ポケットモンスター:エキスパンションレポート   作:224番道路

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5:とあるおとぎ話にて
とあるおとぎ話


 

 

 

 むかしむかし あるところに

 とてもしんせつな わかものが おりました。

 

 わかものは きずついた ポケモンを みかけると

 かならず たすけ きずの てあてをし

 なかまの もとへ かえしたり と

 とても ポケモンおもいの やさしいわかもの でした。

 

 

 

 あるひの こと

 わかものが ちかくのまち から かえってくると

 いえの ちかくに

 1ぴきの ポケモンが たおれているのを みつけました。

 

 ふしぎな ふしぎな ポケモンでした

 からだは まっくろで

 かわった かたちを しており

 からだの まんなかに おっきな めが あります。

 そのポケモンは からだじゅうが きずだらけで

 とっても くるしそうに ふるえています。

 

 

「これは たいへんだ」

 

 

 わかものは いそいで そのポケモンを いえに つれかえると

 ちりょうを してあげました。

 

 わかものは いままで たくさんの ポケモンを

 ちりょう してきたので

 きずついた ポケモンを たすけるのは

 だいの とくいです。

 

 

 

 とくべつなくすりを ぬりぬり。

 ほうたいを やさしく まきまき。

 さいごに

 ふかふかの ふとんにねかせて すやすや。

 

 くるしそうだった ポケモンは

 すっかり いたみが なくなったのか

 とても きもちよさそう に ねむりました。

 

 

 

 つぎのひ わかものが めをさますと

 そのポケモンは げんきそうに

 いえのなかを はねまわって いました。

 

 よかった よかった げんきに なったんだな。

 わかものは うんうんと うなずきました。

 そのポケモンも わかものをみて

 うんうんと うなずく まねを しました。

 

 しかし そのポケモンの からだには

 まだまだ きずがたくさん のこっています。

 なので わかものは

 そのポケモンの きずが すっかり なくなるまで

 いえに すませる ことに しました。

 

 わかものは そのポケモンを

 『まっくろ』と よびました。

 

 

 

 まっくろは とってもよわく

 1ぴきでは ムックル にも まけそうでした。

 だから わかものは

 まっくろが また きずだらけに ならないよう

 ずーっと やさしく めんどうを みてあげました。

 

 そして なんにちか たったころです。

 わかものの いえに たくさんのポケモンが やってきました。

 その ポケモンたちは

 まっくろと とっても そっくりなかたちを していました。

 

 

 わかものは おもいました。

 まっくろの なかまが むかえに きたんだ。

 

 

 わかものが おもったとおり でした。

 いえから とびだしてきた まっくろは

 なかまたちの おむかえに おおよろこび。

 ぴょんぴょん と げんきに はねまわりました。

 

 ちょうど まっくろの からだの きずも

 なおってきた ころです。

 なので わかものは まっくろを

 なかまのもとに かえすことに しました。

 

 

 

「じゃあな まっくろ げんきでな

 こんどは なかまと はぐれるんじゃ ないぞ」

 

 

 わかものは えがおで まっくろを みおくりました。

 

 しかし どうしてでしょう。

 まっくろと そのなかまたちは

 なぜか かえろうと しません。

 

 どうしたんだろう と わかものが おもっていると

 まっくろが まっすぐ

 わかものの まえまで くると

 なんと ことばを しゃべりだしたのです。

 

 

「わたしを たすけてくれて ありがとう

 わたしを たすけてくれた あなたに

 おんがえしが したいのです」

 

 

 わかものは びっくり しました。

 けど すぐに おちつくと

 こう ききかえしました。

 

 

「おんがえし なんて いらないよ

 きずついた ものが いたら

 たすけるのは あたりまえじゃないか」

 

 

 すると まっくろは いいました。

 

 

「あなたは とてもすてきな にんげんです。

 ポケモンを あいして

 ポケモンと いっしょに いきることが できる。

 そんな あなただから

 わたしは おんがえしが したいのです」

 

 

 わかものは しつもんを しました。

 

 

「おんがえしって いったい

 どんなことを するんだい」

 

 

 まっくろは こたえました。

 

 

「あなたに わたしたちの 『ことば』を あげます。

 それは ポケモンの 『ことば』です。

 ポケモンの 『ことば』を つかえば

 あなたは ポケモンと じゆうに おしゃべりが

 できるように なります。

 

 そのちからを つかえば

 あなたは もっともっと ポケモンとなかよくなり

 ポケモンを たすけ

 そして ポケモンから たすけられる。

 

 どうか ポケモンの 『ことば』を

 うけとって くれませんか」

 

 

 まっくろは とても やさしいまなざしで そういいました。

 わかものは うーん と なやみました。

 そして いいました。

 

 

「おんがえしを したいと おもってくれて ありがとう。

 とっても うれしいよ。

 けれど やっぱり ぼくは うけとれない」

 

 

 まっくろは 「どうしてですか」 と ききました。

 わかものは こたえました。

 

 

「たしかに ポケモンと おしゃべりが できれば

 とっても たのしいだろう。

 これから もっともっと おおくの ポケモンを

 たすけることが できるかも しれない。

 

 けれど 『ことば』が わかってしまうと

 『こころのこえ』が きこえなくなって しまう。

 このポケモンは なにを おもって いるのだろう。

 なにを かんがえて いるのだろう。

 そういうことが わからなくなって しまうんだ。

 

 『ことば』も だいじ だけれど

 ぼくは 『こころのこえ』を もっと だいじにしたい。

 だから ポケモンの 『ことば』は

 うけとれないんだ」

 

 

 わかものが そういうと

 まっくろは あのひの わかものの ように

 うんうんと おおきく うなずきました。

 

 

「やっぱり あなたは とてもやさしい にんげんです。

 おんがえしが できないのは ざんねんだけど

 あなたのような やさしいにんげんと であえて

 わたしは とっても しあわせです。

 わたしを たすけてくれて どうも ありがとう」

 

 

 そういうと まっくろと そのなかまたちは

 ぐるぐる と おおきく うずをまいて

 そらの むこうへと とんでいきました。

 

 

「これから あなたの じんせいには

 たくさんの しあわせが おとずれるでしょう。

 どうか おげんきで。

 さようなら ありがとう」

 

 

「こちらこそ であってくれて ありがとう。

 たっしゃでな」

 

 

 わかものは そういって

 とんでいく まっくろたちを

 てをふって みおくりました。

 

 

 

 そのひから わかものは

 いままでよりも がんばって

 ポケモンを たすけるようになり

 いつしか 『ポケモンの おいしゃさん』 と

 よばれるように なりました。

 

 ポケモンの おいしゃさんの まわりには

 いつも げんきなポケモンたち が

 あつまりました。

 

 おいしゃさんは いろんな ポケモンを たすけながら

 やさしい こころをもった ポケモンたちと

 いつまでも いつまでも しあわせに くらしましたとさ。

 

 

 

 めでたし めでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ポケモンのおいしゃさん』 出版:マザーガルーラ社

 

 

 

 

 

 

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