デコのヒーローアカデミア   作:かにかまとかにたま

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No.23 平和の象徴

 

オールマイトの拳が素手で受け止められて、その衝撃が広範囲に広がる。

 

「来ると思っていたよオールマイト……しかし、ずいぶんとラフな服装じゃないか」

「非番だったからな、貴様こそ何だそのマスクは?」

 

「二人を救け出し、そして今度こそ貴様を捕らえる!(ヴィラン)連合もろともだ!!覚悟しろオール・フォー・ワン!!」

「覚悟するのは君の方さ」

 

――ヤツの腕が不気味に膨れ上がり、見えない力によってオールマイトは吹き飛ばされた。直線上の建物が巻き込まれて崩れていく。

 

「オールマイトォ!!!」

 

 

「さてと……弔、ここは二人を連れて逃げるんだ」

「……先生、悪いが爆豪はもう必要ない……すぐにでも殺して、ヒーロー社会への見せしめにしてやる……」

「……好きにするといい……だが――」

 

 

 

再び飛びかかったオールマイトだったが、またしてもオールフォーワンに阻まれる。激しくぶつかり合う二人をよそに、死柄木らが俺たちに狙いを定めた。

 

俺の爆風が届かない距離感で、周囲に点々と黒いモヤが現れる。反応する間もなく、一瞬で囲まれた。

 

「――今行くぞ!!」

 

「させないさ」

 

こちらに向かおうとしたオールマイトが地面に叩きつけられた。そのまま投げ飛ばされて、オールフォーワンが追撃を仕掛ける。オールマイトが反撃するが、軽々と躱されてしまう。

 

 

 

 

 

 

――何が『もう大丈夫』だって……?なんだその情けねぇツラは……!!

そんなんじゃねえだろ!!あんたは……俺が憧れたのは……!!

 

 

 

「――オールマイト!!!」

 

「こっちは任せろ!!だから……勝て!!勝てやオールマイト!!!」

 

足引っ張ってたまるかよ、なぁそうだろ!?

 

「オール……マイト……?」

「デコ、自力で掴まれ!!両手空けねえと逃げ切れねえ!!」

 

折れている左腕を自分の肩に乗せ、右腕は脇の下を通させる。

 

「っ……!!」

「今は我慢してくれ!!」

 

「させませんよ、この包囲網から逃げられるとでも……?」

「……おとなしくソイツを渡して、殺されてくれ」

 

「黙れやカス共……!逆境を乗り越えるのが、ヒーローなんだよ……!!」

 

今までのような、ヤケクソの爆破には無駄が多い……

最大火力の爆風を、なるべく拡散させずに推進力へ変える。完璧じゃなくていい、少し方向を絞るだけ……それだけで劇的に変わるはずだ。

ワープ野郎の反応を上回る速度で飛び出す……振り切るまで何度もだ……!!

あとは隙を……

 

考えている間にも、包囲は少しずつ狭くなっていく。

 

 

 

……ダメだ、隙なんてねえ……

逃げるにしろ牽制するにしろ、最初の一手が一番警戒されている……俺の行動を見てから対応するつもりらしい……

なら、爆発の煙で姿を隠すか……?いや、周囲までは広がらねえ……無駄撃ちになるだけだ……

 

「……身元が判るように一部は残してやる、安心して死ね」

「テメェが死ね……!」

 

こんなとこで、くたばってたまるか……!

 

「……黒霧、やれ」

 

「しっかり掴まってろよ……!」

 

 

 

――突然、辺りに白い煙が立ち込める。

 

「ッ!?」

 

――何だ、この煙は!?

まさか、森に居たガス使いか!?だとすると、吸ったらまずい…!

死柄木とワープ野郎以外の4人のうち、どいつが……?

いや待て、なぜ今このタイミングで――

 

 

 

――胸部を締め付けられる痛みで我に返る。

 

 

 

BOOOM!!

 

爆破で斜め上に飛び出した。煙が周囲に広がっていく。

次の爆破で横に飛ぶと、その風圧で煙が掻き消えて、後ろにヤツらの姿が見えた。

 

ここだ、集中……!!

 

BOOM!!

 

目の前に現れた黒いモヤをギリギリですり抜ける。

もっと速く……!!

 

BOM!BOM!

 

まだだ……!!

 

そのまま夢中で飛び続けた。

 

 

 

 

 

……気が付いたときには更地を抜けていて、崩れかけの建物に囲まれていた。

手の痛みが限界だった俺は、瓦礫の隙間を見つけて、ほとんど落下するかのように降り立った。

 

「……痛ってえ……!!」

 

掌がズタボロだ、痛え……!

 

いままで強く締め付けていた腕の力が緩んで、背中を滑り落ちる感触があった。

 

「デコ!?おい!?」

 

完全に意識を失っている。

 

「もっと遠く、安全なとこまで……!もっと人手が――」

 

 

 

「――いたぞ!こちらに2名!」

「……うち1名は重傷だ、担架出せ!」

 

救急隊員らしき人物が、何人かこちらに向かってくる。

向かいは大通りのようだ……隙間からでも多くの警察官の姿が見えた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「――今行くぞ!!」

「させないさ」

 

 

 

「それにしても、やはり弟子は師匠に似るものだね……後先考えずに、愚かにも一人だけで飛び出して来てしまう。君も、あの子も……結局一人じゃどうにもならないというのに」

「あの女もそうだった……先代継承者、志村菜奈……君を逃す為に、無様に死んだあの女さ」

 

「黙れ……!!!」

 

「しかしあの時とは違って……二人を逃すことすら叶わずに、君はここで死んでしまうわけだが」

 

「ッ…………!!」

 

 

 

 

 

「――オールマイト!!!」

「こっちは任せろ!!だから……勝て!!勝てやオールマイト!!!」

 

 

 

「……ああ、勝つさ……!必ず!!」

 

貴様だけは、この私が……!!

 

 

 

 

 

 

『限界だーって感じたら思い出せ、何の為に拳を握るのか』

『オリジンってやつさ!そいつがおまえを、限界の少し先まで連れてってくれる!』

 

たとえ残酷な運命が定まっているとしても、あと少し……この一瞬だけでいい

ワンフォーオールよ、私に力を……!

 

『皆が笑って暮らせる世の中にしたいです』

 

 

「UNITED STATES OF――」

 

SMASH!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

窪んだ地面の中心に黒い霧が漂い始め、その中から人影が現れる。

 

「おいおい先生、なんて(ざま)だ……こりゃどう見ても、あんたの負けだぜ……?」

「でもなァ……今度は殺すって言ったもんな、オールマイト……言ったからには、最後までやり遂げないとな……」

「さあ、何か言い残すことは……?」

 

 

「志村菜奈という女性を知っているかい?」

 

 

 

「誰だよ」

「……そうか……」

 

……ならいいんだ……

知らないならそれで……

 

 

 

ナイトアイ……最期に、君に直接謝りたかった……つらい思いをさせてしまって、本当にすまない――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……全然スッキリしないな……」

「まあいい、記念に一つ貰っていくか」

 

 

「……先生、あんたの自業自得だぜ?さっさと緑谷を殺していればよかっただけだ。俺はあんたの様にはならない」

 

「じゃあな、しばらくはバカンスを楽しんでくれ、先生」

 

 

 

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