前回のプロローグでは、主人公の語りという1人称視点で投稿しましたが、今回から海神絶唱シンフォギアと同様に3人称で書いて投稿していきます(※たまに途中で1人称になる可能性もございます)
そして本作でも、最初のうちは文字数短めな感じで投稿していきます
「よ~しよし……いい子だから大人しくしててねぇ~?」
茶髪でボブカットの少女『
しかし、降りる途中で足を滑らせてしまい、そのまま地面に落ちそうになる。
「いやあああああああああああああ!!!!!!―――うっ!?」
痛みを覚悟して目を閉じたが、痛みが全く伝わってこなかった。そればかりか、誰かに抱えられてるようだった。
「やれやれ……また君かい?もう何度目だよ」
呆れたような声が聞こえたので目を開けてみると、赤と青をベースに、胸と背中にクモのシンボルやクモの糸のような意匠が備わったタイツを全身に纏い、鋭くつり上がった目をしたフェイスマスクを被った謎の人物がいた。
「スパイダーマンさん!?」
「そ。君の親愛なる隣人、スパイダーマンさ!」
謎の人物『スパイダーマン』はそう名乗り、響を降ろした。そして降ろされた響は、抱えていた子猫をゆっくりと地面に降ろし、手を振りながら見送った。
「まったく、普通の女の子が子猫を助けるためとはいえ、あんな危険なことはしちゃダメだろ?いつも危険と隣り合わせな僕と違うんだから」
「うぐっ……!」
スパイダーマンから注意され、何も言えなくなる響。しかし、スパイダーマンはそんな響の頭を撫でる。
「まっ、それでも助けようとしたその心意気には、僕は心から評価しておくよ。よく頑張ったな」
「……ッ、はい!ありがとうございます、スパイダーm」
「―――でも、それはそれとして……君、こんな時間にこんなところにいて大丈夫かい?確か君、前に助けた時に学生だって言ってたよね?」
スパイダーマンに対して礼を言おうとした響だが、彼がそう指摘してきたので時計を確認すると、顔がサァーっと青ざめてきた。
「スパイダーマンさんっ!!」
「却下」
「まだ何も言ってませんけど!?」
「どうせ、学校まで送ってくれって言うつもりだろ?言っとくけど、そっち系の助けは、いくらスパイダーマンと言えど聞き入れることは出来ない。こればかりは自力で何とかしな。それじゃあね!」
「あっ、待ってくださいよぉぉぉ!!!!」
響の声も聞かずに、スパイダーマンは高いビルに向けて右手を突き出し、中指と薬指を曲げて手からクモの糸を出し、その糸を利用して跳んでいった。
ちなみに余談だが、なんとか自力で学校へ登校した響だが、完全に遅刻したため、担任からこっぴどく叱られたという。
とある2階建ての一軒家
響を助けた後、その後も街の様子を見に行ったスパイダーマンは、その家の屋根の上へと着地し、マスクを外した。
「ふぅ……あの後にノイズは出てきてないみたいだし、特に犯罪を行ってる奴も見掛けなかったから、とりあえず一旦休憩かな……」
マスクを外した青年―――浅中匠馬はそう呟き、周囲に誰もいないことを確認した後、屋根からベランダへと降り、窓を開けて部屋の中へと入った。ここは、彼の家であったのだ。
既にお分かりかもしれないが、彼は転生者であり、スパイダーマンの力を授かった者だ。しかも、本来のスパイダーマンなら備えていないであろう、この世界の脅威であるノイズを倒す力がスパイダーマンの力として備わっている。
そんな彼がこの世界に転生し、スパイダーマンとしてノイズ倒しや人助け、犯罪を行った者を捕まえるなどの活動を始めてから3年ほど経過していた。
3年ほど活動してきたお陰か、スパイダーマンの知名度は
「この世界に転生してきて、もう3年か……グリーン・ゴブリンやドック・オクみたいなヴィランは今のところ現れず、ノイズという特異災害が変わらず人を襲ってるだけか……」
スマホを操作しながら、匠馬はここ3年間で起こったことを振り返った。原作とアニメ、映画で幾度となくスパイダーマンを苦しめたヴィランたちは現れないものの、変わらずノイズが人を襲ってるだけであり、そのことに匠馬は複雑そうな顔をしていた。
「ヴィランが現れないのはいいことだが、問題なのはノイズだな。10年くらい前からこの世界に現れ、特異災害認定されたらしいけど―――結局のところ、人間を炭化させようと襲ってくる、ということ以外は何もかも全く分からない存在……」
ノイズのことで考えていると、ずっと疑問に思っていたことを匠馬は思い出した。
(そういえば、何で僕は生身のままノイズを倒せるんだろう?いくら転生して授かった力とはいえ、触れたら一発アウトな化け物をも倒せる力なんて、スパイダーマンには備わってないはずだ)
匠馬の思うように、転生したとはいえ、スパイダーマンの力を授かっただけならまだしも、ノイズを倒せる力まで備わってるのは、どうにも追求せざるを得ない疑問であった。
(まさか……2年前の
もう1つ、何かを思い出した匠馬だが、スマホに表示されてる時間に目が行く。
「おっと、もうこんな時間か……まっ、本当に
そう呟き、まだ身につけたままだったスパイダースーツの腕の部分とブーツを外し、スーツの胴体部分は着込んだまま私服に着替えた後、もう1つの仕事をこなすために外へ出ていった。