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ー西暦1945年8月6日ー
日本に原爆が落ちたその日、太平洋では誰にも知られることのない死闘が繰り広げられていた。
ドォォン! ドォォン! ドォォン!
太平洋に砲撃音が木霊する。
そこには二隻の軍艦が戦っていた。
一隻は艦橋と煙突部が大和型のものだった。
だが、兵装では従来の大和型を凌ぐものだった。
主砲は大和型の特徴である三連装砲ではなく四連装砲、しかも46cmを上回る大口径砲だった。
そして、何よりこの戦艦が異質なのは艦首に付いている螺旋状の掘削機械『ドリル』を搭載していることだった。
もう一隻はアメリカ戦艦の艦橋に見るからに大きい煙突部に八本の太いパイプが接続されており、主砲はアイオワ級と同じ16インチ砲だった。
そしてこの艦も艦首に二本のドリルを装備していた。
今戦っている二隻の軍艦は大日本帝国海軍が建造した万能戦艦『羅號』とアメリカ合衆国海軍が建造した万能戦艦『モンタナ』だった。
その二隻は互いの主砲を撃ち合い、船体の各所に砲弾の直撃による穴が空き損傷が激しい中、『羅號』に動きがあった。
なんと艦首のドリルが回転し、そのままモンタナに突っ込んだのだ。
モンタナも慌てて羅號を止めようとするが、お構いなしに突撃し遂に
ズガァァァァァァァァン!!
大きな音を立ててモンタナの右舷前方にドリルが直撃し、モンタナは大破した。
もちろん羅號もただでは済まなかった。
だが、次の瞬間
ズドォォォォォン!!
羅號の船体各所から爆発が起きた。
そう、羅號はモンタナに対して自滅覚悟の相打ちで沈めるつもりだったのだ。
その後、音を立てながら二隻とも沈んでしまった。
「浸水止まりません!もう沈みます!」
「艦長、本艦はこれまでであります。脱出の用意を!」
「あと一人乗せれます!」
「副長、君が乗れ。」
「そんな!艦長が乗ってください!」
「いや、この艦を自沈させる形で相打ちを選んだ。その責任は私が取る。君達は生き延びろ!!」
「艦長ーーー!!」
内火艇が発進し、艦長は艦と運命を共にすることになった。
「・・・この艦を『奴ら』の侵略に使わせはしない。」
男は胸のポケットから一枚の写真を取り出す。
そこには一組の男女が写っていた。
「すまない、富子。お腹の子を見れそうに無い・・・」
次の瞬間浸水し、やがて男を飲み込んだ。
そのまま羅號は沈んだ。
そして時は流れ西暦2039年ーーー
温暖化の影響により地上の版図を大きく失った人類に、突如現れた『霧の艦隊』によりシーレーンや海底ケーブル、通信網も遮断され、人類は孤立し内紛まで起こる有様だった。
千早群像と仲間達が乗り込む霧の潜水艦イ401が世界に風穴を開けようと奮闘している中、西暦2048年になっても世界は大きく変わらなかった。
だが、人類はともかく霧の連中も知る由もなかった。
地上の制圧を目論む『第三勢力』が活動を開始した・・・
いや、この時まで奴らは暗躍していたことを。
「・・・万能戦艦の様子は?」
「万能戦艦『モンタナ』『インペロ』はそれぞれ太平洋、インド洋へと派遣、『インヴィンシブル』『ガスコーニュ』『ソビエツキー•ソユーズ』『フリードリヒ•デア•グロッセ』は改修作業を90%まで完了、まもなく戦線に投入出来ます。」
「・・・建造中の二隻はどうだ?」
「はっ、『第一号艦』は50%、『第二号艦』は30%の工程が完了。まだ時間はかかりますが順調です。」
「・・・通常艦艇の建造はどうなっている?」
「A型潜水艦、B型潜水艦、C型潜水艦はそれぞれ目標の74%、51%、39%とおおむね順調です。」
「そうか、ところで・・・『羅號』は発見できたか?」
「それが・・・羅號の沈没地点をくまなく調べたのですが、それらしい残骸は発見できませんでした。」
「・・・そうか。引き続き捜索せよ。」
「はっ」
そう言うと男は不敵な笑みを浮かべた。
海底に一隻の戦艦があった。
それは大和型の艦橋に四連装砲、艦首ドリルを装備した戦艦だった。
その艦内に白衣を着た女性と6人の男女がいた。
「・・・遂に恐れていたことが起きたわね。」
白衣を着た女性は言った。
恐れていたこと・・・それは彼女の祖国『レムリア帝国』が地上制圧の為に動き始めたことだった。
「有坂君、準備はいい?」
「大丈夫です!他のみんなも準備が完了しています!」
「そう、ならいいわ。」
今度は6人の男女のリーダーである男性が準備が整ったことを告げる。
「これより本艦は慣熟航海を終えた後、『蒼き鋼』と合流し共に風穴を開ける!海底軍艦『羅號』発進!!」
物語はここから始まる・・・