―ルカ―
同行している民達の為に拠点を、…とのことで凶賊サムシアンを討伐してサムスーフ山脈を手中に収めた。このことは周辺地域に喜ばれ、白狼のルカという名を更に轟かせた。それは対立している者達を刺激するだろう、…近い内に攻められると考えねばならない。よってこのサムスーフ山脈の守りを厳重にする、早々に落ちることのない拠点として編成せねば。
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まず最初に行ったことはストーンヘッジとクインクレインの設置だ、遠距離攻撃専用兵器であるこれ等を山脈の各尾根へ。別に当たらなくてもいい、敵に対しての威嚇または脅威になってくれたら。…が当たるにこしたことはないからな、弓兵の中から適正のある者を探して扱わせよう。当然それを守る者も同時に選出、せっかく設置するのだから簡単に落とせないよう構えておく。
更に山脈各地に小さなアジトを複数配置、常に兵を駐在させておき各アジトとの連絡も欠かさないよう指示。そうしておけば何かしらあればすぐに分かる、連絡が途絶えればそこへ兵を向かわせるという方針だ。まぁ同時侵攻だとか隠密行動で各個撃破されたら意味がないけれど、やらないよりはやった方がいい。それに隠されたアジトを全て探し出すのは至難の業、その途中で察知し敵を撃破することが出来るかと。サムスーフ山脈は広大だ、アジトもそれなりに多くするから時間が掛かるぞ。
後は指揮系統か、それぞれの部門を設けてみた。一番規模の大きい歩兵を率いるのは二人、元アカネイア将兵のトムスとミシェラン。この二人はアカネイア聖王国の為に粉骨砕身で戦い続け、滅んだ後は民達を守る為に戦っていた武人だ。民達を守り戦う中でアカネイア中央貴族の腐敗っぷりに失望、早々に見切りを付けていたところで俺と出会った。互いに悪党面で民達の為に戦うところから意気投合、そこから共に苦労しここまで来た盟友みたいなものだ。実力と人望は言うまでもなし、二人になら任せられる。
弓兵を任せるのはトーマス、彼もまた元アカネイア軍人だ。トムスとミシェランとは違いまだまだ若輩者なれど、日々の研鑽を欠かさず努力する姿に期待したい。実力を上げてきているし、…何よりクインクレイン等の兵器との相性が良い。アレを設置するにあたり彼が適任である、…というかトーマス以外に任せられる者がいない。
魔道士をまとめるのはリンダ、大司祭ミロアの娘っていう肩書きが信頼を得た。俺としてはそんな肩書きよりも、リンダ個人の実力を認めているからこそ任せた。元々才能の塊だったからな、レベリングしたら大いに化けたってわけ。俺もガキの頃から化物だったけれど、リンダも同じようなものだったとは。…ただまぁアレだ、俺のせいだと思うのだが…わりと容赦ない。基本賊は即殺、血塗れになっても気にせず暴れるからな。俺としては好ましいけれど、このままでは嫁の貰い手が…。何というか責任を感じる、もうちょいと淑女らしくさせるか?…と言ってもそんな教育が出来る筈もないのだがね。
次に諜報関係を束ねるのがジュリアン、コイツは元サムシアンの盗賊だ。盗み専門だったらしく、殺しを一切していなかったが為に見逃した。見逃したわけだが罪は罪、その罪を償う為に俺の下で働いてもらう裁定を下した。ジュリアンは盗賊故に気配を消すことが上手い、その実力を見込んでこの部門の責任者に抜擢。働き次第では解放も視野に入れているからか、ジュリアン以下元サムシアンの盗賊達は真面目に働いている。彼等の働きはこれからの俺達には必要だ、この拠点を守るには情報を仕入れて戦わなければならないのだから。
…で俺は総司令官というか何というか、ガラじゃないけれどそうなった。圧倒的な武力、強烈なカリスマ、現時点で常勝無敗だからだとか。民達も俺のことを信頼してくれているようで、…そう頼られたらやるしかないじゃないか。…まぁ俺は単身突撃男だからな、上手くやれるか不安なわけよ。それを言うならそれぞれを任せられたみんなと同じだな、…よってそれぞれ助け合って戦おうじゃないか。…改めてよろしく頼む、民達の安寧の為にな!!
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サムスーフ山脈を収めてから数週間、それぞれが任された部門で腕を振るう。もちろんこの俺もまとめる立場として顔を出している、報告だけではなく自分の目で見ることが重要なのだよ。
うむ…問題ないな、みんな今出来ることをやっている。…となれば、俺の手助けは不要とみた。ここは任せて動かせてもらおうか、…そろそろこちらへ来る奴等がいるようだからな。密かに周辺を探らせていたジュリアンからの情報、オレルアン侵攻部隊の一部がサムスーフ山脈へ偵察を出した。マケドニア白騎士団の一部、天馬騎士の部隊がここに。…邪魔はさせんよ、誰にもな。
…目立つ所にストーンヘッジを設置するぞ、それを囮にして奴等を討つか…捕らえるか。一戦交えて決めるとしよう、…ジュリアン!他の面々には内密にな?