「いやよ、カワイくないもの!」
「アタシも、もっとカワイイのがいい!」
「……そっか……」
公園で小さな子供達が、男の子と女の子の二つのグループに分かれて遊んでいる。そんな中、ヒーローごっこをしている男の子たちの方へと近づいていく女の子の姿が…
「わ、わたしも……まぜて……!」
「オンナノコはあっちでオママゴトでもしてろよ!」
「そーだそーだ!」
「……でも……わたしも……」
「まぁまて、オンナだからとかカンケーねーだろ。いいぜ、なかまにいれてやるよ」
「いいの……?ホントに……?」
「ああ」
「おれはカツキ、オマエは?」
「……いずこ!」
「出子どうしたの?この服、襟がヨレヨレになっちゃってるよ……?」
「……なんでもないよ……」
「どうしたの、こんなに泥だらけになって……ここも擦りむいてる……」
「……ちょっと転んだだけ……」
「バイ菌入ったら大変だよ?ちゃんと消毒しないと……」
「……うん……」
「勝己!!アンタ、また女の子に乱暴したって!?いい加減にしな!!」
「アイツらが大げさなんだよ、ちょっと小突いただけでぎゃあぎゃあ泣きわめいて……でもまあ、デコはマシだな。すぐ泣くけどうるさくねぇし」
「そういう問題じゃないの!!」
「そんなんじゃアンタ、そのうち誰も相手してくれなくなるよ。出子ちゃんだってきっといつかは――」
「知るかよ!俺の勝手だろ!」
つば付きの帽子を被り、幼稚園にやってきた出子。
「前髪が伸びるまでこれ被るの!」
「ごめん……本当に……」
「もう痛くないし、気にしないで」
「かっちゃん、あそぼ!!」
「……もう俺に構うな」
「なんで?もう大丈夫だってば!」
「かっちゃん、元気出して?」
「ねぇかっちゃん」
「ねえねえ」
「ねえってば」
「しつこいんだよ!!」
「ひゃあ!?」
「――っ悪かっ――」
「や〜ん!離してぇ〜!」
「……は?」
「えへへ……離してよぉ〜!!」
「……お前が掴んでんだろ!離れろ!」
「イヤ!!一緒にあそぼうよぉ!!」
「わかったから離せって!!」
「わーい!」
「デコ、お前……なんでそこまで……」
「だって、私もヒーローになるから!かっちゃんと一緒に!」
「出子、その写真どうしたの?」
「おばさんにもらった!オールマイトのとなりに飾るの!」
「ええ……」
「またヨレヨレになってる……」
「ねぇお母さん!ヨレヨレにならないお洋服が欲しい!」
「……出子?」
「ねぇいいでしょ?」
「……じゃあ、生地が丈夫な服、探してみよっか」
「うん!」
「もう、また泥だらけになって……」
「えへへ……でも楽しかったよ!!」
「かっちゃんが落っこちた!」
「大丈夫だろ、かっちゃん強えーもん」
「大丈夫!?たてる?頭打ってない?」
「…………」
「ひゃあ!?」
ザバーン!!
「うう……強く引っ張りすぎだよ……」
「ははっ、お前が手ェ伸ばしてきたんだろ」
「二人とも早く上がってこーい」
「おーう!……ほら行くぞ」
「……うん……!」
「ヒーローってさ、具体的にどうやったらなれるの?」
「んなことも知らねぇのか?」
「ヒーローになるための学校ってのがあんだよ」
「学校?中学校のこと?」
「違ぇ、高校のことだ。ヒーロー科ってとこの試験を受けて合格しなきゃ入れねぇ。特に有名なのは『雄英高校』だな」
「雄英、聞いたことあるかも……」
「国内No.1のヒーロー学校だぞ、聞いたことあるに決まってんだろが」
「……ねえ、中学校でヒーローの勉強はしないの?」
「……しねぇよ、クソつまんねぇ普通の勉強だけだ」
「そっか〜」
「じゃあ、自分たちで特訓しないとね!」
「あ?……ああ、そうだな」
「出子、どうしたのそれ?」
「……そんなに変かな?」
中学生になったばかりの出子は、自分の額の火傷をさらけ出すかのように、金色のヘアピンで前髪を留めていた。
「痛々しいって感じでもないし、むしろオシャレかなって」
「……そのまま学校行くの?」
「この火傷について知ってる人はもうほとんどいないし、みんなすぐ気にならなくなるよ」
「出子、進路のことだけど……やっぱり雄英受けるの?」
「うん、急にどうしたの?」
「……最近すっごく頑張ってるし、もちろん応援するわ。……でもね、ダメだったときのことも、ちゃんと考えとかないと……」
「大丈夫、考えてあるよ」
「私ね、経営科も受けようと思って」
「経営科……?雄英の?」
「うん!ヒーロー科に入れなくても、ヒーローに関わる仕事がしたいから!それに、オールマイトの出身校だよ!?行くなら雄英、絶対!」
「……雄英にこだわる理由……本当にそれだけ?」
「……あはは……」
「……写真また増えてない?」
「ちょっ!?お母さん!?」
「これなんて体育祭のだし……どうやって手に入れたの?」
「……カメラマンさんから買った……」
「ええ……」
「出子……雄英、行かなきゃダメ……?」
「…………」
「なんでそんなこと言うの」