デコのヒーローアカデミア   作:かにかまとかにたま

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No.19 vsマスキュラー

 

「逃がすかよ、俺と遊ぼうぜ緑谷!」

 

高台から飛び降りながら、一瞬後ろを振り返る。

男の身体が不自然に膨らんでいく……

私が着地すると同時に、その男も飛び降りた。

 

「生きがいいね、楽しみだ!お前は率先して殺しとけって言われててなァ!!」

 

――私を率先して?つまり、他の生徒もターゲットになっている……?そしてあの男の″個性″……赤い筋のようなものを身に纏っている――

すぐに前を向き、地面を蹴って森の中へと駆け出した。

 

「アイツは……アイツは……!!」

「洸汰くん!?後ろ見てたら危ない、ちゃんと掴まってて!」

「……アイツが、パパとママを……!」

「っ!?そんな……!」

 

バキバキィ!!

木々が薙ぎ倒される音が後ろから聞こえてくる。

 

「オイオイ!そんな速さじゃ追いついちまうぞ!?」

 

走りながら思考を巡らせる……

逃げ切れなくていい、アイツを他の場所に向かわせるにはいかない……私を狙っているなら好都合、このまま施設に行けば洸汰くんの保護をしつつ加勢を望める。

あの男の″個性″、身に纏っていたものは何だろう?パワーとスピードを兼ね備えている。纏うだけで強くなる?しっくりこない……赤い筋……筋……筋肉?

大量の筋肉を纏って、自分を補強する″個性″!!

 

「血ィ見せろや!!」

 

振り返って拳で地面を叩き、牽制する。

ワン・フォー・オール、瞬間40%!!

SMASH!!

 

「うわあ!!」

「ごめん洸汰くん、もう少しだから!」

 

「いいパワーだ!お前となら絶対、楽しく()り合える!頼むから、逃げないでくれよ緑谷ァ!!」

 

再度駆け出す、そろそろだ!!

木々の隙間から、施設の明かりが見えた。

 

 

 

 

 

「生徒が大事か?守りきれるといいな……また会おうぜ」

「先生今のは……!」

「……中入っとけ、すぐ戻――」

 

「先生ぇ!!!」

「緑谷!お前……」「緑谷くん!?」

「「緑谷!!」「……!!」

 

相澤先生と、さっき広場で別れた4人……タイミングが被った……!

 

「広いとこだなァ……わざわざ案内してくれたのか?戦いやすい場所に……いいヤツじゃねえか緑谷!嬉しいぜ!!本気でやっていいんだよな!?」

「お前ら中入っとけ!!緑谷お前もだ!」

「プロヒーロー『イレイザーヘッド』!お前にだけは注意しろってアイツ言ってたなァ……″個性″を消せるって?んじゃこれならどうだ……?」

 

その男は一旦森の中に姿を隠す。……やばい、絶対にやばい……!!

 

「飯田くん!洸汰くんをお願い!!」

「お願いだって!?待て、君は……」

「お願い!!」

「ボサっとするな!!!逃げろ!!!」

 

みんなが施設の入口へ走りだす。

ワン・フォー・オール、全身20%!!

 

「ふざけるなよ緑谷……!!お前はいつもいつも――」

 

バキバキィ!

木が倒れる音とともに、男が異様な風貌で現れた。

厚い筋肉で覆われ、元の身体の二倍以上にも膨らんでいる。

 

「……消えない、なんだアイツは?」

 

……すでに纏った筋肉は、イレイザーヘッドの″抹消″でも消えないのか……!!

 

「本筋は他に任せていいよなァ!?こっち()るのも仕事だろ!?」

「先生下がって!!」

 

瞬間40%、デトロイト……SMASH!!

ドガァァン!!

私は弾き飛ばされて、地面を転がった。

 

「ははっ!!俺の方が強え!!いい気分だ!!」

「緑谷!!」

「貼り直せないと面倒だからな、先にお前から殺してやるよ!!俺は緑谷とタイマンがしてえんだ!!」

 

相澤先生は、ヤツに向かって捕縛布を伸ばす。

……同時に私に向かって、もう片方の端を低く飛ばす。

 

「そんな非力な腕で何ができる!?こっちに来いよ!!」

「ほざいてろ」

 

ヤツがそれを掴んで引き寄せるが、相澤先生は直前で切り離す。後ろに下がった先生を見て相手はすぐに跳躍し、膨れ上がった腕を叩きつけた。

私は伸びてきた捕縛布を引っ張る。

 

「ひゅ〜、色々考えてんのな」

 

「先生!!」

「緑谷、これ使え」

 

しなやかに着地した相澤先生から、布を切り離すのに使っていたナイフを渡される。

 

「っ!?」

「あの分厚さじゃ打撃は効かん、躊躇うな……だが殺すなよ」

「……はい」

()()()()と言っていた、切って消耗させろ」

 

「小細工はやめて、もっとぶつかり合おうぜ!!」

「……お前は黙っていろ!!!」

 

相澤先生が、突然大声を出す。

 

……瞬間40%でも押し負けた、20%じゃ速さも負けてる……なら、全身40%!

 

「黙って静かにしていろ!!!俺がいいと言うまでだ!!!」

「オイオイ、キレんなって……俺は楽しみたいだけだ」

「静かにしていろと言ったんだ!!動くな!!!」

「誰が聞くかよ!バカなのかぁ!?」

 

身体が(きし)むような感覚だ……でも動ける!!長くはもたない、どうにかして一太刀入れる!

――それでダメなら、100%を撃つ――

 

「はああっ!!」

 

飛びかかって右の蹴り、腕でガードされた。すかさずナイフを振り下ろす……しかし、反対の腕で突き飛ばされた。

 

「浅いな、逸らしたか……ボキボキに折るつもりで振ったんだが……」

「っ……!」

「さっきより速いが、ぎこちない動きだなァ?それにお前、ナイフ(それ)使い慣れてないだろ?そんなの捨てて、正面からヤろうぜ!!」

 

さっきより弱い……消耗し始めてる……!!このまま続ければ……!!

 

「その為にも、まずこっちを殺さねえとなあ!!」

「っ!!」

 

私とアイツの、動き出しの速さはほぼ互角……間に合わない……!!

施設入口の柱のそばに移動していた相澤先生に向かって、私とヴィランが飛び出した。

 

「先生!!」

「血祭りだ!!」

 

「そうだな、血祭りだ……もういいぞブラド!!」

 

柱の陰から、大量の血が噴き出す。

その血が固まって無数のトゲがついた壁に変わり、勢いよく迫るヴィランに突き刺さった。

 

「……それがどうした!?身体まで届いてないぜ!?」

「……プロを舐めるな!血剣!!」

 

――刺さった血のトゲが刃に変わり、筋肉の層を切り裂いた。再び形を変えて相手を覆い、その身体を地面に固定する。

――瞬間40%!!

 

「デトロイト……!!」

SMAASH!!

 

 

 

 

 

「イレイザー、隠れる必要あったのか?」

「わざわざ姿を晒す理由がない……確実に、合理的にだ。お前が冷静で助かった」

 

B組の担任、『ブラドキング』先生の″個性″は″操血″。自分の血を自在に操ることができる。

 

「……捕縛布の長さを残しておきたい、いいか?」

「ああ」

 

固まっていた血が、管を通って体に戻っていく。手足の拘束だけを残した状態で、ブラド先生がその男を担ぎ上げる。

 

「ブラド、引き続き中にいる生徒を頼む。緑谷、お前も……」

 

私はすでに、個性なしで捕縛布を躱せる間合いまで離れていた。

 

「私も行きます」

「ダメだ、戻れ」

「ナイフ返します、こっちに来てください」

「戻れ!!」

「私が先生を抱えて行きます、そのほうが速い」

 

「イレイザー、アイツ一人で行きかねないぞ」

「……ッ……後で処分覚悟しとけよ」

 

「ブラド先生!!みんなをよろしくお願いします!!」

 

ワン・フォー・オール、全身20%!

相澤先生を前に抱えて走り出した。

 

 

 

 

 

「お前マジでふざけるなよ……」

「今さら照れないでくださいよ」

 

「……広場でいいですか?」

「ああ……マンダレイのテレパスで、生徒に戦闘許可を出す」

「……あ……」

 

そういえば許可もらってない。

 

「でも結局、ヒーロー免許ないとダメなものはダメなんですよね?」

「責任は全部俺が持つ……だがお前は別だ、覚悟しとけよ……!」

「動かないでください、落としちゃいます!」

 

 

 

「見えてきました!……あれはマンダレイ!」

「緑谷、俺を投げろ!」

 

力任せに、相澤先生を放り投げた。

先生が捕縛布を伸ばし、ヴィランがマンダレイに向かって振り下ろした武器を絡め取る。

 

「マンダレイ、テレパスを頼む!」

「イレイザー!?」

 

『A組B組総員、プロヒーローイレイザーヘッドの名に()いて、戦闘を許可する!!』

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ドガァァン!!

 

「先生!!今のは!?」

 

この音は施設のすぐ外だ……イレイザーなのか?何をしている?

 

「……みんなこっちだ!この部屋に!」

 

廊下を走る足音が複数、避難に来た生徒だろう……ドアを開けて姿を確認した。生徒4名と子供がひとり、5名が向かってくる。

 

「A組委員長だな、よく無事だった。みな中へ入れ」

「ブラドキング先生!すぐ外でヴィランと交戦中です!相澤先生と、生徒が一人!緑谷くんが一緒に……!」

 

緑谷、イレイザーが言っていた問題児か……

 

「俺も加勢に行こう、外のヴィランを片付けたらすぐ戻る」

「先生!俺も行きます!」

「ダメだ」

 

「全員この部屋から出るな!絶対にだ!」

「先生、お願いします!俺も――」

「ダメだ!」

 

「切島、もしヴィランが部屋に入ってきたら、″硬化″のお前が皆を守れ。物間、A組の個性も覚えてるな?」

「……オッス!!」「…当然です」

 

ドアを閉めて、玄関へ向かった。

 

「やっぱイカれてるよ……ヒーローなんて……」

 

 

 

 

 

玄関の先、施設の外にヴィランの姿を見つけた。

身体が何かに覆われている、あれが個性か?イレイザーがいるのに消えていない……

建物から出て声を掛けようとした時、大声が聞こえた。咄嗟に柱の陰に隠れる。

 

「イレ……」

「お前は黙っていろ!!」

 

「黙って静かにしていろ!!!俺がいいと言うまでだ!!!」

 

イレイザー……?様子がおかしい……ヴィランに向かって怒鳴っている……いや、アイツがそんな無意味なことをするか?合理的が口癖の男だぞ?

 

「静かにしていろと言ったんだ!!動くな!!!」

 

……了解だイレイザー、お前を信じよう……

 

 

 

 

 

「もういいぞブラド!!」

 

わざわざ呼ばなくても、ここしかないだろう!!

自分の血液が、管を通って噴き出す……

まずは貫く!

そして……切る……!!

 

「プロを舐めるな!…血剣!!」

 

すぐに血を操り、逃げられないように縛り付ける。

 

「デトロイト……スマッシュ!!」

 

 

 

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