【凍結】少し歪んだハリー(♀︎)をどうにか支えたい転生オリ主の話   作:わんだー

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9話

嫌々ながら魔法薬学の教室…地下牢へと入ると、ジメジメした肌寒い空気が俺たちを迎え入れた。

 

壁にずらりと並んだ瓶の中にはホルマリン漬けの動物がぷかぷかと浮かんでいてとても気味が悪く、ハリーは顔を顰めていた。

 

とりあえず教科書やらなんやらを置いて待っているとバン!と扉を開けてスネイプ先生が入ってきた。

 

『妖精の呪文』の教師であるフリットウィックと同じくスネイプは出席をとったがある名前でピタリと停止すると一瞬顔を顰める。

 

「ハリー・ポッター」

 

「はい」

 

スネイプはなにか言おうか迷ったような表情をしていたが、結局口を噤む。女の子だからか、リリーに似ているからなのか、原作ほどハリーに突っかかりはしないようだ。

 

「ノア・グリフィンドール──さよう、グリフィンドールの王子様だ」

 

おい、順番過ぎても呼ばねぇと思ったらこのためかよ。目を付けられてるのはハリーじゃなくて俺らしい。面倒くさ…。

 

「…ふん、ロナルド・ウィーズリー!アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

 

唐突にロンを指さして問題を出すスネイプ先生。俺は答えられると踏んで他のやつに問題出したな?ロンが救いを求めるように見てくるが、流石にスネイプが見てる前で答えは教えられない。

 

「あー…分かりません」

 

「チッ、チッ、チ──長く続いている純血の家と言うだけではどうにもならんらしい」

 

ハーマイオニーが手を上げているが一瞥することも無く鼻で笑う。家の事を馬鹿にされたロンは怒りで顔が真っ赤になっている。

 

「ウィーズリー、もう一つ聞こう。ベゾアール石を見つけてこいと言われたら、どこを探すかね?」

 

ハーマイオニーが立ち上がりそうなほど手を挙げているのを見てロンは顔を顰め、真っ赤に染まった顔のまま黙り込む。

 

マルフォイとその取り巻き二人が身を捩って笑っているのを見てどうせアイツらも分からないのに…と呆れているハリー。

 

「分かりません」

 

「クラスに来る前に教科書を開いてみようとは思わなかったわけだな、ウィーズリー、え?」

 

ロンは頭の血管が切れるんじゃないかと思うほど顔を真っ赤に染めて手を力強く握っていた。

 

もうそろそろいいかな?減点されてもいいや。

 

「──スネイプ先生、いつになったら授業は始まるんですか?この授業は一年生のクラスですよ?まさか高学年のクラスと勘違いなさられてませんよね?」

 

「…そこまで言うならばよかろう、授業を始めるとしよう」

 

睨み付けてくるスネイプに目を合わせてあえて閉心術を軽く解いてこのことをダンブルドアに報告するぞ♡と心の中で告げると顔を顰めて授業を始めるスネイプ先生。

 

まあダンブルドアに報告したところであんまり意味ないのだが、如何せん無駄にグリフィンドール家の力は強いので下手に報告とかするとスネイプ先生の立場がやべーいことになる。まあ脅しにはとても使えるけれどね。特にお家間の関係に敏感なマルフォイ家とかに対しては。

 

さて、ようやく始まった授業では様々な理論や材料、魔法薬について学んだ後、生徒を二人ずつ組にしておできを治す簡単な薬を調合することになった。

 

スタスタと生徒たちの間を長い黒マントをひるがえしながら、俺たちが蛇の牙を砕くのを見て回った。

 

「…ミス・ポッター、キミは魔法薬学は初めてか?」

 

「え?はい、初めてです」

 

「──リリー……

 

ボソリと何かを呟くスネイプ。俺には聞こえたが、ハリーには聞こえなかったようでハリーは怪訝そうにスネイプの顔を覗く。

 

「え?何か言いました?」

 

「ッ、なんでもない。作業を続けろ」

 

色んな人(主にグリフィンドール生)に注意をしていたスネイプが、ハリーには注意をしないどころかどこか寂しそうな顔をして立ち去ったことに首を傾げていたが、振り向きざまにロンを減点したことでいつものスネイプかと納得して作業に戻る。

 

俺とペアだったことや、ハリーが類稀なる才能を発揮したことであっさりとおできを治す薬をいち早く完成させてスネイプに提出する。

 

その薬を見て、一瞬硬直したスネイプ…いや、これ薬じゃなくて近くにハリーが来たことで固まってるな。

 

「あの、スネイプ先生…?」

 

「…なんでもない。ミス・ポッター、キミの魔法薬はよく出来ている。グリフィンドールに一点」

 

その瞬間、空気が死んだ。グリフィンドールに一点と言ったか?と言った感じで周りを見渡す生徒たち。グリフィンドール生とスリザリン生の目がかち合うが、両者とも首を傾げて混乱しているのが見える。初めてグリフィンドール生とスリザリン生の心が一致した瞬間だろう。主に"こいつほんとにスネイプか?"という意見で。

 

「何かね?諸君、もしやこの程度の魔法薬を作るのに一年かけるつもりかね?早く作業に──」

 

インペディメンタ(妨害せよ)!」

 

スネイプが話している途中だったが、俺は咄嗟に杖を抜いてネビルが持っている山嵐の針を鍋に入れるの妨害する。

 

「ネビル、それを入れるのは大鍋を火から降ろしてからだ」

 

「あ、ありがとう…」

 

杖を仕舞ってから、続けて?とスネイプに目で示すと不機嫌そうながらも授業を進めるスネイプ。

 

ハリーは一点貰えたのが嬉しかったのか満面の笑みだった。

 

「ハイ、チーズ」

 

「わっ、ちょっとノア!」

 

「まあまあ」

 

満面の笑みのハリーの写真を撮る。これを使ってスネイプに賄賂──もとい、今日の無礼の謝罪に使おうと思ったからだ。

 

むっとしたハリーの視線から逃れるようにネビルの手助けをしようとしたところで鐘が鳴る。なんとかネビルたちも完成させたようだった。色がなんだか変だけれど。

 

「授業はこれで終わりだ。提出がまだのものは提出次第早々に出ていきたまえ」

 

散々な物言いに苦笑いを浮かべながら地下牢から退出した俺たちだったが、俺はダンブルドアの所へ行かなければいけない。

 

「悪い、俺はダンブルドアに呼ばれてるから」

 

「あ、うん、わかった。気をつけて」

 

ロンとハリーと別れ、校長室へと向かう。校長室の入口であるガーゴイルに『アップルパイ』と合言葉を伝えるとガーゴイルを道を開いてくれる。

 

「おお、来たかノアや。初日はどうじゃったかの?」

 

「楽しかったですよ…まあ、まだ教科が簡単すぎますけど」

 

「ほっほっほ、キミがこの学校で学ぶことは最早無かろうの。キミはハリーの事に気をつけてくれれば十分じゃよ」

 

実の所、俺はハリーの護衛の役割を持ってこの学校に入学している。11歳になったとはいえ、殆ど学業的な面で学ぶことは無いだろう。…まあ、学生生活というのをしてみたかったのもあるけど。

 

「さて、クィレルの事じゃが…どうじゃった?」

 

「ありゃダメですね。心も読んでみましたけど完全に闇の帝王に支配されてます」

 

「やはりか…。アルバニア旅行の際に取り憑かれたのかはたまた元より部下であったのか…」

 

今回呼び出されたのは一作目『賢者の石』での敵役クィリナス・クィレルのことについてだ。なんとなくダンブルドアも闇の帝王が関係している人物だとは分かっていたようだが、確証が持てず俺を頼ったということだろう。

 

俺は『開心術』と『閉心術』が使える。それもダンブルドアや闇の帝王ですら破れないレベルで。

 

「そうか…おお、来たかセブルス」

 

「お呼びとあらば。校長、それにグリフィンドールか」

 

「どうも、スネイプ先生。これ、お土産です」

 

魔法で現像したハリーの写真を渡すと一瞬微笑みを浮かべ、すっと無表情になったスネイプは大真面目に告げる。

 

「…グリフィンドールに100点」

 

「これセブルス」

 

ハリーの写真で100点が貰えるなら寮杯は確実だなと思っていたが、ダンブルドアが呆れたように点数を減らす。残念だ。

 

「じゃが、良い写真じゃ…よって、五点やろう」

 

「…あ、ハリーには秘密でお願いしますよ」

 

「口が滑らんように気をつけよう」

 

「まっっったく信用ならん!」

 

スネイプが淡々と告げるが、これ程信用ならない気をつけようも無いだろう。そこからあとはダンブルドア、スネイプとの雑談混じりのこれからの作戦を練って終了した。

 

「グリフィンドール、他に写真は無いのか」

 

「ありますよ?」

 

「一枚五ガリオンで買い取ろう」

 

「えぇ…良いですけど…」

 

昔から撮っていた写真が十枚ほど売れましたとさ。クリスマスプレゼント代にしよう。…おおおお…と感涙しているスネイプの姿は見なかったことにした。目を逸らした先にいたダンブルドアは爆笑していたが。




セブルス・スネイプ
リリーフェイスにスリザリン贔屓を粉砕され、その上満面の笑みのハリーの写真を渡された結果結果グリフィンドールに100点を与える暴挙に出た。多分これから一番キャラが壊れる人。
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