「あー、そう言われると無くなる訳じゃないかな……?気が楽にはなるけど。」

 

「明月さんやミカドさんには既に話してるけど、未来なんて簡単に変わる。それこそ、これから四季さんがどう行動するかで、幾らでも違う未来がある。望む未来を掴むことが出来る。」

 

「それって、私の頑張り次第って事?」

 

「簡単に言えばな。勿論一人だけじゃない、今は高嶺も参加して、今日は火打谷さんも来てくれた。これからも人は増える事になる。その全員で協力する必要がある。」

 

「そうすれば、お店はオープン出来るの?」

 

「可能性が一番高い……とだけ言っておく。」

 

まぁ、それ以外知らないんだけどな。

 

「無論、俺もそこには含まれるぞ?出来る事なら何でも手伝おう。」

 

「今の調子で頑張って行けば良いのか……。うん、ありがとう。」

 

「どういたしまして。まずは高嶺からの宿題で、明るい笑顔を作る所からだな。」

 

「私なりに頑張ってるつもりなんだけど……なんか意識しちゃうと上手くできなくて……い、いらっしゃいませー……。」

 

こちらを向き、頑張って作ったであろう笑顔を向けてくる。相変わらず引きつってるだけにしか見えないが。

 

「うーん、駄目だな。100点。」

 

「駄目って言っておいて100点って……、何点満点中?」

 

「そりゃ、100点満点中だが。」

 

「判定ザル過ぎでしょうが……、うーん。」

 

自分の頬を指で上げながらどうにか作れない物かと悩んでいる。

 

「いらっしゃいませ。」

 

「まだ甘いかなー?120点。」

 

「いや、上限超えてどうするの……。」

 

「さっきよりは良くなったからな、点数上げないと失礼になる。」

 

「一応さっきよりましにはなったのか……。」

 

また自分の頬を触りながら、うんうんと悩んでいる。和むというか、微笑ましい物を見ている気持ちだが、本人にとっては深刻な問題かもしれないな。自分のせいでお店を開くのに支障をきたしてしまうのだから。

 

「取り敢えず、こう……形だけでも無理やり作ってみて……って何笑ってるの?」

 

「いや、茶化すつもりは無いが、頑張って変わろうとしている四季さんを見て、こう……嬉しい?気持ちがあってさ。」

 

「なに、悪い?私が変わろうとするのが。」

 

「だから茶化す気は無い。良い事尽くめだ、お店を開くためには、今の時代に合わせて変わる必要がある。その為に自分も変わらなければならない。頭でわかっていてもそれを行動に移すことは結構勇気がいる事だからな。素直に凄いと改めて思っただけ。」

 

自分の思い描いていた夢とは違う形で店を開かなければならない。それを理解してしまった時四季さんは何を思ったんだろうか。それでもあきらめずに開こうと頑張る姿は……眩しく映ってしまう。

 

「そう……ありがとう。」

 

少し照れながらもお礼を言ってくる。その恥ずかしそうに顔を逸らす仕草、完敗です。マーベラス。

 

「そんな頑張っている四季さんに速報だ。」

 

この世界最速の情報だな。なんせ明日の出来事だから。

 

「ん?なに。」

 

「明日、高嶺からこのお店で使うウェイトレス服を一新しないかと提案がある。」

 

「え、ほんとなの?」

 

「まぁ、ほんとかどうかは明日に分かる。そうなると、現時点で四季さんが着ているウェイトレス服では無くて、新しいデザインの服を使っていく事になる。」

 

「つまり……、私が着ているのじゃ、これからのお店には合わない……という事?」

 

「合わないって訳では無いが、より良くしていく感じだ。」

 

「その話を明日高嶺君が持ってくるってことかぁ……。」

 

「それまでに考えてた方が良い。個人的には変えていくのに賛成だ、四季さんには辛い選択を強いるが。」

 

「……分かった、明日まで考えてみる。」

 

「……他には?何か確認しておきたいとか、気になった事とか。」

 

「あー、今は取りあえずさっきのでいいかな、一番聞きたい事は聞けたし。」

 

「そうか、それじゃあ四季さんも帰るか。」

 

「何か手伝えることはある?」

 

「いや、大丈夫。これくらいはこっちでやっておく。その分明日も色々あるから、そこを任せるので頑張ってくれ。」

 

「了解、それじゃお言葉に甘えて帰ることにする。」

 

「おっけ、お疲れ。ゆっくり休んでくれ。」

 

「澤田君も、お疲れ様。」

 

二人に続き、最後の四季さんを見送り終えてからパソコンがある部屋へ入る。

 

「大体、一時間から一時間半くらいか。」

 

電源を付け、椅子に座りながら残りの作業と時間を照らし合わせた。

 

 





やはり恥じらいは最高かとおもいます。

次回は少し明月栞那視点を入れようかと思います。

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