2話構成なのでもう1話あります
「先日は誠に申し訳ありませんでした……!」
そう言って開幕土下座を見せつけたのはキングヘイローだった。
「ッヒョ、お、ンンッ……よ、よろしくってよ、キングヘイロー。顔をあげなさい」
そうサンジェニュインが促すも、キングヘイローは顔をあげない。
かろうじて保たれたお嬢様プレイそのままに、サンジェニュインは困ったように扇を振った。
さて、ことの経緯は昨年の冬にまで遡る。
12月。
ハルウララの紹介で共にお茶会をする予定となっていたキングヘイローとサンジェニュイン、with カネヒキリ、ハルウララ。
しかしハルウララのお茶目なミスでキングヘイローにお茶会の件が伝えられておらず、急なサンジェニュインの過剰摂取によってキングヘイローは気絶してしまった。
それによってお茶会が早々に解散となったことを、自室のベッドで目覚めて知らされたキングヘイローは頭を抱えた。
「と、とんでもないことを……ああ、一生に一度のチャンスだったかもしれないと言うのに……!」
サンジェニュインがトレセン学園内にいることも珍しかったが、会うだけにとどまらず、一緒にお茶会ができる機会など滅多にはない。
その機会を逃してしまった自分への失望と共に、キングヘイローはちょっぴり泣いた。
ハルウララにはもっと泣かれた。
ごめんねキングちゃん、と涙を流す友人を、キングヘイローはそっと抱きしめた。
彼女に罪はない。
思い返してみれば、ハルウララからは「お茶会の準備できたよ!」と言われていた。
普段から2人でティータイムを過ごすこともあったが、大抵はキングヘイローが準備し、ハルウララを誘うという形式だったのだ。
それが、ハルウララから誘うともなれば、サンジェニュインも交えたあのお茶会だと、キングヘイローが察してやるべきだった。
もちろん、サンジェニュインが来ていることをハルウララが伝えてくれれば、と思わなかったか、といえば嘘になる。
だがキングヘイローはハルウララの同室。
共に過ごして長いのだ。
彼女がほんのちょっぴりドジっ子でもあることを、見逃してはいけなかったと言うのに。
もし目の前にタイムマシンがあったら乗りたい。
乗って前日に戻りたい。
「キングちゃんキングちゃん! あのねあのね、サンちゃんがね、またお茶会しようねって!」
「えっ」
きのこを生やしそうな勢いで落ち込んでいたキングヘイローに、その言葉は劇薬も同然だった。
きのこ? 燃やしましたが? と言わんばかりに晴れ渡るキングヘイローの顔。
これには落ち込んでいたハルウララもニッコリ。
そんなハルウララの笑顔を見てキングヘイローはさらにニッコリ。
ハルウララが繋いでくれたこの縁。
次は絶対無駄にせずものにして見せる!
キングヘイローは強い
まず手始めにサンジェニュインの好きな茶葉を聞いてお菓子とか色々セッティングして ── と、ウキウキしていたキングヘイローは、その日の夜ベッドで泣いていた。
【速報! 凱旋門賞ウマ娘サンジェニュイン、URAファイナルズで引退決定】
サンジェニュイン引退の知らせは、中央トレセン学園どころか、世界中のウマ娘に衝撃を与えた。
何も不思議ではない。当然だ。
世界初の白毛のG1ウマ娘。
日本ウマ娘として初めて凱旋門賞を制し、2連覇まで成し遂げた。
誰が呼んだか、美貌のウマ娘、あるいは太陽のウマ娘。
サンジェニュインの前にウマ娘はなく、いるのは追いかけてくる者のみと謳われた。
多くのウマ娘が彼女に憧れた。
彼女のように美しく、しかし強くあることに焦がれた。
そしていつか、そんな彼女の隣で走ることを夢に見た。
それはキングヘイローも例外ではない。
いつかはサンジェニュインと同じレースに出ることを目標としていた分、ショックは大きかった。
サンジェニュインがラストランに選んだのは、自分の足に適したフランスのレース場ではなく、母国日本のレース。
URAファイナルズは、ここ数年で新たに新設されたレースではあるが、その年の優駿を決める最大のレースになりつつある。
距離ごとに部門が設けられており、それぞれ得意距離で出走する。
皐月賞、菊花賞、有馬記念、凱旋門賞でわかる通り、サンジェニュインはクラシックディスタンス、それも中長距離を得意とするウマ娘だ。
既に発表されている出走部門も、長距離部門と明言されていた。
実は、キングヘイローもURAファイナルズには出走予定だった。
だが高松宮記念制覇を経て、担当トレーナーと相談した結果、キングヘイローは短距離部門への出走を決めたのだ。
……公式で走れる機会はもう、永遠にはない。
目標の一つを失ったキングヘイローは、地方遠征でハルウララが外出している夜、行儀悪くベッドの上でポテトチップスを食べていた。
いつもなら絶対に食べない、ニンニクマシマシチーズたっぷりのポテトチップスだ。
売店でこっそりと、一番大きいサイズを買ってきた。
普段ならしない暴挙も、今はなぜか躊躇いなくできた。
パリ、パリ……と食べながら、キングヘイローは慣れた手つきでDVDセットを手繰り寄せる。
ベッドの下に仕舞っている宝箱の中には、キングヘイローがこれまで集めてきた大切なものが詰まっていた。
このDVDセットは宝物の中でもさらに特別なものだ。
これが何かというと、サンジェニュインのデビューから今日までのレース映像を収めたもの。
キングヘイロー自身が撮影したものばかりだ。
中には国内のみならず国外のものもコンプリートしてあったが、もちろん、キングヘイローが現地まで足を運んで撮り溜めたものである。
ハルウララにも、他の誰にも言ってこなかったが、キングヘイローは年季の入ったサンジェニュインファンだ。
コミュニティ内ではキングヘイローのようなファンたちが自虐も込めて「イカロス」と名乗ったりしているのだが、冗談ではない。
キングヘイローはロウで固められた粗末な翼とは違うのだ。
太陽の熱ですら溶けない翼になって、サンジェニュインの隣で走り切る自信が……あるとは胸を張って言えないがそうなりたいという気持ちはある。
そもそもどうしてキングヘイローがこのように重度のサンジェニュインファンになったのか。
理由は極めてシンプルである。
その走る姿に惚れたからだ。
キングヘイローがサンジェニュインのレースを初めて見たのは、たまたま赴いた阪神レース場でのことだった。
12月19日の夕方。
出走まで後10分になった所で、珍しく白毛のウマ娘が出ていると知った。
白毛のウマ娘といえば、キングヘイローはモデルであるサンジェニュインが好きだった。
カラフルな衣装を着こなすサンジェニュインの、その美しさや雰囲気を好んでいたが、レースを見たことで深い愛と羨望を抱いた。
彼女の。
その強気の走りに目を奪われた。
負けてもなお、諦めを知らない強い瞳に根性を見た。
真珠のように流れる涙の一粒一粒に、高い矜持を感じた。
自分自身と重ね合わせるには、キングヘイローとサンジェニュインは似ていない。
でも、その根本にある『不可能』の文字を跳ね除け、ひたすらに前に進む意志の強さにはきっと、通じるものがあった。
そのメイクデビュー以降、キングヘイローはサンジェニュインが出走した全てのレースを見た。
もちろん、海外であろうと現地まで赴いて見に行った。
未勝利戦も、あすなろ賞も、弥生賞での悲劇も、同着の皐月賞も、惜敗した日本ダービーも。
神戸新聞杯で見せた力強さは、菊花賞での世界レコード更新と共に本物になった。
シニア級のウマ娘たちを退けた有マ記念の、その1センチの執着に痺れたウマ娘は、きっとキングヘイローだけではなかっただろう。
年明けから海外レースが中心になって、追いかけるキングヘイローはもちろんより大変になった。
トレーナーにもかなり無理を言ったし、キングヘイロー自身、心身ともに負担がなかったとは言わない。
けれど、その苦労を跳ね除けるほどの素晴らしい光景がそこにある。
来てよかった、追いかけてよかったと思わせてくれるほどの活躍と、頑張りを見せてくれるのだ。
それがもう見られないこと。
そしてサンジェニュインと走る機会が永遠に失われた事実。
キングヘイローはやはり悔しくて涙が止まらなかった。
それと同時に、どこかホッとしたように息を吐く。
その時、テレビ画面に映っていたのは、サンジェニュインのメイクデビューから日本ダービーまでのレースだった。
クラシックシーズン……特に日本ダービーまでのサンジェニュインと、今のサンジェニュインとでは、だいぶ雰囲気が異なる。
だが、そのことを覚えているウマ娘も、人間も、そう多くはないだろう。
キングヘイローのように昔からずっと追っている、というレベルで思い入れが深くなければ難しいかもしれない。
というのも、今のサンジェニュインが放つカリスマ性が強すぎて、昔の姿がかき消されてしまうからだ。
では当時のサンジェニュインがどのようなウマ娘だったのか。
メイクデビューからのレース映像を見ていたキングヘイローは、懐かしみながら思い出していた。
「そう、この頃はまだ、扇はなかった……」
今やトレードマークともなっている栗色の扇。
そして栗色の耳カバーも、まだその耳にはなく、扇も手にはない。
風に揺れる髪を抑えるその指にマニキュアは施されていない。
顎より少し下まで伸ばした真珠色の髪に、栗色の装備品もない、勝負服も相まってまさに『真っ白』というにふさわしい姿だった。
なんだ耳カバーや扇がないだけじゃないか、と思うかもしれないが、白色に他の色があるかないかというのは、だいぶ印象が違うのだ。
それに、一番違うものがまだある。
この頃のサンジェニュインというウマ娘は、よく笑う。
朗らかに、高らかに、喜びに満ち、時には悪戯っぽく。
ただ、ただ、よく笑った。
『冷酷』
『無慈悲』
『完璧主義』
『エリートの中のエリート』
その様子や立ち居振る舞いから、これらの印象を抱かれやすいサンジェニュイン。
だが日本ダービーまでのサンジェニュインはといえば、それとは真逆の印象となる。
『無邪気』
『純粋』
『破天荒』
『元気』
よく笑い、しかし、よく泣くウマ娘でもあった。
それがいつから変わったのかといえば、日本ダービーを迎える前。
この頃になると中央トレセン学園内のファンの間で、サンジェニュインが笑わなくなった、という情報が出回るようになった。
外を歩くときは栗色の扇を広げることが多くなり、その扇の隙間から見える瞳は冷たく光る。
近づき辛い雰囲気に変わり、それまでいたサンジェニュインの追っかけの8割がしっぽを巻いて近寄らなくなった。
明確に変わったのは合宿から帰ってきてからだ。
サンジェニュインは学園内でも名門と噂のチーム・メテオに所属しており、皐月賞後に一週間の合宿が行われていたという。
本人は皐月賞後に療養へ出たと思われていたが、実際にはこの合宿に参加したのだろう。
サンジェニュインが扇を使い始めたのは合宿後からだ、というウワサも同時に聞こえていた。
そも、なぜサンジェニュインが皐月賞後に療養へ出ていた、と思われていたのか。
それは皐月賞での出来事が衝撃的だったからだろう、とキングヘイローは踏んでいた。
あの、酷さ。
いや、サンジェニュインの走りが、ではなく、レースの前後が、だが。
皐月賞はクラシック第1回戦。
情熱渦巻くトゥインクル・シリーズのうち、クラシックシーズンを華やかに告げるはじまりのレース。
多くのウマ娘がここに出走することを目標に、ひたむきに、一生懸命、一途に走る。
出走が叶った日には緊張もピークに達するかも知れない。
いちばん最初のクラシックレースと言うこともあって、例年、プレッシャーから挙動がおかしくなるウマ娘も多くいた。
だから多少の奇行は微笑ましく見られるものだった。
でもサンジェニュインの皐月賞は、それらと一線を画していた。
何故なら、出走する殆どのウマ娘が、レース前からサンジェニュインにべったりと張り付いていたから……!
ライブ放送をしている番組のアナウンサーから「この世代はひときわ仲が良いですね」と引き気味に言われるほど。
囲まれているサンジェニュインは半べそかいてヒンヒン泣いていた。
キングヘイローが同じレースに出ていたら半狂乱でガードしたことだろう。
レース自体は手に汗握る激戦だっただけに、出だしの酷さが際立った。
レース後もレース後で大変だった。
サンジェニュインはディープインパクトに張り付かれてヒンヒン大泣き。
ウイニングライブでも同着ということでダブルセンターを務め、その最中もピタっと張り付かれてギャン泣き。
ライブの最後にはトレーナーに引きずられながら控え室へと戻っていった。
その去り際の疲労感たっぷりの顔をみていたファンからすれば、レース後に短期の療養に出た、というウワサは限りなく真に近かった。
だが蓋を開けてみればその療養は合宿だったらしい。
栗色の耳カバーを身につけ扇を揺らし、サンジェニュインは再びトレセン学園に戻ってきた。
そして迎えた日本ダービー当日。
世代イチの優駿を決めるクラシックシーズン最高潮のレース。
皐月賞同様サンジェニュインを囲もうとした大勢のウマ娘は、しかし、結局近寄ることもできずに硬直することとなる。
現われたサンジェニュインが、それまでの親しみやすい雰囲気と打って変わって、自ら突き刺してくるようなトゲトゲしい薔薇の花になっていたからだ。
これまでレース前に浮かべて温和な表情はなりを潜め、近寄られてもヒィンと泣くことなく睨み、広げられた扇の向こう側から低い声がこだまする。
「道を空けなさい」
その日本ダービーは世代の頂点を決めるレースに相応しく厳かで。
そこに立っていたのは天使ではなく ── 女神だった。
結果は惜しくもディープインパクトに1センチ差の2着ではあったが、頭を下げることなくディープインパクトを睨み付けたサンジェニュインの姿に、陰りはなかった。
そこに、キングヘイローは不屈を見たのだ。
メイクデビューの頃から変わらない、負けず嫌いの目。
決して落ちることのない、くすむことのない羨望と意地を見つけて、キングヘイローは惚れ直した。
周りのファンがサンジェニュインの変貌に目を白黒させ、やがて天真爛漫な天使期を忘れても。
彼女を神のように崇め、ライバルとして見ることさえ諦めても。
彼女の揺らぐことのない信念と誇りを、キングヘイローだけは忘れなかった。
大多数のファンは、その変わりようを『精神的に成長した』と受け止めた。
でもキングヘイローには、キングヘイローだけはそれを『成長』と馬鹿正直に受け取ることはできなかった。
もっと別の、何か大切な意味合いがあるように思えてならなかったのだ。
サンジェニュインの競技生活において、変わらざるを得なかった、何か、大切なものが。
しかし外野のキングヘイローにはそれを探る手立ても、そして突っ込む権利もない。
ただファンとして、サンジェニュインが無事にレースを走り抜けること。
そしてまた誰の目を憚ることなく笑えるようになることを、ひたすらに祈ることしかできなかった。
太陽に溶けて沈む大勢のイカロスに埋もれながらも、キングヘイローだけは。
「……だからこそ、一緒に走りたかったのよ、私は」
キングヘイローもこれまで大きな期待を背負って走ってきた。
皐月賞も、ダービーも、菊花賞も勝てず沈んだ時。
混み合った感情の中に、この時のサンジェニュインがしっかりといた。
負けるもんかと顔を上げ、頭を上げ、視線をまっすぐ前に向けて。
何がなんでも勝ってやると諦め悪く伸ばした手と、回した足の先。
キングヘイローだからこそ、キングヘイローが歩んだ道程を振り返ったからこそ、とても強く共感した。
痛みと喜びを知っていた。藻掻いた腕の重さと足の鈍さも。
だから1度でもいい。
走ってみたかった。
似た景色を眺めたサンジェニュインを追い越して、振り返ってみたかった。
高松宮記念を制してスプリンターと呼ばれようとも。
キングヘイローはサンジェニュインと走りたかったのだ。
けれどもう叶わない。
サンジェニュインはターフを降りる。
いつか来ると思っていた別れがこんなに辛い。
いまキングヘイローの中にはファンとして「やだやだ引退しないで!」の気持ちと。
走者として「やだやだ引退しないで!」の気持ちが手を繋いで泣いていた。
推しには永遠に走っていて欲しい。
どこぞのデジタルも似たようなことを叫んでいた気がすると思いながら、キングヘイローはリモコンを操った。
今日はオールだ。
もう1回メイクデビューから流して全部見るんだ。
ポテチの袋は空になりかけていて。
走りたい気持ちだけが、満たされていた。
「おはようキングちゃ ── !? どうしたのその顔!?」
「太陽はネヴァーダイよ」
「なんて!?」
「おはようございマース! ……失礼しまシター」
「待っていかないでエルちゃん!!」
「太陽はネヴァーダイなのよ」
「だからなんて!?」
キングヘイローはスペシャルウィークとエルコンドルパサーに付き添われ、保健室に向かった。
ときは流れ、URAファイナルズ終了後。
キングヘイローは短距離部門に出走し、惜しくもサクラバクシンオーの2着でフィニッシュ。
だが悔いはなかった。
最後まで持てるすべてを使って走り抜けたからだ。
キングヘイローはトレーナーと健闘を称え合ったあと、汗を拭ってすぐに次のレースを見に行った。
URAファイナルズの最終レースは芝の長距離部門。
当初3400メートルの予定だったレースも、会場の都合で3000メートルに変更されて開催された。
出走するウマ娘はサンジェニュインの他、ディープインパクトにシンボリルドルフにと豪華な面々。
シンボリルドルフはパフォーマンス込みの出走とはいえ、無敗の三冠ウマ娘が出走するという知らせは観客を呼び込むのには十分だったようだ。
他の部門よりも多くの観客が密集する中、キングヘイローはスルスルと最前列まで滑り込んだ。
寿司詰の中でなんとかカメラを構え、サンジェニュインのラストランを見届ける。
サンジェニュインとディープインパクトの熾烈な競り合いに目頭を熱くし、そのゴール板が踏み込まれた瞬間には涙の膜が決壊していた。
キングヘイローは拭えども、拭えども、溢れ出る涙を止めることができなかった。
そうして視界を感動でいっぱいにしながら、他の観客と同じように拍手を送った。
レース後のライブも堪能し、キングヘイローは寂しい気持ちを抱えたまま日々を過ごした。
しかしずっと沈んでいるわけにもいかない。
高松宮記念連覇を目指して、キングヘイローは今年も走り続けなければならないのだから。
そうしてURAファイナルズから1ヶ月がたったころ。
キングヘイローの元にハルウララから連絡があった。
サンジェニュインからお茶会の続きをしよう、という招待付きで。
キングヘイローは一もなく二もなくそれを承諾した。
そして迎えた2度目のお茶会。
流れるように土下座したキングヘイローを立たせ、サンジェニュインは腕を組んで声を張り上げた。
「んぉっほん!! ……来たな、キングヘイロー! さ、走ろうか!」
ハルウララから体操服を持ってくるように、と言われていたが、なるほどこういうことか。
納得した反面、前もって言ってほしい、と脳内ハルウララの頬をひっぱる。
突然の出来事にまた気絶しそうになるのを必死に耐えて、キングヘイローはノロノロとした動きで体操服に着替えた。
練習用に開放されるトラックで、サンジェニュインは仁王立ちのまま待ち構えている。
ふふん、と鼻を鳴らして腕を組む姿がなんとも愛らしくて、自然と頬が緩む。
公式のレースではもう一緒に走れないと言ったが、それ以外のレースで走れないとは言ってない、と胸を張るサンジェニュイン。
その横で同じように胸を張るハルウララ。
かわいいが渋滞してる。
キングヘイローは一瞬だけ飛んだ意識をなんとか三次元につなぎ止めて、前を真っ直ぐと見つめた。
「距離は不問! 指定はキングヘイローに任せる。さあ、どれくらい走る?」
それなら、とキングヘイローはクラシックディスタンスを指定した。
それはサンジェニュインへの忖度でもなんでもなく、サンジェニュインの得意な距離で彼女と競り合いたいという、キングヘイローの意地。
瞳がぎらりと光る。
キングの矜持がふたつ、重なり合って。
「……いいぜ、オレも、全力で受けて立つ!」
太陽が、にっこり、微笑んだ。
キングヘイローさん
太陽の過剰摂取で耐性を得た(?)
たびたび「またしても何も知らないキングヘイローさん」になってしまう
「太陽はネヴァーダイよ!」
スペちゃんとエルちゃんが困惑している
聖ウララエル
またの名をハルウララちゃん
キングヘイローさんがサンジェオタクなのをなんとなく知っている(キングさんはバレてるとは知らない)
サンジェニュイン
キングさんが自分の応援してることを知っている推し
でも自分のファンが「イカロス」と自称してることを知らないぽんこつ
第◇回サンジェニュインのお嫁さんレース(敬称略)
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エアグルーヴ
-
ハルウララ
-
ウオッカ
-
カレンチャン
-
海外牝馬組