ポケットモンスター:エキスパンションレポート   作:224番道路

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とある二人の会話

 

友達とのかくれんぼの最中、とある宿の裏に身を隠してしまった子供が偶然耳にした、宿の中で言い争う二人の声

 

 

 

「お前、分かってたな! 最初から!」

 

「はい、その通りです。おそらく今回の実験も失敗するだろうと」

 

「約束と違う! お前は俺に協力する! そういう約束だろう!」

 

「協力はしているじゃありませんか。魂だけの存在であるあなたに体を貸し、あまつさえ実験が成功するための準備や整備も私がしているのですから。しかし、契約内容でもありました通り、最大協力回数の5回を、あなたはすでに消費しています。これ以上、私は関われません。これは私の個人的な取り決めではなく、『イタコ』としての能力の限界の問題です。それに……成功してもおそらく、意味はないでしょうから」

 

「どういう意味だ!」

 

「時代は変わりません。世間は変わりません。たとえ実験が成功しても、しなくても、生物が悪夢への耐性をもったところで、それで悪夢への恐怖がなくなるわけではありません。これからも悪夢は、悪夢を呼び寄せる存在は、恐れられ続ける」

 

「なぜそれを言わなかった!?」

 

「言ったところであなたは納得をしなかった。それに私は申し上げました。あなたが現世の呪縛から解き放たれるには、あなたが自分自身を許すしかないと。あなたの実験が成功をしても、あなたの本当の望みは叶わない。もうこの時代の、この世界の、風潮は、潮流は、絶対に消えません」

 

「ならなんだ! この先ずっと何年も何十年も! もうすでに百年以上も苦しんでいるのに! ここからさらに何百年も! 彼は! ダークライは! 悪の親玉として祭り上げられるのか! 蔑まれるのか! 恐れられるのか! 近寄るなと煙たがられるのか! あり得てたまるか! そんなことが!」

 

「それを私に言われましても。それに、そういう世界にしたのは、あなたがた『クレセリア信仰』の一族ではありませんか。しかしそれも仕方がありません。誰が悪いというわけではありません。そうなってしまったのは、時代の流れとして、致し方ない事と私は思いますがね」

 

「…………」

 

「とはいえ時間は戻りません。時代はやり直せません。あなたは自分を許すしかありません。少なくとも……あなたの望みは、後世の者に託すしかありません」

 

「……俺は初めから、何もできなかったのか」

 

「いいえ。何もできなかったのではなく、誰かに託すべきでした。自分だけが、自分だけがと閉じこもらずに、誰かと共に歩むべきでした。あなたはそれをしなかった」

 

「……そうか。……なら、分かった。……最後にひとつ、頼みたい事がある」

 

「すでに契約は切れていますが……いいでしょう、私も全力を尽くしてサービスいたします。

 私は、迷える皆様の味方ですので。

 ……ひひひ」

 

 

 

 

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