チームハダルとそれにまつわる短編集   作:FlankerのFnキー

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ちかづく、せんたくのとき。

週一投稿目指してるのに間に合ってねぇぞ。しかも、短い。
このお話ではBMW世代の次がBBR世代という事になっています。ご注意ください。


これまでに起きた3つの出来事
1つ、
財布が軽くなった。
2つ、
ライスのお兄さま呼びを拒否した。
3つ、
全消しの影響で観察パートを全カットした。


彼と2つの出会いと1つの別れ その4

 

ライスシャワーと行動を共にして6日。3つのチームの観察を終えたライスシャワーは机にこべりつきくたばっていた。

 

「ライス……もう…ダメ…」

 

「まぁ、その、悪かった。」

 

ライスシャワーがこう燃え尽きてしまったのは俺に原因がある。本日もいつも通り、観察を終えた後にトレーニング、だったのだが今日はいつもと内容が違った。というのも、観察対象であるチーム〈フォーマルハウト〉の江原トレーナーから併走をお願いされたのだ。明後日はライスシャワーをアピールする大事な模擬レースがあるのでちょうど良いと思って受けたのだが、俺はバカだったらしく、相手を確認しなかったのだ。ライスシャワーの相手だし、同期のウマ娘か、可能性は低いが秋に菊花賞が控える今年の皐月賞バが相手と予想していたのだが、相手はまさかのチームリーダーにしてエースである魔王スーパークリーク。ライスシャワーは魔王の圧倒的力量の差を見せつけられてしまったのだ。それだけなら良かった。むしろ、フォーマルハウトに対してライスシャワーの秘めたポテンシャルを実際に感じてもらえたのは俺としては好都合だ。しかし、その後が問題だった。ライスシャワーは……“赤ちゃん”にされてしまった。俺が江原トレーナーと話し合いをしてる間の一瞬の隙にヤられてしまったのだ。ライスシャワーを救出した後、江原トレーナーに問い詰めると『ここ最近、タイシンに付きっきりだったのと出張も有ってクリークのガス抜きがちゃんと出来ていなかったんだ。申し訳ない…』とのこと。俺たちは魔王の恐ろしさをまだ理解しきっていなかったということを痛感させられた出来事だ。

 

「ライス、ぜんぜん逆らえれなかった…フォーマルハウトの人たちってスゴいんだね」

 

「フォーマルハウトのウマ娘は自我、精神を鍛えられるってよく言われてるな。まぁ、その分、癖…個が強いウマ娘が多いチームとも言われる。」

 

「そうなんだ…」

 

「心配はいらない。ライスシャワーならクラシックに入る頃には耐性が出来るぐらいの個は確立できる。」

 

「それって、喜んでいいのかな」

 

「個をしっかり確立してることはレースにおいてかなり大切なことだぞ。まぁ、そのうち分かることだ。」

 

個の確立、それは領域の確立に繋がる。ライスシャワーには領域を確立させる才能がある。だからこそ、彼女を放っておけなかったし、選んだ。

 

「そうなの?」

 

先程からライスシャワーの言葉の節々に何となくだが、棘を感じる。

 

「そうだ。……魔王の時はすぐに助けられなくて悪かった。甘いもの奢るから機嫌直してくれ。」

 

「ふぇ!?べ、別に機嫌悪くないよっ…!…でも、しばらく甘いものいいや……」

 

ライスシャワーは3つのチームを観察する中でトレーナーとウマ娘のイチャイチャやら痴話喧嘩やらでちゅねやら色々なモノを見て来ているので確かに糖分の摂取過多なのだろう。

 

「あぁ……ビターチョコ、食べるか?」

 

「…食べます」

 

「カカオ99%だけど。」

 

「やっぱり、止めておきますっ!」

 

勧めると最初は皆そう言うんだ。でも、いつかは君にもこれの良さが分かるようになるよ。

 

「トレーナーさんとウマ娘の関係ってああいう……その…こ、恋人みたいなの多いの?」

 

「フォーマルハウトは置いておくとして、シリウスはアレで付き合ってないぞ。」

 

フォーマルハウトの二人はよく分からん。としか言えない。

 

「えぇ…!?アレで…?」

 

「アレで。トレーナーとウマ娘は立場はあくまで教師と教え子みたいな感じだから、本当は表立ってそういう関係とは言えないはずなんだが、レースにおいてトレーナーとの絆が力になった、って言うウマ娘は結構いるからな。学園も黙認してる。酷いとファン公認カップルみたいな所もあるぞ。」

 

そのファン公認カップルの代表例がスーパークリークとそのトレーナーである。

 

「そ、そうなんだ。じゃあ、そういうの見慣れてる人が多いんだね」

 

見慣れてる、か。学園という閉鎖的空間に年中いる以上は慣れるしかないだろうね。まぁ、心と感覚は慣れてるだろうな。(それで良いのか?とは思うが)ただ、身体は意外と着いてこないものだ。ここはトレセン、独り身に居場所無し。

 

「中央トレセンの通過儀礼みたいなもんだな。まぁ、甘党が多いウマ娘の学園でありながら購買に常にビターチョコが完備してるかつそれがある程度人気があるって所で察してくれ。」

 

そもそも、ウマ娘という種族が惚れっぽいのがいけない。生殖するために他種族であるヒトのオスが必要だからこそ、(ウマ娘の容姿が良いのもこれが理由)そういう進化をしてきているはというのは解る。が、自分を速くしてくれる存在に惹かれるというのは正直、理解できない。それだと、大体のトレーナーが当てはまってしまう。ウマ娘という種の優先順位は『速く走る』>『種の保存』なのだ。生物としてどうなの、それ。…ヒトも似たようなものかも知れないが。まぁ、『種の保存』の方を優先するタイプのウマ娘も歴史上には居たりする。いわゆる、傾国のウマ娘と言われる歴史上の偉人。おっと、思考がずれた。

 

「カカオ99%がたくさん売れるの…!?」

 

「カカオ99%は残念ながらトレセンの購買でも売ってないんだ……」

 

どうしてなの…?何で99%は売ってないんですか?

 

「ライス、これからやっていけるのかな……」

 

ライスシャワーはチームの観察を経て、レースとは関係ない生活面での不安を新たに憶えたらしい。流石にそれは俺にはどうしようもない。が、このままだと俺的に選んでほしくないリギルをライスシャワーが選ぶ可能性が高まっていると思うと俺も少し……選ぶのはライスシャワーだ。俺の役目はそれを支えてやることだ。

俺の思惑()は今、どうでも良い。

 

模擬レースまで残り一日。

 




ライスシャワーのヒミツ
実は、お兄さまが雰囲気を『ふいんき』と呼んでいることを指摘するべきか、しないべきか悩んでいる。
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