異世界転生して騎士になった僕(男)は、メスオークどもからくっころを強要されていた。    作:寒天ゼリヰ

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第24話 くっころ男騎士と増援要請

 真っすぐに「貴女の副官ですから」なんて言われると、照れすぎて顔がくしゃくしゃになりそうになる。自分の頬をぺちぺちと叩いてから、「ありがとう」とだけ返した。

 そのまま、視線をアデライド宰相の方へ向けた。照れ隠しもあるが、彼女の方の首尾がどうなったのかも非常に気になる。

 

「アデライド、お加減はいかがでしょうか?」

 

 彼女は相変わらずテーブルの上でつぶれていた。いまだに顔色は悪いが、さっきよりはマシになっているようだ。

 本当ならば休んでもらいたいのだが、ディーゼル伯爵とやらが戦争準備を始めている以上こちらには一刻の猶予もない。申し訳ないが、少し頑張ってもらおう。

 

「あ、ああ……すまないが、水を一杯貰えるかね?」

 

「はい、ただいま」

 

 こんなこともあろうかと用意していた水差しからカップへ水を注ぎ。アデライド宰相に渡してやる。彼女は憔悴したような笑顔を浮かべ、首を左右に振った。

 

「出来れば口移しで飲ませてもらいたいのだが」

 

「アル様、こいつ元気ですよ。頭から水をぶっかけてやりましょう」

 

「や、やめんかっ、調子が悪いのは本当だぞ! ジョークだジョーク! 本気になるな!」

 

「たとえジョークでも気持ちが悪すぎる」

 

「うぐぅ……」

 

 またも、アデライド宰相はテーブルに突っ伏した。話が先に進まないのでふざけるのは後にしてほしい。口移しの提案には若干魅力を感じなくもないけど。

 

「で、傭兵団の雇用はどうなったんですか?」

 

 僕は一番肝心なことを聞いた。もし伯爵軍の攻撃が始まった場合、現在の僕の手勢ではまともな抗戦すら難しいからな。

 リースベン領は辺境だから、本国へ増援を要請しても到着にはかなりの時間が必要だ。ガレア王国側の領主も、自領を手薄にすれば帝国側領主の侵略を誘発しかねないので積極的な協力はしてもらえないだろう。ならば、僕が戦力を強化する手段は傭兵団の雇用しかない。

 

「そのあたりは、完全にうまく行った。一個中隊ぶんの傭兵団と契約してきたぞ。アル君の注文通り、銃兵隊を保有した傭兵団だ」

 

「素晴らしい」

 

 僕は思わず、椅子を蹴っ飛ばすような勢いで立ち上がってしまった。歩兵一個中隊は今回の防衛作戦においては必要最低限の戦力だが、銃兵が居るというのが気に入った。

 

「とはいっても、三十名ほどらしいがね。しかし相変わらず銃が好きだね、アル君は」

 

 この剣と魔法の世界にも、銃はある。とはいっても、日本の戦国時代に使われていた火縄銃とほぼ同じものだが。射程も命中精度も極めて劣悪な使い勝手の悪い兵器である火縄銃は、攻撃魔法や弓矢の下位互換扱いをされておりあまり普及していない。

 

「剣と同じかそれ以上に使いなれていますので」

 

 銃に関しては、前世からの付き合いだから、そりゃあ使い慣れているに決まってる。銃のグリップを自分のチンコ以上に握り慣れておけ、というのは訓練兵時代の教官が言い放った言葉だ。

 問題は火縄銃特有の使い勝手の悪さだが……このあたりは小手先の改良でかなり改善することができる。前世から古式銃にも興味があり、いろいろ集めていた。まさかその経験が役に立つ日が来るとは自分でもびっくりだ。

 そうやって作った新式銃は、こういう事態にそなえてある程度の数を用意している。いまさら新しく発注したり改造したりしている時間はないので、傭兵団にはそちらを使ってもらう。

 

「それに白兵で寡兵が大軍に勝つのは奇跡のようなものです。今回のような状況では、防衛陣地を構築して射撃戦を挑むのがもっとも勝率が高いように思われます」

 

「なるほど。ふん、私にはよくわからんが、アル君が言うのならそうなんだろうな」

 

 アデライド宰相は本気でよくわかっていない表情で頷く。この人は商業振興の功績で貴族に叙爵された異例の家の出身だからな。戦争に関しては素人同然だったりする。

 

「とにかく、軍事に関しては君に一任するほかないからな。だからこそ、バックアップは任せてもらいたい。傭兵団以外の要望もおおむね通すことが出来たから、安心してくれ」

 

 そう言って、アデライド宰相は一枚の紙を手渡してきた。僕が事前に渡しておいた、必要なものリストだ。軍馬や火薬など、この町では手に入らない物品ばかりが記載されている。

 

「文官の方も無理を言って融通してもらった。傭兵団と一緒にこちらへ派遣してもらう予定だ。これで、行政面でも一息つけるだろう」

 

「ああっ、それは助かります」

 

 素人ばかりで行政を回すのもそろそろ限界が来てたからな。文官たちが到着すれば、僕も軍事面の課題へ集中できるだろう。現状では、とてもじゃないが迎撃の準備など始められない。

 

「ははは、そうだろうそうだろう。なんといっても、親愛なる君のためだからねえ? もちろん、投資した分はいずれ返してもらうがねぇ……」

 

 アデライド宰相は目を細め、僕の身体に舐めるような視線を向けた。背中にゾワゾワした感覚が走る。異性からの性的な視線って、ここまでハッキリわかるもんなんだなあ……。

 

「オレアン公の策略を逆手にとれば、ミスリル鉱山をこちらが手に入れられる可能性もある。そうなれば、宰相も大儲けできるだろうな。それで十分だろう?」

 

 しかしこの場にはソニアが居る。彼女に睨みつけられたアデライド宰相は、冷や汗をかきながら目をそらしてしまった。

 

「いや、それはそうかもしれないが、ねえ? カネよりも先に欲しい役得があるというか……」

 

「うるさい。貴様にとっても悪い話ではないのだから、馬鹿なことを言っていないで粉骨砕身働け。色ボケしている暇はないぞ」

 

「くっ……」

 

 悔しそうな顔で歯ぎしりするアデライド宰相。どうやら、ソニアは彼女のセクハラを断固阻止する腹積もりらしい。僕としては、助かったような残念なような……どうにも複雑な気持ちになってしまった。

 とはいえソニアの発言には一理ある。今はオレアン公やディーゼル伯への対処に集中するべきだろう。……年がら年中こうやって仕事に追われてるから、僕はいつまでたっても結婚できないんだろうなあ。

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