ひぐらしのなく頃に圭梨   作:山屋

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第22話:みんなでプール!

 水着も新調して準備は万全。ついに興宮のプールに遊びに行く日がやって来た。

 天気は快晴の空。絶好のプール日和。夏晴れの下で存分にプールを楽しめそうだ。

 私たちは集合すると自転車をこいで、興宮まで繰り出す。その前かごにはプール用の水着やバスタオルなどが詰まっている。

 

「雛見沢分校じゃプールの授業なんてないからなぁ」

 

 先を走りながら圭一が口走る。この田舎の分校は元々、学校として作られていない事もあり、プール設備などといった気の利いたものはない。必然的に水泳の授業もなかった。

 

「みぃ、今日は圭一を魅了してやるのです」

「圭一さん。あまりイヤらしい目で見ないでください事よ」

「決めつけるなよ、二人共」

 

 私と沙都子がこう言うと少しムッとした様子で圭一は返す。どうかしらね。圭一は手出しはしないけどエッチなワンワンさんなのは部活の罰ゲームで分かっているからね。

 

「エッチな目で見られるのはレナは恥ずかしいかな、かな」

「おじさんたちに見とれておぼれないでよ、圭ちゃん」

「レナと魅音まで……俺は紳士だからな。そんな事は断じてない」

 

 言い切る圭一であるが、果たして。私と沙都子は色気も何もないが、レナと魅音は結構、色気のある水着を買っていたのよね。流石に私が冗談で出したマイクロビキニはないけれど。

 そんな他愛もない会話をしながら自転車をこいでいるとプールに辿り着く。聞けばここも園崎系列運営らしい。入場料を払う事もなく、顔パスで通過し、男子更衣室と女子更衣室に別れる。

 

「俺一人って寂しいな。こういう時、男が一人なのは辛いぜ」

「にぃにぃが退院すれば男の方も二人になりますわ」

「そうだな。その時を待つか」

 

 なんて言いながら男子更衣室に入って行く圭一。他のプールがどうかは知らないが、このプールはそれぞれの更衣室から直接、プールサイドまでつながっている。圭一と合流するのはプールサイドで、だ。

 私たちは女子更衣室に入り、それぞれ着替える。

 むぅ、やっぱり魅音って胸大きいわね。それにやや負けているとはいえ、レナも。私は沙都子にすら負けているんじゃないかしら。この貧相な体が恨めしい。圭一を魅了だのなんだの言っても、これじゃあ、子供としか見られなくても仕方がない話なのかもしれないわね。

 みんなして着替えてプールサイドに出る。圭一は既にいた。やはり水着に着替えるのは男の方が圧倒的に早い。

 

「おう。みんな、待ったぞ」

 

 快活な笑みを浮かべて私たちを迎える圭一。そして、私たちの姿を注視した。

 

「ほー、みんなよく似合ってるじゃねえか」

「そ、そうかな、圭一くん」

「ああ。レナ。色っぽいぜ」

 

 くー。レナに言われてしまった。そりゃあ、私や沙都子よりはレナや魅音の方がよっぽど色っぽいのは分かっている事だけれども。

 

「はうぅ……そう言われるとなんだか恥ずかしいね」

「圭一さん。わたくしはどうなんですの?」

「ああ。沙都子もいいんじゃないか? ちんちくりんなりに背伸びしている感じが」

「どういう意味ですの!」

 

 うがー、と圭一に噛み付く沙都子を圭一は笑っていなす。次いで魅音と私を見た。

 

「魅音もいい感じだな。その水着」

「そ、そう? ちょっと大胆過ぎるかな、って思ったんだけど……」

「いや、よく似合っているぜ」

「あ、あはは……当たり前だよ。おじさんに着こなせない水着なんてないからねぇ」

 

 誤魔化しているが露骨に照れているし、嬉しそうな魅音。圭一、次はその言葉を私にかける番よ!

 

「梨花ちゃんも可愛いな」

「み、みぃ……そうなのですか」

「ああ。可憐な花って感じだな」

 

 素直に褒められて私も頬を赤らめる。色気も何もない身だけど可愛いと言ってもらえるのはやはり嬉しい。今は可愛い止まりだけど、いずれは……。と、ひそかに野心を燃やす私であった。

 

「それじゃあ、みんなプールに入って遊ぼう。しっかり準備体操してからね」

 

 それからは魅音の先導で全員で準備体操をし、体をほぐし、プールに入る事にした。足でもつったりしたら大変だからね。全員でプールに入り、夏の暑さを冷たい水で忘れる事にする。

 

「おお、プールだ! この感触も久しぶりだなぁ」

 

 圭一は楽し気に笑い、全身を水に浸す感触を堪能しているようだった。体を水の(お湯だけど)中に浸すなら毎晩のお風呂でやっているんだけど、お風呂と違って冷たい水の中に水着を着て入るというのはまた独特の味わいがあるものだ。私も久しぶりのプールを楽しむつもりでいた。

 

「魅音、今回は水鉄砲合戦やらないのか?」

「生憎と今回は持ってきてないねぇ。素直にプールを楽しもうよ」

「そうか。まぁ、それもいいな」

 

 水鉄砲合戦となると魅音はまた大人げなく、みんなが普通の水鉄砲な中、一人だけ高級水鉄砲で無双するなんて真似をしかねない。水鉄砲合戦が嫌な訳ではないけれど、とりあえず今日は素直にプールを楽しもうという案には賛成だった。

 

「圭一」

「なんだい、梨花ちゃ……うわっ」

 

 名を呼び、圭一がこっちを振り向いた所に水をぶっかける。水鉄砲はなくてもこれくらいは出来る。

 

「やったな、梨花ちゃん!」

 

 圭一も負けじと水をかけ返して来る。それを私は頭からかぶる事になった。

 

「梨花を助太刀いたしますわ!」

 

 沙都子も参戦し、私の援護をする。圭一の側には魅音も立ち、こっちに水をぶっかける。中立であわあわしていたレナだが、こちら側に付く事にしたようだ。私たちに並び、圭一と魅音に水をかける。

 

「ぷはっ! 意外とやってくれるね、レナ!」

 

 水をかぶった魅音が負けじと反撃して来る。圭一もこっちに水をぶっかけて来る。私たちも勿論、負けてはいない。小学生二人と中学生一人のチームと中学生二人のチーム。人数ではこちらが有利だが、どちらが戦力的に充実しているかは微妙な所だ。

 向こうにはこの中で唯一の男子の圭一もいる。しばらくそのまま水のかけあいが続き、やがてどちらともなく休戦となる。

 一旦、みんなしてプールサイドに上がり、水に濡れた体に陽光が降り注ぐ心地の良い感触を堪能する。

 

「思いのほか盛り上がっちまったな」

 

 笑いながら圭一が言う。私も童心に返って楽しんでしまった。まだまだ子供ね、私。

 それから圭一は思いっきり泳ぎたいという事で25mプールの方へと向かって行った。泳ぎは得意、と言っていたのは嘘ではないようでなかなか見事なクロールを披露して往復50mを泳ぎ切っていた。

 

「うーん、参ったねぇ、梨花ちゃん」

 

 そんな圭一の姿を見ていると魅音が話しかけて来る。

 

「何がなのです?」

「圭ちゃんがおじさんたちを女として見てないって事だよ」

「それは……」

 

 確かに、それは感じていた事だ。水着を色っぽいだの、可愛いだの言ってはいるが、あまり異性を見る目で言っているようには思えなかった。本人の言う通り、紳士であるという事か。これなら以前、入江の力を借りてメイド服を着た時の方がよっぽど圭一の反応は良かった。

 

「ここはいっちょ、おじさんが圭ちゃんを魅了してやらないとね!」

「み、魅ぃちゃん。別にそんな事しなくても……」

「レナは今の扱いでいい訳?」

 

 魅音の言葉にレナが戸惑うが、そんなレナに魅音は問い掛ける。レナは答えに詰まりつつ、「良くはない……かもしれないけど」となんとか言葉を返す。

 私とてこのままでは良くはない。みんなで一緒のプールは楽しいが、一応、今回の部活は誰が圭一を一番興奮させられるか、だ。このままではドローゲームになってしまう。

 ここから圭一をどうやって篭絡するか。圭一が25mプールで全力で泳いでいるのを横目に私たちは話し合いを開始するのであった。

 

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