デコのヒーローアカデミア   作:かにかまとかにたま

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No.6 盾となって生徒を守る

 

「ヴィランの襲撃!?ここは雄英だぞ、アホなのか!?」

 

「警報が鳴ってねえ……侵入者用センサーが反応しなかったってことだ。おそらく、ヤツらの中にそういう″個性″がいる。加えて校舎から離れたこの場所に、俺たちの授業時間を狙って現れた。バカだかアホじゃねぇ、なんらかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

轟くんが冷静に分析する。

計画された襲撃……ならば、その目的は一体……?

 

「13号、避難開始!電話も試せ!上鳴、お前も″個性″で連絡してみろ」

 

「相澤先生は!?1人で戦うんですか!?」

「緑谷、さっさと避難しろ。……忘れたのか?雄英教師は全員、プロヒーローだ」

 

相澤先生がゴーグルをかける。

 

「そのゴーグル姿……!イレイザー――」

「早く逃げろ!」

 

相澤先生が1人で飛び出していく。前にいるヴィランたちが攻撃の構えを見せても、躊躇いもせず。

 

「情報じゃ13号とオールマイトだけじゃなかったか!?ありゃ誰だ!?」

「知らねえが、1人で突っ込んでくるとは大まぬけだぜ!」

「……あれ?出ねえ――」

 

帯状の布を自在に操り、次々に倒していく。

 

「そうか、あいつは……見ただけで″個性″を消すっつう……『イレイザーヘッド』だ!!」

 

すごい……。でも、数が多すぎる……『イレイザーヘッド』の戦闘スタイルは相手の個性を消してからの捕縛だ。集団との正面戦闘を続けていれば、そのうち限界がくる……

 

「早く避難を!!」

「させませんよ」

 

人型の黒いモヤがこちらにすり抜けてきた。13号が、生徒を庇うように立ち塞がる。

 

「初めまして、我々は(ヴィラン)連合。僭越ながら、この度雄英高校に入らせて頂いたのは……」

「平和の象徴オールマイトに、息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

 

「……!?」

 

「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズ……何か変更があったのでしょうか?」

「まあ…それはそれとして、私の役目はこれ……」

 

黒いモヤが揺らぐ。

BOOOM!!

生徒が2人、かっちゃんと切島くんが飛び出して攻撃するが、効いていないようだ。

 

「ダメだ、どきなさい2人とも――」

 

突然、モヤが大きく広がり、私達を包んだ。ワン・フォー・オール――ダメだ、間に合わない――

 

「散らして、嬲り殺す……」

 

なすすべもなく視界が黒く覆われ、身体が浮き上がる。

霧が晴れる……水!?

ザバーン!!

水難ゾーン……ワープさせられた……!あいつの″個性″か!

 

「来た来た!!」

 

なんかいる!?大きい口に鋭い牙!!

 

「おめーに恨みはないけど、サイナラ!!」

 

10%――いや、水中だともっと必要か――調整できるかどうか――

 

ドスッ!!

私が動く前に、ソイツは横から蹴り飛ばされた。

梅雨ちゃん……!舌が伸びてきて私の体に巻きつき、引かれていく。近くにあった船上に投げ飛ばされ、起き上がる。

そしてもう1人、峰田くんは何故か強めに叩きつけられた。

 

「ッああ!!」

 

「2人とも無事ね」

「梅雨ちゃん、ありがと」

「ええ、でもどうしようかしら…?」

 

この船を囲むように、水面にヴィランたちが浮かんでいるのが見える。

 

「オールマイトを殺すために来たって言ってたよね」

「あんなヤツらにオールマイトは負けねえよ!!」

「……峰田ちゃん、本当にそうかしら?」

「え……?」

「……緑谷ちゃんの考えを聞かせて?」

 

「……うん、オールマイトがいるはずの時間割を狙って、センサー対策もしてある。轟くんの言ったとおり、これは計画された襲撃……そしてその目的であるオールマイトにも、何かしらの対策があるのかも……?あとは、ええと……生徒たちをバラバラにワープさせた先にも、人を割いて待ち構えてた。……散らして殺す……きっとそれぞれのゾーンに適した配置、さっきのヴィランも明らかに水中戦を想定した人選で――」

 

水中戦を想定……?そうか、だとすると――

 

「おいおい冗談だろ……あいつら、ホントにオールマイトを殺す気で……?」

 

震えてる峰田くんを無視して、梅雨ちゃんに話しかける。

 

「ヤツらはこの場所で、水中戦を想定していた。この施設の設計を知っていたんだ。でも、ヤツらが知らない情報がある。……だってそれを知ってたら、梅雨ちゃんをこの水難ゾーンには飛ばさない」

「……なるほど、私の″個性″……ね?」

「うん……梅雨ちゃんだけじゃなくてきっと、″生徒の個性″までは把握してないんだと思う。だから警戒して、今も水から上がってこない」

 

この数、そして相手の有利な水中。何か作戦を……

 

「作戦を立てよう、二人の″個性″を詳しく教えて?私は超パワーで、全力出すとバキバキに骨折するからセーブして使ってる」

「おいおい緑谷、作戦って……まさか戦う気かよ!?ムリだって――」

「私は蛙の特徴そのままよ、具体的には――」

「二人してムシかよー!!」

「……具体的には常人より筋力があって、跳躍したり壁に張り付いたり、舌を伸ばしたり……最長で20メートル、舌の力も強いわ。あとは胃袋を外に出して洗ったり、ちょっとピリッとする粘液を分泌したり……この二つは役に立ちそうもないわね」

「分泌……!!」

「なるほどね……峰田くんは?」

「分泌……」

「……峰田ちゃん?」

「ああ、オイラは……」

 

頭から球状の髪の毛?をもぎ取り、壁にくっつくけてみせる。

 

「超くっつく。体調によっちゃ一日経ってもくっついてる。モギったそばから新しいのが生えるけど、モギりすぎると血が出る。オイラは自身にはくっつかずに跳ねる」

「……粘着度は?」

「超くっつく」

「……うーん」

「なんだよその反応!!」

 

バキバキィ!!!

突然、船が音を立てて真っ二つに割れた。

驚いた峰田くんが、叫びながらモギって投げまくる。

 

「うあああ!!」

「ストップストップ!梅雨ちゃんコイツ抑えてて!」

 

黒い玉がいくつも水面に浮かぶ。なるほど、これは使えるかも。

 

「……作戦思いついた、二人とも協力してほしい」

「けろ、わかったわ」

「んなこと言ったってよおお!!」

「……峰田ちゃん、本当にそれでもヒーロー志望?」

「うっせー!!怖くないほうがおかしいだろ!?こないだまで中学生だったんだぞ!!まだ死にたくねえよ!!せめて八百万のヤオヨロッパイに触れてから――」

「私のお尻触ったじゃん」

「私の胸も触ったわ」

「…………」

 

「もっかい触らせてくれたら――」

「図々しいわ!言うこと聞け!!」

「ゴハァ!!」

 

 

 

「――作戦は以上、用意!」

 

そろそろ船が沈む。

 

「緑谷……怖くないのかよ……?」

「……私だって怖いよ。でも、怯えてるだけじゃなんにもできない。だからきっとヒーローは、にっこり笑って立ち向かうんだ」

 

こんなところで終われない、私はヒーローになるんだ!!

 

「梅雨ちゃん、OK?」

「ええ、いつでも」

 

とにかく、私が目立つこと!そのためには……

 

「はっはっは!!(ヴィラン)共!私が行くぞ!!」

 

「なんだあのガキ」

「恐怖でイカれたか?」

 

「とうっ!!」

 

ヤツらが潜った。やはり有利な水中で待つつもりらしい。

10%じゃ威力が足りない……かといって腕は犠牲にできない。一か八か、肉体の限界域で調整しようにもまだ試したことがないし、何より私だけでなく二人の命も掛かってる。つまりは……

指先に意識を集中する。

 

「デラウェア!!」

SMASH!!

 

水面が深く凹んで、そこに大量のモギった玉が投げ込まれる。水が周りを巻き込み、中央でまとまってヴィランを跳ね上げた。

私は梅雨ちゃんの長い舌でキャッチされ、無事に離脱。三人で陸地を目指した。

 

「今朝は快便だったし、ヤツら一日はくっついたままだぜ」

「魚っぽいし、あの人たち溺れないよね?」

「よくそっちを心配できるわね」

 

水際で広場の様子をうかがう。依然として、相澤先生が一人で戦っていた。

 

「……二人とも、このまま水辺に沿って出口へ向かって」

「おい緑谷、何考えてんだ……」

「感心しないわ、無茶よ」

「今飛び出したら、二人の場所もバレる。それに……」

 

「手を身体中に付けたアイツ……少し離れて、相澤先生をじっくり観察してる。いつまでもあのままとは思えない」

「だからって、アナタがどうにかできるとは限ら――」

「動いた!!」

「緑谷……!!」「緑谷ちゃん……!!」

 

二人を巻き込まないように、まずは広場に対して平行に跳ぶ。

 

その間にも、戦況が変わっていく。手のヴィランと相澤先生は近接戦闘に入る。先生の肘打ちをソイツが手で止めた。直後、先生が相手を突き飛ばすように離れて距離をとる。様子がおかしい……右肘を()()()()()()で負傷している。

 

私は横方向に十分離れてから、広場へ向きを変えて駆け出す。

 

相澤先生へと、さらに二人襲いかかる。――いや、もう一人……!!なんだアイツは――やばい――叫んで知らせる……いやだめだ、間に合わない――

黒い巨体のヴィランが、先生の右腕を掴んだ。そのまま軽々と握り潰し、先生を顔から地面に叩きつける。

 

「先生ぇ!!」

「……ガキがなんのつもりだ……?」

 

私の前に、手をいっぱい付けたヤツが立ち塞がる。こちらに伸びてくる手……触られちゃいけない……

足に意識を集中して、強く踏み込む!

 

「……速い……な……」

 

相手せずに横をすり抜けて、黒いヴィランを狙う。脳みそが剥き出しの異様な風貌のヴィランは、先生の頭を押さえたまま動かない。他のヤツと雰囲気が違う、やばすぎる……!コイツには手加減なんてできない!

次は右腕に意識を集中……撃ったらすぐ逃げなければ……ぶっつけ本番だけど、腕が折れない程度をなんとなくで調整……!

 

「先生を離せ……!デトロイト!!」

SMASH!!!!

 

相手は避けようともせず、完璧にボディを捉えた。

 

――しかしヴィランは傷ひとつなく、先生を抑えつけたまま動いた様子がない。

 

「効いてない……そんな……!?」

「…………」

 

手応えはあった、確実に当たったはず……!なのにどうして……

うつろな表情のそのヴィランは、こちらを見ようとすらしない。

 

「脳無……そのガキを掴め」

「――ッ!!」

 

とっさに下がるが、すぐに近づかれる。コイツ、速い……!

腕が伸びてくる、この体勢じゃ避けれない……!

 

 

――急に体が引っ張られて、相手の腕が空を切る。

 

「俺の生徒に手ェ出すなよ」

「先生!」

 

相澤先生が左手だけで捕縛布を伸ばし、私を引き寄せる。

先生はどう見ても重傷だ……右腕を潰されていて、顔も血だらけ……

それに、脳無と呼ばれていたヴィラン……攻撃が効かない上にあの速さ……!

どうすれば……!?

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

大きな衝撃音

 

「効いてない……そんな……!?」

 

微かに聞こえた声

 

「――ガキを掴め」

 

朦朧としていた意識が覚めていく。

右腕は動かないが、まだ左腕がある。

 

「俺の生徒に手ェ出すなよ」

 

引き寄せてから、捕縛布を弛めて解く。

俺は逃げろと言ったはずなんだが……もう一度言って聞かせるか?

――いや、無駄だろうな……入試の時点でわかっていた、コイツは……

 

――合理的に行こう、説教は後でいい……今掛けるべき言葉は――

 

 

「俺が()()()()…緑谷、行け」

 

 

 

 

「はあああッ!!!」

 

SMAAASH!!!!

 

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