親愛なる隣人として転生した男   作:サミン

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2話 序曲、覚醒前の日常

『私立リディアン音楽院』

 

その名の通り、主に音楽を学ぶ私立校であり、早い話が女子校である。

 

そんなリディアンの午前中の授業が終わり、昼休みとなって、それぞれの生徒が昼食を摂っていた。

 

「あぁ~……やっと昼休みだぁ~……!もう、スパイダーマンさんが送ってくれなかったお陰で、朝から散々な目に遭ったよ……」

 

今朝、スパイダーマンに助けてもらった響もここに通っており、昼休みになると机の上に伏せ、今朝のことでスパイダーマンに文句があるかのように愚痴っていた。

 

「地面に落ちそうになったところを間一髪助けてくれたってだけでも充分でしょ?それに、遅刻に関しては完全に響の自業自得、スパイダーマンには何の非もないよ」

 

響の親友で共にリディアンに通っている、黒髪ショートで大きな白いリボンでハーフアップにした髪型をしている少女『小日向(こひなた)未来(みく)』がそう指摘する。

 

「うぅっ、それはそうなんだけどさぁ~……」

 

未来からの指摘に響は少なからず自覚してたのか、スパイダーマンに対しての文句を言えなくなった。

 

「なになに?ビッキーったらまたスパイダーマンに助けられたの?」

 

「人助けが趣味な人が逆に助けられちゃってどうするんですか……」

 

「まっ、そういう展開もアニメだとよくある話でもあるよね!」

 

すると3人の女子生徒―――響のことをビッキーと少々特殊な呼び方をする『安藤(あんどう)創世(くりよ)』、響に対して呆れたように呟くおっとりとした雰囲気を持つ『寺島(てらしま)詩織(しおり)』、今朝のその出来事に対して「アニメでもよくある」と称する『板場(いたば)弓美(ゆみ)』が2人の会話に入ってきた。

 

「そうなの。しかも、遅れそうだからってスパイダーマンに学校まで送ってもらおうとしてたみたいだよ。まぁ、結局は送ってもらえずに最終的に遅刻して、後は知っての通り」

 

「……ビッキー、さすがにスパイダーマンをタクシー代わりにしようとするのはどうかと思うよ」

 

「それはスパイダーマンさんに失礼です……」

 

「あたしも2人と同様……」

 

「グフッ」

 

未来からの説明を聞いた3人の言葉に心がグサッとなった響は、再度机の上に伏せた。

 

「まぁ、人助けが響の趣味だってのは別に構わないけど、せめて学校生活に支障をきたさない程度にしてよね?」

 

「まぁ、うん……善処します」

 

「……それ、アニメどころかこの世でも一番信用しちゃいけないセリフだよ」

 

さすがに見かねた未来が響の日々に対して注意しつつも優しく諭し、響は了承の言葉を言うも、板場からツッコミを入れられた。

 

 

 

 

 

それから昼休みが終わり、その後の午後の授業も終わり、1日の最終ホームルームも終えたところで放課後となった。

 

「そういえば、今日ってツヴァイウィングの新しいCDの発売日だよね?」

 

「そうそう、今時はダウンロード配信が主流になりつつあるけど、それでもCDだと初回特典の充実度が全然違うんだよねぇ~」

 

「ふ~ん……なら、早くCDショップに行かないと―――売り切れちゃうんじゃないかな?」

 

「………………あっ」

 

未来からの指摘で、響は再び顔がサァーっと青ざめ、その次の瞬間に響は急いで教室を出て、数十秒後には全力疾走で学校の正門を飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、代金ちょうどいただきました!毎度、ありがとうございます!失礼します!」

 

やぁ、みんな!僕は君たちの親愛なる隣人、スパイダーマン!その力を授かった浅中匠馬だ!

 

え?突然すぎるって?別にいいでしょ、この物語は途中から僕の語りが入るって作者さんも言ってたじゃないか。

 

まっ、それはさておき―――僕は今、何をしているのかと言うと、宅配ピザの注文をした人の家までやって来て、ピザを引き渡して代金をもらったところだ。

 

そういえば、みんなに説明してなかったね。僕は今、スパイダーマンとしての活動の他に、ピザ屋でバイトとして働いている。バイト扱いなのは、まだ完全にここに就職したわけじゃないからね。早い話が、僕は所謂フリーターとなっている。ちなみに、僕が転生した3年前の時点では高校1年生で、今年に高校を卒業した。

 

自分で言うのもなんだけど、僕はピーターほどじゃないけどそれなりに頭は良い方だ。だから大学へ進学することも考えていたんだけど、ピーターみたいに全てを両立させるのは僕にはさすがに無理だと思い、卒業した後はせめて食べてくためにと色んな仕事を探し、今の仕事に落ち着いたってわけ。

 

まぁ、ピーターも2でスパイダーマンとしての活動を重視するあまり、バイトはクビになったり、講義にも間に合わず、MJとの約束を破ってしまったこともあったけど……。

 

そんなわけで、バイトという身分であるから収入は決して多いとまでは言えないけど、それなりに生活は安定してる方だね。

 

「届け終わりました。これから戻りますね」

 

勤める店舗へと連絡を終えた後、宅配用のバイクの座席に座ってからエンジンをかけ、店に戻るためにバイクを走らせた。

 

そして赤信号に差し掛かったので止まると、丁度大きなビルのスクリーンに、とある2人組のアーティストの映像が流れていた。

 

 

そのアーティストの名前は『ツヴァイウィング』

 

日本人の女の子2人で結成されたボーカルユニットであり、今の僕と同じように日本だけでなく世界中でもその知名度は高い。

 

あの事件(・・・・)から2年経ったけど、彼女たちはいつも通りって感じで安心したな。あの赤い髪の子も元気そうでなによりだ」

 

僕はそのツヴァイウィングの1人である、鳥の羽がモチーフとされる特徴的な形をした赤髪の『天羽(あもう)(かなで)』という子の方を一瞥した後、青信号になったので、再びバイクを走らせていく。

 

その時―――

 

 

「―――ッ!!」

 

 

スパイダーセンスが反応した。スパイダーセンスは、基本的に自分の身または近くにいる誰かの身に危険が迫った時に無意識に発動する、いわばクモの第六感だ。けど、僕の場合はそれだけじゃなく、なんとノイズが出現したことでも発動する。恐らく、生身でノイズを倒せることと何か関係があるのだろうと思ってる。

 

「仕方ない、こっちの仕事もちゃちゃっと終わらせてから戻るとしよう。ノイズの騒ぎに巻き込まれそうになったって言えば、多少はお咎めなしになるだろう」

 

そう考えた僕は、停車可能の道路脇にバイクを停車させ、人目のつかない路地裏の中に入った。

 

そしてピザ屋の制服を脱ぎ、あらかじめ中にスパイダースーツの胴体部分を着込んでいたので、後はスーツの腕の部分とブーツを身につけ、最後にフェイスマスクを被ってから糸を出し、ノイズが出現した場所へと跳んでいった。




海神絶唱シンフォギアだと、一翔は過保護なところがあるORCの人たちからの収入のお陰でお金に困ってないのに対し、本作の主人公の匠馬はそういったような後ろ盾も現時点では存在しないため、今はフリーターとして働いてるということになってます
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