新海底軍艦〜アルス•ノヴァ〜   作:あーくこさいん

5 / 12
第4話 予兆

ーレムリア帝国 帝都ジオラビランスー

 

羅號が発進したその頃ーーー

 

地下空間に存在するレムリア帝国帝都『ジオラビランス』の大小様々な建築物の中に黒い正方形状の建築物があった。

その建物の中に白いマントを羽織った青年がいた。

その少年こそレムリア帝国国家元首『ゼノン=タイタニア』であった。

ゼノンが各方面の状況を把握している頃、通信が入る。

レムリア帝国軍情報局局長『パルサー=オーヴェント』だ。

 

「閣下、報告がございます。」

 

「なんだ?」

 

「先程、日本海大和堆に重力炉のエネルギー反応を確認。『羅號』と確認しました。」

 

「・・・そうか。」

 

ゼノンは一旦間を置くと、

 

「恐らくアネットの差金だ。彼女は王女であると同時にエンジニアである。だから羅號に細工・隠蔽する事ぐらい容易いだろう。」

 

「では、どのように?」

 

「ふむ・・・『モンタナ』を向かわせる。『あの男』は羅號との再戦(リベンジ)を望んでいる。それを叶わせてやろうじゃないか。」

 

ゼノンは『モンタナ』の艦長に通信を入れる。

 

 

 

 

 

 

 

ー太平洋の何処かー

 

「片付いたか。」

 

男が呟く。

そこには一隻の戦艦がいた。

艦橋の形からアメリカ型戦艦と推測できるが、艦首に2本のドリルを搭載していることから異形の戦艦だということは確かだ。

そしてその戦艦の周りは軍艦が数隻いた・・・いや、燃え上がっていた。

そう、霧の軍艦だ。

なんとこのモンタナは霧の艦隊東洋方面第二巡航艦隊を単艦で壊滅させたのだ。

 

「ふん、霧などこのモンタナの前では鉄屑(スクラップ)も同然。恐るるに足りん。」

 

男はそう吐き捨てる。

服装からしてアメリカ海軍士官と思われるが、右目部分が機械でできていた。

そして艦橋にはその男だけで無く、白い作業着を着た人が何人もいた。

 

「艦長、ソナーに感あり。霧の潜水艦と思われます。」

 

「ほう、ならそいつも沈めるとしよう。潜航始め!」

 

そう言うと、モンタナは音を立てて潜り始めた。

 

 

 

 

「なんだあれは・・・」

 

霧の潜水艦イ400は絶句した。

事の始まりは数時間前まで遡る。

突如東洋方面第二巡航艦隊より『正体不明の戦艦より攻撃を受けている』との通信を最後に反応が途絶えたのだ。

その為、イ400とイ402は偵察に向かったが、そこで見たのは第二巡航艦隊がたった一隻の戦艦によって蹂躙される様だった。

 

「旗艦ナガト以下、すべての艦艇の反応消失・・・」

 

驚くのも無理はない。

本来世界各国の軍隊を上回る科学力を持ち圧倒してきた霧が、なす術もなく蹂躙されるなど誰が想像出来ようか。

次の瞬間、その戦艦はこちらに気付いたのか潜水し、こちらに接近した。

 

「くっ、侵食魚雷発射!」

 

イ400とイ402は侵食魚雷を発射する。

その戦艦は迎撃手段が無かったのか、侵食魚雷は全弾命中した。

だが・・・

 

キィィィィィン!

 

甲高い音が鳴り響き、侵食魚雷は緑色の光に包まれて消滅した。

2人は驚愕する。

 

「馬鹿な、侵食魚雷のタナトニウムを吸収、無力化しただと・・・」

 

「我々にそんな能力は無い、あり得ません・・・」

 

するとモンタナの艦底部の各所からハッチが開き、

 

「ロケットランチャー、fire!!」

 

ズドドドドドド!

 

その瞬間、艦底部から無数の噴進弾は放たれた。

 

「クラインフィールド展開!」

 

2隻はクラインフィールドを展開したが、

 

「・・・えっ?」

 

なんとクラインフィールドを展開しているにも関わらず、その噴進弾は船体を貫通し、イ402は爆発した。

 

「イ402!!」

 

イ400の叫びも虚しく噴進弾が数発命中し、メンタルモデル諸共爆沈した。

 

「敵潜、2隻とも撃沈。」

 

「艦長、司令部より通信が入っています。」

 

「繋げ。」

 

国家元首ゼノン=タイタニアとの通信が繋がった。

 

「ロバート艦長。モンタナの様子はどうだ?」

 

「良好だよ。問題は『奴』との戦いだが・・・」

 

「その事についてだが、『羅號』の反応が日本海大和堆で確認された。」

 

するとロバートの表情は一気に変わり、

 

「・・・フフフ、フハハハハハ!!そうかそうか、やっと奴と戦えるのだな!何年待ったことか・・・」

 

「とりあえずモンタナには横須賀に向かってもらう。」

 

「・・・それはどうしてだ?」

 

ゼノンは情報局が調べた羅號の乗組員の情報を出す。

無論、有坂と群像の関係も話した。

 

「・・・というわけで、羅號は蒼き鋼『イ401』と合流する可能性が高い。現在、イ401は横須賀要塞港に停泊している。そこへ行けば、必然的に羅號に会えるだろう。無論、迎撃艦隊を向かわせるが相手はラ級戦艦だ。その程度で沈むのはまず無いだろう。」

 

「・・・了解した。」

 

ロバートは通信を切った。

 

「進路、横須賀要塞港に設定!両舷全速!」

 

モンタナは横須賀に向かった。

103年ぶりの再戦(リベンジ)を果たす為に・・・

 




【メカニック解説】
海底軍艦『モンタナ』
全長:350m
全幅:72m
基準排水量:19万5千t
主砲:50口径40cm砲 9門
装甲:対40cm砲防御

アメリカ合衆国海軍が秘密裏に建造した万能戦艦であり、モンタナ級一番艦として建造された。
主砲はアイオワ級のと同じだが、2本の艦首ドリルに煙突に接続された8本のパイプが外見状の特徴。
日本本土上陸作戦の支援を想定して、艦底部にロケットランチャーを内蔵している。
ラ級戦艦の中では装甲は脆弱な方で特に艦底部の装甲が薄い。
空中戦も想定していて、艦首突起物に内蔵されたロケットアンカーで敵艦を固定して動きを封じ、有利な位置どりで戦うことができる。
羅號迎撃の為、小笠原諸島沖で戦ったが激戦の末相打ちとなって沈んだ。


【登場人物紹介】
ロバート=マッケンゼン
海底軍艦『モンタナ』の艦長。
大戦時の人間(地上人)であり、真珠湾攻撃の際に家族を失った為日本人を憎んでいる。
羅號との戦いで相打ちとなって沈んだ際には冷凍睡眠カプセルに入って助かったが、戦いで出来た傷が腐り始めて顔の右目部分を機械化せざるを得なかった。
そのため、羅號に対して復讐心を抱いている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。