今更ですが、ひぐらし命の追憶のカケラ・古手梨花のストーリー短いですが、最高ですね!
あんなに圭一を必要としている梨花ちゃんが見られるのは嬉しいです!
今日は七夕ですね。皆さまも星に願いを。
それから沙都子と梨花ちゃんが俺の面倒を見てくれる事になった。
二人はメイド服で俺の家を訪れたものだから応対した親父とお袋は驚いていた。
「圭一。あんたそういう趣味があったの……?」
お袋がやや白い目で俺の方を見る。いや、違うぞ、断じて。俺は監督と違ってメイドの伝道者ではない。メイド服自体は嬉しいけど。
「はっはっはっ、いいじゃないか、母さん。美少女二人のメイド姿。今すぐ絵にしたい所だよ」
親父が楽しげに笑いながらそんな事を言う。この親父の毒牙に沙都子と梨花ちゃんがかかる事だけは断じて避けなければならない。
「みぃ、圭一のお父様。なんならモデルになってあげてもいいのです」
「おお! 本当かい梨花ちゃん! それなら早速……」
「早速じゃねえよ変態親父! 梨花ちゃんも親父に不用意な事言っちゃダメだ!」
梨花ちゃんがにぱー、と笑うと親父が身を乗り出すが、俺は慌ててそれを止める。
親父の絵のモデルになんかされちまったらどうなるか分かったもんじゃない。メイド服は脱ぎ掛けがいいんだとか言って、脱がされる可能性もある。そうなれば俺は自分の父親を警察に突き出さなければならない。
「はぁ、圭一さんのお父様も圭一さん同様、変態さんですのね」
呆れ果てた様子で沙都子が息を吐く。待て待て、俺を親父と一緒にするな。
「圭一も私から変態紳士の血を受け継いでいるからね。美少女たち」
「受け継いでねえ! ってか変態紳士ってなんだ!?」
そんな言葉聞いた事もないぞ! 謎の造語作ってんじゃねえよ、クソ親父!
「みー、でも圭一が変態さんなのは事実だと思うのです」
「そうですわね。圭一さんですもの」
「二人とも、堂々と変態呼ばわりはやめてくれ。わりと傷付く……」
梨花ちゃんと沙都子にハッキリと言われ、俺は肩を落とす。
俺が変態なんて言われるような行動は普段から……しているかもしれないが。だからって堂々とこう言い放つ事もないだろうに。
「とりあえず圭一さんのお部屋からお掃除してさしあげますわ」
「みー、圭一の部屋を洗いざらい見せてもらうのです」
「ああ、頼むぜ」
とりあえずは部屋の掃除だな。ここで慌てる程、俺は甘い男ではない。二人に見られたら困るようなあんな本やこんな本は既に自室から撤去してある。何を見られても問題ないのだ。
「何を考えているのです? 圭一?」
そんな俺の思考を見透かしたように梨花ちゃんに見られる。う、なんだ、この圧迫感は。プレッシャーがかかる……。
だ、大丈夫だ。部屋の中から危険物は全て撤去した、はず。何を見られても問題はない。
「ま、まぁ、二人共部屋まで上がれよ」
俺は二人を自室に招き入れた。
「思ったより片付いていますのね」
沙都子が意外そうに言う。どんなイメージだ、俺は。
「圭一はガサツだけど、こういう所は意外としっかりしているのです」
「ふぅん……まるで梨花は以前、来た事があるように言いますのね?」
「み!? そ、そんな事はないのです……」
沙都子の言葉に梨花ちゃんが動揺する。お、おい、梨花ちゃん。何もやましい事はないんだから堂々としていればいいんだぞ……。
「そ、それより、お掃除を始めるのです。ボクたちは圭一のメイドさんなのですから」
「その前に梨花。用意していたものを」
「あ、そうだったのです」
二人共、掃除を開始するのかと思ったら何やら謎の言葉を交わす。用意したもの? なんだ?
そう思ったら二人は……。
「おお!」
俺は思わず歓声を上げる。
二人はこの家に来た時はメイド服姿であった。
しかし、そこに今は猫耳と尻尾を取り付けて、猫耳メイドさんになっているではないか!
「ふふふ、どう、圭一?」
沙都子の前なのに大人びた素の口調で梨花ちゃんが笑う。その笑みは幼い外見に似合わず妖艶な雰囲気を醸し出しており、情けない話だが、俺は梨花ちゃんの色気に飲まれてしまった。
「圭一さんはこういうのがお好みでしょう? 変態さんですものね」
「みーみー、圭一はにゃんにゃんメイドさんが大好きな変態さんなのです」
「変態変態言うなっての。とはいえ……」
猫耳メイドが嬉しい事は否定出来ない事実である。それ故に強く否定も出来ない。
「さあ、梨花。圭一さんは見事にわたくしたちにメロメロですわ。ここは梨花が魅力を強くアピールする時ですわよ」
「み、みぃ。分かったのです。沙都子」
何か二人が小声で話しているが、それが俺の耳に届く事はなかった。
「圭一、にぱー、なのです」
「ああ、にぱー、だな」
「…………」
「どうした?」
梨花ちゃんがポーズを取って、微笑んでくれているが、俺が笑い返すとそのままで固まってしまった。なんだと言うのだろう。
「……反応はそれだけですか?」
「それだけって……まぁ」
「まぁ、じゃないのです」
何故か怒ったように梨花ちゃんは俺を見る。何かが不服なようだ。
「ボクが猫耳メイドさんの姿で圭一に尽くしてあげるのですよ? 何か、こう、グッとくるものとかは……」
「ああ、それならずっと感じているけど」
「そ、そうなのですか?」
こんな美少女の猫耳メイドに何も感じない奴がいたらそいつは男じゃないな。俺のハートにビンビン刺さりまくりだぜ。
「梨花ちゃんも沙都子も同じくらい可愛いよな。嬉しいぜ」
褒めた。つもりなのだが。
「…………みぃ」
「梨花。圭一さんはなかなか手強い事ですわね」
微妙な空気が場に流れる。何なんだ? 俺は訳が分からず、困惑するしかなかった。
「まぁ、いいのです。圭一の部屋をお掃除するのです。あんなものやこんなものがあったら縄でぐるぐる巻きに縛って、高い所に吊るしてやるのです」
気を取り直したように梨花ちゃんはそう言い、沙都子と共に部屋の掃除を始めるようだ。
吊るされるのは嫌だな。危険物は全て撤去してあるから問題はないだろうけど……多分。
そんな風にはらはらしつつも二人の掃除を見守る。流石に二人共、子供二人だけで暮らしていただけの事はあり、掃除も手際良く進めていく。ここだけ見ても俺なんかより家事能力がよっぽど高い。料理とかも出し、二人と結婚する奴は幸せ者だな。一体どんな奴が二人の心を射止めるのかはまるで想像が付かないけど。
そう平和な事を思っていた俺は「みぃ!?」と梨花ちゃんが発した声に驚く羽目になった。
「け、圭一……!」
「ど、どうした、梨花ちゃん?」
「これ、これはなんなのです!?」
そう言って梨花ちゃんが一冊の雑誌を差し出す。それはグラビアアイドルが表紙に堂々と写った漫画雑誌であった。
「あ、ああ、漫画だけど……」
「圭一はこんな巨乳のお姉さんが好きなのですか?」
「い、いや、それは表紙だけで俺は中の漫画が目当てで……」
「巨乳のお姉さんが好きなのですか?」
「だから……」
「巨乳好きなのですか?」
俺が何を言っても聞き入れず、梨花ちゃんが矢継ぎ早に問いを繰り出して来る。それに俺は圧倒されてしまう。ってかなんか質問が段々ストレートになっているような。
「あらあら……今の梨花ではこの女性のような大きなお胸は持っておりません事ね」
沙都子はどこか楽しそうだ。梨花ちゃんは悔しげに俯くと、
ビリッ。
その雑誌を破ってしまった。
「り、梨花ちゃん! 何するんだ!」
「みぃ! 巨乳が好きな圭一が悪いのです! 貧乳で悪かったのです! どうせボクなんてツルペタ真っ平の洗濯板なのですよ!」
「いや、俺は何も言ってない!」
何か混乱している梨花ちゃんにかける言葉がない。どういう事だ、と助けを求めるように沙都子を見るも。
「これは圭一さんが悪いですわね」
そんな事を言い放つ始末。お、俺が悪いのか……この状況?
「これはボクの弱点なのです……長年を生きたボクでも……この体だけはどうにもならないのです!」
何やら訳の分からない事を言う梨花ちゃんを前に困惑するしかない俺であった。