そろそろ登場のネタに困ってきたラクレットです。こんにちは。
現在エルシオールは、レゾムを倒した後のクロノドライブだ。多分そろそろ終わると思う。あれから二日経っているので今日はタクト登場から4日目? なんか微妙に僕がいることでこの辺のスケジュールが変わってきている。
「ドライブアウトします、各員通常クルーにシフトしてください」
あ、今クロノドライブが終わったので、30分ほど通常空間を航行したら、あいつらが来るかな。それと、この章は結構楽しみなイベントがあったからね、それもぜひぜひ体験してみたい。さて、とりあえず、序幕の特等席、ティーラウンジにでも行きますかね。
「えー、そんなー!!」
「みなさん、何を読んでいらっしゃるのですか?」
「あ、ラクレット」
タクトがこちらに気づいたみたいだ。僕が、ティーラウンジに入った時、エンジェル隊の面々とタクトは蘭花がもってる雑誌に掲載されている、マダムキャプレーの占いコーナーで盛り上がっていた。おそらく、ミルフィーがあのナルシストに付け回されるであろう。との結果が出たところだろう。
「こんにちは、それは占いですか?」
「ええ、この雑誌の占いをしているマダムキャプレーは、なんと的中率99%の超カリスマ占い師なのよ!……その分嫌な結果が出たミルフィーが可哀想だけどね」
「なんでも、好きでもない男に付き纏わられる。って結果が出たみたいでね」
「そうなんですか」
視線を向けると、机に突っ伏している、ミルフィーの姿があった。おおーこれが良くアニメとかで見る光景か。背後がほんとに青くなって見える。こういうので落ち込むのは普通の女の子みたいだよね、あんなにぶっ飛んでるのに。
「それじゃあ、持ち主のランファの結果はどうなんだ? 」
「えーと……って、なによこれー!! 」
蘭花はしばらく視線を雑誌に向けて小声で趣味などを照らし合わせた後、急に立ち上がり叫びだした。どうやら気に入らない結果が出たみたいだね。確か、思いもよらない身近な異性と急接近だっけ? その分を読んで、タクトを連想してしまいみんなにからかわれて、そのまま逃げるように立ち去る。見たいな流れだったね。ツンデレ乙とニヤニヤできるシーンだった。
と、そんなことを考えながら、なかなか来ない店員のために(エンジェル隊が騒がしいので近寄るに近寄れない)僕はカウンターに注文をしに行った。コーヒーとチョコレートケーキを頼んで戻ってくると、予想通り蘭花がかけていくところだった。
そういえば、身近な異性って僕も入るんじゃないのかなーと、どうでもいいことを考えつつエンジェル隊が座っている隣のテーブルに僕は座り、注文を待つのであった。ここのチョコレートケーキは中々いけるんだ。
少し時間がたち、もうすぐクロノドライブに移行できるポイントという所で、突如ミサイルがエルシオールに打ち込まれた。直撃されたらしく、大きな衝撃が艦を襲った。ちょうど日課の戦闘機の整備を行っていた僕は、その衝撃で頭をぶつけてしまった。畜生、わかっていたことなのにどうしてこうなった。頭痛を抑えながら僕はそうぼやいた。
ともかく、小惑星がたくさん存在する、このアステロイド帯の中をたった2機の戦闘機で接近してミサイルを撃ち込んだのは、十中八九ヘルハンズ隊の二人であろう。となると今の衝撃で、クレーンが故障してしまうから、出撃できる紋章機はミルフィーの『ラッキースター』に、蘭花の『カンフーファイター』の二機のはずだ。
僕の紋章機は、シャトル搭載をする別のブロックに積んでいるために一応の出撃はできるが……って!! 今僕が頭ぶつけたから、照準システムの設定が変わってる!! 照準システムがないと敵との距離感がうまくつかめないんだよ……あーもうめちゃめちゃになってる。初期化して、バックアップ入れてカスタマイズすると……だめだ、すぐには出れないな。幸い2,30分で再調整はできるだろうけど……畜生、今回は僕も出撃できないな。
「こちらブリッジ、エンジェル隊、発進できるか?」
「1番機行けまーす」
「2番機も平気よ」
「3番機、紋章機を支えるアームが稼動しません」
「4番機もだよ。これじゃあ出撃は無理だ」
「5番機も同じく出撃できません」
「くそ! 敵ながら見事な狙いだ」
やはり原作まんまの展開になり、悪態をつくレスター。まあ、主力の6割をつぶす攻撃ってのもすごいよね確かに。奇襲での一撃とはいえ、6割落とされたら壊滅だよ。
「ラクレット、そっちは?」
「それが、今の衝撃で少々システムにトラブルが出てしまいまして、復旧にしばらくかかると思います」
「……そうか」
そういって、少し考え込むタクト。ここは、どっちにしてもとりあえず2機は出さないといけないと思うんだけどね。まあ、もう敵としては目的を果たしてるから、無理に攻めてくるわけじゃない。いくらでも考える時間はある。もっともそれを知ってるのはこの船では僕だけだけどね。
「よし! ミルフィーと蘭花の、二人で出撃してくれ。敵は戦闘機二機だ。性能ではおそらく紋章機のほうが上だと思うけど、油断するなよ」
「了解です! 任せてください!」
「了解よ」
以下ハイライトを
「ああ、マイハニー君を思うだけでボクの胸は燃えるように熱く高鳴ってるよ。わかるかいこのベリーホットな気持ち」
「ボクのことが知りたいだろう、マイハニー? そうだろう、そうだろうなぁ」
「つれない事を言わないでおくれよマイハニー、ボクは君の事なら何でも知ってるんだ」
「だから君にも僕のことを知る権利と義務があるんだ、さあ聞いておくれマイハニー」
「僕の名前は カミュ・O・ラフロイグ。どうだい、この美しい名前。まるで宇宙を駆けるさわやかな風のようだ」
以上、ナルシストの台詞です。声もカオル君だしこれはひどい。いやー、通信音声だけ回してもらったけど、正直聞いているだけで変になりそうな台詞だね。まあ、僕も出てないし原作と全く差が無いまま、会話が続き、地味に重要だと思われる、ミルフィーの将来の夢の作文を、カミュが読み上げていた。
コレはつまり、エオニアが、皇国の情報データバンクを完全に掌握したということになる。まぁ、別にどうでもいいけどさ。
────私の将来の夢は宇宙船になって、いろんな星に行きたいです。
子供でもそこまで純粋に書ける人がいるかどうか解らないと思う。そう思うと凄いなミルフィー。
そしてもう片方。
「うおぉぉぉぉぉ!! 蘭花・フランボワーズ!! オレと勝負しろ!!」
「何よアンタ!! いきなりそんな事、それに暑苦しいのよ!!」
次は、勇者王の声で叫ぶ馬鹿。いつも思ってたんだけど、ヘル・ハウンズ隊って声こだわってるよね?後の3人は、ライダーに、ウザクに、えーと・・カモ君? まあ、カミュはナルで、ギネスは馬鹿だけど二人とも強いのは事実な訳だ。ミルフィー達が負けるとは思わないけど。気をつけてもらわないと。
っと、通信が終わって戦闘に入るみたいだ。僕も調整しておかないと。
さて、何とか二人を撃退したわけだけど。正面から撃ち合ったら負けるはずないからね。機体性能差が数世代ってレベルじゃなく違うわけで。
この後は、さっきのミサイルが実は偵察用光学迷彩型プローブだったという話で始まる騒動だ。プローブはいわゆるクローン能力を持っていて、任意の物そっくりに変身することができるのだ。それで、タクトに変装したそれがいろいろ騒ぎを起こすって話だった。まあ、僕にはあんまり関係ない。
なにせあれは、大佐以上の階級に反応するものだから、仮に出会っても僕のまねはされないのだし。そして今、僕はとても見たいイベントがあるので、その準備のためにロッカールームから少し離れた位置にいる。
この章、というか、地味にGAシリーズの中でもインパクトがあったシーンなので記憶に詳しく残っている。初プレイは前世で12歳のときだから、もう20年以上前なのに。最も何度もやり直しているから、そのままの時間というわけではないのだけど。お、角の向こうから、タクトが歩いてきた、つまりはもうすぐだね。
「あ、タクトさん。どうしたんですか?」
「いや、たいしたことじゃないんだけど、どうも変な感じがしてね」
「そうなんですか」
「うん、そういうラクレットはどうして「キャァァァーーーー!!!!!!」」
軽く話していると、ロッカールームのほうから、悲鳴が聞こえた。一応怪しまれないように僕も驚いたような顔を作る。
「今のは!?」
「ロッカールームのほうからです!!」
そう言って僕はロッカールームに向かって走り出す。後ろから少し送れてタクトがついてくる。15秒ほどでロッカールームの前についた。僕は急いで中に入る。って!!!
「キャー!! 痴漢! 覗き! 強姦魔! 」
そんな可愛らしい悲鳴と共に、僕がドアを開けた瞬間にシャンプーのボトルが飛んできた。僕は咄嗟のことでそれを避けることができずに、そのまま頭にヒットした。薄れ行く視界の中僕が最後に見たのは、蘭花のバスタオル一枚で辛うじて隠されている見事な体だった。
「ラクレット!!、って、ランファ!?」
ああ、畜生なぜこんなところで原作と差が出たんだ。
「ここはど……知らない天井だ」
地味にこのネタもよっぽど意識していないと言えないと思う。寝起きでいきなりそこまで考えられる人は少ないのだから。素の反応で出て来るなんてありえないと思う。どうでも良い思考をしながら僕はそのまま体を起こす。周りは薄暗く、艦内はすでに夜時間みたいだ。
周りを見回すと、カーテンで仕切られていたが、消毒液の匂いからここが医務室であることに気づいた……ほんのわずかにコーヒーの匂いもするしね。消毒液の匂いを臭いにしない理由は、僕は消毒液などの病院の匂いが結構好きだからである。本当にどうでもいいことだけどね。
自分の格好は、さっきのままだ。どうやら、不可抗力の覗きの後にここに運ばれたみたいだ。ベットの右側に靴が置いてあったので、それを履いてベットから降りる。カーテンをめくって外の様子を確認してみたいからだ。
時計を見るとすでに消灯時間は過ぎているみたいだ。ケーラ先生も自室に戻っているみたいで、ホワイトボードに『起きて大丈夫そうなら自分の部屋に戻りなさい』と書いてある。まあ、単純に新品で重いシャンプーの容器がぶつかってきただけだからね。脳震盪起こして倒れたのかな? 少しふらふらするけれども、歩いて問題なさそうだ。
「じゃあ、戻るか。……一応ブリッジに顔を出してからにするか」
そう決めたので、まずはブリッジに向かうことにした。道中で僕は誰ともすれ違わないで、物音もわずかなモーター音の様なホラーの様な光景に若干腰が引けていたものの、無事到着。ブリッジにはレスターがいた。
「起きて大丈夫なのか?」と言われたので、大丈夫だと答え、あれからどうなったかを聞いてみる。ふむふむ、おおむね原作と差はないみたいだ。
光学迷彩型プローブがタクトに化けてて、いろいろ問題を起こした後に、ランファが破壊。その後戦闘で敵を退けて今に至るか。
エンジェル隊の隊員達は、すでに就寝前のお茶会を終わらせて自室で休んでいるみたいだ。まあ、原作ままなら問題ないか。僕はそう思い、礼を言った後にブリッジを後にした。
実はこの時僕が起こした行動のせいで、地味に小さくない差が出てしまったのだが、まあそれは別の話だ。
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エオニア旗艦ゼル。
そのブリッジに大柄ながら線は細く彫刻のような美丈夫がいた。その名は、エオニア・トランスバール────今回のクーデターの首謀者である。
「ふむ、シェリーよ。かの船にシヴァが居るかどうかの証拠はつかめなかったか」
「申し訳御座いません。エオニア様……いえ、陛下」
そんな彼の横に、これまた背の高く、いわゆるできる女のような雰囲気を醸し出している女性が答えた。名はシェリー・ブリストル。彼女はエオニア派一の忠臣で、実質的にエオニア軍、ひいては正統トランスバール皇国のNo.2であった。軍政共に秀でており、士官学校を首席で卒業した後、エオニアに使えている。
「よい、余が欲しかったのは証拠。すでに状況的に9割9分……あの艦にいることはわかっていたのだ。それと、まだ戴冠式を行っていない、気が早いぞシェリー」
エオニアはそう答えると、通信のウィンドウの先にいるシェリーに対して薄く笑いかける。
「しかしながらいくつか報告があります。ヴァルターの弟があの艦にいるとプローブから送られたデータにありました」
プローブは、ランファによって破壊されていたが、じつは、自動でプローブからの情報を、保存しておくための超小型のレシーバーがもう片方のミサイルに積んでいたのだ。バッテリーの関係で、12時間も持たないが、それでも破壊される直前までの情報は送られていたのである。
「ほう、それで奴はなんと言っていた?」
「なにも。相も変わらず黒き月のどこかにいるそうで、連絡はつきませんでした。ですが、恐らく……毛ほども気にしないでしょう」
「それもそうだな」
ラクレットの兄であるカマンベールは、黒き月を初めて見た時からずっとそれに執心していた。エオニア達が入れないような区画にもなぜか彼は入れたのである。その禁止区画のことをカマンベールはあまり報告しなかったが。エオニアは兵器工場である区画は問題なく使えたので、特に気にしなかった。カマンベールにはフリーハンドを与えたほうが成果を上げる事を既に数年で学んでいるからだ。また、それに加えて……
「ねえ、お兄様、どうしてそんなに嬉しそうなの?」
「やあ、ノアか。なに私が嬉しいのはエルシオールが、私の張った網に少しずつ絡め取られていくからさ」
「ふーん、そうなの」
この少女ノアがいるからだ。彼女は辺境を放浪していたエオニアを導き、黒き月という無人兵器工場を与えた。外見は10歳ほどではあるが、なんとこの黒き月の管理者であるそうだ。
彼女がいれば、自分のやりたいことはほぼできるので、カマンベールとは時たま挙げてくる報告書位などでしか関係がないのだ。もっともその報告書(間にどうでもいい話が含まれていることもあるが)がかなりの有用性のある発明なので、問題があるわけでもないのだが。
「そうだよ。ノア……シェリー、すまないが引き続きエルシオールを追ってくれ。危険だと判断したら迷わず撤退してくれて構わない。お前に代わる人(ヒト)などいないのだから」
「了解しました。人材の件については後ほど検討しましょう。それでは」
その言葉で、シェリーの映っていたウィンドウは消えた。エオニアもそのまま、ブリッジを後にした。
「私の野望は残すところ白き月のみ……か」
廃太子エオニア……いや簒奪者であり、正統トランスバール皇国軍総大将である彼の野望。その成就は目前にあった。