ポケットモンスター:エキスパンションレポート 作:224番道路
…………。
…………。
…………。
…………。
……ごめんなさい。最初に謝っておくわ。
あなた達に迷惑をかけるつもりはなかったの。本当よ。信じて欲しい。
▶やっぱり……
本当に?
ええ。あなたの思ってる通り。
今、あちこちで、ちょっと大変な事になってるでしょう?
原因は私ね。
私が『ここ』に来ちゃったから。
本来いるはずのない時代の人間が、突然この時代に割って入っちゃったから。
私、スゴウデちゃんみたいに、呼ばれて来たわけじゃないの。
ちょっとだけ、ズルをしちゃった。
だから時空が怒ってるのよ。早く出ていけーって。
……やっぱり悪い事ってできないわね。好奇心にも限度があるわ。
スゴウデちゃんなら、原因は私だって、すぐに分かっちゃうだろうなって思ってた。いくらなんでも早過ぎたけど、でも、だからこそスゴウデちゃんなのよね。
スゴウデ調査隊だもの。
その名に恥じない、素晴らしい推理でした!
あーでも、悔しいなあ。
もうちょっとだったのに。
もうちょっとで、テンガン山、頂上まで行けたのに。
ずっと登ってみたかったのよ、テンガン山。この時代に来た時から。
……いいえ、本当は元の時代にいた時から。
シンオウ地方のテンガン山。
登って、頂上まで昇って。
テンガン山にしかいないポケモンを、いっぱい見て、いっぱい調査して、いーっぱい研究して。
しかも、ここは大昔のテンガン山よ!
私の知らないポケモンが、知らない景色が、知らない情報がいーっぱい眠ってる!
それを心行くまで調べて、研究して。
そうすれば、本当に未練なく、満足できたのに。
……いえ、そんな事ないわね。
どんなに深く調べても、きっと満足なんてしなかった。
「もっと、もっと」って、まだまだ調べたくなってたに決まってるわ。
好奇心に際限なんてないもの。
でも……。
あと、もう少しだったのに。
…………。
……。
……え?
……ええ!? 嘘! ほんとに!?
私、まだ半分も登ってないの!?
待って、ここって何合目くらい? ……3合目!?
嘘でしょう!? じゃあ頂上はどこ?
……うそ! え、あれ? あれなの!?
すっごく細く見えたから、あそこだけやたら尖った地形なんだとか、勝手に思ってた。
あれが頂上なの……? えー……?
……あまりに遠過ぎて、遠近感が変になっちゃってたんだ、私……。
全然もう少しじゃない……。
……あははははははは!
……はあ……。
……はい。
ごめんなさい。
全部、私の好奇心のせい。
今はまだ、時空の歪みが発生しているだけでしょう?
だったら……うん、今なら十分間に合うかも。
分かりました。大人しく元の時代に帰ります。
……本当は分かっていたの。同じ時代に長居しちゃうと、こういう風に歪みが起きて、大変な事になっちゃうって。すぐに立ち去ればなんとか誤魔化せるんだけど。
問題が起こる前に、別の時代に渡る『約束』だったの。
でも、ちょーっと同じ時代に長く居過ぎちゃった。
残念だけど、仕方ないわよね。
自分のせいだもの。
自分の好奇心のせい。
……もうちょっとあなたとお話していたかったけど、でも早く帰らなくちゃ。
ありがとう、スゴウデちゃん。
あなたと調査の報告をし合うの、すっごく楽しかったわ。
まだです
▶忘れ物です
え、なに?
…………。
……あ!
ドレディアの調査、してくれたの!?
スゴウデちゃんなので
▶スゴウデ調査隊なので
ふふ。そうね、そうだったわ。
さすがはスゴウデ調査隊ね。
どんな時でも、ポケモンを知ろうとする心を捨てない。
私よりも、ずっとずっとポケモン博士に向いてるわ。
それじゃあ、時間も無いし、さっそく読ませてもらうわね。
どれどれ?
……ふむふむ。
……あれってそうなってるんだ。
……すごい。
……奥が深いわね~。
……私の知ってるドレディアとちょっと違うわね。
……へ~。
……すごいわ。本当にすごい。
……そうよね。
ポケモンって、やっぱりすごいのよ。
ありがとう、スゴウデちゃん。これで私の好奇心はお腹いっぱいです!
忘れないうちに、はい、お礼よ。
『アララギ博士の調査報告書』を 受け取った
『アララギ博士の調査報告書』を ポケモン図鑑に 括り付けた
えーっと……。
改めて、言いたい事、全部言っておくわね。本当に時間が無さそうだし。
迷惑をかけちゃって、ごめんなさい。
でも、一緒にポケモンを調べてくれて、ありがとう。
おかげで私、とっても充実した時間旅行を送れたわ。
……あーあ、ずっと覚えてたいのに。
これが終わったら、ユクシーに旅行中の記憶、消してもらう約束もしちゃってるし。
ま、自業自得ね。
他人を巻き込む好奇心なんて、毒にしかならないもの。
そんな毒なら、消えた方がまだマシだわ。
あの……
▶質問してもいいですか?
……?
どうしたの?
あなたは何者?
▶あなたの目的は?
…………。
……うーん……。
ポケモンの起源を探る事……っていう意味じゃないわよね。
私がここに来た理由の方よね。
…………。
しいて言うなら、好奇心よ。
好奇心が止められなくなって、ここまで来ちゃったの。
……どうしたの? そんなに難しい顔をして。
好奇心、嫌い?
でも、あなただって持ってるものよ。
こんなにポケモンの事を調べてるんだもの。それだって立派な好奇心じゃない。
未来を切り開くのは、いつだって人の好奇心と、それに伴う発見と開発よ。
……まあ、私みたいに、ちょっと暴走しちゃうと駄目なんだけど。
でも、あなたなら使いこなせる。
愛に溢れた好奇心は、必ず世界をより良くするわ。
あなたにはその才能がある。
……そうね。こんなに才能に溢れた人材がいるんだもの。
あなただけじゃないわ。
この時代にも、私がいた時代にも、どこにだって、いっぱいいるんだもの。
うん。もう大丈夫。
ありがとう。
協力してくれて、すっごく感謝ね!
最後になっちゃうけど。
出会った証というか、友好の証として、これを受け取って欲しいの。
あなたに、受け取って欲しいの。
謎の小瓶 を 受け取った
その瓶に入ってるのは、『ゆめのけむり』。
私が住んでる地方に、ムンナとムシャーナってポケモンがいてね。その子が時々、体から不思議な煙を出すの。
私の友達いわく、『夢を具現化させる煙』らしいわ。
時間旅行が始まる前に、友達から貰ったものがそのままポケットに入ってたの。
でも、これも何かの縁だわ。
だからあなたに渡して……
…………。
…………。
…………。
…………。
……ああ、そういう事なのね。
今、ようやく納得したわ。
そういう事だったのね。
ここで私が、あなたにそれを渡す。
そしてあなたを通じて、『ゆめのけむり』を知り、夢を食べるポケモンの存在を知る。
だからダークライは、イッシュに来たのね。
夢を食べるムンナやムシャーナがいるイッシュなら……自分の力を消してくれるんじゃないかと考えて。
心穏やかに、誰かを傷付ける心配をせず、生きていけるんじゃないかと信じて。
……なんだ。
最初から、過去も未来も無かったんだわ。
過去が未来を形作り。
逆に、未来から過去の辻褄を合わせて。
そうやって成り立ってきたんだ、この世界って。
過去も未来も、現在も、最初から混ざり合ってたんだわ。
じゃあ案外、私の知りたかったポケモンの起源って。
遥か昔の過去じゃなくて。
これから先の、未来の方にあったのかも。
……それに気付かせようとしてくれたのかしら、あの子。
だから私に、時間旅行をさせたの?
…………。
もっと色々お話したかったけど、私、もう行くわね。
本当はイッシュに連れて帰りたい人もいるんだけど……彼はもう少し、役割があるようだから。
……うん。大丈夫。
未来は明るいわ!
じゃあね、スゴウデちゃん!
またどこかで会う事があったら……。
その時は調査の協力、よろしくね!
1月28日より行方不明となっていたアララギ博士を保護した。
目立った外傷はないものの、記憶障害に陥っている様子を見せているとの事。
クダリ氏の行方は依然として知れず、今回のアララギ博士の失踪と関連があるかは不明。
続報が待たれる。