美貌バいろいろ   作:SunGenuin(佐藤)

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お誕生日おめでとう、シーザリオちゃん!!

※スペシャルウィークさん含め一部スピカが出ます
※このシーザリオちゃんはあくまでも美貌馬のシーザリオちゃんで正史の方ではありません
※本編終了後の話です


シークレット

 出会ってから初めての誕生日でした。

 

 「やっぱりシーザリオちゃんはかっけえよ。オレ、ずっとそう思ってんだ」

 

 夕焼けに沈む空を見つめながらそう言った、彼女の横顔とその言葉を、私はいまでも忘れられないのです。

 一日の終わりを迎えるにはあまりにも似つかわしくない、すがすがしいまでの青空に似た、とびきり美しい記憶だったから。

 

 

 

 

 

 

 サンちゃんさんには癖がある。

 

「い、いちおうオレも反省しててぇ……もにょもにょ……だからこれはそのぉ……」

 

 言葉を探している時に、唇を軽く食む癖が。

 

「はっきりどうぞ」

「首からこれ提げるのだけはヤだァ……ひぃん──……!!」

 

 検索に難航するとムニムニ動きが活発になり、見つかると今度はむにぃっと口角が上がる。

 ご機嫌な時は口の両端があからさまで、逆に不機嫌な時の方が分かりづらい。

 そも、人前で負の側面をほとんど見せない(ひと)だから、同じチームでもサンちゃんさんの不機嫌な姿を見たことがない方もいるでしょう。

 プイちゃんさんたちとの戯れのような喧嘩で不貞腐れることはあっても、それだって格好(ポーズ)にすぎない。

 本当に嫌いなわけじゃない。嫌悪でなく、下地に確かな好意を敷いて行われる、あれはただの喧嘩()()()

 ふたりのじゃれ合いを知らない第三者から見れば、なるほど、ソリが合わず嫌い合うふたりに見えるのかも知れないけれど。

 サンちゃんさんにとっての怒りとは走れないことに直結し、あるいは自身を愛するひとびとの献身を無為のものとされることであり。

 決して本人への罵倒だけで湧き上がるほど軽いものでは無いのです。

 彼女の地雷原で勢いよくソーラン節を踊っても、そのありあまるほどの寛大さと、自身の記憶に罵詈雑言を残したくない、というこだわりを盾にすべて受け流される。

 本気で怒ったことなど数えるほどしかないのでしょう。そしてそれを私たちには見せない。

 だから私たち、あの娘の本当の不機嫌というものをほとんど知らずに来たのです。

 

 けれど最近、面白い話を耳にしました。

 それはある日の廊下での出来事。そう、サンちゃんさんとプイちゃんさんが連れ添って歩いていた時のことだそうです。

 ふたりきりで居ることすら珍しいので、多数の目撃者がいてその話の信憑性が上がりました。

 もしひとり、ふたりの噂話であったなら受け流していたでしょうけれど。片手で収まらない数のウマ娘が証言するのですから、在った話なのでしょう。

 

 曰く、サンちゃんさんが相手を口撃した。

 

 手は出していません。もちろん脚だって。

 暴力行為は御法度。誰よりルールを遵守して現役を全うしたサンちゃんさんは、それをいつだって徹底している。

 だから今回用いられたのももちろんその両手足ではなく、桜色に塗れたそのやわい唇でした。

 

 誓って、一方的な口撃ではありません。

 あの娘はぞっとするほど他者相手に動じないから、それは当然のように相手からの口撃に対する正当防衛。

 しかし、とびっきりのオーバーキルでした。

 普段ひとまえで静かな分、ここぞと言うときに放たれるサンちゃんさんの言葉は、あまりにも強く他者を抉ってしまう。

 しかもそれらは考え抜かれて選ばれた言葉でなく、サンちゃんさんが心底想い浮かべたものを、道徳フィルターを通さず放った、純粋なまでのナイフ。

 本人にも微かばかりとはいえ自覚があるから、いつもなら無反応で自身を律し、最後には記憶にすら残さない。

 けどその時はできなかった。

 向かう口撃の対象者が自分ではなく、自分と覇を競い争い、時には傷つけ合って走ってきた、プイちゃんさんだったから。

 

 だとしても、引退したサンちゃんさんたちは気軽にレースへ参加できないはずでした。

 罵詈雑言を浴びせたという相手も、きっとそれを見越しての口撃だったのでしょう。どうせ反論されない、どうせ何もされない。

 けれど彼女たちは見誤った。

 サンジェニュインというウマ娘がただで引き下がるほど冷徹でなく、また、彼女が未だ生徒会役員の職を得ていたことを、そのかすかばかりしかない脳から取りこぼしてしまったのです。

 

 生徒会役員が持つ権限をフル乱用しての模擬レース開催。

 ここで引退しなければ末は生徒会長と目されていたサンちゃんさんとプイちゃんさん、どちらがカードを切ったのか、それとも共謀したのか。

 模擬レース場を管理する教官もビッグネームふたりが脚並を揃えたとなれば、きっと疑問も持たず使用許可を出すでしょう。

 そして学園が休養日となる月曜日を使って催されたそのレースは、会場外の建物から目撃した生徒たちにより、瞬く間に学園内へと広がりました。

 

 まさかそんなことが起きてるとは知らず、当日の月曜日はプイちゃんさんの誕生日ということもあってお誕生日会を開催。

 みんなでケーキ食べてチキン食べてプレゼントを贈っての賑やかなパーティーから明けた翌日。

 登校した私たちを待ち受けていたのは、青筋浮かべて怒りのオーラを纏う、エアグルーヴ副会長でした。

 サンちゃんさん、プイちゃんさんふたりは揃って連行され、生徒会長による有り難い叱責を受けたと言います。

 べそべそ泣きながら、会長に相談すべきだったよなやっぱ、と項垂れるサンちゃんさんは確かに反省はしているようです。

 けどその内容は『相談しなかったことへの反省』であって、レースをしたことそのものではない。

 つまり今後も似たようなことがあればいつだって自分が受けて立つぞ、という心持ちには一切の変化がない、ということ。

 サンちゃんらしいと言えばらしいのですが、そうは問屋が、もといクラちゃんさん ── ラインクラフトが許しませんでした。

 

 そうして行われたのが冒頭、反省首掛けボードの刑。

 

 過去にもカネちゃんさんに無断添い寝した際、躊躇いなく処されたものですが、サンちゃんさんはこの首掛けボードをひどく苦手にしていました。

 しかし、喉元過ぎれば熱さ忘れる、と申しましょう。

 すっかり忘れてしまった今だからこそ効く刑、それが反省首掛けボードの刑。

 

「それ今日一日そのまんまっスからね」

「そんな……お慈悲を……」

「そこに無ければないっス」

「ダ⚫︎ソーかよ!?!?」

 

 せめてディープインパクトも同じ刑に処すべきだぜオレだけこれは理不尽だ、と憤るサンちゃんさん。

 まあ、大丈夫ですよ、ご安心なさって。

 

「プイちゃんさんの方は今日一日走るのを禁止されてますよ〜」

「見張としてカネヒキリちゃんもつけてるっス。ヴァーミリアンちゃんだと何だかんだで走らせちゃうっスからね」

「だから朝からカネヒキリくん居ないのかよ〜〜!! 呆れられて見捨てられたかと思ったじゃんか!!」

「天地がひっくり返ってもそれはないでしょ。それに、この場にカネヒキリちゃんいたらサンジェニュインちゃん庇っちゃうし」

 

『そこまでにしてやってくれ。サンジェニュインも悪気があったわけじゃない。むしろ悪いのは先に攻撃した方では? こんなに可愛いしサンジェニュインは無罪』

 

 そんなことを言ってきそうな気配をクラちゃん共々受信しました。

 言います。カネちゃんさんなら確実に言う、そんな確信が私たちの間にはあるのです。

 プイちゃんさんにつけて正解ですね。

 

「ヒ〜ンヒンヒンヒン!!!!」

「セミ?」

「泣いてんだよなあ!!!!」

「音は一緒っスね。はいじゃあ早く罰則の中庭掃除してきて」

「これが罰じゃねえのかよ!?!?」

 

 ヒヒーン、と謎の鳴き声を上げながらサンちゃんさんが中庭に向うと、クラちゃんさんがため息をひとつ。

 ……ふふ、この方も素直じゃない。

 本当は叱りたいわけじゃないんです。

 わかっていますもの、あの方は仲間(プイちゃんさん)への攻撃を許せなかっただけ。仲間を守ろうとしただけ。

 ただ、何事にも限度があって、そしてこれがお約束ですから。

 学園のルール違反を簡単に許してはサンちゃんさんの立場も聞こえが良くない。

 

「みんなサンジェニュインちゃんに甘いんスよ。生徒会長もお説教ひとつで許しちゃうんスから。ダメっス全然。もっと厳しいくらいがちょうどいいんスよ、絶対」

 

 ええ、そうですね、まったくその通り。

 あの方はだって、これからはひとり。独りで、なんでもしなくっちゃいけなくなるから。

 練習しなくては。誰がいなくても正しく生きられるように。

 あなたが鬼役を買って出ようなんて、本当に、あら、うふふ。

 

「……なんスかシーザリオちゃん。言っておくっスけど、おんなじチームから出たやつがぽんこつなのが嫌であって」

 

 わかってますよ、もちろん、ええ、もちろんわかっています。

 

「終わったらアイスココアを用意してあげましょうね」

「……りんごジュースにするっスよ。酸味ちょっとあるやつ」

「あら、それじゃあおやつはどうしましょう」

「カネヒキリちゃんもそれまでにはディープインパクトちゃん引きずって帰ってくるっス。アップルパイ以外で頼んでるんで」

 

 まあ、だからその飲み物。

 

「出されたら喜びますね」

「喉渇いてたら何でも嬉しいタイプっスよ、サンジェニュインちゃんは」

 

 あら、あらあら。

 耳を真っ赤にして言われても、ねえ、本当に。

 

 本当に面白い方々。

 私は堪えきれない笑いを春風に流して、流れゆく雲を、クラちゃんさんと見送った。

 

 

 

 私がサンちゃんさんに出会ったのはトレセン学園に入った後。

 けれどその前から彼女のことは知っていました。

 

 この世のあらゆる白さをかき集めた御髪をしていて。

 キラキラと光る双眼は青色で、唇は血色の良い桜色だということ。

 いつも落ち着いた佇まいで幼馴染を見るカネちゃんさんが、頬を染めて嬉しそうに語っていた日々を覚えているのです。

 その頃はクラちゃんさんも、ミリアンちゃんさんもプイちゃんさんも、みんな、今ほど彼女に興味を持っていなかったと思います。

 たぶん、お話の中だけで、誰も実物を見たことがなかったから、かもしれません。

 私も、カネちゃんさんの話に相槌を打つことはあっても、熱烈に会いたかったかと言われると頷けないでしょう。

 でも、漠然とした、そう、頭の中にうすらぼんやりと絵を描いていました。

 

 背中まで伸びた純白の御髪を持った可憐な少女のシルエット。

 見たこともないはずの彼女に既視感を持ったのは、きっと、そう思うほどカネちゃんさんが語ってくれたからでしょうか。

 実際、初対面の時も「あら、どこかでお会いしたかしら」と思ったものです。

 こんなに美しい方を見て忘れるなどないでしょうから、会ったことなどなかったのだけれど。

 そう、言うなれば、理想のお姫様のような、そんな方だなと思ったことを覚えています。

 

 ただそれ以上に強烈だったのは、サンちゃんさんの話し方だったかもしれません。

 深窓の令嬢を思わせる出で立ちだからすっかり思い込んでいた、といえばその通りなのですが。

 たとえば今の私や、それこそメジロ家の方々のような口調を想像していたのですが、実際のサンちゃんさんはそれはそれは勇ましい話し口調で現われたのです。

 一人称も『オレ』と雄々しく、名の通り太陽がひとの形を取ったような明快な性格。

 喜怒哀楽がこれほどまでにくっきりとした方は早々に居ないでしょう。

 かと言って無神経すぎない、ギリギリのバランスをさらりと渡っていくような成熟した空気すら纏うのだから、つかみ所がない一面もあります。

 しかしどの一面を切り取ったとしても、確かなことがひとつだけあるのです。

 

 それは、サンちゃんさんが私たちを特別な友情で深く包み込んでいる、という事実です。

 

 時にはちいさな子供の飽くなき眼差しのように。

 時には老齢の師が弟子を見るように。

 そこには見間違うことなどありえない、愛情がありました。

 

 だから彼女の微笑みを素直に信じることができる。

 会って間もない彼女の涙を拭いたくなって、抱きしめたくなる。

 世話焼きなつもりは私にも、クラちゃんさんたちにだってないのです。

 けどこうして彼女を守り支えようと強く思うのは、この関係性が一方通行でないことを、彼女が言動のすべてで教えてくれるから。

 

 弥生賞で崩れ落ち、一時は死の淵を彷徨い、それでも空を見上げ走る彼女を、私たちも深く愛しているのですよ。

 ねえ、だから、あなたが不思議に思う言葉の答えは、これでいいのでしょうか。

 

「どうでしょう、スペシャルウィークさん?」

 

 私の問いかけに、懐かしい匂いのする眼前の彼女がちいさく、本当にちいさく瞬いた。

 

 

 

 

 

 どこかで再戦できるものだと思っていた。

 漠然と、きっと、いつか、また。

 でも叶わなかった。

 サンジェニュインさんはターフを降りた。

 強くあるがまま、決して背中を丸めることなく、力強い目で。

 

 URAファイナルズを現地で観戦し、サンジェニュインさんと、そのライバルであったディープインパクトさんの名前を呼ぶ群衆に紛れながら泣いた。

 悲しかったからじゃない。寂しかったからじゃない。

 けど ── 悔しかった。

 今年いちばんの優駿たちが、これを最後と仰ぐ優駿たちが揃ったそのレースに自分がいないこと。

 ワールドロイヤルターフで届かなかった瞬間がリフレインして、また目の前が滲む。

 そんな私を見ながら、同じように泣いていたスズカさんが言った。

 

「私は、やっぱり走り続けるわ」

 

 そうやって、サンジェニュインがいないターフも美しく素晴らしいことを、今度は外から見るあの子に教えるの。

 

 スズカさんの決意を帯びた眼差しに、私の胸が熱くなる。

 知っていた。

 あなたがそう言うのを、()()()()()……!!

 

「私も……サンジェニュインさんに、言いましたから」

 

 ” 今日から、私の夢は── 世界一のウマ娘になることです……ッ!! ”

 

 敗北の涙を堪えながら叫んだ。

 

 その跡を継ぎたいんじゃない。

 その足跡をなぞりたいんじゃない。

 ただあなたの見た世界を通して、あなたの背中を追い越したいと強く願う。

 ウマ娘としての競走本能が私に言っているようだ。

 目の前に背中があるのならば追い越せ、と。

 

 たった一度だけ振り返ったサンジェニュインさんの、あの微笑みが脳裏に浮かぶ。

 どこにでもいる、と言い表すにはあまりにも壮絶な美貌が、きっとこの痺れの原因だ。

 同時に火でもあると思う。心が燃える理由を、その闘志にくべられた、どこまでも熱いもの。

 彼女ほど美しいウマ娘にはこれから会えない気がするけど、あの微笑みは、そう、どこにでもあったんだよね、きっと。

 私も、スズカさんも、これまで競い合ってきたエルちゃんたちだって浮かべてきた、あれは勝利の喜びを高らかに謳った笑顔だったんだ。

 

 気づいてから私、同じ笑顔を見せたいと思った。

 

『オレの勝ち!』

 

 そう笑ったサンジェニュインさんと同じく、勝利の喜びに満ちた声と笑顔を。

 世界の中心で ──……!

 

 今日のレースを持って、サンジェニュインさんと公式で走る機会はなくなっちゃったけど、模擬レースでなら走れるってキングちゃんが教えてくれたから、それが今の目標。

 どうしてキングちゃんが知ってるって、それはキングちゃんがサンジェニュインさんと模擬レースをしたから。

 ウララちゃんとサンジェニュインさんが知り合いだったみたいで、その繋がりでキングちゃんはサンジェニュインさんと模擬レースの約束を取り付けたんだって。

 

『気概のあるウマ娘は大歓迎、と言っていたわ。私も、もう1回チャレンジするつもりよ』

 

 キングちゃんの目もキラキラとしていた。

 私も負けられない。リベンジなんてする機会はもう模擬レースしかないから、絶対に挑戦してみせる。

 それにいつまでトレセン学園にいるかはわからない。

 できるだけ早く調整して、できるだけ早く約束を取り付けなきゃ!

 

 そして。

 

「私、スズカさんにだって負けませんっ!」

 

 そう言うと、スズカさんは嬉しそうに笑って、私と同じ顔で頷いた。

 

 

 それからしばらく。トレセン学園はいつも通り賑やかなまま。

 ターフを降り、競走者ではなくなったサンジェニュインさんは、今もその賑やかさの中心だった。

 どうしてって、もちろん太陽があっという間に陰ることなんか無い! って意味もあるし、ただ今はそれ以上に、サンジェニュインさんの変わり様が注目を浴びていた。

 

 これまでのサンジェニュインさんと言えば、絶対不可侵、振り向くこと無き王者! という印象だった。

 栗色の扇をバッと広げて口元を覆う姿はすごく綺麗だったし、所作のひとつひとつが『王だ……!』と思わせるような、そんなひと。

 挨拶だって『ごきげんよう』だったし、囁くような、透明感たっぷりの声色も相まって薄幸美人とも思えた。

 けど引退してからのサンジェニュインさんはまるで真逆だ。

 いや、美しさはいつも通りなんだよ? ただ雰囲気がまるで違う。

 

 近寄りがたさを感じる無感動な表情はコロコロと変わるようになった。

 囁くような声はあたりにスパッと響くような力強く元気な声色に。

 前までは頻繁に学園内を出歩いていなかったと聞いていたけど、今は目撃証言多数。

 学園の掲示板に『今日のサンジェニュイン様』として隠し撮り写真が貼られる始末。

 ちなみにこの隠し撮り写真はのちにチーム・メテオのカネヒキリさんが撤去し、張り出ししたウマ娘は市中引き回しの刑に処された、とゴールドシップさんが言っていた。

 刑罰があまりにも江戸時代すぎてびっくりしたけど、隠し撮りは本当によくないと思う。

 写真は可愛かったけど……えっテイオーさんも写真を!? ダメですよ隠し撮りは……さすがに……!!

 

 コホン。

 

「けどね、スペちゃん。あれが、私の知ってるサンジェニュインなのよ」

 

 変わったサンジェニュインさんに盛り上がっていた私たちに、スズカさんは苦笑いを浮かべて言った。

 

「前に話したでしょう。サンジェニュインがデビューする前に模擬レースをしたって」

 

 ロイヤルターフ前に聞いた話だ。

 その時のサンジェニュインさんはまさに天真爛漫。

 真夏の太陽を思わせる活発さで走っていたこと。

 ある日から変わってしまったとスズカさんは言っていたけど、だとしたら今のサンジェニュインさんの方が素ということだ。

 

「はつらつとしていたわ。男っぽい口調で、どこか子供染みてもいた。……今のあの子を見て思ったの。ああ、私の知ってるサンジェニュインだ、って」

 

 冷酷無比などと呼ばれて良い()ではなかった。

 変わったなんて思いたくなかった。あの情熱が喪われたなんて、と。

 だから嬉しい。嬉しくて仕方が無いと、スズカさんが笑う。

 

「何ひとつ変わってなかったのね。ただ、隠すのが上手くなっただけで、ずっと走るのが好きなままだったんだわ」

 

 私にはスズカさんの感動がまだ理解できない。

 だって私にとってのサンジェニュインさんはあの『女王』と呼ばれていた姿だから。

 まるでただの『ひと』のように振る舞う姿の方が違和感があった。

 そんな私の頭を撫でたのはゴールドシップさんだった。

 

「誰もが素直なままじゃいられねーんだ、きっとな」

 

 その言葉に倣うようにシルバータイムさんも頷く。

 

「お姉様はあたしたち妹には今のような態度を見せてくれましたが……人前では黙して冷静であろうと努めていました。お姉様が在るがまま振る舞うには、その(かんばせ)は美しすぎて、魅力的すぎましたから。あの振る舞いは、冷酷無比と呼ばれてでもひとを遠ざけようとしたのには、ちゃんと理由があるんです」

 

 ただ思うがまま走るだけでは許されない。

 そんな人がいるということが、どうしてか、なかなか受け入れられなかった。

 サンジェニュインさんこそがもっとも自由に駆けていると、そう思っていたからかな。

 

「ねえスペちゃん。気になるなら本人と話してみればいいわ。今のサンジェニュインなら、話しかけられて断る、なんてことは、同じレースに出たスペちゃん相手ならないと思うから」

「そうですね。お姉様はボディタッチされない限りは寛容ですよ。されたら逆に終わりです。カネヒキリポリスから逃げられると思わないでください」

「おっし、サンジェニュイン相手に今度メントスコーラどっきりやるか!!」

「おいばかやめろはっ倒すぞシップ!!!!」

 

 気づけばいつものようなじゃれ合いを始めたゴールドシップさんたちについ笑みが漏れる。

 シルバータイムさんもずいぶんと馴染んだなあ。最初はどこかぎこちなかった。

 ロイヤルターフのために併走相手として臨時参加した日が遠い昔みたい。

 まさかこんな風に、チーム・スピカのメンバーとして同じテーブルを囲んでお喋りする日がくるなんて。

 

 ……ああ、でも、そっか。

 

 きっとそれと同じような温度感であるべきだったんだ。

 サンジェニュインさんの変化を、こうしてシルバータイムさんが自然にいるように、やわらかに受け止めるべきだったんだ。

 そう思えたら、どうしてか肩が軽くなったような気がした。

 

「うん……私、サンジェニュインさんに話しかけてみようと思います! 模擬レースの申込もあるし……」

 

 そうと決めたら早いほうがいいよね!

 

「えっスペちゃん……!?」

 

 驚いたように立ち上がったスズカさんに握りこぶしを見せる。

 私は立ち上がって、いってきます! と部屋を出た。

 

「ちょ、猪突猛進……!」

「イチかゼロの温度感だなあ、スペは」

「笑ってる場合じゃないでしょ、シップ! 止めに行かなきゃ!!」

「お? 大丈夫だろ、スペは跳ね返されたって何度でも挑戦するぜ」

「ちっがうお姉様は跳ね返さないしそこ心配してないし……だいたいねえ、あんた考えなよ。お姉様のあの輝かんばかりの顔に微笑まれたら、慣れてないウマ娘は気絶すんの!!」

「やべえ急ごうぜスペが溶けるかもしんねえ!!」

 

 そんな会話が繰り広げられているとはつゆ知らず。

 その頃の私は史上最速記録でもってサンジェニュインさんと遭遇。

 

「あっ! スペちゃんだ! 久しぶりだな!!」

「ヒョヘッ」

 

 晴天に木漏れ日を浴びたサンジェニュインさんのキラキラ笑顔を真正面から受け、訳も分からず気絶した。

 

「あばばばスペちゃん!?!?」

「スペ── ひえっお姉様すみませんすみませんコチラで回収します!!!!」

 

 

 

 目が覚めたら知らない天井こと保健室で寝ていました。

 

「はうっ!! ここは天国!!」

「かろうじて下界ですよ、スペシャルウィークさん」

 

 鈴を転がしたような声がした。

 起き上がったベッド横で、小さな椅子に座ったそのひと。

 見覚えがあった。でもどこでかはわからなくて、ただ、どうしてか、懐かしいと思った。

 そのひとはコテン、と首を傾げると、私の顔を覗き込んで言った。

 

「具合はどうですか?」

「あ……平気です!! 全然元気です!!」

 

 本当だった。

 身体のどこも痛くないし、気分も良かった。

 そんな私を見て、そのひと ── シーザリオと名乗ったひとはニッコリと笑った。

 

「サンちゃんさん ── サンジェニュインさんが大変失礼しました。突然飛び出して驚かせた、と聞いています。本当に痛いところはないですか?」

「ないです!! 本当にないですし、それに、私が勝手に倒れたようなもので……!! サンジェニュインさんは私に挨拶をしてくれただけなんです」

 

 嘘偽り無い正真正銘の真実。

 そう、私はサンジェニュインさんの微笑みを見た瞬間気絶してしまった。

 穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。

 しかもサンジェニュインさんに『突然飛び出して驚かせた』という嘘まで吐かせてしまった!

 私の名誉を守ろうとしてくださってる……本当にすみませんすみません。

 

「ふふ。でも、木漏れ日の中で微笑まれたのだから、とても驚いたでしょう」

「そりゃもう……って、あっ、いや、えっと」

「良いんですよ。みんな知ってますし、本人もいつもなら気をつけてるんですけど……ロイヤルターフで競ったあなたのことを、サンちゃんさん、とっても気に入ってるんです。久しぶりに会えたからうれしくなって、ついつい駆け出してしまったんでしょう。ごめんなさいね、今、ちゃんとお叱り受けているところですから」

「そ、そんな……」

 

 サンジェニュインさん何も悪くないのに。

 

「必要なことなんですよ。ほら、彼女は間もなくトレセンを出ますから」

「あ……」

「今はこうして私たちが助けてあげられますけど、ここを出たらそうもいきませんから、特訓中なんです」

 

 秘密を打ち明けるような声色で、シーザリオさんはそっと言った。

 

「内緒にしてくださいね。努力してることをつまびらかにされるのが苦手な(ひと)なの。私も言うつもりはなかったのだけれど、どうしてかあなたには言ってもいいような気がしてしまって……」

 

 その照れたような横顔が、どうしてか懐かしいと思う。

 小さい頃あったかな。ううん、会わなかったはず。

 だって、私の実家には私以外いなかったから。

 あの頃の寂しさが顔を出したけど、首を振って打ち消す。

 今は寂しくない。トレーナーさんが居て、スズカさんやスピカのみんながいる、今がとっても幸せだから。

 もうひとりじゃないって、その気持ちが私を強くしてくれたんだ。

 

「サンちゃんさんもひとりだったんですよ、昔は」

 

 えっ。

 

「ごめんなさい、ひとりごとだったんでしょうけど、聞こえてしまったからつい。……メテオは、サンちゃんさん以外は出身地が近くで幼い頃から顔見知りなんです。サンちゃんさんだけ、学園に入ってからなんですよ」

 

 知らなかった。

 ずっと昔から、小さい頃から、多くのウマ娘に囲まれてきたんだと思っていたから。

 私とサンジェニュインさんを繋ぐ不思議な共通点が、少しうれしい。

 サンジェニュインさんも寂しかったのかな。寂しさを乗り越えて今、こんなに強くなったのなら。

 私ももっと強くなれるかな。そんなことをぼんやりと思った。

 

「あなたはもう十分強いと思いますよ。私の持論ですけど」

 

 くすくすと笑いながら、シーザリオさんが言う。

 

「強さの定義はひとそれぞれではありますが。サンちゃんさん相手に、新しい夢は世界一だと、そう啖呵を切れる姿勢が強さでないなら、私もきっと弱いですね」

「そんなことは……ッ」

 

 柔らかいばかりだと思っていたシーザリオさんの横顔に鋭さが宿る。

 

「ねえ、私、得意距離は芝の中距離なんです。 ── いつかターフで会いましょうね、スペシャルウィークさん」

 

 激情をひた隠しにした微笑みは、舞台の中央で舞う女優のようだった。

 

 

 それから私とシーザリオさんは、サンジェニュインさんが迎えに来るまでお話することになった。

 ティアラ路線だったというシーザリオさんとの共通の話題は、やっぱりというか、どうしてもサンジェニュインさんになる。

 基本的には私が質問する形で、サンジェニュインさんの走りについてや、仲の良いシーザリオさん相手だからこそ出会ったときのこととか。

 いろんなことを聞いた。

 シーザリオさんはおおらかな性格なのか、聞いたことのほとんどに答えてくれて、特にその出会いについてはぼかさずに教えてくれた。

 

 出会った頃から隔絶した美しさだったこと。

 男らしい口調と一人称に驚いたこと。

 学園に入ってから出会ったのに、昔から一緒だったかのように馴染んだこと。

 その明快ですっきりとした性格と感情豊かな所を気に入ったこと。

 偽りなくシーザリオさんたちメテオのメンバーを愛していると分かるから、躊躇うことなく愛せること。

 

 言葉の節々から優しい匂いがした。

 まるで子を見る母のようなやわらかさで……ああ、そっか。

 シーザリオさんはまるでお母ちゃんみたいなんだ。すごくすっきりした眼差しが似てた。

 懐かしく思ったのはお母ちゃんみたいだから……いや、うーん、違う気がするな。

 悩みながらも、思い出し笑いを挟みながら語るシーザリオさんを見た。

 

「スペシャルウィークさんにとって、サンちゃんさんはどう見えていますか」

「えっ……えーと、すごく綺麗なのはもちろんですが、すごく、すごく強いと思います。走り方が、フォームもですけどすごい綺麗だし、ブレないし、すっごく器用なイメージです!」

 

 あの女王然とした振る舞いと素を切り分けられるところなんて、まさに器用さの最高点だ、と思っていた。

 けどシーザリオさんはどこか違うようで、苦笑いを浮かべて、ああ、そう見えていたら頑張った甲斐があったでしょうね、と言った。

 

「隙無く見えることが本望でしたから。きっと喜びますよ、サンちゃんさん」

 

 その言葉はつまり、私のイメージは本性からほど遠いってことじゃないですか。

 思わず言った言葉に、シーザリオさんは悪戯っぽく笑った。

 

 

 

 

 

 

 どこか情けない顔で頬を掻くウマ娘に、私は笑みをかみ殺して口を開く。

 

「不器用な方」

 

 ふいに口から漏れたそんな一言は、けど、それこそが真理だと、目の前のウマ娘にはっきりと通じた。

 

 だって、サンちゃんさんは本当に不器用なんだもの。

 

 今まで言ったことは嘘ではないし、公式に見せている姿だってサンちゃんさんの一部ではあるけれど。

 でも、どうあったって不器用だと思うのです。

 

 他者に気を配る繊細さや、誰かのためを思う思慮深さや、走りに込めた熟慮の全部を、とびきりのユーモアで隠してしまった(ひと)

 甘ったれてるだけ、なんて。周りも、本人ですら言うけれど、そんなことは決してない。

 確かに甘えん坊だけれど、他者の献身無くしては生きてゆけないだろうけれど。

 その献身のよるべを、与えられた甘美を飲み干す術を、それに報いることの確からしさを。知るからこそ走り続ける。

 彼女の歩みにはブレがないのだと知れれば、そこに至るまでの努力がどれほど深いかおのずと推測できるものですよ。

 けれどもその(つと)めを明らかにするでもなく、ふっと気づいた人が知ってくれればいいのだと笑う彼女の、あまりにも完璧なベールがすべて隠してしまう。

 

『オレは量より質派だもんね! 喝采を浴びるのは好きだけど、芯の部分で、オレがどんな風にここまで来たのかをいちばん知って欲しいのはみんなだ。だから満たされてる。……オレはさ、たとえ99の罵倒を有象無象に叫ばれたって、1の褒め言葉で笑顔になれるよ』

 

 コスパ最強でしょ、と笑った彼女に嘘はひとかけらもない。

 そうだとしても、ねえ、罵詈雑言は消えたりしないのです。

 右から左へと言葉が流れようとも、本人が気にしていないと言えども、褪せても無かったことにはならないから。

 ベールなんて脱いでしまって、【昔】のように喜怒哀楽をむき出しに叫んでくれる日を、今か今かと待っている。

 それなのに、ふにゃっと笑顔ひとつで躱して、あなたって(ひと)は本当にずるい。

 そんなことをされたら私たち、言葉もなく頷いて、あなたのベールを見つめるだけになってしまうじゃないですか。

 せめて万の言葉で褒めそやそうとも、困ったことにそうした私たちの態度に眉を顰めるひとがいる。

 私たちの態度こそが、彼女の浅ましい不遜ぶりを助長している、と。

 

 元より、サンジェニュインというウマ娘は、過度にへりくだることがないのです。

 かと言って彼女は無礼な性格でもない。確かに不遜に擬態した振る舞いをすることがあったとしても。

 

『他人を褒めるために自分を下げるのは、自分を(たっと)いものとして育てるすべてに失礼だかんね』

 

 謙遜とは嫌味と呼ぶのでなく、ごく自然に、他者を尊いものとして崇めたときに産まれると、心で、経験で知るからこその発言でした。

 だから第三者からの称賛に否と言うことはまずありえない。最も近しい私たちから贈られたのであればなおのこと。

 それどころか。

 

『そうだろう、そうだろう。オレはいつだって最高だ!』

 

 そう言葉にもするし、照照(しょうしょう)たる頷きで肯定だってするのです。

 褒められることを尊ぶ。肯定されることを当然と受け止める。

 それだけの努力を成したと、誰より自身を肯定しているから。

 自分こそが自身の最大の味方だと隠そうとしないし、隠す必要性すらないと高らかに謳う。

 その強固な自己愛とも()される肯定感を、彼女は他者(私たち)にも向けました。

 

 東に努力する者在れば、切れる息の隙間から(ゆめ)の跡を見つけ出す。

 西に頂を見る者在れば、そこに至った道のりのすべからくを愛した。

 

 そうやって迷うことなく誰かを愛せるくせに、サンちゃんさんは他者から向けられる愛以外の感情には鈍い。

 憎悪に暗む感情にはさらに鈍く無痛を装い、他者に無頓着でいられる性分を、誰かが心ない機械にたとえたりもしました。

 

 ああ、けれど、機械かしら、ほんとうに?

 

 あの頬を染めた横顔の、一呼吸もない(やわ)らぎは。

 違うのだと知っている。トレセンで出会ってからの間柄だけれど、知っているの、私は、()()()は。

 冬の化身が如き白い肌は、他者と同じく陽に焼けて痛むし、触れれば温度もあって、つねると痛がって、ちゃんと血が通っている。

 表情はめまぐるしく変わり、そのツンと上向いた小さな唇から大きな声が響くことも、烟るような睫に覆われた双眼があっという間に潤むことも。

 誰かが想像するよりも大きな手が同朋(とも)の身体をひしと抱きしめ、頬に宛がわれた豊かな胸から鼓動が響くことを、私たちは知っているのです。

 ええ、ええ、誰よりも。

 

 知っているけど、言いふらしたりなんてしない。

 意地悪じゃないの、許してね、私たち、同朋(とも)の尊い姿を愛しているの。

 誰もが勝手に夢を見て、自分の理想を当てはめて勝手に見ない振りをしている、あの(ひと)の命の輝きに満ちた姿。

 見せていましたよ、いつの日かまで。晴れ渡る中山レース場の、ほら、あの日。

 でも誰も彼女を見なくって、いつか、彼女が駆け抜けた残照に理想だけを重ねた方々に、その本性を見せびらかしたいとも思わない。

 

 知らなくっていい。知ろうとしないのならば。

 諦めたわけではなくて、ただ私たちの覚悟が決まったのです。

 百の罵倒が彼女を覆い、その栄光に傷をつけようともがいたとして。

 他の誰でなくその側にいる私たちが、万の嘆賞(たんしょう)で尽くしましょう。

 

 あなたが、私たちにそう尽くしたように。

 

「自分で言うのもなんですけど、変わり者なの、私。こうして話す分にはしとやかにしていられるのだけれど、レースとなるとダメですね。気が入ってしまう」

 

 幼い頃からそうでした。

 勝負事と、かけっことなると手加減がひとつもできなくなってしまう。

 同期のプイちゃんさんが目立ってくれていたからわからなかっただけで、いつも胸の内に荒々しい気持ちを隠していた。

 暴れ狂う獣を頑丈な檻で囲んで逃がさないよう、いつも必死で。

 どれほど淑女らしく振る舞っても、ひとたびレースとなればその獣は放たれて、終わればみんなぞっとするほど怖い顔で私を見ました。

 

 ” 怖い。怖いよ、シーザリオ ”

 

 別人になったみたい、と言われるほど、平常時と乖離していく自分をどれほど恐ろしいと思ったことか。

 それでも渇望を隠しきることはできませんでした。レースへの、競走への、勝利への、滾る感情のすべてが私を突き動かすのです。

 この学園に入って、私はようやく安寧を得ることができたと、今も強く思います。

 

 ここには競うに足りるライバルがいる。

 削り合っても摩耗しない強者が平然といる。

 スイッチが入って、まるで違う獣のようにターフを駆ける私に追いついて、ゴールしたとて「いやあ強いっスね」と言い切る者が。

 心地良い。檻の中を満たした充足感を、確固たるものにしたのがサンちゃんさんでした。

 

「たかが併走ひとつにすら猛々しく駆ける私に、彼女は笑ったのです」

 

 蔑みではない。嘲るでもない。

 真正面から捉えて溢れ出した言葉が、私を救ったんですよ、ねえ、サンちゃんさん。

 だから私、いつもそっと思っている。想っている。

 いつの日か、あなたが私に言った、『かっこいいね』にも劣らない、とびきりの言葉を贈りたいのです。

 

 

 

 

 

 

「ひ~ん!! スペちゃんごめんな……まさかオレの顔がダイレクトアタックなんて……」

「あらっ、サンちゃんさんだめですよ、そんな下がり眉しちゃ……」

「ホエッ」

「スペちゃ……!?!?」

「おおスペシャルウィークよここで気絶なんて情けない」

「言ってる場合かシップ!! あ~~すみませんお姉様本当にすみませんこちらでなんとかしますので……何卒カネヒキリさんには他言無用で……」

「えっなんでカネヒキリくん……別にいいけども。それよりお前ら暇? スペちゃんこんなにした詫びも兼ねてシーザリオちゃんの誕生日会に招待したいんだが。今年のはすげえぞ!? サプライズ舞台もやるからよお」

「ああああお姉様!?!? シーザリオさんいるとこで言って良いのでしょうかそれは!?!?」

「え? あ、うん。だって誕生日会の企画立案 ── シーザリオちゃんだからね」

「今年のシェイクスピアも楽しみですねえ、サンちゃんさん」

 

「やっぱメテオって……おもしれ~チーム!」

「もうあたしつっこまないからね、シップ……」

 

 余談だが今年のシーザリオ生誕祭はチームスピカも巻き込み盛大な催しになった。

 シルバータイムの胃には穴が空き、ゴールドシップにはシェイクスピアの化身という二つ名がついた。







シーザリオちゃんとスペちゃんのSSはもっと書きたい
自分、書いてもいいっスか?


以下アプリウマ娘の感想なんですけど
ラインクラフトさん最後まで来てくれませんでしたどういうことですか

第◇回サンジェニュインのお嫁さんレース(敬称略)

  • エアグルーヴ
  • ハルウララ
  • ウオッカ
  • カレンチャン
  • 海外牝馬組
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