喫茶ステラ ―異邦人と蝶の残滓―   作:コクーン√

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仕事の方も落ち着き時間が出来たのでまた書いていきます。




第5話:真実とすり替え

 

「隠しごとですか……?」

 

「そうだ。森で出会ってからこれまでに不可解な点が幾つかある。貴様の言う通りなら知るはずのないことを知っているのだからな」

 

「不可解な点でしょうか?ええっと……何かありましたか?」

 

閣下からの返事に、内心焦りが出てくる。

 

会話中に何か変な事漏らしてしまっていたのか……?確かに向こうは俺を知らないのにこっちは知っている風に話していたのがあったかもしれない……。意識してなかったから憶えてないが……。

 

「では、一つ一つ説明していこう」

 

閣下の言葉に無言で頷く。

 

「まずは森での時だ。栞那には聞こえてなかったが、顔を見た時に『明月栞那』と呼んでいたであろう?しかし、栞那は初対面と言っており、貴様も自己紹介をしていた。この時点で少なくとも栞那の顔をそちらは知っていたが、こちらは過去に貴様と会った記憶など無い」

 

初対面からやらかしていたのかよ……と、手で顔を覆いたい気持ちになる。

 

「二つ目は、宿で我輩が猫から人の姿を見せた時もあまり驚きや困惑が見られなかった事だな。今まで見てきた中で、少なくとも猫が人に変わったらもっと大きな反応が返って来たはずだ。だが貴様は、一瞬驚きはしたものの直ぐに納得した表情を浮かべていた。まるでそれを以前にも見たことがあるかのような反応だった」

 

あー……、普通そんなのに遭遇したらもっとリアクション取るよねぇー。高嶺昂晴も本当か実際触ってたりしていたし……。

 

思わず天を仰ぎたくなる。

 

「最後だが、貴様は我輩達を知っていないとするなら無論、死神の仕事、そしてその内容を知っているわけがない……が、森で栞那が蝶を死神の鎌で切ったのを目撃し、それを回収していると認識していたな?」

 

「慌てており咄嗟に口に出していたのかもしれないが、普通あの場面を目撃したのなら、鎌で蝶を回収する発想には行きつくとは思えん。鎌で蝶を切った……もしくは殺したと言うのが普通であろう」

 

「これらを踏まえると、貴様は我輩や栞那の事、死神の仕事を知っている事になる。少なくとも蝶を回収することを知っているのだから、蝶が何なのかを当然知っているのであろう?」

 

あーこれは……、言い逃れ出来なさそうな感じだな。だが……実は18禁ゲームのキャラとして知っているとか言えるわけないし、何か良い言い訳は無いものか……。

 

特に名案などは思い浮かばず、静かに目を閉じて天を仰ぐ。このまま変に嘘をついて不審がられるよりも、ある程度真実を話して誤魔化す方が無難だと判断し、二人を見る。

 

閣下からは警戒心が見えるが、明月栞那からは心配そうな顔でこちらを見ている。

 

「……ミカドさんに言われた通り、そちらの事情をある程度知識として知っています」

 

こちらの告白に、明月栞那は驚きの表情をしていた。

 

「まず、黙っていた事を謝罪させてください」

 

二人に頭を下げる。そして頭を上げずにそのまま言葉を続けた。

 

「私もいきなり生まれ変わったなどと頭の中を整理することを優先していて話す切っ掛けを作れていませんでした」

 

「では、それを話す気ではあるという事だな?」

 

「はい。()()()()()()()()話して行きたいと思います」

 

真剣な顔をして二人の目を見返す。

 

「まずはですが、私は二人がどういった存在か知っていました。そしてこのお店が誰の夢で開こうと動いているかも知っていましたが、それが本当かどうかの確認をするために説明を聞いていました」

 

まずは当たり障り無い様に既に聞いている事を話す。だけど、本番は此処から話す内容だ。

 

「この喫茶店は、二人の観察対象の四季ナツメさんの夢の為にお店を開こうとしている筈ですよね……?まだ準備段階ですが」

 

「……栞那。四季ナツメの事は既に話したりは?」

 

「いえ……、私からはナツメさんの名前は出してはいません。お店を開こうとしている女性が居るとしか……」

 

二人が顔を見合わせる。明月栞那の方は少し困惑した顔をしていた。

 

「彼女の魂が弱っており、少し危うい状態にある……そこも知っております」

 

「魂の状態も知っているのか……」

 

閣下は変わらずこちらに警戒心を出したままだ。無理もないだろうな、急に知るはずがない内情を話されたら誰でもそうなる筈だ。

 

「はい。ただ二人に出会ったのは偶然で私も本当に驚いています。何故あの森で生まれ変わったのかも分かっていません……」

 

「まぁ、あの場面を見れば偶然なのはわかりますが……。寧ろ必然とか言われたら恐ろしいのですが……」

 

明月栞那が苦笑いをしてこっちを見る。確かにあれを計算でやるのは色々無理がある。主に俺の羞恥心的な意味で。

 

「頼れる人が居らず、お二人に付いて行きました。そちらの現状が私が知っている内容と同じだったので何かお力になれる事があるかもしれないと思い、喫茶店の仕事を受けた面もあります。勿論、受けた恩を返したいという気持ちが強いのは本当です。そこは嘘偽り無いです」

 

「それと喫茶店についてなのですが、私の叔父……養父になるのですが、喫茶店を持っていて、そちらのお手伝いをしていたのである程度はお役に立てるとも考えていました」

 

これについては本当だが、理由としては今取って付けた内容だ。

 

幾つか理由を並べ、閣下を見る。

 

「嘘を言っている様に見えないな。真実を話している前提で聞き入れよう。だが……」

 

途中で言葉が途切れるが、聞きたい事はおおよそ想像が付いていた。というよりかはどこかで必ず聞かれる質問がある。

 

「澤田達也。貴様はこれらの事を何処で知ったのだ……?」

 

―――来た。

 

やはりその質問が出てくる。当然だろう、落ち着いて返事をしよう。誤魔化すならここだろう。

 

「やっぱり……、それが気になりますよね……?」

 

困った顔で閣下を見る。

 

「当然であろう」

 

「知っている理由なのですが、申し訳ありませんがそちらを詳しく話すことは出来ません。二人に話せない理由が主に二つあります」

 

一瞬、何かを言おうとした閣下が理由があると聞き、口を閉じる。

 

「一つ目なのですが、話すと私の尊厳や命に係わります。最悪死ぬ(社会的に)可能性があります」

 

理由が18禁ゲームとか社会的に死ねるから嘘では無い……、と思いたい。いや死ねる。

 

「二つ目ですが、こちらは理由を話すと……とある人物の人生に大きな影響を与える恐れがあるので話せません。お二人が……、特に明月さんにはとても重要な人です」

 

「私に、ですが……?一体誰なのでしょうか……?」

 

急に自分の名前が出て困った表情をしていた。

 

本命はこちらだ。高嶺昂晴の話は二人しか知らない。これから話す内容は二人に警戒心を持たせるかもしれないが、真実を話していると信頼を得れるチャンスでもあるはず。

 

「その人物ですが、確か今は一星大学に通っている男性……―――高嶺昂晴です」

 

「高嶺さん……っ!?」

 

明月栞那から驚愕の表情と声が出る。閣下も少なからず驚きが見える。

 

「今お二人が思い浮かんだ彼で……間違い無いです」

 

「どうして高嶺さんが話せない理由に関わっているのですか!?」

 

「………、すみません。その理由は今は話すことが出来ません」

 

明月栞那が声を大きくして問い詰めてくるが、黙秘権を使う。

 

「……それは、最初に言った澤田さんの命に係わる事だからなのでしょうか」

 

「いえ、先ほども言った様に、こちらについては私の命と言うより高嶺さんの命に係わる事です。明月さんが願う幸せになる為の人生を歩めなくなる可能性が大きいです」

 

「その言葉は……っ」

 

明月栞那が俺の言葉で声を詰まらせる。

 

何度も高嶺昂晴に願った言葉のはずだ。大事な人の人生を狂わせかねない話なら気になるが安易に聞き出せなくなると思いたい。

 

「貴様……、そこまで知っているのか」

 

「すみません、少し内容を話し過ぎました。あまり詳しくは話せてはいませんがこの二つが主な理由になります。ですが可能な限り二人からの質問には答えますし、協力する事は確約します」

 

最後に二人に協力する意思があると示し淹れてもらった飲み物に口を付ける。これである程度は納得してくれるはず……。きっと、多分……。

 

「……わかりました。澤田さんから話すまでは聞かないで欲しいとのことですね。納得は出来ませんが取りあえずは飲み込みます……」

 

明月栞那は納得は出来ていないが、一先ずは受け入れてくれそうだ。問題は……。

 

閣下の方を見ると目が合う。聞き出したい事が沢山あるが此方が答えれないと分かり、質問する内容を考えている様に見える。

 

「……色々貴様からは聞くことは山ほどある。命に係わるなど本当かどうかすら分からん。だが話していない事を知っているとなれば嘘や適当などを言っている訳でも無いはずだ。答えられんと言うなら一旦保留にしておこう」

 

閣下はしぶしぶ諦めた様にため息を付きながら受け入れた。

 

「無理なお願いを聞き入れていただきありがとうございます。私の方からも話しても大丈夫と判断できたことは直ぐに二人と共有します」

 

「澤田さんの可能な範囲で大丈夫ですので無理はしないで下さい。勿論知りたいとは思いますが……」

 

この状況でもこっちの心配をしてくるなんて……!いや普通ならもっと可能な限り問い詰めるかと思ったが、人が出来すぎている……。流石はメインヒロイン。

 

感極まっている所に空腹を知らせる音が鳴る。さっきまで緊張していたが、解けたことで気が緩んでしまったようだ。

 

「そういえば、何も食べていませんでしたね……。お昼も近いですし何か作りましょうか?」

 

明月栞那が苦笑いをしながら提案をしてきた。此方としては場の空気を変えるためにありがたいが物凄く恥ずかしい思いだよ……。

 

「そうだな。一旦昼でも食べて頭を整理しよう」

 

閣下も賛成の様だ。

 

「すみません、その前にお手洗いを貸して頂いても大丈夫ですか?」

 

「ああ。場所はそこを曲がって直ぐにあるから行ってくると良い」

 

閣下から場所を聞いて席を立ち二人から離れる。今聞いた内容の話し合いをしたいはずだ。自分が居ては出来ないだろうからトイレで少し時間を潰して居よう。

 

そう考えトイレのドアを開け、中に入った。

 

 





ゆずソフトの18禁エロゲで知りました!色情淫乱死神娘さん!伝統をよくぞ引き継いでくれました!感謝!圧倒的感謝!

と暴露できれば気は楽になりそうですね……?間違いなく死にますが。


次回は明月栞那と閣下の話し合いから始まります。その間彼はトイレで引きこもっています。

年末最後の投稿になると思いますが、これを見た人に良い年を迎えられます様に……と。

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