個性把握テストの翌日、雄英は県内一の進学校だ。初日から慌ただしい一日を過ごしながらも、通常通りのスケジュールが始まる。とはいえ初日が特殊過ぎただけだろう。二日目からは至って普通の授業が行われた。マイク先生なんて普通すぎて本物?と思ってしまったくらいだ。
お昼はランチラッシュによる一流の食事を食べることができる。私は兎の個性が影響しているのか人参が大好物だ。試しにランチラッシュに人参メインのメニューを頼んでみたら、ホントに作ってくれた。めちゃくちゃ美味しかった。
「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!」
午後からはヒーロー基礎学が始まる。初めてのヒーローとしての授業に生徒たちがソワソワしていると、ドアから誰もが知っているNo.1・オールマイトが現れた。
「オールマイトだ……!すげえや、本当に先生やっているんだな…!」
「
「画風が違いすぎて鳥肌が……」
私もオールマイトの登場に胸が熱くなる。昔はよくお母さんと一緒に動画を見たものだ。
当時のことを思い出し、少ししんみりする。
「早速だが、今日はコレ!戦闘訓練!そしてそいつに伴って…こちら!入学前に送ってもらった『個性届け』と『要望』に沿ってあつらえた
教室の壁が飛び出し、
「着替えたら、順次グラウンドβに集まるんだ!」
女子更衣室にて海兎は自分の
全体的に動きやすさを重視した装いになっている。両肩から腰辺りまでを露出させ、帯で締め、下は袴を纏う。チャイナ服と和服を合体させたような服。腕にはアームカバーが着けられている。
個人的にはなかなか気に入っている。
そんな海兎の元にお茶子がやってきた。
「月下さん、かっこいいね!私なんてこんなパツパツスーツだよ。」
「確かにパツパツだけど私は可愛いと思うよ!それと私のことは海兎でいいよ。」
そういうとお茶子は少し照れくさそうにしながら、「なら、私のこともお茶子って呼んで」と言われるので、了承する。心のなかではもう呼んでいたことは秘密にしておく。
「私はそれよりも百の
私も動きやすさ重視のため布面積は少なめだが、百はそれ以上だ。
「も、も、も、百!?」
「えっ!?も、もしかして嫌だった?」
思った以上に動揺してた。もしかして名前、駄目だったろうか?
「いえいえ!?どうぞ!私のことは百とお呼びください!!私も海兎さんと呼ばせて頂きますわ!!」
駄目じゃなかったみたい。それどころかすごい目をキラキラさせている。
その後、オールマイトを待たせる訳にはいかないとの梅雨ちゃんの言葉に慌ててグラウンドβに向かった。
オールマイトの最初のヒーロー基礎学は、屋内での対人戦闘訓練。『ヴィラン組』と『ヒーロー組』に分かれて、2対2での屋内戦闘を行う。
状況設定としては『ヴィランがアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか核兵器を回収する事。ヴィランは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事』である。
核兵器の回収はタッチする事。捕まえるには捕縛テープを相手に巻きつける必要がある。
組み合わせはくじで決めるらしい。海兎がクジを引くと『I』と書かれていた。相方は葉隠透という透明少女だ。
第一戦 【ヒーロー側】緑谷出久・麗日お茶子 対 【ヴィラン組】爆豪勝己・飯田天哉
他の皆はモニタールームに移動しての観戦になったのだが、一回戦からとても危険な戦闘訓練になった。
特にみどりんと爆豪の戦いはやばかった。爆豪は殺しにいってるかのような攻撃を繰り返し、みどりんも勝つためとはいえまた個性を思いっきり使って腕がボロボロになっていた。
結果的にはお茶子が核兵器にタッチすることでヒーロー組の勝利となった。
帰ってきたお茶子に労いの言葉を掛ける。みどりんはそのまま保健室に向かったようだ。
そしてーー
第2戦 【ヒーロー組】轟焦凍・障子目蔵 対 【ヴィラン側】月下海兎・葉隠透
「私は葉隠透!よろしくね月下さん!あ、私も海兎って呼んでも良い?」
建物に入ったところで相棒の透が話しかけてきた。
「もちろん!私も透って呼ぶよ。」
そのまま二人で核兵器がある5階に向かうがその道中、私はずっと気になっていたことを尋ねる。
「透の個性は透明化で良いんだよね?それって着ている服も透明にしたりできるの?」
そう、これがずっと気になっていたのだ。きっと服を透明化して戦闘訓練が始まればグローブやブーツも透明化させるつもりではないのかと。
「え?あ、ううん、違うよ。このグローブとブーツ以外何も着てないよ。私も全力だからね!」
違った。まさかの全裸だった。
「ヒーローとしてはともかく女の子としてはどうなの?」
「でも私の個性の全力を出すにはこれが一番だしなー」
「透は髪の毛まで透明だからそれ使えば透明の
なんとなく思いついたことを言ってみたのだが、それを聞いた透のパタパタと動いていたグローブがピタリと止まる。
「……海兎って……天才?」
……どうやら気付いてもなかったらしい。
気を取り直して、5階にある核兵器の前で作戦会議をする。
「さて、まずは私の個性を説明するよ!私の個性は【雷兎】。強化された聴力と脚力が自慢だよ。あと雷を纏ったり、放出できるんだ。」
「おー!!個性把握テストでも目立ってたけど、強個性じゃん!しかも雷も使えたんだ!」
「ちなみに相手の轟と障子の個性は知ってる?轟が氷使ってたっぽいのは覚えてるんだけど。」
「うん!知ってるよ!轟君は海兎の言ってた通り氷使ってて、障子くんは握力で腕をいっぱい生やして500kg以上だったよ!まあ、海兎の9999kgにはもっと驚かされたけど。」
「あれは、ちょっとズルしたようなものだし……でも二人共かなり戦闘に特化してそうだね。」
話を聞けば聞くほど油断はできない。特に轟は推薦組だし、実力は折り紙付きだろう。
「うん!やっぱり私が前衛で注意を引いて、隙をついて透が捕縛テープを巻くのが一番かな。」
「そうだね!よーし!私も本気で行くぞー!!」
そういうと透は着けていたグローブとブーツを脱ぎ捨てた。この子に羞恥心はないのだろうか?そう思いながらもそろそろヒーロー側もスタートするはずなので気を引き締める。
「じゃあ、私が二人と戦い始めたら二人の後ろを取っていつでも飛び出せるようにしておいて。きっと二人共警戒すると思うからそれだけは――!?」
その時、海兎の耳に突然妙な音が聞こえてきた。それも聞こえたと思ったら音が一気に自分たちの方に向かってきた。
――まるで
「透っ!!!」
――訓練開始数分前――
「障子目蔵だ。よろしく頼む。」
「ああ、轟焦凍だ。」
ヒーロー側の二人だが、お互い積極的に話すタイプではないのか、ヴィラン側と比べて会話が全くない。お互いの個性の説明をしただけで無言になってしまった。
そのまま時間だけが過ぎていき、オールマイトから訓練開始の通信が入る。
障子はビルに入り次第、耳を複製し索敵を始める。
「周辺から音はしない。恐らく上階にいるのだろう。核も下の階にある可能性は低いと思う。」
「そうか。……悪いが、少し建物から出ていてくれるか?」
首を傾げながらも轟の指示に従い、障子はビルから出た。
――すぐに終わる。
轟が呟いた瞬間、ビルが一瞬で凍りついた。
「は?」
障子が驚くのも無理はない。個性把握テストで見ていたのもあるが、本人からも氷の個性と聞いている。
しかし、ビルを丸ごと凍らせてしまうなど誰が想像できるだろうか。
「足元、滑りやすいから気を付けろ。」
驚愕する障子に一言告げて、轟はスタスタとビル内に入って行く。
今の一撃で決着がついたと判断したのか、その瞳にはすでにヴィラン組の二人のことなど映ってはいない。
いや、そもそも最初から映ってなどいないのだろう。
今、この瞬間も轟には一人の男しか見えていないのだから……
海兎の
ONE PIECEでキャロットが使っている爪がついたグローブは殺傷力が高そうという理由でなしにしました。