―ルカ―
魔道士リンダを仲間にし、彼女の強化中にアカネイア聖王国が滅んだ。その影響で各地が混乱、ドルーア帝国とそれに与する国がそれぞれ蹂躪を開始した。全てを守れるとは思っていない、けれど手の届く範囲で戦い反抗すると決めている。苛烈な道なれど、俺は死ぬまで剣を振るう。
共に行動し、ある程度の強さを手に入れたリンダにどうする?と聞いてみたら、
「私はルカさんに救われた身、今の強さを手に入れたのもルカさんのお陰。頂いてばかりなのは嫌です、私は貴方の役に立ちたい。…だから、私は最後までルカさんと共に戦います。…戦わせて下さい!」
と熱く返され嬉しく思った。リンダ、…君は既に役立っている。魔法による援護がどれほどの助けになったか、共に戦う者がいてどれだけ心強いか。今は守りいずれ別れると思っていたのだがな、…別れるのが惜しいと思うようになっていたから有り難いよ。
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アカネイア暦603年。アカネイア聖王国が滅んで一年後、俺とリンダは宣言通りに戦い続けていた。アカネイアにて軍の残党狩り及び元国民狩りをするドルーア帝国に対し、奇襲夜襲正面突破にて反抗。アカネイア軍残党で良識的な者達と協力して民達を救い、拠点を移しながら再起を目指して脱出に成功した。
…別に俺は、アカネイア軍に所属したわけではない。けれど全戦無敗で強烈なカリスマを持っているらしく、知らぬ間に代表…指揮官のような立場になっていた。どうにも頼られると弱い、…前はそうでもなかったんだがな。リンダを救い共に行動することで変わったっぽい、仲間を得て共に戦うことの心地よさを。…それに救った民を守るにも二人じゃ限度があるからな、やはり大規模にならねば救いきれないってことだ。
指揮官となり仲間を得て民を救う、当然ながら良いことばかりではない。アカネイア中央貴族軍残党、いわゆるクズ貴族達がやってきて命令してくる。
「うす汚い傭兵風情に軍の統率が出来る筈もなし、アカネイア聖王国の名門貴族たるこのワシが取り仕切ってやろう!…で最初の命であるが、今すぐ王都パレスへ進軍し奪還してこい!」
…だとさ、…馬鹿なのか?今更ノコノコと出てきたかと思ったら取り仕切る?奪還してこいだ?頭湧いているんじゃないか?この程度の戦力で進軍するのは無駄死にするようなもの、守るべき民がいるというのにやれるわけがないだろう。今は民を救いつつ戦力を整え、来たるべき日に備えて力を蓄えることが重要であると考えるが…、
「傭兵風情が知った口を聞くな!兵士など替えのある駒に過ぎぬ、名誉ある我ら貴族の為に戦って死ねることを栄誉に思え!それに民を救い守る…だと?そのような無駄な行いなど…いや、肉壁として使えば兵士の消耗が防げるではないか!…よし、お前達!民を引っ張り出しワシの前に並べよ!!」
俺の言葉を切り捨て、ふざけたことを言いやがる。配下の兵士に命じ、保護している民達の下へ行こうとしたところを、
ザシュッ!!
俺は一振りで数人の兵士を斬り捨てた。俺の人外級の狂業に場が固まるも、それを取り払うように叫んだ。俺の叫びに仲間達が一斉に武器を抜き放ちクズ達を討っていく、小太りのクズ貴族が狼狽えながらも、
「貴様ら!自分達が何をやっているのか分かっているのか!?これは反逆行為だ!アカネイア聖王国に弓引く行いである…『豚は死ね!!』…ぞぉっ!!?」
喚くクズ貴族を言葉終わる前に両断した。…ふん、ゴミが!
クズ貴族達を始末し死体を一箇所に集める、申し訳ないがリンダに魔法で処理してもらう。くだらないことをさせてしまったな…と思ったが、リンダは喜々としてファイアーで燃やしていた。…喜んですることだろうか?まぁいやいやじゃないようだから良いか、…にしてもアカネイア聖王国の貴族は腐っているな。こんなんだからグルニアにマケドニア、グラがドルーア帝国側になるんだよ。今まで存在していた聖王国が滅んで良かったんじゃないか?腐った貴族達を粛清し、良識ある貴族達による新たなアカネイアを建国した方が民のためだ。…この混乱を利用して生き残りの貴族達を選別しよう、獅子身中の虫となり得る者は賊として始末する方が世に良いことは確実。…何て事を零せばこの場にいる者達が賛同してくれた、特にリンダが興奮しているけれどどうしたのだろうか?
さて…このまま放浪し続けるわけにもいかない、クズ貴族達を討ったことで士気が上がっている状態だ。…この状態であれば多少の無理も出来よう、無理をしてでも拠点を手に入れるべきか?
…現在地はレフカンディ、北に行けばオレルアンがある。そしてその近くにサムスーフ山脈があり、凶賊サムシアンの拠点があるわけだが…。…ふむ、…奴等の拠点を奪うか?