29/11/2058 1758 国境近くのG&K拠点
「チーフ、ヴァルターです。入室してもよろしいでしょうか。」
「いいぞ、何かあったか?」
「本部からチーフにお手紙ですよ。」
11月も暮れてもう雪も積もり始めた北方地域の国境に一つの手紙が届いた。この手紙が、一人の男の人生を大きく変えることになる。
「上からか。」
ヴァルターから手紙を受けとり、椅子に座る。コーヒーでもどうだ。という誘いにヴァルターは、自分が入れます。と言っていたが、コーヒーを入れるのは自分の趣味でもあったので、ソファに座らせ、豆をミルに入れる。
「今時豆が手に入りにくくてな。」
「おや、自分はてっきり代用コーヒーかと。」
「あんなものは、コーヒーではない。あれを飲むなら塹壕の泥でもすするさ。」
豆を挽き終わり、フィルターの上に引いた豆を移す。お湯をかける。香りも広がり冬を迎え寒くなった部屋が幾分か暖かくなった。
「うちの大将殿は、高級将校でありましたか。」
「あの屑共は、酒でものみながら、上への評価を考えてるよ。クルーガー殿の下に良くあんなのがつけたものだ。」
ヴァルターの前にカップを置くと、俺猫舌なんすよ。と言ってちびちび啜り始める。
さてと、自分のデスクにカップを置きヴァルターの持ってきた封筒に目をやる。
エーリッヒ・フォン・クルツ大尉殿 グリフィン&クルーガー人事部 作戦部
人事ってことは、大方異動だろうがただの移動ならこんな封筒では来ずに軍令の用のもので来るだろう。
窓から外を見る。そこには、大方戦場には似つかわしくない少女たちが各々の銃を取り整列していた。
「人形も、増えてきたな。」
ため息交じりに言う。私は、人形を戦争に使うことには反対しない。ただ、外見が好ましくない。体が機械と生体部品でできていたとしても、いたいけな少女の格好をしていては、罪悪感を感じてしまうからだ。
「まだ自分たちの部隊にははいってきてないっすからね。なんでも、あの見た目で大男どもより戦闘能力が高いらしいですよ。」
デスクの上にデカデカと置いてあるナイフを手に取り、封を切る。
さて中身は、
「何々、副官を連れて本社に出頭せよ。貴官の部隊は指定の地点へと輸送を実施する。30日の0200までに輸送を開始されたし。」
その後に部隊の輸送地点などが記載されていた。
「一つ質問いいですか?」
「許可する。」
「肝心の出頭理由はなんです。」
「これがわかない」
はぁー、と大きなため息がシンクロした。
「このコーヒー飲み終わったら全体に呼集かけておいてくれ。」
10分後
「諸君、我が中隊は先ほど作戦部より移動の指示を受けた。これに従い0200までに準備を整え指定の地点へと移動を開始してくれ。私とヴァルター少尉は一度本社へと出頭するので第2小隊長を最先任とする。フリッツ少尉、我々が帰還するまで現地の要員の指示を仰ぎながら指揮を執ってくれ。以上だ。」
敬礼!!ヴァルターの声で中隊が敬礼する。部下からの敬礼に返礼し壇上から降りる。
「ヴァルター、2時間で支度しろ。迎えのヘリが来る。正装で、バッグは2つまでだ。いいな?」
「了解です。それと、出る前にもう一杯コーヒーをいただいても?」
私の荷物が、驚くほど軽くなったのは言うまでもないだろう。
迎えのヘリはすぐに到着した。
「ご苦労。向こうまではどれ位かかる?」
「全力飛行で、一度給油をはさむので、16時間程度です。確実にお届けしますよ。」
飛ばされそうになるベレー帽を抑えながらヘリに乗り込む。すぐに上昇感に包まれさっきまでいた基地もミニチュアのようだ。ヘリ内には備え付けのヘッドセットがあり、それを使って会話する。
「前線より後ろのゲリラ連中は我々の部隊の仕事じゃなかったが今のとこどうなんだ。」
「大体が逃げたか、降伏したそうです。」
「降伏した連中は?」
「ほとんど政府軍に引き渡しました。」
恐らく半分いや1/3も生き残らないだろう。即刻銃殺か、よくて強制収容所送りだ。どの国も第三次世界大戦の前から自国の拡張と強化に努めている。これもその一角に過ぎないのだろう。
「パイロット。本社のほうはどうなんだ。」
「車内に特に変わりありません。大きな前線がゆっくり動いてるので雨が大分降ってます。空港に着陸したら本社から車が来ているはずですので濡れることはないかと思います。」
今まで泥の中を這ってきたが、今度は車の送迎付きと来た。出世も近いな。
「自分も階級上がったりするんですかね。」
「そうだといいな。」
ヘリは雪の中を進んでいく。彼がのちにグリフィンに様々な功績を残すことになることは、一人を除き誰も予想することはできなかった。
初めまして。こんけんです。ドルフロの二次創作をかかせていただきます。リリース当初から初めていて、ほかの方々の作品を見るうち、自分でも一筆、一番の好きな子をメインに物語を書いていこうと思います。次回から、人形が出始めます。