異世界転生して騎士になった僕(男)は、メスオークどもからくっころを強要されていた。    作:寒天ゼリヰ

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第56話 メスガキ騎士と捕虜虐待

「おい、これで全部か?」

 

「怪しいな、どこかに金目の物を隠してるんじゃないの」

 

「ぴゃあ……」

 

 私、カリーナ・フォン・ディーゼルは、リースベン軍の兵士たちの手によって裸に剝かれていた。

 

「ほかに何か隠し持ってるんじゃないかって聞いてるんだよ!」

 

 その狼獣人の兵士は、手槍の石突で私をつっついてくる。なにしろ下着すら奪われているので、その程度でも凄く痛い。目尻にジワリと涙が浮かんだ。

 

「も、持ってないわよぉ……アンタらに取られたので全部だって!」

 

「嘘つけオラァ!」

 

「ぴゃあああっ!」

 

 蹴り飛ばされて、私は地面に転がった。足に重り付きの枷がつけられているから、抵抗することもできない。土まみれになりながら、私は昔のことを思い出した。

 従士として、初めて母様に戦場に連れて行ってもらった時のことだ。母様の活躍もあってあの時は完勝し、たくさんの騎士を捕虜にした。

 捕虜になった騎士は甲冑はもちろん下着まで、身に着けている物すべてを戦利品として奪われていた。さらに、身代金が払えない者は容赦なく処刑されている。あの時は「可哀想に」なんて他人事に思ってたけど、自分が当事者になってみるととんでもない。歯を食いしばったけど、耐えられずに涙がボロボロ出た。

 

「も、もう何も持ってないです……ゆるぢでぐださい……」

 

「ああ? 泣きやがったこいつ! ははははっ! 開戦前にはあんな大口叩いてたのになあ!」

 

「たしか、代官様を犯すとか言ってたのよね。騎士の称号がもったいないくらいのクズじゃない!」

 

 兵士たちは嘲笑を浮かべながら私を槍の石突でつっつく。痛みと、そしてディーゼル伯爵の三女である私が平民どもに好き勝手嬲られている屈辱感で、いよいよ涙が止まらなくなってきた。悔しくて情けなくて、ぎゅーっと拳を握り締めたけど、駄目だ。

 

「ごべんなざい……ごべんなざいぃ……」

 

「はー、馬鹿らし。こんなゴミみたいなのがデカい顔してたのか」

 

「許せないよねえ? 骨の一本や二本くらいへし折っても許されるんじゃないの」

 

 兵士の言葉を聞いて、寒くもないのに私の歯ががちがち鳴り始める。しかし、そんな私の様子にリースベン兵はかえって面白そうな顔になって――

 

「やめんか」

 

 だが、そんな彼女らを制止する者がいた。戦場には似つかわしくない、男の声。慌てて声の出所に顔を向けると、案の定そこには平服姿のアルベールが居た。

 

「ぴゃっ、ぴゃあああああっ!!」

 

 兵隊なんかよりよっぽっど怖いのが来た!! 私は頭が真っ白になり、ひっくり返りそうになった。股からちょろちょろ音がして、尻のあたりの土がドロドロになる。無意識に失禁してたみたいだけど、私はそれどころじゃない。

 だって、魔装甲冑(エンチャントアーマー)を着込んだ人間を真っ二つにするなんて、もう人間じゃないのよ! しかもそんな化け物の一騎討ちを邪魔してるんだもの、今度こそ殺される!!

 

「こっ、殺さないでぇ! 謝るから! 許してぇ……」

 

「捕虜を無意味に殺すような真似をするわけないだろ……」

 

 しかし、予想に反してアルベールはひどく微妙な顔でそう呟いた。今のところ、腰のサーベルを抜くような素振りもない。……え、もしかして助かった?

 

「ああ、代官様! ひん剥いた戦利品はそこの籠にまとめておきましたよ」

 

「こいつを倒したのは代官様ですからね。その権利はすべて代官様のものですから……ブローチ一つポケットに入れてませんよ、安心してください」

 

「あ、ああ、そう。ご苦労、助かる」

 

 ひどく困った表情でそう言ってから、アルベールは兵士たちの前に歩み寄った。そして私の方をちらりと見てから、続ける。

 

「それはいいんだが、僕の部隊に居る時は捕虜はそれなりに丁重に扱ってくれないか? こういうのは、あまり気分が良くない。気晴らししたくなる諸君らの気分はわかるんだが……次の補給で酒や煙草を多めに持ってくるよう頼んでおくから、そっちで我慢してほしい」

 

「ああ、こりゃ失礼しました! よく考えりゃ、ションベン垂れたきたねえクソガキの裸なんか、紳士に見せるもんじゃあありませんしね」

 

「すみませんねえ、戦場暮らしが長いとどうもデリカシーが……ははは」

 

「別にそういう訳じゃないんだが……」

 

 げらげら笑う兵士たちに、アルベールは何とも言えない顔をした。戦場で鬼神のように大暴れしていた姿からは想像できない、どこにでもいる普通の男のような表情だった。

 

「まあ、いい。確かにいつまでも裸にしておくわけにはいかないな」

 

 そう言って、アルベールはもう一度私を見た。そして、顔を赤らめてすぐに目を逸らす。

 ……何それ! やめなさいよそういうエロい仕草をするのは! こんな時なのにムラムラするじゃないの!

 ヤバイヤバイ、まだ命の危機は去ってないのに、なんだかびっくりするくらい興奮してきた……。そういやあの腐れミヒャエラが『死にそうなくらいボロボロになった状態で男を犯すときが一番気持ちが良い』とかほざいてたけど、それってこういう事なの!?

 

「もともと着てた服は……ドロドロだな」

 

 そんな私の様子に気付かず、アルベールは私からはぎ取った戦利品が納められた籠の中を覗いて呟いた。甲冑を取られた段階で随分と兵士たちにいじめられたから、服の方はそりゃあもうひどい有様よ。ただでさえ、汗でベチャベチャだったわけだし。

 

「予備の服は……あるわけないか。しばらくこれで我慢してくれ。いや、先に水浴びか?」

 

 そう言ってアルベールは、自分のシャツを脱いで私に寄越した。肌着だけになった彼の上半身と、渡された肌着から立ち上るかぐわしい男の汗の香りが私の情欲をさらに刺激した。

 誘ってるのか、この男は!!!! 押し倒してやろうか!!!! そう思った瞬間、近くに居た兵士が叫んだ。

 

「アーッ! いけません代官様! 紳士がこんな場所で肌を晒されては!! おい、お前も何興奮してるんだクソガキィ! 代官様に指一本触れてみろ、晒し首じゃ済まさんぞ!!」

 

「ごめんなさいぃ!!」

 

 生殺し!!

 


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