もう一度は世界蛇と   作:オクトモア

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 第二章です。銃撃戦が上手く描写出来るか不安ですが、頑張ります。


機械仕掛けの運命

 ココ達は休暇の為にアラビア半島はドバイにやってきた。19世紀まで漁業や真珠の輸出を主な産業とする小さな漁村だったドバイは、現代では世界規模の観光都市であり中東最大の金融センターでもある。観光を軸とした政策のもと、超高層ホテルや高級リゾート、ショッピングモールや人工スキー場が建設されている。おまけにドバイ沖に建設されている人工島群にも水族館やホテル、マリーナに別荘地がまだまだ建設中と、世界各国から人が集まる活気に満ち溢れている世界有数の観光都市である。

 正しく休暇にはうってつけのドバイで、一行はと言うと――

 

「なんでいつもここに来るのさ!!」

 ホテルから一歩も出ずに涼しい室内でダラダラしていた。

「いや、だって暑いし」

 そう答えるトージョ。

 

 そう、()()()()。中東は確かに暑いが、その中でもドバイは極めて不快な暑さを誇る。直ぐ近くに海がある影響か湿度が100%になることがある上、夏の最高気温が50度近くにもなる灼熱の国だ。真昼間に出歩く気なぞ一瞬でなくなってしまう。

 そんな中、この暑さを物ともしないのが、意外にもヨナであった。

 

「今日も暑いね」

 そう言って部屋へ入ってきながら、何処からか買ってきたデーツ入りのチョコレートを齧るヨナは何となく嬉しそうだ。

「あっ!ヨナ良い物食べてる!!私にもちょうだい!!」

「これはダメ」

「え~。ケチ!!」

「食べかけじゃなくて新しいのあげるから、好きなのとってよ」

 そう言うとリュックからフレーバーチョコを沢山出してきた。デーツはもちろん中東らしくスパイスを利かせたものからアラビアコーヒー味にオレンジとマカデミアナッツ――

「甘い物が好きなんですね、ヨナ君」

「バルメ、この世界にチョコレートが嫌いな軍人はいない。レーションにチョコが多いのが何よりの証拠」

「ヨナ坊、あれはカロリーが摂れるからという理由で決して好きだからという理由じゃないと思うんだが」

「そうなの?」

 ヨナは他のメンツと違い朝から歩き回っては何か買いに行ったり食べたりしていた。ドバイは全世界からの観光客が来るので英語でも大丈夫な場所が多く、ヨナの英語は中々のものなので問題無く買い食いができた。各国の美味しいお菓子が多くて飽きない、とはヨナの言葉だ。

 

「そういえばヨナ、勉強は進んでいるかい?」

「あ~……うん、少しずつだけど」

「それは重畳。君にも、我が隊に来た以上は素敵な人間にステップアップしなければならないからね。皆は一癖も二癖もあるけど、私同様に大変優秀なのであ~る」

「ふ~ん……」

「いや、そんな顔しないでよ」

 

 勉強とは、ヨナを生徒として部隊全員が彼に中等教育までの知識や技術を教えることで、少年兵である彼を思っての行動なのだが此処ではある問題が出てきた。

 ヨナの転生前を含めた実年齢である。

 見た目は少年のヨナだが、85プラス十代であり前世では特殊部隊を率いたエリートであるのでこの程度の勉強は問題がなかったのだ。もちろん彼等はそんなことは露知らず、呑気に

「ヨナは賢いから手が掛からなくてラク」

なんて言っているのだが……

 


 

 困ったことになった。

 今までは子供っぽく振舞えばバレないと思っていたが、勉強とかそう言ったことになれば話は別だ。自分の知性が全く錆びついていないのがここに来て怪しまれる可能性が出てきた。

 前世では両親が早世した為に親戚筋をたらい回しにされた挙句に陸軍幼年学校に入らされた。入学金は両親の遺産から賄ったし、その後の生活費も弁護士がキッチリと管理してくれが、こっちの要望も聞かずにやられるとどうしようもなかった。

 それに勉強は厳しかった。何せ入学者全員とは行かないが、優秀な軍人を育成する機関なのだ。軍事訓練と勉強がこれでもかとあった。カリキュラムに数学と射撃訓練が組み込まれている学校なんてそうそうない。

 なので未だに勉強と聞くとあのカデットでの地獄の日々を思い出して、全力を出してしまう。

 トージョの計算問題は瞬く間に解いてしまったし、ワイリの語学では中国の故事から来る英単語をすらすら解いてしまい、マオに至っては元素記号クイズをして負かしてしまった。

 その事を聞いたのか最近はレームが俺をそれとなく監視しているように思えるし、ルツは完全に怪しんでいる。この部隊から脱走することも考えたが、それだと間違いなくキャスパーに預けたチビ達に迷惑が掛かる。

 どうすることも出来ない、とストレスでドバイを歩き回り、甘い物を大量に買い食いしているのはその為だ。……理由の半分以上は大好きだからだが。

 

 戦闘のドサクサで死んだように偽装しようか……、そんなことを考えているとココがラップトップで誰かのリストを見ていた。

「ココ、それって――」

「うん、ヒットマンリスト。私達の近くにいる危険人物を本社が警告してくれるんだ。氷山の一角だけどね」

 そう言うとココは画面をスクロールする。そこには殺し屋の個人情報と顔写真が掲載されていた。なんとまあ多いことだ。隠し撮りされているとはいえ、ちゃんと人相が分かるのは護衛するにはいい。本部とやらの情報収集能力は優秀のようだ。

「ま、この街は治安がいいから気を付けろって言われてもねぇ」

 そうココは苦笑するが―

「気を付けた方がいいよ」

「へぇ?」

「ココに死なれたら困るよ」

 実際、死なれたら本当に困るのだ。何せ前の職場で世話をしていたチビ達を交換条件にしているのだ。もし警護に失敗したら何をされるか分かったものではない。

 

「いや~~、ヨナに心配してもらうなんて嬉しいなぁ~」

 そんな俺の死活問題なぞ露知らず、ココは鼻の下を伸ばしてデレデレし始めた。

 ……時々思うんだが俺が関わると何でだらしなくなるんだこの人。年下が好きなのか?

 貞操の危機をそこはかとなく感じる、ドバイの昼下がりであった。

 

続く

 




 時間が掛かってしまい、申し訳ありません。
 もっと良く書けるように頑張ります。

 次回で銃撃戦にいけるかなぁ?
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