元不良は一年留年している   作:アッシュクフォルダー

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第一話 愛莉との再会

門藤一也は、想うのだった。

 

中学時代の後輩であり、元アイドルである、

桃井愛莉に、不思議と恋心を抱いていた。

 

その理由は、イジメを受けていた愛莉を、

助けたこともあってか、

愛莉から、ヒーロー視されていた。

 

それ以来、学年が違うせいか、

一也が内気なこともあってか、

話す機会が、全くなかった。

 

そして、今でもなお、絵名に情けないと思われつつ、

一也は落ち込んでいた。

 

「俺には、愛莉ちゃんと話す資格なんか…」

 

「無いって言いたいわけ?」

 

そこには、D組にいる、東雲絵名だった。

 

一也は絵名とも、仲が良く、

一也が一年遅れて、この神山高校夜間定時制に入学してきたので、

実質、同級生である。

 

「真二くんを、見習いなさい!

アイツの方が、よっぽど、しっかりしている!

それに比べて、一也は…目も当てられないわ。

情けない。中学時代と比べてね」

 

「絵名ちゃん、ひどい…」

 

「だって、本当のことだもん、

これじゃあ、いつまで、たっても、

愛莉に話しかけることなんてね、一生ないね」

 

「じゃあ、どうしたら…」

 

「会いに行くのよ」

 

「えっ?本気で言っているの?」

 

「当然よ、それで、二人きりで、話してみて、

愛莉のことが、好きなんでしょう?」

 

「まぁ…」

 

「じゃあ、愛莉のことは、どれくらい知っているの?」

 

「絵名ちゃんと、仲良しで、

3月19日生まれで、宮益坂女子学園高等部の二年生で…

確か、ネコアレルギーだった!それに、三姉妹の真ん中で、

後、料理がめちゃくちゃ、美味いし!上手!

それに、和菓子が、好物だったかな?

アイドル研究も好きだって、言っていたし…」

 

「よっぽど、愛莉のことが好きなんだね」

 

「う、うん…」

 

と、絵名は一也が愛莉を思っている事を確信した。

 

「その、愛莉が、一也に会いたいって、

言っている」

 

「本当に!?」

 

「本当よ、明日、指定された、この公園に行ったら、

会えるから、行ってみたら?」

 

「わかった!行ってみる!」

 

 

こうして、後日、一也は愛莉に会いに行った。

 

「あっ、一也くん!」

 

「あ、愛莉…ちゃん」

 

「会いたかったわよ、一也くん。ずっと、ずっと」

 

「本当に!?ホントにホント!?」

 

一也は、思わず、興奮した。

 

「だから、本当だってば!

さぁ、デートに行くよ、時間は待ってくれないから」

 

「あっ、うん…わかった!

俺が愛莉ちゃんの事、エスコートしてあげるから!

期待してもいいよ!」

 

「う、うん…そんなに、期待はしていないから…」

 

「そ、そんなぁ…俺は、愛莉ちゃんとデートする資格なんか…」

 

「そんなこと、言っているから、

いつまで経っても、進展しないのよ!」

 

「そう…だね…」

 

「絵名から、聞いたよ?

高校受験、一年浪人して、落ち込んだって」

 

「あっ、うん…色々あってね」

 

「だから、過去はともかく、今を生きないと!」

 

「わかった!よーし!頑張るぞ!」

 

何がともあれ、二人でデートに出かけた。

 

「一也。まさか、絵名と同じ学校に通っているなんてね」

 

「たまたまだよ…一年遅れで入学しただけだし…

それに、あんな出来事があったからな…」

 

「あんな出来事って…?」

 

「俺が中坊の時、初めて大会に出場した事だ。

俺はその時、ファーストとして、野球部に入っていたし」

 

「じゃあ、大会が出られないかもしれないのは?」

 

「他校の不良と喧嘩していたからだ。俺も巻き込まれていた」

 

「それで、あたしと絵名が人質に…」

 

「あぁ。俺や他の先輩たちが狙いだっただろうな」

 

「あの時は死にかけたわ。絵名も言っていたわ」

 

と、一也の証言で、絵名と愛莉が人質になっていた事を思い出す。

 

「俺は野球の試合をほったらかしにして、

絵名と愛莉を助けた」

 

「だから、初出場となった大会で惨敗に…」

 

「俺はもう野球は出来ないけど、これで良かったのか?」

 

「良かったと思う。あの時は一也くんがいなかったら、

本当に今の絵名やあたしは、きっといなかったわ」

 

「そうだったのか…」

 

野球を取るのか?絵名と愛莉を取るのか?

一也は迷いもなく、あの時は、絵名と愛莉を選んでいたのだった。

 

「一也も少しは自信を持つべきだわ」

 

「本当に!?」

 

「お調子者ね…」

 

「ははは…」

 

と、一也は少しだけ自信を持っていた。

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