お気に入りが結構たくさんいることに驚いてる自分がいます……まさか4つのエピソードを更新しただけでこんなにも増えるとは思ってませんでした……!
それはさておき、今回から過去編に入りますが、前半はライミ版スパイダーマン2をオマージュしたシーンがあるのでご了承ください
―――思えば、2年前のあの事件が3人との出会いだった。
やぁ、僕は浅中匠馬!転生してスパイダーマンの力を授かってから今まで1年間、変わらず人助けや悪党どもの成敗、そしてノイズを倒すことに精を出している。
そんな僕はこれから行かなければならない場所があった。
「ツヴァイウィングのライブまで、まだ余裕はあるな。少し軽いもの食べてから行くとするか」
そう、今日行われるツヴァイウィングのライブへと行こうとしてたんだけど、小腹も空いたから、まずは近くのハンバーガーショップで軽く腹ごしらえをすることにした。
そういえば、何でツヴァイウィングのライブに行こうとしてるのかって、ほとんどのみんなはたぶん疑問に思ってるだろう?
実は、僕が通ってる高校のクラスメートの1人が、ツヴァイウィングのライブチケットを手に入れたらしいんだけど、どうやら当日にどうしても外せない急用が出来てしまったらしく、代わりに僕にくれたんだ。
そのクラスメート曰く「息抜き程度に楽しんできてほしい」とのこと。
まったく、
まっ、そんなこともあり、僕はツヴァイウィングのライブが行われる会場へ行こうとして、時間もまだ余裕があるので小腹を満たそうとした。
その後、小腹を満たし、ハンバーガーショップを出てライブ会場に向かおうとする。
「あまり余裕がなかったからってのもあるけど、僕ってこのアーティストのことを知らないんだよな。まっ、これを機に僕自身が気に入れば、あとから何曲か見繕って、スパイダーマンとしての一仕事を終えた後に聴くのもありかな」
独り言を呟きながら、青信号になった横断歩道に入った途端―――
[前の黒い車!赤信号だ!止まりなさい!!]
横からパトカーのサイレンと拡声器で叫ぶ警察の声が聞こえ、そしてそのパトカーとカーチェイスしてるであろう黒い車が猛スピードで走ってきた。
「ッ!」
黒い車はスピードを落とさないまま、まっすぐに僕の方へと突っ込んでくるが、僕は慌てずにその場で跳躍して回避し、空中で前転してから地面に着地した。
幸い、横断歩道に入ったのが僕だけのため、他の通行人が巻き込まれることはなかった。
「お兄ちゃん、すごい!」
「今の何で出来るの!?」
とはいえ、今の避け方は当然みんなに注目されるわけで、そのみんなを代表してか、2人の子供が褒め称えながら問い質してきた。
「あー……トレーニングして、よく寝て、そして野菜をちゃんと食べるんだ」
「へぇ~」
「僕のママもそう言ってるけど、嘘だと思ってた」
スパイダーマン2でピーターが言ったセリフと同じような感じに答え、その答えを聞いた2人の子供は信じられないみたいな顔をしながらも納得した。
パトカーとカーチェイスをしていた黒い車は、スピードを落とすことなく市街の道路を走り回っていた。
その黒い車の中には2人の男がおり、大量の札束が入ってる鞄が積んであった。どうやら、この2人は銀行で現金を強奪し、逃走を図ったところで通報を受けたパトカーに追われるようになったようだ。
「しつけぇんだよ!!」
黒い車の助手席にいた男が窓から身を乗り出し、パトカーへ向けて拳銃を突き出して発砲した。パトカーはそれを避けようとジグザグ走行をするが、1発の弾丸が前のパトカーの前輪タイヤを撃ち抜き、タイヤを撃ち抜かれたパトカーはコントロールを失って後ろにいたもう1台のパトカーを巻き込んでしまった。
そして、そのもう1台のパトカーを運転していた警官は急ブレーキを掛けるも既に遅く、タイヤを撃ち抜かれたパトカーを歩道へと突き飛ばしてしまった。
「あぁ……っ!!」
「いやああああああああ!!!!」
その歩道には十数人の歩行者がおり、突き飛ばされたパトカーがこっちに向かってくるのだが、歩行者たちは恐怖で足が動かせずにその場で身構えてしまう。
そして、突き飛ばされたパトカーが歩行者たちの目の前に迫ったその瞬間―――
「よっとぉ!」
誰かの掛け声が聞こえたと思ったら、向かってきたパトカーが来ないことに違和感を感じ、歩行者たちは掛け声がした方へ目を向ける。
なんとそこには、スパイダーマンが歩行者に背を向け、突き飛ばされたパトカーを支えていた。
「おい、スパイダーマンだ!」
「来てくれたのか!」
歩行者たちは彼が来たことで歓喜の声を挙げる。そしてスパイダーマンは支えていたパトカーをゆっくりと地面に降ろした。
「お巡りさん、大丈夫?」
「あ、あぁ……すまないな、スパイダーマン」
「お陰で俺たちも、そこにいる歩行者たちも助かったよ」
「いやいや、礼には及びませんよ。じゃ、あとは僕に任せて!」
車内にいた警官にそう伝えた後、スパイダーマンは糸を出して黒い車が走っていった方向へと跳んでいった。
「頼むぞスパイダーマン!」
「行け!スパイディ、ゴー!」
歩行者たちは跳んでいくスパイダーマンに向けてエールを送りながら見送った。
その頃、黒い車はパトカーを振り切った後も猛スピードで市街の道路を走り回っていた。
「サツはもういねぇぜ!やったな!」
「はははっ、これで俺たちも大金持ちだぁ!!」
車内にいた2人の男がパトカーを振り切ったことで大喜びだった。しかしそれも束の間、運転していた男がバックミラーを確認すると、スパイダーマンが糸を出してスイングしながら向かってくるのが見えた。
「ちぃっ!サツの次はクモ人間かよ!」
「任せとけ!」
助手席にいた男が拳銃を取り出し、再び窓から身を乗り出してスパイダーマンに向けて発砲した。しかし、スパイダーマンはそれを華麗に回避し、黒い車の進行方向へ先回りして道路に着地した。
そして、スピードを落とさないままの黒い車が突っ込んでくるが、スパイダーマンはなんとそれを片手で受け止めた。
「くそがぁ!死ねぇ!!」
助手席にいた男は車を止められたことに激昂し、再びスパイダーマンに向けて銃を発砲した。しかし、もちろんスパイダーマンはそれを難なく回避し、糸を出して銃を取り上げた。
「食らえぇ!!」
すると今度は運転していた男が車から降り、ナイフを持ってスパイダーマンに襲いかかるが、スパイダーマンは蹴りでナイフを弾く。
「くっ!」
「しゃーねぇ、ずらかるぞ!」
武器がなくなり、男たちは車を置いて逃げようとするが、スパイダーマンがそれを許すはずがなく、男たちをクモの糸で捕らえ、自分のところへ引き寄せた。
「「うわああああっ!!?」」
「悪いね、お前たちみたいな悪党を野放しにしないのがスパイダーマンなんでね」
そう言って、スパイダーマンは2人の男をクモの糸で巧みに縛り上げ、さらに糸を出して2人の男の口を塞いだ。
「「んー!んー!」」
「さて、あとは警察に厄介になってもらいな」
別のパトカーがこちらに向かってるのを確認し、必死に抜け出そうともがく2人の男にそう言い捨て、スパイダーマンは糸を出して跳んでいき、その場から去っていった。
その後、2人の男は警察に逮捕され、強奪された現金も無事に銀行に戻されていったという。
「はぁ~……ギリギリだったな」
パトカーとカーチェイスしていた黒い車に乗ってた男2人を縛り上げた後、僕はすぐさまツヴァイウィングのライブ会場へと向かい、なんとか開演前ギリギリで中に入ることが出来た。
「……にしても、結構人がいっぱいいるな。早く良さそうな席を見つけないと―――あっ!」
「きゃっ!」
どこか良さそうな席を探そうとしたら誰かとぶつかってしまい、ぶつかった人は尻餅をついてしまった。相手は茶髪のボブカットの女の子で、見た感じからすると年下で中学生くらいの子だった。
「あぁ、ごめん!大丈夫かい?」
「あ、はい、大丈夫です!こっちこそすみませんでした」
その女の子に手を差し伸べ、なんとか立たせる。
「あの、もしかして1人ですか?」
「あぁ、実は『息抜き程度に』ってことで、知り合いからチケットをもらってここに来たんだけど、恥ずかしながら僕はこのアーティストのことあまり知らなくてね……」
「あっ、なら私と一緒に観ませんか?実は私、友達が一緒に観に来てくれる予定だったんですけど、その友達に急用が出来て来れなくなっちゃって……」
「そっか……なら、喜んで一緒に観させてもらうよ。僕の名前は浅中匠馬」
「私は立花響です!さっ、早く良い席を見つけましょう、匠馬さん!」
いきなり名前呼びしたことに苦笑いしながらも、僕はその子に手を引かれる形で席を探した。
それにしても……気のせいかもしれないがこの響って子、僕がライミ版のスパイダーマンと同じくらいに好きな映画である、スパイダーバースに出てくるグウェンの声に似てるなぁ……。
そう思いながらも、響が2人分の席を見つけてくれたので、僕もそこの席を確保した。
「あまり知らないアーティストとはいえ、やはりライブに来たからには存分に楽しまなきゃな」
「そうですよ!結構すごいんですから、思いっきり楽しんでくださいね!」
僕の呟きに響がそう言ってくれると、ライブ会場が暗くなり始めた。
「おい!始まるぞ!」
「気合い入れていくよ!!」
暗くなったことでライブ開始間近になったことに気づいた観客は準備を整える。
そして、ついにツヴァイウィングのライブが始まった。
『『『ワアアアアァァァァァァァァァァァァァァ――――――――――!!!!!』』』
開始直後から観客のテンションは絶好調である。
「おぉっ!さすが世界的に有名なだけあって、かなりの盛り上がりようだな」
「そうでしょそうでしょ!奏さーん!!翼さーん!!」
響は、ライブ会場を飛ぶように羽を舞い上がらせながら登場した、ツヴァイウィングである2人の少女―――天羽奏と風鳴翼の名を叫びながらサイリウムを勢いよく振り回して元気よく声援を送っていた。
僕はとりあえず、まずは軽くサイリウムを振り、ツヴァイウィングの歌を聴いていた。
正直、すごいという言葉以外は何も思い浮かばなかった……。心に思いが伝わってくる感じで、世界的トップアーティストと呼ばれるに相応しいと思った。
「すごいでしょ!匠馬さん!!」
「あぁ、これは初見の僕でもすぐにファンになっちゃうほどだよ!」
響からの問いに僕がそう答え、他の観客たちのテンションも最早下がることがない。そんな中、ライブ会場の天井が翼を広げるように開いていく。
それにより、観客たちのテンションはさらにうなぎ登りとなっていく。
「まだまだ行くぞー!!」
1曲目を終えて、熱狂が冷めないうちにもう1曲歌おうと天羽奏がマイクを構えた。
その時だった―――
「―――ッ!?」
突然、僕の周りがスローモーションのようにゆっくり動いているような現象が起きた。スパイダーセンスが発動したんだ。ノイズが現れたと思ったが、その場合はどこかの方向へ反応が強くなる。しかし、スパイダーセンスはこのライブ会場に強く反応している。
(何かが起きようとしてる……?)
そう思い、辺りを見渡すも、何かが起きそうな気配がなかった。
辺りを見渡した後、もう1曲歌おうと、天羽奏が構えていたマイクを口に当てようとしてるのを見た。
そして、彼女がマイクに口を当てたその次の瞬間―――
ドオオオオンッ!!!
ライブ会場の中央から大きな爆発が起きた。それにより、ライブは一気にパニック状態に陥る。そして、次に現れた存在により熱狂から一瞬で阿鼻叫喚の叫びへと変わった。
「―――ノ、ノイズだあぁ!!」
「きゃああああああああっ!!」
ノイズ出現に観客たちは我先にと一目散に逃げ出す。
「響!君は先に逃げろ!僕は残されてる人がいないか見てくる!」
「えっ、ちょ、匠馬さん!?」
僕は響に逃げるように諭し、人目のつかなさそうな場所を探した。
「あああああぁぁぁぁぁ―――」
「嫌だ!!死にたくない!!死にたくな―――」
しかし、そうしている間にも逃げ遅れた人たちはノイズにより次々と炭化されていってしまう。
なんとか人目のつかない場所を見つけ、すぐさまスパイダースーツへと着替えた後、1人の男性に襲い掛かろうとするノイズが目に入ったので、そのノイズに蹴りを入れた。
「ひぃっ!……あれ?あ、あんたは!?」
「とにかく逃げろ!僕がノイズを足止めするから、その内に逃げるんだ!」
「わ、分かった!ありがとう!」
男性がそう礼を言ってから走っていき、それを見送った僕は天井に向けて糸を出して空中を浮遊しながら、人に触れそうになっていたノイズの足を糸で封じ、他のノイズたちにも同じようにしていった。
観客たちは逃げるのに必死だったのか、さっきの男性以外は僕の存在に気づくことなく出入口を目指していった。
「こんなことなら別に人目のつかない場所に行く必要もなかったかな」
そう呟き、爆発が起きた会場の中央を見てみると、信じられない光景があった。
「えっ……?ツヴァイウィングが、ノイズと戦ってる……?」
そう、ツヴァイウィングの2人がそれぞれ―――天羽奏が朱色、風鳴翼が青の謎の鎧を身に纏いながらノイズと戦っていたのだ。
前回の後書きで、ツヴァイウィングとの出会いのエピソードと言いましたが、それは次になっちゃいます、ごめんなさい
あと、さすがにツヴァイウィングだけってのもどうかと思い、響も加えることにしました。まぁその結果、先に響が素の状態である匠馬と出会うことになっちゃいましたが(苦笑)