門藤一也は、東雲絵名がアリエの歌手に応募しており、
一也自身は絵名の手伝いをすることになっていた。
「相手は歌の経験者だな…」
と、一也は、こはねを見て考え込む。
「私は、その…歌を歌い始めたのは、
ついこの前だったから…でも、絵名さんの歌も上手でしたよ」
「そ、そんなこと言われても…
その…歌うコツとか!」
「うーん、そう言われても…」
「あれ?絵名さんにこはねちゃん?」
「この人は?後、奏ちゃんまで」
「穂波ちゃん、宵崎さん」
「二人とも、どうしてここに?」
「一緒にお買い物をしていたんだ」
「絵名さん達は何をしていたんですか?
歌が聞こえていたんで…」
「私は歌の練習をしていて、同じ曲を歌うことになってて、
こはねちゃんに見てもらうことになって…」
「同じオーディションに応募するみたいです」
「あっ、そうだったんですね…えっと…お名前は?」
「門藤一也です」
「初めまして、望月穂波です。
よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
「同じ曲を歌うって、何かあったんですか?」
すると、奏が
「アリエの庭の悪夢の曲だね」
「それって、絵本ですよね?少し前に話題になった絵本」
「望月さんも知っているんだ」
「はい。絵本の読み聞かせをする時に、
何度も候補に挙がっていたほどで…」
「じゃあ、話が早いかもね。
実は今度、その絵本の個展があって」
と、絵名と一也が説明した。
「なるほど、それで審査で絵名さんの歌を…」
「よかったら、わたしにも聴かせてくれる?」
「え?」
「絵名に教えて貰って、ちょっと絵本を読んでみたんだ。
だから、どんな曲で、どんな歌い方をしているか、
気になっていて…」
「ほんと?よかった…ちょうど、アドバイスが欲しいって、
思っていたんだ!あ、それならせっかくだし、穂波ちゃんも、
聴いてくれない?客観的にどうなのか?
こはねちゃんや一也くんにもだけど、意見が欲しくて…」
「はい!わたしも聴きたいです」
「ありがと!じゃあ、歌うね」
と、絵名が歌いだす。その後。
「みんなは、どう思う?」
「俺は歌に詳しくないけど、その…絵名ちゃんの歌声は、
俺的には良いと思う」
「やっぱり、凄く雰囲気があっていて、良かったです」
「うん…!絵名さんは歌声がキレイだから、良かったです」
「そっか…」
「絵名は納得していないの?」
と、奏が心配しだす。
「あ、ちょっとね」
「二人が言ってくれたみたいに、絵本らしい雰囲気は出せていると思うけど、
本当にイヲさんが表現したいことか、よくわからなくて」
「表現したい事…?」
「うん」
「この絵本、結構自由な解釈が出来るから、
これ!っていう、答えが存在しなくて、ある訳じゃないと思うけど、
でも、イヲさんが作品を通じて、
伝えたかったことが、作りながら考えていた事とか、
絶対にあると思うけどね。
だから、それを出来る限り汲んで表現したいって思っているんだ」
「そっか…」
「え、何?」
「ううん、絵名らしいなって思った。
イラストを観ていたら、インスピレーションが沢山浮かび上がるんだ」
「当然でしょう?イラスト担当だから!」
「ふふっ」
「そ、それより!絵本の話しない?
イヲさんが何を伝えたかったか、少し考えたいし」
「私は友達を失う後悔を感じました」
「友達を失う後悔…?」
「私は大事な存在がいるから、頑張れると思って、
内容は暗いですけど、前向きなメッセージがあるって感じました」
と、穂波とこはねは読んだ絵本で、感じたことを伝えた。