Mathematicianは数学者の英訳です。数学者のウマ娘と言えば··········?
で、これからどうするの。凱さん」
6畳半の小さなトレーナー室にて、2人だけの第1回ミーティングが行われた。
「まずはお前のトレーニングを見ながらチームを募集する。もう数人、数を増やしたいところだからな」
「それは構わないけど、私のトレーニングを見ながらって大変じゃないかい?」
「だからこそさ。お前のトレーニングを見ながらなら、
お前と
「走りの·····波長?」
「そう。まあ、それに関してはまた教えるサ。今日は自主練だ。明日から本腰入れてくからネ。寮長の仕事、頑張れよ」
「凱さんに言われれば、百人力さ」
「変わらずイケメンだナ、お前は」
トレーナーの探すあと数人··········
トレセン学園 練習用トラック レース授業にて··········
(まあ、目星は付けてるがな。後はアイツが話に乗るかどうか··········)
「エアシャカール。凶暴な性格で、周りとの付き合いが浅い。しかし見た目に反してなんと頭脳派。数字の狂信者とまで呼ばれている·····お、今走ってるな」
その走りはまさに、傍若無人、といったところか。
「エアシャカール!中々いいタイムですね!それをキープしましょう!」
「チッ、うるせぇ··········」
見ていると、教官の言葉にもあまり従っていないみたいだ。
「今のタイムじゃ足んねぇんだよ·····この数式の走りにはまだ、足りてねぇ·····あとは··········」
「いい走りだな。エアシャカール」
「あ?誰だアンタ」
「スカウトに来たトレーナーとだけ言っておこうかネ。お前さんの走りが、ちと妙だったんでな」
「妙?ハッ、まあそうだな。この式に当てはまらねぇんだからよ」
「ん?見せてみろ」
彼女から持ってる紙を受け取る。
「ほーん··········」
「俺の完璧な計算式だ。これなら、三冠どころか、七冠すら狙えるはずだ。理論上は··········」
「だけど、今んとこ色々足らなくて机上の空論になってしまっていると。成程ネェそれっぽい」
「チッ·····それだけ言いに来たのか?俺にトレーナーはもねェ。数字だけが俺の全てだ··········帰れよ」
「お前は1つ、思い違いをしている」
立ち去ろうとするエアシャカールの足が止まる。
「まさかテメェも、レースは数字じゃない、なんて言うつもりか·····?」
「事実だろう?」
「事実?ハッ、所詮は能無し共の常識だろ。そんなことは世界の誰も立証できちゃいない。解を求めることも、式を立てることすらしない!」
だんだんと激しくなるエアシャカールの言葉。
トレーナーを、常識を否定し、怒りのごとく発する。
「··········だから俺が証明するのさ。解を、式を、不可能をな!」
しかし、彼女は笑っていた。
これからどう出来るのか、どんな式が立てられるか、考えるだけで心が湧く、少年のような瞳で。
「言ったはずだ。思い違いをしているとな」
そんな数字信者の彼女に言葉をかける。
「レースで勝つこと、それ即ち生きること。ならば、そこには計算じゃ辿り着けない領域がある。運や根性といった不確定要素がある」
「だから計算を捨て、無意味な根性やら運に賭けるようなレースを俺にしろってのか」
トレーナーはフッと笑うと、
「違うね。運以外の全てを塗り潰す。お前の計算式と俺の指導で運を浮き彫りにし、最後の最後に小さな運試しを残った時、レースという賭けは最高のものになるのさ。どうだ、俺達に賭けてみないか?」
賭け。数式もレースも人生も全て賭け。
「··········ククッ、ハハッ、クハハハハ!おもしれぇなアンタ!ハハハハ!ハァ、わかった」
顔を上げ、手を差し出す。
「アンタの賭けにノってやる。改めて、エアシャカールだ。よろしく頼むぜ、トレーナー」
「····鴫原凱、まあ、好きに呼びな。シャカール」
ガッチリと握手をする。
Dreamer、そしてMathematician。次のメンバーは、
Monster。
わかる方はわかったと思いますが、「運以外の全てを塗り潰す」のくだりはブラックラグーンのロックのセリフです。
もうMonsterだけで、次のメンバーはわかるでしょう。
また次回。