ポケットモンスター:エキスパンションレポート 作:224番道路
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―――等の理由から、当時の人々は、悪夢と共存していた事が伺える。
古くからシンオウ地方では、「全てのものには意味があり、役割がある」という思想が深く根付いており(現代においても、その傾向は他の地方より強い)、それゆえ、悪夢にも大きな意味があると考えていた当時の人々は、悪夢をその日の暮らしに取り入れ、常に変化のある生活を送っていたと推測される。
その生活様式が著しく変化したのは、今から約200年前、クレセリアがシンオウ地方に侵入した時期であると考えられる。
……このように、未だに完全に理解するには至っていない『夢』ですが、ここは神経生理学の講義ですので、ひとまず神経生理学的な見解を述べておこうと思います。
睡眠中に脳は、過去に見聞きした情報をジャンルごとに整理します。ジャンルというのは例えば、『友達』『家族』『ポケモン』『恋愛』といったものから、『学生時代』『トレーナー時代』と言ったような過去の記憶まで、様々ですね。
このようにジャンル分けされた記憶の倉庫から、色んな情報を引き出したり、まとめたりする作業を、脳が睡眠中におこなっているのです。その過程を脳内で再生している状態が、いわゆる『夢』であると、神経生理学的には定義づけています。
したがって、睡眠環境から取り込まれた刺激以外は、体験した事や実際に目にしたものが断片的に組み合わされ―――
ミステリー特集『家族を襲った悲劇 悪夢の正体とは』
「遠いシンオウ地方に伝承があったのを発見したんです。クレセリアというポケモンから得られる『三日月の羽』というアイテムがあれば、悪夢から覚める事ができると」
記者 ―――だから、クレセリアを探したと。
「はい。シンオウ地方を始め、あちこち。しかし私は間違えていました。娘を助けるために娘の許から離れるのではなく、私はずっと娘の傍にいて、娘に寄り添うべきでした。『三日月の羽』は結局、間に合いませんでしたから」
古い論文の一部
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――――となる事は必然と言える。
特筆すべきは200年前、現在ではクレセリアと名付けられたポケモンが、シンオウ地方に住み付き、ほどなくして“クレセリア信仰”と呼ばれる思想宗教が、民衆の間に広まった事である。
クレセリアは生来より、吉夢を見せる力を持っていた。しかし問題であったのは、本ポケモンを信仰する思想が民衆に広がり、それまで何かしらの意味や役割があると考えられていた悪夢、および悪夢を見せる力をもつポケモン(名称不明)が、排除される傾向が著しく強まった事にある。
それまで悪夢は、未来に起こる厄災、身内を襲う不幸など、災いを回避するための予知夢、あるいは占術等としての価値を与えられていたが、クレセリア信仰(悪夢の対照として、吉夢信仰とでも呼ぶべき思想)の台頭と共に、悪夢は文字通り“悪”として、排斥されたのだ。
ポケモンの渡来が、人間の文化や風俗に大きな影響を与える例として、非常に興味深い歴史と言える。
とあるトレーナーの許に送られた留守番電話
シロナくん、この前送った論文、何かの役に立ったかな。
昔、鉱石がその土地でどう扱われてたのか、歴史を調べる際に一緒に手に入れてしまったものでね。あまり自分の興味と一致はしなかったけど、面白そうだから持ってたんだ。
誰か、本当の役に立つ人の許に渡ったのなら嬉しいよ。