「なあ耕平、金一。気のせいかもしれないんだが..」
「なんだ北原」「どうかしたのか、伊織」
「みんなの視線がいつもと違わないか?」
確かに、教室内の様子は異様な雰囲気に包まれていた。
見知らぬ他人が、包丁を研ぎながらぶつぶつと何事かをつぶやいていたり、鎖やスコップなどを握った男たちがこちらを見つめ何事かをつぶやいていたりと、どことなく居心地が悪い。耕平も同じことを考えていたようだ。俺もそう思っていた、と伊織の言葉に同調する。
「明らかに様子がおかしいな。俺らが何かしたか?」
伊織に尋ねてみるが、奴も原因がわかっていないらしい。心底不思議そうな顔で考えている。
「わからん。俺たちはいつも通りなのに」
どれだけ考えても理由はわからない。伊織の言う通り、俺たちはいつも通り飲み会の後にパン一で講義を受けているだけなのだが…
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『古手川千紗と別れナけれバ貴様をコロす』
伊織に向かって飛んできたカッターナイフに一昔前にしか見たことのない脅迫文が括り付けられていた。千紗ちゃんと伊織が?
「なんだ、お前ら付き合ってたのか?」
「はぁ?そんなわけ「実はそうなの」」
千紗ちゃんが伊織の言葉にかぶせて答える。
耕平が続けて質問する。
「別れないと殺されるらしいがどうするんだ?」
「よくわからんがいう通りに「ありがとう伊織、私のために命を懸けてくれるのね」」
またもや千紗ちゃんがかぶせて答える。
ふむ。これは…
ちらっと耕平に目線を送る。耕平がコクンと頷いた。
「じゃあ俺たちちょっと用事があるから。」
「悪いな北原」
耕平と2人で席を立ち、背中を向ける。扉に向かって歩き始めようとしたところで伊織に肩をつかまれた。
「まあ待ちたまえよ君たち」
チッ、こいつも気が付きやがったか。
「話しかけるなよ北原、知り合いだと思われるだろ」
「手を放せ伊織、馬鹿がうつるだろ」
「知り合いどころか大親友だもんな俺たち。あとお前はもとから馬鹿だからこれ以上馬鹿にはならないぞ。」
なんて性根の曲がった人間だ。肩をつかんだ手を外そうとしてもびくともしないぞ。
「俺たちは無関係だ、おとなしく一人で死ね」
「そんな寂しいことを言うなよ」
にやりと笑うと、伊織は大声で何事かを叫び始めた。
「耕平は青女の浜岡梓さんと付き合い始めて2週間だっけ!!!!千紗の姉でめちゃくちゃ美人の奈々華さんと付き合って半年の金一に長続きの秘訣でも聞いたほうがいいんじゃないのかあーーー!!!!」
こいつやりやがった。
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「お前らちょっといいか?」
学食で昼飯を食べていると。見知らぬ男が声をかけてきた。
「誰宛の脅迫文だ?それとも全員か?」
人生でここまで脅迫文が送られてくる経験はなかなか無いだろうな。他学科の人間からも脅迫されるとは、千紗ちゃんや梓さんたちの人気を見くびっていたようだ。
「脅迫文に慣れるなよ。やっぱりお前ら普通じゃないな。」
眼鏡の男があきれた顔で話しかけてくる。
どうやら同じ学科の生徒らしい。眼鏡の男、野島が伊織に話しかける。
「同じ学科のよしみだ、力になってやろうと思ってな。」
「ただし、手を貸す代わりに教えてほしいんだ、
「んなもんねえよ」
確かに、
声をかけてきたもう一人の男、山本が震えた声で確認する。
「え…?本当にないのか…?ならお前に彼女なんて不可能なはず…」
「全くだこの変態」
「さっさと自首して楽になれ」
「お前ら全員表にでろやボケェ!」
催眠術がないと分かったとたん、なぜか周りの人間を集め、ひそひそと話し始める野島と山本。山、人がこない、スコップなど不安を煽る単語がちらほらと耳に入ってくる。
これはやばい。とりあえず弁解行わなくては。
「落ち着け!伊織と耕平はともかく、俺に関しては誤解で…」
「わかったわかった」
俺の必死の弁明を聞き流す野島。口元は笑っているが目が笑っていない。本気で殺るつもりだ…! さすがにまずいと思ったのか耕平も弁解を行う。
「お…俺たちを殺ったら損だぞ!」
「ケッ、命乞いか?」
何か考えろ…!打開の策を…
…!
この手しかない!!!
「「「合コン組んでやるよ!」」」
「「「「「今日から俺たち親友だ!!!」」」」」
合コンは何回か経験がありますが、実のところいい思い出がありません。
結局男連中でやる0次会や反省会が一番楽しいですね。
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