一方、羅號はーーー
「各種航行システム、今のところ異常はありません。」
「田ヶ矢さん、機関部の様子は?」
「駆動システム及び動力伝達システム異常無し。重力炉も正常です。」
羅號クルーが各種システムを確認している時、
「っ!タナトニウム反応確認!侵食魚雷です!」
「来たか…花島さん、迎撃を!」
「了解!」
そう言うと花島はコンソールを動かして右舷の四連装魚雷発射管が動き、
「2番魚雷発射管、迎撃魚雷撃て!」
その瞬間、4本の魚雷が放たれそのまま12本の侵食魚雷を破壊した。
「侵食魚雷、迎撃成功!」
「響さん、敵艦隊がどんなのかスキャニングできる?」
「ええ、やってみるわ。」
響真瑠璃は侵食魚雷が向かってきた方向から敵艦隊を割り出す。
「特定できたわ。これは…ナガラ級7、重巡洋艦マヤ、大戦艦コンゴウと確認!」
「おいおい!いきなり大戦艦のお出ましかよ!」
「落ち着いて!月野さん、そのまま浮上して。花島さんは主砲及び副砲の動作チェックを!」
「「了解!」」
「羅號、浮上始め!」
羅號は大きな音を立てて浮かび上がる。
「浮上してくる…?何を考えている?」
大戦艦コンゴウは未知のエネルギー反応を感知し、重巡マヤと連携して沈めようとするが潜水艦らしき敵艦が浮上した為コンゴウは困惑していた。
そして大きな音を立てて羅號が浮上した。
全長390mの巨体が浮かび上がり、これにはコンゴウやマヤもたじろぐ。
「デカい…だが!」
コンゴウの主砲が展開し、そこからビームが放たれる。
マヤや他のナガラ級も同様にビームを撃ち、やがて羅號に迫る。
だが、
キィィィィィン!!
ビームが当たった瞬間、緑色の光に包まれ消滅した。
「バカな…ビームを吸収、無力化しただと…」
「なにこれ!こんなのないよ〜!」
次に侵食弾頭を搭載した砲弾と魚雷で攻撃したが、さっきのビーム同様吸収、無力化された。
羅號の圧倒的なスペックにコンゴウはおろか有坂達も驚愕していた。
「なんじゃありゃ…」
「
「なにそれ、チートじゃん…」
「だけど敵側もAAを無効化する技術を持っているから無敵とは言えないけど…」
「有坂!主砲の装填終わったぞ!」
有坂は頷くと、
「よし!全主砲、斉射!!」
その瞬間、羅號の主砲が火を噴き、コンゴウ艦隊に向かった。
そしてナガラ級を4隻撃沈した。
「ナガラ級4隻撃沈!コンゴウ、マヤは未だ健在!」
「有坂、主砲の装填及び照準に約1分かかる!」
「分かった。その間は副砲で応戦して!」
主砲が装填している間に副砲で残った敵を攻撃する。
コンゴウも反撃するがビームと侵食魚雷は吸収、無力化され、羅號の副砲は命中したが、クラインフィールドで無力化された。
「くっ、厄介だな。クラインフィールドとかやらは。」
「副砲じゃ決定打にならないわ。主砲の装填が終わらないと…」
「主砲撃てるぞ!」
「分かった!主砲、一斉射!」
主砲が火を噴き、12発の砲弾がコンゴウ達に向かってくる。
「フン、無駄なことを…」
コンゴウは今現在クラインフィールドを張っている為、羅號の主砲も効かないと高を括っていたが、次の瞬間、
ズドン!
なんと貫通してナガラ級は轟沈、マヤは艦尾に直撃し船体が傾いてしまった。
コンゴウも艦首と中央部に直撃し主砲2基が吹き飛び中破した。
「なんだと…なぜクラインフィールドを貫通して…」
その瞬間、コンゴウの重力子機関に誘爆し爆沈した。
マヤも同様に爆沈し、海の底に沈んだ。
「…コンゴウ及びマヤ、轟沈しました。」
「響さん、メンタルモデルの反応はキャッチできる?」
「ちょっと待ってて…見つけたわ!モニターに出すわね。」
そう言うとモニターに現在の状況が映る。
コンゴウは誘爆しメンタルモデルが吹っ飛ばされた為、船体から離れた場所にあり、マヤは船体の中に反応を探知した。
「しかし、どうやって回収するんだ?」
「う〜ん…『源兵衛』を使うのはどう?」
「えっ!あれって陸戦用の兵器ですよ!確かに装甲が強靭で耐圧性も優れているとはいえ危険では…」
「だが、これしか方法は無い。天羽さん、僕がいない間艦のことお願い。」
「分かったわ。…無事に帰ってきてね。」
有坂は頷く。
羅號が潜航し、ある程度の深度に達すると艦底部のハッチが開いた。
そこにはあるマシン…『源兵衛』が投下された。
緑色のボディに背中に搭載された2基のバーニアが特徴的な人型機動兵器だ。
「響さん、メンタルモデルの反応は何処か分かる?」
『反応からして、このまま真っ直ぐ進めば見つかると思うけど…』
「分かった。」
そう言うとバーニアを起動して進む。
すると所々欠けているコンゴウを発見した。
有坂はコンゴウをやさしく掴むと腹部の格納スペースに入れた。
続いてマヤのメンタルモデルは船体内にあるので、沈んでいるマヤに近づきメンタルモデルを回収するため邪魔な装甲を引っ剥がす。
内部に侵入したが、奇妙な音が鳴り響く。
それでも進むとマヤを見つけたが…
「…何あれ?」
『“カーニバルだよっ!”“カーニバルだよっ!”“カーニバルだよっ!”“カーニバルだよっ!”“カーニバルだよっ!”』
まるで壊れたラジオのように同じ事を繰り返しているマヤだった。
『…さぁ?』
『壊れているんじゃない?』
そう言いながらも回収する。
回収し終えた後、源兵衛は羅號に帰還する。
回収したメンタルモデルはメディカルルームへと運ばれて修復されることになった。
「アネットさん、二人の様子は?」
「コンゴウの方はこのまま安静にしていれば問題ないわ。問題はマヤの方だけど…」
「修復不可能なのか?」
「いや、マヤの場合メンタルモデルではないの…」
「えっ?どう言うこと?」
「厳密にはメンタルモデルに似せて作られた監視ユニットなの。おそらくコンゴウを監視する為に作られたんだと思う。」
「…つまり、マヤは元々メンタルモデルが存在しないってこと?」
「そういうことになるわ。ちょっと待ってね…」
彼女はコンソールを動かすと、手のひらサイズの球体…ユニオンコアが現れてマヤの体内へと入っていく。
次の瞬間、躯体が光り始めた。
「これでこの子はメンタルモデルを獲得したわ。性格も以前と同じように調整したから、これで問題はない筈だけど…」
「ねぇ、さっきの球体は…」
「あれはユニオンコアって言って、霧の機関部的存在で…人間で例えるなら脳と心臓を兼ね備えたものよ。」
そうこう話している内に響から通信が入る。
「有坂!横須賀の様子をハッキングしたけどとんでもないことになっているわ!」
その報告を聞いて有坂は司令室へと入っていく。
「響さん、横須賀港の様子は?」
「モニターに出すわ!」
次の瞬間、モニターに横須賀の様子が映る。
そこには燃え上がっている横須賀要塞港と、何やら2隻の戦艦が合体したような巨艦がいた。
その巨艦を中心に海が割れ、その中に潜水艦がいた。
「霧の大戦艦ハルナ、キリシマです!それにあれは…」
「イ401…群像達か!」
「おいおい、これって超重力砲を撃つつもりじゃ!?」
「しかも、合体しているということはその分超重力砲の威力も桁外れなのでは…」
各クルーが大騒ぎする中、状況を把握した有坂と天羽は冷静だった。
アネットは不思議に思うが、その理由が明らかになる。
超重力砲のチャージが完了しかけた時、異変が起きた。
「えっ?侵食魚雷命中!チャージ中に命中したことにより超重力砲のエネルギーが逆流、暴走している模様!」
「ちょっと待て!侵食魚雷は何処から?」
モニターで確認すると、なんと戦艦三笠に設置した
完全にハルナ達は裏をかかれた。
縮退エネルギーを制御出来なくなり、クラインフィールドの展開もままならない状態の中、イ401はありったけのミサイルをハルナ・キリシマに叩きつける。
遂にエネルギーの過負荷に耐えきれなくなった2隻はそのまま大爆発を起こした。
「ハルナ、キリシマ共に反応消失…」
「群像さん達、これを狙ってたの…」
「ううん、多分一か八かの賭けだよ。」
「博打ね…まぁ、群像くんらしいけど。」
「それよりどうする?会いに行くか?」
「うん、そうするよ。アネットさん、ワープ装置の状態は?」
「ええ、良好よ。いつでもいけるわ。」
「よし、
そう言うと羅號の前方に緑色のリングが現れ、羅號が入っていくとリングはそのまま小さくなりやがて消えた。
【メカニック解説】
AA(アブソーブアーマー)
エネルギー吸収機能搭載特殊装甲
通常弾頭や核弾頭、侵食弾頭に超重力砲などありとあらゆるエネルギーを吸収、無力化する特殊装甲。
鉄壁の防御力を誇るが、欠点として膨大なエネルギーを消費する為、搭載できるのは重力炉を持つラ級戦艦に限られる。
中和装置
羅號などの砲弾や魚雷に搭載されている装置。
装置内部にある人工素粒子『エルトリウム』を弾頭先端に散布し、防壁システム(AAやクラインフィールド等)に衝突することで素粒子の特性により防壁を中和、貫通する装置。
霧はおろかラ級戦艦にダメージを与える画期的なものだが、装置自体が比較的大型であるため、砲弾(最低でも36cm砲クラス)と魚雷、ミサイルにしか搭載出来ないのが欠点。
量子化空間跳躍(クワンタム・ワープ)
物質を量子化してワープするシステム。
レムリア全盛期の技術だが、アネットのみが技術の復活に成功している為、アネット側が独占している。
尚、短距離しかワープ出来ない模様。
五式装甲機動歩兵『源兵衛』(同型機『喜六』『清八』)
全長:18m
全幅:14m
全備重量:32t
最大装甲厚:200mm
大戦末期に開発された陸戦兵器。
装甲厚が厚いのと、2基の大型バーニアにより水中での活動にも支障をきたさない。
固定武装は無いが、『五式大型突撃銃』と『五式ライフル砲』を搭載出来る。