チームハダルとそれにまつわる短編集   作:FlankerのFnキー

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ライスシャワーってメイクデビュー1000mなんですね…


これまでに起きた3つの出来事
1つ、
6日間のチーム観察が終了した!
2つ、
模擬レースへの準備が整った!
3つ、
前日にミホノブルボンがレースに駆け込み出走を決めた!


彼と2つの出会いと1つの別れ その5

 

「わわ、模擬レースなのに人たくさんだね…!」

 

「不調でこれまで模擬レースを見送っていたニシノフラワーが出走するのと昨日、飛び入り参加でミホノブルボンが出走を決めたからな。」

 

これまでそれぞれの事情で模擬レースを回避していたために露になっていなかった注目の走りがついに観られる。デビュー前の同期のウマ娘を担当するトレーナーにとって今日は重要なレースなのだ。俺としてはせっかく、マチカネタンホイザとニシノフラワーを避けたのに飛び入りのミホノブルボンとかち合うかもしれないという事に肝を冷やした。

 

「まだデビューしてないのにこんなに…ブルボンさんってやっぱりスゴいんだね」

 

ライスシャワーとのトレーニングは不便だが学園の外でやっている。それで、学園に遅くに帰ってきた時にまだミホノブルボンがトレーニングしているなんて光景を見るのは良くあることだ。だから、ライスシャワーもミホノブルボンのことを気にしているらしい。

 

「見に来てるのは警戒と冷やかしの半分半分だと思うけどな。」

 

「冷やかし…?」

 

「ミホノブルボンは中長距離に距離適性が無い。」

 

「えっ、でも、ミホノブルボンさん中距離に出るってなってたよ?」

 

「そう。距離適性が無いのにも関わらず、彼女は三冠を獲ると言った。今日のレースはミホノブルボンの試金石だ。彼女にとっても周りにとってもな。ミホノブルボンは脅威となりうるのか?…だから、半分は常識を破れないって思ってる冷やかしだよ。」

 

俺にとって、ミホノブルボンは最高に面白いウマ娘だ。出自的にも。応援したいと思ったし、潰したいとも思った。

 

「ライス、そんなこと知らなかった。スゴいじゃなくてとってもスゴいんだね!」

 

今のライスシャワーの憧れという感情がきっと彼女の領域の種だ。そして、“憧れ”が変化を迎えた時、ライスシャワーはミホノブルボンの最大最悪のライバルなる。

 

「そうだな。でも、残念だな。ミホノブルボンはライスシャワーのレースの前走だからライスシャワーはミホノブルボンの走り見れない気がするぞ。」

 

「あ……」

 

耳垂らして…そんなに見たかったのか。

 

「同期なんだから、これから嫌でもたくさん見れるだろ。さ、自分のレースを考えよう。」

 

「春雲トレーナー、今良いですか?」

 

「後にしてくれ。」

 

これからライスシャワーとブリーフィングなんだから。

 

「みっ、みみみっミホノブルボンさんっ!?」

 

「私の名前はミッミミミッミホノブルボンではありません。ミホノブルボンです。それとブルボンで構いません。」

 

噂をすればなんとやら、俺たちに話しかけてきたのは話題のウマ娘であるミホノブルボンだった。

 

「話すのは久しぶりだな。調子は?」

 

「各部異常無し。絶好調です。」

 

確かに疲労も見えない。適正もB判定…となるとあの男は順調に常識を破壊しているらしい。皐月賞の頃にはAまで上がっているだろう。

 

「ライスシャワーの前走だから、すぐにレースだろ?こんなところに居て良いのか?」

 

「大丈夫です、今日ここに立てるのは春雲トレーナーのおかげです。そのため、お礼が必要と判断しました。感謝します。」

 

レース前の大切な時間を使ってわざわざ礼を言いに来たのか。もったいない。俺はこれからミホノブルボンにとても酷いことをする奴なのに。

 

「礼なんて要らない。面白いレースをしてくれ。」

 

「任務了解、ミホノブルボン発進します。」

 

「トレーナーさん、ミホ…ブルボンさんとも知り合いだったんだ…」

 

ミホノブルボンとの会話中、ずっと俺の後ろに隠れていたライスシャワーが出てくる。あんまり、背中に張りつかないでほしいんだが。

 

「君と会う前に色々な。話を戻そう、今日の作戦だ。」

 

時間が無いのはライスシャワーも同じだ。作戦会議は早く済ませたい。まぁ、本音は念のためにミホノブルボンのレースも観ておきたい、だったりするが。

 

「うん…!でも、ライスあんまり難しいことは出来ないかもしれないよ?」

 

「問題ない。やることはとっても簡単だからな。」

 


 

ブリーフィングを始めよう。

このレースの目的は『シリウス』『フォーマルハウト』『リギル』のトレーナーにライスシャワーがいかに強いウマ娘かをアピールするのが目的だ。つまり、レース勝ち負けは重要じゃない。

 

で、このレース、ライスシャワーは基本的に勝てない。

 

「えっ……勝てない……?そんなぁ……それじゃあどうやってアピールするの…!?」

 

どぅどぅ、心配するな。俺が候補に挙げたトレーナーは全員、名トレーナーだ。だから、勝てなくても強い走りを見せればライスシャワーの強さを理解してくれる。いいか?目的は“アピール”だ。そこは間違えるなよ?まぁ、別に勝てるなら勝っても良いけどね。

 

「えぇ…ライスやっぱり弱いんじゃ……」

 

それは無い。確かに今の状態で中距離だと厳しいかもしれない。それでもシニア期の頃には天皇賞(秋)の舞台でも戦えるようになるはずだ。

 

「シニア期…それまでは……」

 

それまでは担当トレーナーの腕の見せ所だ。君の夢も強さも実現は難しいからな、叶えるのに時間がかかるんだ。ゆっくり、徐々に加速して進むんだ。

 

「それって、トレーナーさんがライスに教えてくれた走り方…!」

 

そういうことだ。じゃあ、作戦を伝えるぞ。

 

「うん…!ライス、やってみるよ」

 

今日のレース、勝つのは2番の逃げウマ娘テイクオフプレーンだ。だから、彼女に着いていけ。大体、半バ身か一バ身ぐらい後ろにレース中ずっぅぅぅと張りついて走る。以上だ。

 

「そ、それだけ?」

 

これだけ。もっと簡単に言うと一番前を走ってる奴に着いていく、これだけだ。

 

「前の人についてく…ついてく…」

 

あ、そうそう、もしも勝てたら…クライムフレーバーっていうスイーツ店知ってるか?

 

「クライムフレーバー…!ライスだって知ってる、とってもおいしいスイーツのお店だよね!凄い行列で売り切れちゃってて、ライス、あそこのスイーツ食べたこと無いんだ…」

 

そこのプリンをプレゼントしよう。

 

「わぁ…!ほんとう…!?あ、でも、ライス勝てないって……」

 

そうだな、勝てないな。

 

「うぅ……トレーナーさんって、時々イジワルだよね」

 

最初に俺は悪い奴だと、俺は言った。

 

《第5Rに出走する方は集合してください》

 

お呼びだな。

 

「あわわ……始まっちゃう…ライス大丈夫かな…」

 

大丈夫だ。ライスシャワーはライスシャワー自身と前を走ってるテイクオフプレーンのことを信じて走れば大丈夫だ。俺は信じてる。ほら、いってらっしゃい。

 

「信じる……うん、いってきます」

 

あ、待ってくれ、最後に言っておくことがある。

 

「え、なに…?」

 

レース後半、もしもテイクオフプレーンが後ろを振り返ったら“勝ち”だ。俺の作戦は気にせず、ライスシャワーの好きなように走れ。

 

5月模擬レース第5R

トレセン学園

2000m

左回り

 


 

《まもなく第4R、スタートです!》

 

さてと、ミホノブルボンはどんな走りを見せてくれるかね?

 

「ブルボンにもう少し何か言ってやっても良かったんじゃないか、春雲?」

 

ここの場所は最終直線の前、となると必然的に人が集まるこの場所を観戦地に決めたらしい。

 

「黒沼トレーナーが育てたウマ娘に俺から何か言う必要がありますか?」

 

「ふん、確かに無いな」

 

トレセン学園のトレーナーにわりとよく居る柄の悪そうで、おっぴろげな胸元が視線に困る、この男がチームアルデバランのチームマスターにしてミホノブルボンのトレーナーだ。

 

「でしょ?で、用件は?」

 

「俺もブルボンと同じだ」

 

「同じって、礼ですか?」

 

義理堅いなぁ。担当ウマ娘は担当トレーナーに似るって言うが……あー、この人は何か違う理由かも。

 

「そうだ、お前がどう思うかは関係ない」

 

「いや、関係あるでしょ…」

 

俺は時々、『ありがとう』という言葉の理不尽な効力に疑問を感じる。…伝わるか?別に言われたい訳じゃないのに押し付けられるのは少し嫌なんだ。

 

「俺は一人のトレーナーを職とする者として、お前に感謝したいんだ。ブルボンは前のトレーナーの元では夢を叶える以前に挑戦もさせて貰えなかっただろう。だが、お前が俺に紹介したおかげで今のブルボンは確かにクラシック三冠を手にするチャンスと力を得た。お前は1人のウマ娘を救ったんだ。ありがとう」

 

「その話ですけど、ミホノブルボンは三冠獲れませんよ?」

 

「……ほう?」

 

「最後の冠、菊花賞を獲るウマ娘を見つけてしまったので。」

 

「…なるほど、お前が最近、面倒を見てるウマ娘か」

 

「はい。」

 

「…そうか。ところでお前はそろそろ担当を持たないのか?」

 

「絶賛探してるとこですよ。」

 

「お前は「スタートですよ?」

 


 

「ついてく…ついてく…」

 

さっきまでライスの中にあった不安はもうない。まだ、私はライスのことを信じきれる訳じゃない。

 

「このレースが終わったら…トレーナーさんとはさよなら、なんだよね」

 

1週間の関係、かもしれない。確かにトレーナーさんはどこか隠し事をしていて時々、わからなくなる。だけど、お兄さまがライスの夢を叶えるお手伝いを本気でやっているは分かる。お兄さまはライスが本当に夢を叶えられるって信じてる。だから、ライスはお兄さまの信じるライスのことを信じてみる。信じてみたい。

 

「少し、寂しいな」

 

コースでは拍手が聞こえる。1着はブルボンさん。そっか、ブルボンさんも逃げウマ娘なんだね。

 

「青バラさん、ライスに力をかしてください」

 

ミニハットの青バラに祈る。

 

ゲートインの時間だ。

 


 

「見つけましたよ、雪トレーナー」

 

ミホノブルボンの走りを見届けた黒沼トレーナーは既にミホノブルボンの元に行って、俺は1人になったはずが入れ替りで別のトレーナーがやってきた。

 

「桐生院、なんだか本当に久しぶりだな。」

 

「はい、久しぶりです。しばらく、ミークのメイクデビューで忙しかったので…」

 

桐生院葵、ハッピーミークという芝砂全距離何でもいけるとんでもウマ娘を担当している俺の同期である。

 

「そうだったな、1着おめでとう。」

 

「そんな、私なんて…ミークが頑張ってくれたおかげです。」

 

「初めての担当でいきなりメイクデビュー1着はそれなりに凄いことだと思うぞ?まぁ、俺たちは半分、留年してるようなもんだけど…」

 

「あはは、そうですね。それでトレーナーさんが見つけた子は誰ですか?」

 

ライバル偵察か。そういえば、ハッピーミークはクラシック路線かティアラ路線、はたまた短距離路線。どこに進むか決めていないんだったな。

 

「5番の子、ライスシャワーだ。」

 

「どんなウマ娘なんですか?」

 

「見れば分かる。」

 

今日のレースはそのためレースだからな。

 


 

私はテイクオフプレーン。空を往く、飛行機みたいに一番先頭を一番速く駆けるウマ娘。

 

「よし、大丈夫」

 

「じー」

 

・・・・・・

 

やっぱり、大丈夫じゃないです!何だかよくわからないけど、ライスシャワー?(第5Rにいきなり出走してきた上にこれまで学園のレースに一回も出ていないから情報が少ない)ってウマ娘に私ずっと見られてますっ!私、何かしましたか!?お願いだから、レース中近くに来ないでくださいぃぃ……

 

あ、でも、私逃げるから大丈夫だよね。

 

うん、大丈夫だ。私は逃げウマ娘、スタートが命に関わるんだから集中集中!

 

 

ガコンッ!

 

 

《今、スタートしました!》

 

「よーし」

 

大事なハナを取れた。事前の調べで私以外に逃げはいないはず。…ライスシャワーは知らないけど。このまま逃げきるっ!

 

ダッダッ

ダッダッ

 

「は…は…」

「…………」

 

あれ?足音が二重で聞こえる気がする、というか聞こえてるっ!

 

「ハ…ハ…」

 

どうしよう、どうしよう、呼吸が乱れてきた…!誰…?誰なの?私の後ろにいるウマ娘は誰なの!?

 

 


 

テイクオフプレーンさん、速い…全力出さないと離されちゃう。でも、ついていかないきゃ。

 

『テイクオフプレーンに着いていけ。』

 

だって、お兄さまの作戦を信じてるからっ!

 

《先頭を進むのはテイクオフプレーン、その真後ろにライスシャワー。前走同様ペースが速い縦長の展開!後ろの子は間に合うか!?》

 

あれ?そういえば、結構速く走ってるはずなのに何だかそんなに辛くない…もしかして、これがお兄さまの作戦?

 

『それはただのスリップストリームだ。』

 

えっ!?今、お兄さまの声がしたような……?

 

『気のせいだ。』

 

そっか、気のせい……なのかな?

 

『レースに集中しろ、そろそろ来るぞ。』

 

えっ?

 


 

近い近い、近いですッ!何でそんな近くに居るんですか?怖いじゃないですか!バ群の近くで走るのが怖いから逃げウマ娘になったのにこれじゃあ意味が無いじゃないですかっ!

 

少し、少しぐらいなら…どれくらいの距離感なのか、後ろはどうなっているのか。ちょうど、コーナーだから見やすいし。

 

「すぅーハァー」

 

後ろをチラッと見た。

 

「…!」

 

「あ…」

 

後ろに居た小さくて黒いウマ娘が私の顔を見て嗤ったのが見えた。

 


 

目が合った。

 

スタミナに余裕は十分にある。正直、さっきから少しテイクオフプレーンさんが遅いとも感じている。

 

『冷蔵庫からプリンを持って来なきゃだな。』

 

少し、お兄さまのことが信じられなくったかもしれない。

 

《ライスシャワー、ついに外から仕掛けた!テイクオフプレーンに並…ばない!後続と差を広げていく!》

 

私のお兄さまはよくウソを言う人だから。

 

《1着はライスシャワー!圧勝だ!》

 


 

「お兄さまっ!ライス、勝てたよ!」

 

「おめでとう、遅くなったがやっと夢へ駒を進めたな。」

 

あのペースで走ったのにまだ余裕がありそうだ、流石だな。あと、その呼び方と走って抱きついてくるのは止めてくれ。内臓にクる。

 

「ありがとう、ライスを信じてくれて」

 

「トレーナーとして当然のことをしただけだ。あと、人見てるから」

 

「あ、~!ごめんなひゃいっ!あぅ~!噛んだぁ…」

 

レース後なのに元気だなぁ……脚も大丈夫そうだ。

 

「でも、俺はライスシャワーが勝つことは思っていなかった。驚かされたぞ?」

 

「えへへ、お兄さまってウソつきだよね」

 

「俺は一応、策士だからな。」

 

「そういえば、そうだったね…!」

 

「何だ、その言い方俺はいつだって策士だ。」

 

「策士の人は自分のこと、策士なんて言わないよ」

 

「…!確かに…そうかも…しれない。」

 

言うようになったな、こいつ…

 

「あ、これ、プリン。急いで持ってきた。」

 

「わぁ…!クライムフレーバーのプリンっ!プリンだぁ!えへへ…」

 

良い笑顔だ。さて、これで俺の役目も終わりだな。3人のトレーナーは既に集まってくれている。

 

「ライスシャワー、見事な走りだったわ。リギルの一員になる覚悟が出来たらこの紙に名前を書いてほしいわ」

 

「シリウスはまだ復興したてだけど、マックイーンの走りは必ずライスシャワーが強くなるのに役に立つ。シリウスに入ってみないか?」

 

「フォーマルハウトなら元祖高速ステイヤーの走りを間近で見られるよ?メンバーの癖が強いのは我慢してほしい…フォーマルハウトどうだ?」

 

3人の名トレーナーから担当契約書が手渡される。

 

「モテモテだな、ライスシャワー?」

 

「えぇえ!?…全部、トレーナーさんのおかげだよ」

 

「皆、ライスシャワーが欲しいから何だけどな。さぁ、選択の時だ。じっくり、考えな。」

 

本当はすぐに決めた方が良いと個人的に思うんだが、これはウマ娘の人生を左右する話だからな。いや、ライスシャワーは迷いすぎてグダりそうだから早めに決めた方がいい気がしてきた。

 

「決めましたっ!」

 

「うわ、びっくりした…思った以上に早かったな。誰を選んだんだ?」

 

ライスシャワーが差し出した契約書に書かれていた名前は……

 

「え…なんで…?」

 

『春雲 雪』

 

「トレーナーさん、私のトレーナーさんになってくれませんか?」

 

「え、えぇ?どうして俺を?いや、待って、どうして俺の契約書があるの!?」

 

ふと、笑われているような気がして、3人のトレーナーを見て確信した。こいつら、自分の契約書を渡す時に俺の契約書を混ぜたな…!いやいや、何で俺の契約書を他人が持っているんだ?あ、

 

『ふふ、雪さんは担当するウマ娘を早く見つけてくださいね?いいですか?』(朝の校門で言われる事)

 

『承諾ッ!春雲雪トレーナーの担当契約書を発行しておこうっ!』(想像)

 

学園の運営コンビぃ…それは権力乱用だろ…

 

「春雲、ライスシャワーが選んだのは春雲だ。トレーナーとして、応えてあげなさい」

 

「東条トレーナー……」

 

選ぶのはライスシャワーだ。そして、ライスシャワーは俺を選んだ。

 

「俺はそんなに良いトレーナーじゃない。」

 

「ライスは1週間もトレーナーさんと一緒に過ごして、トレーナーさんの事を全部分かったわけじゃないけど、トレーナーさんは少しイジワルな人でとっても優しい人なのは知ってるよ…?」

 

俺はウマ娘に逆らうことが出来ない。で、俺はライスシャワーに選ばれてしまった。

 

「……いやになったら、すぐに契約切って良いからな。ん。」

 

もう、手を差し出すしか、俺には選択肢が残っていなかった。

 

「…はわぁ!ライスをよろしくお願いしますっ!お兄さまっ!」

 

その呼び方は止めてくれ、本当に止めてくれ……まぁ、その笑顔が見られるなら…少し良い…のかな?俺は担当を持っても……

 

「長い長い見習い期間だったな、春雲?」

 

多分、これは東条トレーナーが主犯だな?綺麗に嵌められてしまった。これがレースじゃなくて本当に良かった。策士、策に溺れるなんて最悪だ。

 

「フォーマルハウト、シリウス、リギルのトレーナー方?言っておきますが、」

 

「俺にライスシャワーは譲ったこと、後悔しますよ?」

 

「「「シニアの舞台で待ってる」」」

 

こうして、俺は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初の間違いを犯してしまった。

 


 

そして、今。

 

ザー

 

ザー

 

俺は雨の中、また一人だった。

 




テイクオフプレーンのヒミツ
実は、このレースのせいでバ群嫌いを悪化させた。あと、まだ出番がある。
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