賭狂い大学生、伊豆に立つ   作:お宮

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今朝まで二日酔いだったので初投稿です。


4話

金一が伊豆大学に入学してひと月がたとうとしていた。

今日は、伊豆春祭___つまり伊豆大学で年に一度行われる学園祭の日。幸いにも天候に恵まれ、大学内は活気にあふれていた。

 

「金一、お疲れさま」

「ありがとうございます。」

 

Pab所属の3年生、浜岡梓からビールを受け取る金一。大学内に設置されたブースの一角で梓と2人並んでお好み焼きを作っている。

 

「千紗ちゃんはどこにいったんです?」

「ちーちゃんなら今夜のミスコンの準備だって奈々華が連れて行っちゃった。」

 

なるほど。もう数時間後にはミスコンも始まる。参加者は事前に集まったりしなきゃならんだろうし、そろそろ準備しなきゃか。シスコンの気がある奈々華さんなら千紗ちゃんの魅力を十全に引き出してくれるだろう。

 

「千紗ちゃんなら優勝間違いなしですね。」

「あはは、伊織と耕平も同じこと言ってたよ」

「馬鹿どもと同じ意見なのは癇に障りますがね」

「そんなことより、金一こそ大丈夫なの?男コンに出ない代わりに、お金を稼がなきゃいけないって聞いたけど」

 

ミスターコンテスト(通称:男コン)を回避するため、伊織と耕平を犠牲にした金一だったが、せめてもの道連れに、と伊豆春祭にてある程度の金額を稼ぐこと強要されていた。達成できなかった場合は、スピリタスの地獄が待っている。

 

「大丈夫です。仕込みは終わっているので。」

「そう?ならいいんだけど。金一もずっとお店でしょ?そろそろトッキーも来るし、休憩に行っちゃって大丈夫だよ」

「では、お言葉に甘えて失礼しますね。」

梓さんにお店を任せ、ブースを後にする。ミスコンまであと数時間、売り上げを確認したいと思っていたし、ちょうどよかった。

 

__________

 

金一が画策している金策。結論から言うと、それは…

 

「一番人気はティンカーベル所属の8番だ!倍率は1.8倍だよ!!」

「8番に1000円分かけるぞ!」「大穴狙いで、6番500円だ!」

「はーい、押さないでくださーい。まだまだ時間はありますからねー!!」

 

ギャンブルの胴元であった。ミスコン運営委員の担当者に賄賂を渡し、入手した名簿及び顔写真をもとにミスコンダービーを企画していた。ギャンブルというのは胴元が必ず負けないようにできているものである。ギャンブルを()()()()()()嗜む金一はそのことをよく知っていた。

 

「ミスコン終了後1時間以内にチケットの裏側に記載された場所に来ないと無効ですから注意してくださいね」

 

もちろん運営側の何人かは売り上げの3割還元という話をつけている。こういうことにだけ悪知恵が働くのは屑の特徴なのだろうか。同じサークルの女の子を賭けの対象にして儲けるなど、常人にはできない発想である。

 

「金一が言っていた金策ってのはアレのことか。」

「よく思いつくもんだ。」

金一の様子を横目に、ミスコン会場にて酒盛りをするPabの面々。ミスコンはもう間もなく始まろうとしていた。

 

__________

 

「お疲れさまでーす。」

 

ミスコンが終了し、伊織の活躍(スカートめくり)によって千紗の優勝が決まった1時間後、心なしかほくほくとした顔で戻ってきた金一。それもそのはず、自身が胴元となって企画したギャンブルは大盛況、多額の金が手に入った上に、スピリタス地獄も回避できることが確定した今、金一に恐れるものは何もなかった。

「おそいぞ、金一」

「こっちはもう始めてるからな。」

 

空き教室で集まっているPabメンバーはいつも通り全裸で酒盛りを始めていた。うん、いつもの光景だな(麻痺)

そんなことより気になるのは___

 

「伊織はなんでぶっ倒れているんだ?」

業務用の焼酎ペットボトルが半分ほど減った状態で転がっており、その傍らで伊織が口元を押さえてうずくまっていた。

 

「古手川、スカートめくり、焼酎、一気」

「OK、理解した。」

近くにいた耕平から事情を聴いて状況を把握した金一。

 

「よかったな伊織、千紗ちゃんのコールで散って逝けるなら本望だろ。」

ニコニコと人の不幸をあざ笑う金一。

 

「てめえ、他人事だと思って好き放題言いやがって..」

「事実、他人事だしな」

 

金一につかみかかろうとして、ハッと何かを思い至ったように起き上がる伊織。

にやりと顔をゆがめ、千紗に話しかける。

 

「千紗、こいつお前が頑張って出場したミスコンでギャンブルの胴元をやってぼろ儲けしてたんだが、許していいのか?」

 

このバカやりやがった。

 

「薬院くん、本当?」

「イヤードウだったかな」

 

ははは、うふふと笑い合う千紗ちゃんと俺。

一拍おいて千紗ちゃんが転がっている焼酎を俺の目の前にドンと置く。

 

「…千紗ちゃん?」

「飲んで」

残り2リットルくらい入ってますけど???

「千紗ちゃん、怒ってる?」

「それ、返事が必要?」

「…イタダキマス」

........

.....

「飲み…切った…ぜ」

「さすがは金一だ」

「今年の1年はやはり優秀だな。」

 

くそ、他人事だからって好き放題言いやがって。だが、今は千紗ちゃんの機嫌を取るのが優先だ。気持ち悪さを我慢しつつ、お伺いを立てる。

 

「これで勘弁してもらえませんかね…?」

 

千紗ちゃんがニコッと笑う。懐からスピリタスを取り出し、ドンと俺の目の前に置く。

この量のスピリタス一気は死ぬゥ!!!

 

「いやあ、なんだか懐も温かいし、千紗ちゃんにダイビングのグッズでも奢っちゃおうカナ????」

 

ぴくぴくっと反応する千紗ちゃん。これはいけるか…?

 

「今なら高い機材でも買えちゃうなあ」

「…約束だからね。」

 

長い沈黙の後、ため息をつく千紗ちゃん。

危なかった。千紗ちゃんがチョロくって助かった。

 

「..あれ?それってちーちゃんとデートに行くってこと?」

俺らの様子を見ていた梓さんが、こそこそと俺に尋ねてくる。

 

「なにいってるんですか、一緒に買い物に行くだけですよ。」

一緒に買い物行くだけでデートだなんて、中学生じゃあるまいし。

 

「いやあ、金一とちーちゃんが一緒に買い物行くこと、奈々華が知ったらどう思うんだろうなーって」

どう思うって、そりゃあ…

これは…詰んだか…??

 




初めて潰れたお酒というのは、印象深いものです。当時大学1年生だった私は、初めてのサークル合宿でブラックニッカというウイスキーをのんで潰れたことが酷く印象に残っています。
いつの間にか吐しゃ物をまき散らしながら布団に寝かされており、先輩方には迷惑をかけました。無論、飲ませたのは先輩方なのですが。今思うと、とんだマッチポンプですね。

10/17 23:30 誤字を訂正。
お気に入り、評価大変感謝しています。ありがとうございます。
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