7年前、たった一人きりの家族がいきなり僕の前から姿を消した
理由はわからない
どこに行ったのか?なぜ消えたのか?僕が何か悪いことでもしたのか?
どうして?今まで仲良く二人で過ごしていたのにどうして?
考えれば考えるほど、謎は深まるばかりだった...
僕は走り出した
居ても立っても居られなかったらだ
居なくなったなのなら自分で探しに行けばいいと、いつかまた、きっと会えると、そう自分に言い聞かせながら...
食料の調達や処理の仕方などは、たった一人の家族である竜、黒炎竜(ドルバラム)から教わっいていたので、生きていくのには困らなかった
しかし、走っても走ってもドルバラムに会うことはなかった
平野を駆け、森を抜け、山を越えても会えなかった
それでも僕は走り続けた
いつか会えると信じて....
ドルバラムを探し始めてからだいたい一年くらいが経った頃だろうか
僕は魔物に襲われて命を落としかけた
いくら竜撃退用の魔法を扱えるからといって、僕はまだ幼い子供だった。僕はなんとか魔物を追い払うことができたがその時に負った怪我がかなり深く、幼き頃の僕でも、これから死ぬのだと理解するのに時間はかからなかった
ドルバラムに会う前に死んでしまうことの悲しみに僕はうつ伏せに倒れながら涙を流し続けた
だんだんと体に力が入らなくなっていき、瞼を開けているのがだんだん辛くなってくる
あとどれくらいで死んでしまうのだろうか、最後くらいドルバラム...父さんに会いたかった...もう一度褒めて欲しかった、頭を撫でてもらいたかった、一緒に笑いながら話をしたかった...
溢れ出る感情を抑えれないまま、僕の意識はどんどん薄れていく...
「あぃたいょ...とぉ....さ...ん.....」
消えていく意識の中で最後に出た言葉がそれだった...
薄れゆく意識の中で遠くから何かが聞こえる...
「...ち....お..のこ.....たお....てる」
その声は女の子のものだろうか...
どこか懐かしく、温かい声だった
「ゥ.ンディ.....」
ウェンディ...勝手にその名前が口からこぼれた
ウェンディって一体誰のことだ?
...わからない。わからないけど...
僕は何故か安堵して、その意識を手放した...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・化猫の宿〔ケットシェルター〕
まどろみの中で、僕は少しずつ意識が覚醒していく...
(なんだろう...懐かしいような、暖かいような人の匂いがする)
目を瞑りながらでもわかる
懐かしい匂いだ...
この匂い...どこで嗅いだんだっけ...
「んっ...ここは?」
僕は目を開ける
ここは...どこかの家だろうか、ベットの上で寝かされている
周りを見渡そうと身を起こそうとしたが、右腕に何かの重みを感じた
「この子は...?」
そこに居たのは、青い髪をした小さな女の子だった
看病をしてくれていたのだろうか、僕の右腕にのしかかりながら寝ていた
「一体何がどうなって...なんで生きてるんだ?」
「おぉ、目が覚めたか」
頭の中で状況を整理しようとしたら、老人の声が聞こえた
声がした方向を向くと、そこには変な民族衣装を身に纏った、小さな老人と小さな男の子が居た
「あなたは...?」
「わしの名前はローバウル、ここ化猫の宿でギルドマスターをやっておる」
老人...ローバウルは僕の質問に答えてくれた
そして、僕が質問をしようと口を開こうとするが先に老人が口を開いた
「その子に感謝するんじゃな、森バルカンに襲われ死にかけだったお主を見つけ助けてくれたのじゃ」
「この子が?」
僕は気絶する直前のことを思い出す
確かに遠くから女の子の声が聞こえていた
「そうか、この子のおかげで僕は...この子の名前を教えてもらっても?」
「その子の名前はウェンディ、化猫の宿のメンバーじゃ、ちなみにこの後ろに隠れてるのがレイ、お主とだいたい同じくらいの歳じゃろう」
「ウェンディ...」
なぜなのだろう、この名前を聞くと無性に懐かしさを覚える
どこかで会ったことが?
...いやないな、記憶に全くない
「お主、名は?」
「僕の名前ですか...僕はバン。バン・ストレイフ」
「バンか...いい名じゃのぉ」
僕の名前を聞いた老人は笑顔になった、とても優しそうな人だと思った
「ほれ、お主も隠れておらんで自己紹介をせぬか」
「...」
ローバウルは自分の後ろに隠れている男の子にそう言ったが、その男の子はローバウルの後ろから出てくる気配が全くない
「はぁ...この子の名前はレイ、おそらくお主と同い年くらいであろう」
「そうですか...」
レイと呼ばれた男の子は僕のことをチラチラ見てくるだけで、全く喋ろうとはしなかった
...まぁいいか
「あの、先程化猫の宿と言いましたが...ここはギルドなのですか?」
「なーぶら」
「...なんて?」
「なーぶら」
「...」
YESと受け取っていいのだろうか
...まぁいいか
「お主、一人なのかのぅ?」
「...はい」
ローバウルから言われたことに素直に返した
なんとなくこの人には嘘をつきたくなかった
「そうか、行くあては?」
「...」
「そうか...」
僕の無言でローバウルは察したのだろう、優しい目でこちらを見つめてきた
「行くあてがないなら、どうじゃ?この化猫の宿に入らぬか?」
「...え?」
いきなりなことに僕は反応が出来なかった
なんでこんなにも優しいのだろう、この老人は
「いや...でも...」
「遠慮ならしなくてもよい、そこに寝てるウェンディもお主と同じようなものだからのぉ」
僕はウェンディを見る
この子も一人だったのか...
「だから気にせずともよい、おい先短い老人のお節介じゃ」
「...」
僕は迷っていた
正直に言ってしまえば、ここにいたい...
しかし、ここまでお世話になっておきながら、ギルドにまで入れてもらうなんて...
「ば、僕は...」
「のぉ、バンよ」
迷っている僕に対してローバウルは優しく声をかける
「わしはのぉ、お主のような未来ある若者が死んでいくのを見たくないのじゃ」
「...」
「わしはズルい人間なのじゃ、自分の勝手な気持ちでお主やウェンディを助けようとしてるのじゃからな」
「そんなことないです...」
ローバウルは首を横に振る
「いいやズルいのじゃよ、まだ意味はわからんと思うがこの先、いずれわかる時が来る」
「...」
この人は、なんて悲しい目をするのだろう
否定をしたかったのに、その目を見てしまったらできなくなってしまった。
僕がこの時思ったのは、この人の悲しみを少しでも減らしてあげたい、それだけだった
「ローバウルさん...いえ、マスター」
「...」
「お誘いの件ありがたく受けさせていただきます。これからよろしくお願いします」
「なーぶら」
この人のそばにいてあげよう...
もちろんドルバラムを探すのを忘れてしまったわけではない
しかし、このギルドにいたいとそう思ってしまったのだ
このギルドでドルバラムの情報を少しずつ得ていこうと僕は決めた
「んっ...んぅ」
そう決めた時、僕の右側で寝ていたウェンディが目を覚ます
「ようやく起きたか、ウェンディ、お主のおかげで少年が目を覚ましたぞ」
「んぅ...?ほんとぉ?」
目を擦りながらウェンディは起き上がる
僕はお礼を言おうとウェンディの顔を見た
「おはよう、ウェンディ。僕の命を助けてくれてありがとう」
「んゅ...どぉいたしましてぇ」
可愛らしい声を出しながら、ウェンディは返事をする
そう、本当に可愛かった
...なんだろう、この胸の高鳴りは...
今まで感じたことのない気持ちだ
すると見つめていたのがわかったのか、ウェンディは僕の方を見て...
「...?えへへぇ」
「...」
僕に可愛らしい笑顔で、微笑んでくれた
僕はこの日、初めて恋を知った
と、いうことで
プロローグというか過去のお話は一旦ここまでとします。
いやぁむずかしいですねぇ
もっと掘り下げていきたいんですけどこれ以上長くするとおかしくなりそうなのできりのいいところで終わっときます。
過去のお話は少しずつ書けていけたらいいなと思っています。
このプロローグで出てきた男の子レイ。
この少年は後に人見知りがなくなっていき、バンと親友になっていきます。
なぜここでそれをいうのかって?
...なぜでしょうね
まぁ、それは置いといて、多分僕自身はレイという少年にかなり思いやりを入れて書いていくと思います。
ここからのお話を楽しみにしていてくださいね〜