デコのヒーローアカデミア   作:かにかまとかにたま

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No.1 オールマイトとの出会い

 

緑谷出子(いずこ) 14歳 春

 

 

「うわぁ、でっかいヴィラン!!」

 

寄り道しても、学校には全然間に合うし……

人混みをかき分けて進む。

 

「誰が戦ってますか!?」

 

駅の屋根上に目を向けた。

 

「あれはシンリンカムイですね!最近話題の!」

「おっと嬢ちゃん、ヒーローオタクかい?」

「えへへ……」

 

シンリンカムイの腕がいくつも枝分かれして、膨らんでいく。

 

「来ますよ!シンリンカムイの必殺技!」

 

しかし、先に攻撃したのは、横から突然現れた、巨大なヒーローだった。

 

「キャニオンカノン!!」

 

ズドーーン!!

 

大きなヴィランよりさらに大きいそのヒーローが、強烈なキックをお見舞いする。

 

「本日デビュー、Mt.レディと申します!以後お見()()おきを!」

 

「やっぱりセクシー路線は売れるのかな……いや、そうじゃなくて……突然現れたけど、飛び込みながら巨大化したのかな?でも基本は大きいまま戦うだろうし、そうなると街への被害が……」

「おいおいメモまで持ち出して、ヒーロー志望かい?応援するぜ!」

「っはい!ありがとうございます!」

 

陽気なおじさんに別れを告げて、学校へ向けて走り出した。

 

 

 

 

 

「おまえらも三年になったということで!本格的に将来を考える時期だ!今から進路希望のプリントを配るぞ!」

「……といっても、皆だいたいヒーロー科志望だよねぇ」

「「はーい!!」」

 

はーい。皆とはだいぶ事情が違うけど。

個性を見せびらかすクラスメイトの中で、肩身が狭い。

 

「うんうん、皆良い″個性″だ、でも校内で個性は原則禁止だぞ」

「『皆』って一緒くたにすんなよ、先生!」

 

ツンツンに髪が爆発してる男子が一人、声を上げる。

彼は爆豪勝己、私の幼馴染で、少し目立ちたがり屋。

 

「ああ、爆豪は確か、『雄英高』志望だったな」

「雄英!?マジかよ!」

「ヒーロー科のトップ校だぞ!?」

「カツキすげー!!」

 

「ははっ、騒いでろ!″没個性″のおまえらと違って、俺が目指すのはトップヒーロー!オールマイトをも超える真のNo.1だ!!」

「そういえば、緑谷も雄英志望だったな?」

 

え?ウソでしょ?このタイミングで私に振る?

 

「はああ!?緑谷!?」

「ムリムリ!お前″無個性″だろ!?」

「勉強出来るだけじゃヒーロー科は入れねえぞ!」

 

「失礼だなぁ、運動もできるよ」

「おいデコ!!」

「ひゃあ!?」

 

かっちゃんにいきなり胸ぐらを掴まれる。

 

「″無個性″で雄英だと!?ああ!?テメェまだそんなこと言ってやがるのか!!」

「かっちゃん、まあまあ落ち着いて……」

「うるせえ!!」

 

「またやってるよアイツら」

「仲良しかよ」

 

「爆豪、緑谷、その辺にして席に着け」

 

「チッ!」

「あはは……」

 

 

 

 

放課後、荷物をまとめて立ち上がる。

今日も帰ってトレーニングを……

 

「おいデコ、ツラ貸せ」

 

なにやら話があるらしい。

 

「うん、行こっか」

「あ?」

「帰りながらで良いでしょ、一緒帰ろ?」

「…………」

 

 

 

 

 

「かっちゃん最近、一緒にトレーニングしてくれないよね」

「テメェと違って忙しンだよ」

「一人じゃ組手が出来ないんだよ〜」

「…………」

 

「デコ、なんで雄英なんだ?」

「え?」

 

かっちゃんが立ち止まったので、私も振り返る。

 

「ヒーロー科なら他にいくらでもあンだろ、他行け」

「……ヒーロー科受けるのは否定しないんだ」

「…………」

 

再び歩き出したかっちゃんがすれ違うとき、一瞬目が合った。

いや、目というより、少し左上を……

 

「私の憧れはオールマイトだから、行くなら雄英!ここは譲れない!それに……」

 

「やってみないと、わからないでしょ?」

「無理だアホ」

「そんなぁ〜」

 

 

 

 

 

人通りが少ない道を歩く。喉が渇いたので、見つけた自販機に寄った。

 

「何にしよっかなー」

「遅え」

 

小サイズの缶サイダーを早くもほとんど飲み干したかっちゃんが、急かしてくる。

よーし、じゃあこれを――

 

「うわぁ!!た――」

 

突然聞こえてきた叫び声に、二人は振り返る。

そこには、謎のベトベトした物体に覆われた、男性の姿があった。

 

(ヴィラン)だ、かっちゃん!!」

「ああ、見りゃわか――」

「行こう!!」

 

返事も待たずに、迷わず駆け出した。

 

「なっ……!?オイ!!」

「助けるのが、ヒーローだから!!」

 

かっちゃんならすぐに追いつく、それよりも考えるべきは……!

あの人は口元をベトベトで覆われている、急がなきゃ窒息してしまう!

ヴィランは異形型の個性、全身ベトベトで目と口以外は形が定まっていないらしい。捕まっている人の個性は考慮しなくてもいいだろう、振り解こうともがいているが、個性を使っている様子はない。

アイツがこちらに気づいた!まだ攻撃は届かない、大丈夫……

 

BOM!後ろで爆発音、来た!

 

「デコ!!お前は止まれ!!」

「かっちゃんが救助!タイミング合わせて!」

 

かっちゃんの爆破なら、ベトベトを吹き飛ばせる!あとは隙を作る、狙うなら……剥き出しの目!

 

「邪魔をするなあ!!!」

 

ドロドロの手が伸びてくる、これを躱すには……!

 

「せいっ!」

 

ほとんど肩から外しかけていたカバンを、ここぞとばかりに投げつける。ヴィランの腕にカバンがぶつかり、ドブのような臭いが広がった。

勢いそのままに、飛びかかる。

 

「はあっ!!」

「ぎゃああ!!」

 

振り抜いたパンチが、ヴィランの目を捉えた!

ヘドロの塊が少しのけぞり、覆われていた男性の体が少しだけ現れる。

 

「今だかっちゃん!!」

「死ねえ!!!」

 

BOOOM!!!

 

私達を巻き込まない為なのか、かっちゃんはほとんどヘドロに埋まりながら、割り込むように飛び込んで爆破した。

爆風の勢いで、3人とも倒れ込む。

 

「くっせえ!!」

「やっつけた!?」

 

爆破した高さのベトベトはあらかた吹き飛んだが、残りの上部と下部がまとまって、膨れ始める。

 

「うそぉ!?」

「…ッんのドブ野郎!!おいデコ!!そいつは!?」

「目立った怪我は無いけど、気を失ってる……!すいません、聞こえますか!?聞こえますか!!」

 

肩を叩いて呼びかけるが、返事は無い。

ダメだ、背負ってくしかない!幸いアイツの動きは遅いはず……

 

「かっちゃん、手伝って!!」

「――チッ!一人で運べ!」

「えっ!?」

 

BOM!

爆発が、細長く伸びたベトベトを撃ち落とす。

そんな……狙いを絞れば、あの速さで攻撃できるのか……!

 

「早くしろ!!」

「かっちゃん!!」

 

Bomb!Bomb!

 

「どうしたクソヘドロ!!かかって来いよ!!」

 

「ぬううう!!」

 

さすがに人1人背負うと、速くは走れない。

どうする……?任せていいのか……?かっちゃんは強いけど、弱点が無いわけじゃない……爆破は手のひらだけ、つまり全身をを同時に抑えられたら抜け出せない……そして、体が流動的なあのヴィランなら、それが出来る!

 

BOOOM!!

 

大きな爆発に振り返ると、かっちゃんが飛んでくる。

 

「かっちゃん!どうしたの!?」

「距離取っただけだ!走れ、来るぞ!!」

 

アイツが大きく膨らんだ、そのとき――

 

「――もう大丈夫だ、君達」

 

「私が来た!!!」

 

辺りに暴風が吹き荒れる。

 

「オ…」

「オ…」

 

「「オールマイト!!!」」

 

拳を握りしめ、堂々と立つその姿。

憧れのNo.1ヒーロー、オールマイトとの出会いだった。

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