ポケットモンスター:エキスパンションレポート   作:224番道路

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いつかどこかで

 

【ポケモンニュース】きとうし・イタコ・サイキッカー オカルト座談会

 

 

 

 こうして満員御礼の中始まったオカルト座談会。まずはお決まりとなった「本当にあった怖い話」を始め、3名それぞれが、特殊な職業ならではの面白い話を語るなどし、例年とは少し雰囲気が変わり、会場が笑いに包まれる場面も。

 そんな中、『イタコ』サワコ氏の語った内容が興味深い。

 

「イタコは、いなくなった方がいいと思っています」

 

 その発言には、リュウゾウ氏はもちろん、長年サワコ氏と連れ添ったムネ氏も驚いていた。

 

「イタコは、死んだ魂と繋がる仕事です。わたしの仕事がなくならないという事は、死者への未練を断ち切れない生者、あるいは、現世への未練を断ち切れない死者が、多くいるという事です。これは、少し寂しい事です」

 

 老若男女問わず、少数の素質ある者達で構成された降霊術師・イタコ。

 そんなイタコに誇りをもちつつも、己の存在意義にはずっと疑問を抱いていたと、サワコ氏は言う。

 

「成仏した霊、彷徨っている霊、色んな霊を降ろしてきましたが、皆、どこか寂しそうです。成仏した方々は、自分を呼んだ生者に対して、『あなたはあなたの人生を歩んで、後ろばかり振り向かないで』といつも言っています。成仏できない方々は、『まだ何もやってない、できていない』と己を責め、悔やんでいます」

 

 イタコの中には、死者や生者の未練の解消を生業としている者もいるようだが、望んだ結果を得られた事は少ないらしい。

 生と死を繋ぐ架け橋であるイタコ。しかしその架け橋は、本当に必要な物なのか。

 あるいはその架け橋とは、未練・後悔・執着の象徴ではないのかと、最後にサワコ氏は観客たちに問いかけた。

 

 己の職業が、死者と生者の未練や後悔で成り立っているというサワコ氏の苦悩は、我々には計り知れないものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつかどこかで

 

 

 

 おや?

 あなた、初めてお会いしますね

 どうやらあなたも、この世に未練があるようだ。

 

 どうでしょう?

 私の体、お貸ししますよ。

 何を隠そうこの私、霊を降ろせる体を持っておりますので。

 

 いえいえ、見返りは求めません。

 褒美もいりません。

 私はあなたのような、現世に迷える方々の助けになる事を、至上の喜びとしておりますので。

 

 ……ええ、本当ですとも。

 あなたの現世への未練を断ち切るために、どんな協力も惜しまない事を、固く約束いたしましょう。

 

 その前に、一つだけ忠告させていただきます。

 現世に未練を残した方というのは往々にして、自分で自分を縛り付けています。

 やりたい事がやれなかった、何か大きな遺恨を残してしまった、あらゆる理由があるかと思われます。

 しかしそれらは、最終的には『どうしようもなかった』事が大半です。

 

 現世を去れる一番の方法は、自分を認め、自分を許し、自分で付けた枷を外す事です。

 これは、私が長年に渡り、この役割を請け負っている中で得た結論です。

 それでもあなたは、私の手を取りますか?

 

 ……なるほど。

 それもまた、一つの選択です。

 そうと決まれば私は、全力を尽くして、あなたの未練を断ち切ってみせましょう。

 

 

 私は、迷える皆様の味方ですので。

 ……ひひひ。

 

 

 

 

 


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