ひぐらしのなく頃に圭梨   作:山屋

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第32話:久しぶりの部活

 それから梨花ちゃんと一緒に家を出て、学校に向かう事にした途中でレナと魅音と合流する。家と学校の配置の都合上、俺が登校する事になるとレナと魅音と一緒になり、逆方向の梨花ちゃんと沙都子とは学校で会う事になるのだが、今回は梨花ちゃんが俺の家にいたので一緒だ。

 

「圭一くん、それに梨花ちゃん。こんにちは」

「圭ちゃんと梨花ちゃんが一緒にいるなんて怪しいなぁ~。何があった訳?」

 

 素直に笑みを浮かべて挨拶するレナは流石に性格がいいが、邪推する奴もいる。魅音はニヤニヤしながら、俺と梨花ちゃんを見る。

 

「みぃ。何があったのでしょうね」

 

 それに対して梨花ちゃんも楽し気にそんな言葉を返す。また誤解されるような事を。

 

「別に何もないって。今日は梨花ちゃんに昼飯を作ってもらってそれをご馳走になっただけだ」

「それは何もないとは言わないね~、圭ちゃん。いつから梨花ちゃんとそんな仲に」

「だからそういうのじゃないっての」

 

 邪推のし過ぎだ。俺と梨花ちゃんはそういう仲じゃない。いや、そりゃあ、まぁ、あの6月の戦い以来、親しくなったとは感じているけれど。

 

「この夏休みでも圭ちゃん。梨花ちゃんと二人っきりで会ったりしているみたいじゃない。おじさんじゃなくても気になっちゃうよ」

「魅音……その情報はどこから……?」

「おじさんの情報網を舐めない方がいいよ~」

 

 ケラケラ笑って魅音は言う。園崎家の情報網というヤツだろうか。

 

「実はレナも知っているんだ。村の中で結構、噂になっているよ、圭一くんと梨花ちゃんの事」

「そ、そうなのか!?」

「みぃ!? それは驚きなのです」

 

 この雛見沢では噂は一晩あれば村中に広まるとは聞いていたが……村社会を舐めていたという事か。いや、俺と梨花ちゃんの間にやましい事は一切ないのだが。多分。

 

「二人が仲良しさんみたいでレナも嬉しいけど、ちょっと羨ましいかな、二人の事」

「な、何が羨ましいんだよ、レナ。別に変な事じゃないって」

「変な事じゃないならなんで梨花ちゃんと一緒にいる事が多いのかな~、圭ちゃん」

 

 レナと魅音にそんな風に追及される。答えに困る。やましい事は何もないのだから素直に答えればいいはずなのだが、なんだか、それもダメな気がする。

 

「い、いや、梨花ちゃんも悩み多い身らしいからな。俺が色々と相談に乗ってあげているだけだ」

「女の子のお悩み相談に乗れる程の男とは思えないけどねぇ、圭ちゃんが。どんな相談なの?」

「い、いや……」

 

 まさかかつての世界の事とか、羽入という今はいない存在の事について話しているなどとは言えない。俺が答えに詰まっていると梨花ちゃんが助け舟を出してくれた。

 

「みぃ、沙都子が最近、悟史の元に通いっぱなしでボクの事をほったらかしにするのです。その事で相談に乗って貰っているのですよ」

 

 ナ、ナイスだ、梨花ちゃん! それならそこまで不自然でもない。この答えにレナと魅音は納得したのかしていないのかふーん、と頷く。

 

「詩音の奴も最近は監督の所に通い詰めだしねぇ。悟史が目を覚ましたんだから仕方がないけど」

「悟史くんはリハビリを頑張っているんだよね。そこに沙都子ちゃんや詩ぃちゃんがいれば悟史くんにとっても心強いだろうね」

 

 話題が自然に俺と梨花ちゃんの事から悟史の方に移行しつつある。やはりナイスだ、梨花ちゃん。流石俺よりレナや魅音との付き合いは長いだけの事はある。

 

「俺もこの間、悟史と初めて会って来たんだけど、優しそうな奴だったな。悟史とも一緒に部活が出来る日が楽しみだぜ」

「圭一くんなら悟史くんとも気が合うだろうね」

「圭一と悟史は性格は全然違いますが、きっとウマは合う仲なのです」

 

 俺の言葉にレナと梨花ちゃんが微笑む。この間、初めて会った訳だが、なんか、初めて会った気がしないんだよな、悟史とは。

 後、ようやく会えたって感じもしたな。この世界では俺はまだ雛見沢に引っ越して来て二か月弱な訳だが、これまでの世界で何度も悟史の事は話だけは聞いていた気がするから多分、そのせいだろう。

 本当にようやく会えたんだな、俺だけじゃなく、沙都子も詩音も。

 勿論、長い時間、世界を繰り返し続けて来た梨花ちゃんにとっても。

 未だに繰り返す世界の事をよく理解していない俺では梨花ちゃんの思いを完全に理解してあげる事は出来ないけど、少しは力になってあげる事は出来る。それをする事も梨花ちゃんへの恩返しであり罪滅ぼしであろう。話を聞く限り、これまでの世界で俺は結構、酷かったみたいだしな……。その事に関してはモデルガンでの傷害事件と同じくらい戒めとして心に刻んでおかないといけない事だ。

 

「圭ちゃん、何、難しい顔してるの?」

 

 そんな俺の顔を覗き込み魅音が不思議そうに問い掛ける。俺は笑って誤魔化した。

 

「いや、今日の部活の事を考えていた」

「ふっふっふ、今日はまた一味違うよ。ポーカーをやるんだ」

「ポーカーか」

 

 部活にしてはわりと単純なゲームだな、と第一印象。五枚引いて、何枚か入れ替えて役を作る。ブラフや読み合いの要素はあるだろうが、運の要素も強いゲームだ。

 

「あー、圭ちゃん。ファイブドローポーカーを連想したでしょ?」

「え? ファイブドロー? 他にポーカーがあるのか?」

「もっちろんだよ。今日、おじさんたちがやる予定なのは海外のカジノのポーカーテーブルでも採用されているルールのポーカー、ノーリミット・テキサス・ホールデムだからね!」

 

 ノー、ノーリミット? ホールデム? なんだ、それは初めて聞くぞ。

 

「なんだそりゃ。どういうルールなんだ?」

「役を作る事はファイブドローポーカーと同じだけどね。手札は二枚なんだ」

「手札が二枚……という事は役はペアだけなのですか、魅ぃ?」

 

 梨花ちゃんも興味を惹かれたのだろう。魅音に訊ねる。

 

「ここからが大事。各プレイヤーはそれぞれ二枚の手札を持つんだけど、それとは別に場にカードを最大5枚まで表向きで出すんだ。その5枚と手札の二枚を組み合わせて役を作る訳」

「5枚のカードは公開情報なのか。それで相手が強い役を持っているか、いないかを読み合う訳だな」

「察しがいいねぇ、圭ちゃん。そういう事だよ。でも最初に開示されるカードは3枚。そこからはチップを賭けないと、それ以上のカードは見れないし、勝負にも参加出来ないんだ」

「な、なんだか難しそうだね……」

 

 魅音の説明にレナが困惑した声を漏らす。それは確かに俺たちが知るポーカーと比べると格段に戦略性に富んだルールだ。

 とはいえ、基本的には手札の読み合い、ブラフの仕掛け合いである事に変わりはなさそうだ。

 

「今回はマジの勝負だからね。トランプも新品のモノを使うよ」

 

 魅音の宣言。という事はこれまでの部活で基本戦術のトランプのカードの裏面の傷などを見て、何かを探る戦術は今回は使えないという事か。それだけフェアな真剣勝負を望んでいるんだな。

 

「あ、後、ジョーカーは使用しないんだ」

「そうなのか」

 

 ジョーカーと言えばトランプの多くのゲームにおいてあらゆる札の代わりになる万能の札にして文字通りの切り札だ。それも使わないのか。

 

「ポーカーの正式ルールではジョーカーは使用しないのが普通だとどこかで聞いた事があるのです」

 

 梨花ちゃんの言葉。そうなのか。ジョーカーは基本的に使用禁止か。

 

「なるほどな。面白そうじゃねえか。燃えて来たぜ」

「そうこなくっちゃね、圭ちゃん。今回は罰ゲームと勝者への報酬も特別で行くよ!」

「おう、どんなんなんだ?」

 

 期待に湧く俺に魅音は一呼吸を置き宣言する。

 

「勝者は一人のみ! 罰ゲームを受けるのは一位の人以外全員! 一位の人は他全員に好きな事を命令する権利を与える!」

 

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