デコのヒーローアカデミア   作:かにかまとかにたま

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No.24 事件のその後

 

「私は…………私たちは、これからもずっとそばで見守っているよ」

 

……オールマイト……?

 

 

 

 

 

目が覚めた時には全てが終わっていて

私は見届けることすらできなかった

 

 

 

 

 

 

「……ようやく起きたか」

「……ここは……?」

「病院だ、見りゃわかるだろ」

 

丸イスに座っていたかっちゃんが立ち上がり、ドアへと歩いていく。ドアを開けたまま外の誰かと軽くやり取りして、すぐに戻ってきた。

 

「軽く事情聴取だとよ。まあ、俺や他のヤツの証言で、てめぇの事件当日の行動は大体追えてる」

「…それはいいんだけど、その前に……」

 

「あれからどうなったの……?オールマイトは……」

 

本当は聞く前から分かっていた、オールマイトのことは……夢の中で会って、既に言葉を交わしていた。

 

「……勝ってたんだ、オールマイトは……なのによ、あのカス野郎、死柄木は……!」

 

 

 

かっちゃんが話してくれている間、私は俯いたまま黙って聞いていた。

 

「……夜明け頃、意識を失っているオールフォーワンを警察が拘束した。事件についてはここまでだ、それからは――」

「待って……!」

 

「あの人は……?私たちが逃げ込んだヒーロー事務所の、あの人……」

「…………」

 

「まだ、名前も聞いてなかったのに……」

 

 

 

「……昨日の明け方、行方不明になっていたラグドールが保護されて、同じくこの病院に運ばれてきた。これで一応は、合宿関係者は全員無事だったことになる。そして雄英からリカバリーババアが俺とお前を治療しに来た。その日の夕方、雄英が記者会見を開いた」

 

「一応無事とは言ったが、ガスをまともに吸った連中はまだ目覚めてねえ。ラグドールの方は酷く衰弱していて、その上″個性″が使えなくなっているらしい。詳しい検査はこれから別の病院でするらしいが……」

「個性が……それってまさか……」

「ああ、ヤツに盗られたと考えるのが自然だ」

 

「デコ、テメェは奪われなかったみてぇだが……どこまで覚えてる?」

 

「オールフォーワンに触れられて、そしたら痛みで意識が……オールマイトが来てくれたことと、必死でかっちゃんに掴まってたことは、なんとなく覚えてるけど……」

 

「あの煙は自覚なしか」

「……煙……?」

 

「いくら考えてみても、お前以外にありえねぇんだよ……あの瞬間あの場で、あんなことをする……できるヤツは。連中に囲まれた俺たちを隠すように広がって、逃げ出す隙を作り出した煙幕。十中八九、あの白い煙はオマエが出したものだ」

「私が……?」

「…………」

 

「個性が複数……それじゃまるで――」

 

 

 

コンコンとノックする音が聞こえて、ゆっくりとドアが開いた。

 

「塚内さんに、グラントリノ……」

 

「……爆豪くん、少しだけ外してくれるかい?」

「……オイオイ、俺はあんたら二人に、事情はもう知ってるって言ったよな?」

「しかし――」

 

「かっちゃん、何かあったら後で話すから」

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

「夢の中で、オールマイトに会ったんです。長くは話せないと言って、私に伝言を託して消えていきました」

 

私が続ける前に、塚内さんが疑問を口にする。

 

「待ってくれ、君を信用してないわけじゃないんだが……本当にただの夢だったという可能性もあるんじゃないか?」

「前にも夢の中で、歴代の継承者に会ったことがあるんです。それに、ただの夢にしては伝言の内容が具体的すぎて……」

 

 

 

 

「死柄木弔は……オールマイトの先代、志村菜奈さんの孫だそうです」

 

驚いて固まるグラントリノを見て、私は思わず顔を伏せ、黙り込む。

そのまましばらく、二人の会話を黙って聞いていた。

 

 

 

 

 

「……私も、死柄木の捜査に協力させてください」

 

「……ダメに決まっとる」

「でも……!私がやらなきゃいけないんです……!」

 

「資格すら持っとらんヒヨッコを関わらせるわけにはいかん」

 

グラントリノの言葉に、塚内さんも頷く。

 

「……つまり、資格があれば……いいんですね……?」

 

私の問いかけに、二人は何も答えない。

 

 

 

「……そうだ、塚内さんの連絡先を私に教えていただけますか?」

「……ああ、構わないよ」

 

「それともう一つ、オールマイトに頼まれてて」

 

「『サー・ナイトアイ』に会いたいんですが……グラントリノ、連絡先知りませんか?」

 

「今は教えられん」

「……どうしてですか?」

 

「今は、そっとしておいてやってくれ」

「……分かりました」

 

 

 

 

 

二人が病室を出て、程なくしてかっちゃんが入れ替わるように入ってくる。

 

「……で?何話したんだ?」

「夢の中でオールマイトに会ったことと、そのオールマイトからの伝言について」

「……そんだけか?」

 

「うん」

 

 

 

かっちゃんも責任を感じている

 

でもこれ以上、かっちゃんを巻き込むわけにはいかない

私がやらなきゃいけない、後継である私が

 

私が必ず、死柄木を捕まえる……!!

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「もうじきリカバリー婆さんがそっちに着く……念を押すが、絶対に病院から出歩くなよ」

「んなこたァわーってますよ、センセー」

 

待合室の固定電話を置いて、担任の相澤との電話を切る。

 

「……やっぱまだ痛ェな……」

 

包帯が巻かれた手を軽く握ってポケットに突っ込み、後ろの警官に向けてうなずいた。

 

病院内を歩くにも、いちいち護衛が付いてきやがる。ヴィラン連合は()()()()()()()()()と伝えても聞きやしねえ。

 

 

 

デコの病室に着くと、ドアの前で佇む小さな影が見えた。

 

「何でテメェがここにいんだ?」

「…………」

 

今この病院に入れるのは関係者だけのはずなんだが……

……いや、おそらくラグドールに会うためにマンダレイが連れて来たんだろう。

 

「中入んなきゃ見舞いになんねぇぞ」

 

 

 

 

 

「右腕に軽度の火傷、左腕は骨折と刺し傷、右足全体を粉砕骨折、右腿にも刺し傷、左足も骨折」

 

見舞いに来たガキ、洸太がデコの怪我の具合を訊いてきたので答えてやると、どんどん顔が青ざめていく。

 

「だ、大丈夫なのか……?そんなにひどいケガ、ちゃんと治るのかよ……?」

「ああ、治る。今日ここに来る、雄英の婆さんの″個性″で、な」

 

「……その人なら、ラグドールのことも治せるのか……?」

「……それは無理だ、失った個性は誰にも戻せねぇ」

 

……おそらくはただ一人を除いて、と心の中で付け加えた。

 

 

 

 

 

「アイツらのせいで、いつもこうなる……危険だって、みんな本当はわかってるんだろ……?それなのになんで、ヒーローになんて……」

 

「分かってるから、ヒーローなんだろ」

 

 

 

包帯だらけで眠るソイツを見て呟いた。

前髪に隠れていて、額の火傷は見えない。

 

 

 

オールフォーワンは捕まったが、まだ終わりじゃねえ……俺が必ず落とし前つけさせてやる、死柄木……!!

 

 

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