【凍結】少し歪んだハリー(♀︎)をどうにか支えたい転生オリ主の話 作:わんだー
待たせたな
ホグワーツ城の屋根の上で一人の少年が座ってぼんやりと空を眺めていた。その少年の名はノア・グリフィンドール。異なる二色の目が空を流れる雲を追いかけて、その雲に飽きたら別の雲を追いかける。
「おや、病人がこんなところにいるのは感心せんのう」
「…ダンブルドア先生。こんばんは」
「うむ、こんばんは。いい夜じゃのう」
からかうような声で話しかけてくるアルバス・ダンブルドアを一瞬だけ見て、直ぐに目をそらすノア。面倒くさがったわけでも、怒られるのを怖がったわけでもなく---ただ、純粋に興味無さげに目を逸らす。
「ほっほっほっ。なにか思い出したのかね?」
「ええ、思い出しましたよ。大凡はね」
ノアの失われていた記憶。その七割近くがみぞの鏡によって思い出させられた。だが、ノアにとってはそこはどうでもいい。
「腹立つ!!」
「ほ?」
「なんか考えがあるんだろうけど俺の知らんところであのバカ四人がなにか企ててるのが気に食わん!!」
まあ、そういうことである。ノアからすれば記憶を封印されたことに怒っているわけでも、感情を封じられたことに怒ってる訳でもない。自分の記憶から
「ノアや、もしや感情が…」
「いや、完全には復活してません。でも、軽く怒れるくらいには帰ってきました」
怒りに染っていた目は数秒で理性を取り戻した。やはり、感情を取り戻すにはまだまだ遠い道のりらしい。だが、これで分かったことがある。
「俺の記憶と感情の封印は連結してるらしいですね」
「そのようじゃな…つまり、記憶を全て取り戻せば」
「感情も帰ってくるってことですね。分かりやすくてありがたいですね」
まあ、その記憶をどうやって取り戻すかどうかという難点があるのだが。そう会話していた二人だったが、ノアが一瞬で真剣な表情になってダンブルドアを見る。
「ダンブルドア先生、聞きたいことがあったんですけど」
「なんじゃ?」
「貴方はハリーを英雄にするつもりですか?」
ノアが静かな表情で問いかけるとダンブルドアが一瞬ノアを見つめて穏やかな笑みを浮かべる。
「…なんのことかね?」
「…そうですか。忘れてください」
「そうかの?では、風邪をひかんように早く戻るんじゃよ」
ノアの言葉にとぼけたダンブルドアは静かに立ち上がると
「貴方の計画を利用させてもらうぞ、ダンブルドア」
無表情でそう呟くと、飴を無理やり噛み砕く。バキッという音と共に飴が無くなった棒をポイッと投げ捨てると笑う。
「ハリーポッターはただの女の子でいればいい。英雄は――俺がなる」
投げ捨てた棒が空中で突如として燃え上がり、棒を燃やしていた炎が消えた頃には、ノアの姿はそこには無かった。
いや、待たせてほんとすまん…