デコのヒーローアカデミア   作:かにかまとかにたま

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No.13 vsステイン

 

『今ちょうど保須市を通るよ、そっちはどんな感じ?』

 

……飯田くんからの返信、こないなあ……いつもなら、既読ついたらすぐに返ってくるのに……

 

「……グラントリノ、あっちに着く頃には夜ですね」

「まあな、そのつもりで出発したんだ」

 

『お客様、座席にお掴まり下さい。緊急停止します――』

「……?」

 

ドガァン!!!

――壁を破って人が飛んできた!この服装……ヒーローだろうか?

 

「きゃああああ!!!」

 

コイツは……!?脳無!!!でも、あの時と色も体格も違う……色白で手足が長い。

 

「座って待ってろ!!」

「え!?」

 

グラントリノが飛び出し、脳無を突き飛ばす。

 

「グラントリノ!!」

 

――もうあんなに遠くに!!……爆発、別のとこにも火の手が!!

どっちに向かう……?

……グラントリノは私なんかよりよっぽど強い、爆発の方だ!!

 

「ちょっと君!待ちなさい!」

「ごめんなさい!!」

 

車掌さんの制止を振り切って、停止した新幹線から飛び出した。建物の上を飛び移り、騒ぎの中心に向かう。……そろそろだ……!

 

「なっ……!?脳無!?他にも……!?」

 

翼の生えた白いのと、体の大きい黒い脳無!!何人かのヒーローが既に集まって応戦している。この脳無たちが雄英襲撃の時と同じ強さなら、危険すぎる……!!

 

「ちょっと君、何をしてるの!?下がってて!!子供がいていい場所じゃないの!!」

「っ私も加勢します!」

「ダメ!!何考えてるの!?早く避難して!!」

「でも――」

 

「――くん!天哉くん!……何でこんな時に限ってどっか行っちゃうんだ!!」

 

「――っ!!」

「ちょっと!?避難はそっちじゃないよ!どこ行くの!!」

 

天哉くん……飯田くんのことだ……いなくなった?こんな非常時に、あの真面目な飯田くんが?この保須市で?ヒーロー殺しがインゲニウムを襲った、この保須市で……

 

私が向かうべき場所は……スマホで地図アプリを開く。

ニュースでやっていた……ヒーロー殺しの被害者の多くが、人気(ひとけ)のない路地裏……

現在地、そして『マニュアル』事務所、この辺りを手当たり次第に探すしかない!

 

 

 

 

 

「殺してやる!!」

 

「あいつをまず救けろよ」

「目先の憎しみに捉われ、私欲を満たそうなど……ヒーローから最も遠い行いだ……ハァ……」

「だから死ぬんだ――」

 

――瞬間、インパクトの瞬間!!20%!!

SMASH!!

 

「救けに来たよ、飯田くん!!」

「緑谷くん……!?何故……!?」

「――っ飯田くん動ける!?」

 

ヒーロー殺し……!!20%をまともに食らわせたのに、なんで立っていられる!?

それに、飯田くんの他にもう一人倒れている……!!少し離れていて、怪我の具合は分からない。

 

「身体を動かせない……!斬りつけられてからだ、恐らく奴の″個性″……!」

「斬られてから――っ!!」

 

飯田くんの両腕から血が!!特に左腕、見てすぐ分かるぐらいに傷が深い……!!

よくもこんなことを……!!激しい怒りが込み上げてくる。

 

「緑谷くん、逃げろ……!君には関係ないだろ!!」

「何を……言ってるの……?」

 

「『救けに来た』、良いセリフじゃないか」

「だが俺はこいつらを殺す義務がある。ぶつかり合えば当然、弱い方が淘汰されるわけだが……さあ、どうする?」

 

冷たく燃える眼……ぞくりとするその感覚に、さっきまでの怒りをかき消されたかのようだった。

……応援を呼ばなければ……でもそんな余裕はない、ワンタッチでできる連絡……位置情報を……

 

「殺す義務……?どういうこと……?」

 

送信、あとは時間を稼ぐ……

 

「……偽物のヒーローを粛清する義務だ……ハァ……そして本物の英雄、正しき社会を取り戻す……!」

「……ふざけないで……!!」

 

恐怖で引いた怒りが戻ってくる。

 

「そんなことの為に、たくさんの人を殺したの……?そんなことの為に!人を傷つけて!!どうして平気でいられるの!?」

「……誰かが正さねばならんのだ……俺がその使命を全うする……」

「お前は目的を果たせない!!私が今ここでお前を倒す!!」

 

「やめろ……!逃げろ……!君には関係ないんだから!!」

 

――ふと思い出したのは、雄英襲撃事件……あのとき駆けつけたオールマイトの、あの表情。私と相澤先生を抱えて、激しい怒りに震えるオールマイトは……それでも私に、大丈夫だと笑いかけた。だから私も……

 

「……大丈夫だよ飯田くん……必ず救けるから!!」

「ハァ……良い……!」

「違うんだ……そいつは僕が……僕がやらなきゃ……!」

 

落ちていた飯田くんのヘルメットを拾い上げる。しっかり狙って……瞬間、20%!!

投げると同時に、一気に詰め寄る。ヘルメットは軽く躱された……長刀の間合いより少し外、地面を狙って拳を振り下ろす!

SMASH!!

 

ヒーロー殺しは大きく引いて避けた。その隙に倒れていたもう一人を抱えて戻り、飯田くんのそばに横たえる。これで守りやすくなった。

 

ヤツが左手を懐に……!!

顔めがけて飛んできたナイフを避ける。来るぞ、こっちも詰める!!

長い武器は無茶な振り方ができない、よく見て……!!

タイミングを合わせて飛び上がり、頭部を狙って右足を振る!!しゃがんで避けられた、ヒーロー殺しは返す刀で斬り上げ!私は相手の肩を掴んで前に飛び出し、なんとか躱す。

 

二人から離れるわけにはいかない、振り返ってもう一度突っ込む!さっき上に避けたから今度は……!!

先程よりワンテンポ早く踏み込み、振る刀の内側に滑り込んで股下をくぐる。すぐに飛び上がって反転、ここだ!!

 

――遠い!!警戒されていた!!

 

「ハァ……速いな……仕方がない……」

「もうやめてくれ…逃げてくれ……!!」

 

またナイフを投げてくる!!……低めに飛んで来た、これを避け――

 

――避けちゃダメだ!!

 

「っうう!!」

 

ナイフが2本、ブーツを貫いて左足に突き刺さる。

まだ投げてくる!咄嗟にマントを外して広げ、倒れている二人を隠した。

 

「……もう飛び回れないな……ハァ……」

「っ……!!」

 

ヤツが近づいて来る。足は痛いけど、動かせないわけじゃない……ヒーロー殺しの″個性″、発動条件はなんだ……?とにかく、チャンスは一回……見極めろ!!

 

 

「――緑谷!!伏せろ!!」

「っ!!」

 

熱い!!炎……!?この声!!

 

「こういうのはもっと詳しく書くべきだ、遅くなっちまっただろ」

「轟くん!」

「すぐにプロが来る、それまでの辛抱だ」

「轟くん!私は足をやられた、この二人はアイツの″個性″で動けない!!斬られないように注意して!!」

 

轟くんが炎と氷を交互に撃つが、ヒーロー殺しを捉えることができない。

 

「クソッ!!速え!!」

 

大きな氷結で、壁ができた。私は二人を引きずり、何とか距離を取ろうとする。

 

「二人とも……何故なんだ……やめてくれ……!!」

 

「兄さんの名を継いだんだ……僕がやらなきゃ……そいつは僕が……!」

「継いだのか、おかしいな……俺が見たことあるインゲニウムは、そんな顔じゃなかったけどな」

 

氷壁がバラバラに斬り壊され、ヒーロー殺しが轟くんに迫る。

 

「自ら視界を遮る……愚策だ」

「そりゃどうかな――っ!?」

 

炎を出そうとしたその左腕に、ナイフが突き刺さる。何本持ってるんだ……!!

 

私は自分に刺さっているナイフを1本抜きとり、投げつけた。当たるとは思っていない、少しでも気を逸らせられたら……!

――ヒーロー殺しは、そのナイフを避けずにキャッチする。炎が広がり、再び距離が空いた。

――アイツがそのナイフを舐めると、背筋に悪寒が走った。

 

「っ!?身体が……動けない!!」

「緑谷!?……そういう″個性″か……!」

 

ナイフを……いや、血を舐めるのが条件か!!

まずい、轟くんが一人になってしまった……!!動けない……!!どうすればいい!?誰か、誰か……!!

ヒーロー殺しが轟くんへ向かっていく――誰か――

 

「――飯田くん!!」

「やめてくれ……もう……僕は……!」

 

 

「やめて欲しけりゃ立て!!」

「なりてえもんちゃんと見ろ!!」

 

 

 

「レシプロ……バースト!!」

 

ガキィン!!

飯田くんが、刀の側面を蹴り折った。

 

「飯田くん!!」

「解けた……制限時間があるみてえだな」

 

時間で解けるなら……私も、この人もきっと……

今の私にできるのは……二人を信じて、なるべく静かにその時を待つこと。

 

「二人にこれ以上血を流させるわけにはいかない」

「感化され取り繕おうとも無駄だ。お前は私欲を優先させる贋物にしかならない……!」

 

アイツに色々言ってやりたいけど我慢!!落ち着け!!まだ動けない!

 

「それでも、折れるわけにはいかない……俺が折れれば、インゲニウムは死んでしまう……!」

「論外……!」

 

炎の波を躱したヒーロー殺しが、再び轟くんにナイフを投げる。″個性″に集中していて、足が止まっているのを狙われている。そのナイフから、飯田くんが右腕を伸ばして庇い、バランスを崩して倒れる。ヒーロー殺しが飛び上がった。

 

――きた!動ける、飛び出せ!!

右足で地面を蹴って壁沿いに飛び上がる。――気づかれたがかなり近づいた、あと少し!!

 

「これをくらえ!!」

 

足から抜いていたもう一本のナイフを投げつける。

――すぐに気がつくはずだ、山なりに投げたナイフが見当違いの方向へ飛んでいくことに。それでも一瞬、キャッチできるかどうか考える。″個性″の為に、そのナイフが欲しいから……

 

痛みをこらえて、瞬間20%!!両足で壁を蹴ってさらに飛び込む!!

これで決める、右足に集中……だいたい40%!!

 

「はあああっ!!!」

 

SMAASH!!

振り抜いた右足の風圧で、ヒーロー殺しが壁に叩きつけられた。反動で自分も反対側の壁にぶつかる。

……痛い!!右足も、左足も……私はもう動けない。

 

 

「レシプロ……エクステンド!!!」

 

 

落下するヒーロー殺しの身体を、飯田くんの右足が捉えた。

 

 

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