【凍結】少し歪んだハリー(♀︎)をどうにか支えたい転生オリ主の話 作:わんだー
ハロウィンのトロール事件からまたある程度時間が経った。最近、ハリーたちがコソコソと何かを調べて居るらしい。
まあ十中八九賢者の石の事だろう。そこら辺の石ころから黄金を錬成し、永遠の生を得る水を作り出す錬金術の極地。
賢者の石の守りに関しては、たぬき爺ダンブルドアの性悪トラップ『みぞの鏡』を見た上で、『使わないけど賢者の石が欲しい』と思うことで手に入れられるとかいう対闇の帝王特化みたいなトラップがあるため、正直な話ハリーたちさえ死ななければ他は割とどうでもいい。…女の子なんだからもう少し大人しくしなさいとは言いたいが。
さて、近況報告はこれくらいにしておこう。実はもうそろそろクリスマスの時期だ。幸いハロウィンとは違って何があるわけでも無いが、クリスマスプレゼントの用意は必要だ。
とりあえず仲のいい四人組へ送る物は、ロンへは最高級の魔法使いのチェス、ハーマイオニーにはグリフィンドール家にあった魔法の書と最高級の羽根ペン、マルフォイには防護呪文がかけられた純銀の腕輪、グリーングラスには防護呪文がかけられた純銀のネックレスを上げる予定だ。
そして、ハリーには取っておきを渡すつもりだ。その名も携帯型煙突飛行ネットワーク。ハンドガン型の道具で、引き金を引いて行きたいところを告げると行きたい場所の最寄りの暖炉に繋がる道具だ。俺の曾祖父?か祖父が理論だけ作って放置していたのを俺が改良を加えて作成した。量産出来るようにならばロンたちにも渡す予定だが、とりあえずはハリーだけに渡しておく。…ダーズリー家からの脱走にも使えるだろうしね。
「ラッピングはこれでいいか」
さて、あとはクリスマスを待つだけだ。
★★★
待ちに待った…訳でもないけどとりあえずクリスマスの日が来た。目を覚まして初めに目に入ったのは大量のプレゼント。頭が痛くなりそうな量のプレゼントに軽く頭を抱えそうになるが、とりあえず知り合いのものと知り合いのものでないものを分ける。
「これはマルフォイから…それでこれはグリーングラスからか。それにハグリッドからも来てる。しまった、想定より多いな」
とりあえず知り合いからの分は全部開けたところで談話室へ行く。そこではロンとハリーがプレゼントを開封していた。
「メリークリスマス、ハリー、ロン」
「メリークリスマス!ノア!チェスありがとう!」
「メリークリスマス、ノア。ねぇ、これどうやって使うの?」
携帯型煙突飛行ネットワークを眺めて聞いてくるハリーに笑いながら使い方を教える。あまり変な使い方はしないようにとも言う。校則なんて無いみたいな物だからね。
「それを使えるのはハリーとロン、ハーマイオニー、マルフォイ、グリーングラスだけだ。あと俺もね」
実はこの銃にはグリフィンドールの剣と同じで、所有者権限と言うものがある。俺が認めた人物しか使えず、認められていないものが無理やり使おうとすると銃が爆発して消滅する。爆発の威力は相応のものにしてある、だいたい
「へぇ…凄いや」
「凄いなんてもんじゃないよ!これがあれば僕たちは何処にでも行けるんだよ!?」
「それはそうだけどね…っと、ハリーその布は?」
俺が指さした不思議な色味の布をハリーが首を傾げながら見つめる。
「よく分かんないんだよね、コレ」
「待って、これって…透明マント!?纏ってみてよ!」
「え?うん…私、透明になってる!?」
俺の予想はあっていたらしい。イグノタス・ペベレルが作った三つ目の死の秘宝、死からすらも逃れる本物の透明マントだ。永続的に透明化の力が残り続ける宝物だ。…ニワトコの杖は見たことがあるけど、これで二つ目か。
「わあ…すっごいや!すっごく高いんだよそれ!」
「そうなの?この銃とどっちが高い?」
「その透明マントだろうね。その銃は俺が作ったものだしね」
「「作ったの!?」」
二人の叫び声が響く。何となく予想はしてたが驚かれるかぁ…理論自体は難しくない。なにせ、ほとんど煙突飛行ネットワークと変わらないんだから。それを縮小させるのが面倒なだけで。正直あと3年もあれば量産化できるだろう。しないけど。悪用し放題だろうこんなシステム。
「おったまげ、マルフォイから箒磨きが来てる!それも最高級のだ!」
「私にも来てる。それにこれは…ニンバス2000用の物?」
「マルフォイはセンスがあるな」
三人で笑いながら山積みにされたハリーのクリスマスプレゼントを開封していく。そのうちの一つに、とあるものがあった。
「これはアルバムか?」
「これって…パパとママ?」
「…そうか、これを送ったのは…」
そのアルバムの中の写真にはたった一枚だけの写真があり、その写真には赤毛の女性と黒髪の男性が写っていた。そして、こんな写真を持ってるのはただ一人しかいない。黒髪の男性──ジェームズ・ポッターが写っているものを送って来るとは思わなかったが、クリスマスプレゼントとしてはこの上ないな。そうだろう?セブルス・スネイプ。
「これ、誰が送ってくれたんだろう…」
「さぁ、誰だろうね」
含み笑いを浮かべると疑うような目を向けてくるが俺が送った訳では無いのでね、プライバシーは守らないとな?
「さ、クリスマスの食事を食べに行こう。ハロウィンと違って安全だろうからね」
「あんなことがそうそう起こって欲しくないよ…」
「来年のハロウィンはどうなるかな?…本気でイタズラしてみるのもいいな」
「「やめて!?」」
安心して欲しい、来年のハロウィンもまともに過ごせないからね!
★★★
クリスマスが終わり、数日が経った頃、バタバタとハリーが俺とロンの寝ている部屋に入ってきた。女の子なんだからもう少し恥じらいを持ちなさい。
「そんなことはどうでもいいの!すごいのを見つけたの!来て!」
「…なんだい、一体…」
俺とロンはハリーに連れられるまま、辿り着いたのは一つの鏡の前。あ、これもしかして…。
「ほら、ここに立ってみてよ!私のパパとママが!」
「え?僕には僕がクィディッチで優勝して、首席になって監督生になる風景しか見えないけど…?なにこれ、未来を映すの?」
ロンが鏡の前に立つが、ハリーのパパとママなんて見えないと呟く。しかし、未来を映すなんてことはありえない。なにせ…
「ありえないよ、私のパパとママは死んでるんだもん…」
「あ、ご、ごめん…ノ、ノアは何が見えるの?」
「…見たくない」
口から漏れるのは冷たく低い声。でも、目はその鏡から逸らせない。何が映るのか分かっているくせに、一度でも良いから顔を見たいと何かが叫ぶ。
「ノ、ノア…?どうしたの?」
フラフラと体が制御出来ない。フラリと辿り着いた鏡の中に映るのは──俺と共に笑う四人の男女の姿。そして、一番近くに映っていた金色の髪の優しげな女性が後ろから抱き締めてきて──バチリとなにかがはじけた。
───あたまが、いたいなぁ…
「ノアッ!?」
★★★
鏡を見た瞬間急にノアがフラフラとし始めた。嫌な予感とノアの様子に異様な胸騒ぎがする。目だけは鏡を見てまま、自分が何者かも分かっていないようなぼんやりとした表情。
「ロン!ノアを止めて!あの鏡に近づけちゃダメ!」
「分かった!」
私とロンがノアを止めようと手を伸ばすが、間に合わず私たちがノアの腕を掴もうとした時にはノアは既に鏡の前に立っていた。
「あ…ああ…あああああ!!」
「ノア!ノア!?」
鏡の中に何を見たのか分からないが、今までに見た事ないほど取り乱すノア。その目に浮かぶのは…恐怖?
「ノア、どうしたの!?」
「お、おい!大丈夫か!?」
「やめて…けさないで…ぼくを、ひとりにしないで…ヘルガ…」
誰かの名を呼んでパタリと倒れるノア。慌てて助け起こすが荒い呼吸をしており、目を覚ます様子はない。ロンに先生を呼んできてもらおうとして…唐突に一人の老人が現れる。
「これは…ロンや、スネイプ先生を呼んできてくれぬか?早急にじゃ」
「うげ、スネイプか…いや、わ、わかりました!!」
スネイプの名を聞いて嫌そうに顔を顰めるが、地下牢のある方へ走っていくロン。ロンが去ったのを見てノアを魔法で浮かせる老人…ダンブルドア先生。
「あ、あの…ダンブルドア先生…ノアは、大丈夫なんですか?」
「うむ…大丈夫じゃ。命に別状は無い。じゃが、精神は別じゃ。…うむ、キミにだけは話しておこうかの」
静かに語り始めるダンブルドア先生。その内容は正直想像を絶するものだった。ノアが誰にも語らず、アルバス・ダンブルドアにすらも全ては語っていないノアの秘密。それは──
「──ノアには感情が無いのじゃ。あるのは愛のみ。故にこの子は他の何者かを魔法によって殺すことが出来ぬ。それが闇の帝王であろうと、トロールであろうと、無論、キミやワシであろうと同じじゃ」
生まれつき感情がないのではなく、ある時突然失ったのだとダンブルドアは語る。ノアやダンブルドアクラスの魔法使いからすれば強いとは言えないトロール相手にあれほどの大魔術を使ったのは何故なのか。それは悪霊の火ならば、トロールに向けて撃たなくても
「そんな…なんでそんなことに?」
「…この子に感情が無い理由は分からぬ。じゃがな、この状況を齎した記憶を封じた者が何者かは分かっておるのじゃ」
「…それは、誰なんですか?」
「ヘルガ・ハッフルパフ。1000年前に存在した、ホグワーツ創始者の一人じゃ」
静かに告げられた言葉に目を見開く。1000年前の、魔法使い?ありえない、ノアが1000年生きてきたと?
「1000年前の魔法使いと知り合った方法も、魔法もワシには見当もつかん。しかし、分かるのは──創始者と関わる機会があったのは確かということじゃ。そしてその時に何かがあって、この子の感情は失われたということは確かじゃ」
痛ましいものを見る目でノアを見た後、直ぐにスネイプ先生がやって来た。ダンブルドア先生は話は終わりだと言って寮へ戻るように言った。でも、今日知った内容が頭の中をぐるぐると回っていた。
「ノア、貴方は何者なの?」
ノア・グリフィンドール
鈍感どころか感情が無いことが判明した人。実は作中で一度も怒ったことがない。トロール事件の際も愛ゆえに叱りつけることはしたが、それは怒りによるものではなかった。『愛』しか持たないという性質上、敵であろうとなんであろうと殺せない。それ故、『禁じられた呪文』の全てが使用できない。殺そうと思えないから『
ヘルガ・ハッフルパフ
ノアの記憶を封じた張本人。理由は分からないが、封じる必要性があったということらしい。
アルバス・ダンブルドア
正直、ノアにどんな対応をすればいいのか分かってない人。記憶を封じられ、感情を失い、残ったのは異常な魔法力という不思議な少年にどうすればいいか本当に分からない。なぜならノアとヴォルデモートの違いは、『愛』を知っているということだけであり…その違いがとても大きいのだと彼はよく知っていたからだ。